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34 飼う側の都合・飼われる側の都合

残念ながら飼い主はちょっとの躾に成功していない。芸のひとつやふたつは出来る。「お手」「お代わり」「待て」「お座り」そのくらいだ。しかし芸と躾は違う。「待て」は躾と言えば躾だが、もっと継続的な犬の振る舞いを人間社会に適合するよう矯正して行くのが躾なのだろう。要するに飼う側の都合だ。
ちょっとは極めて飼われる側の都合のみで生きている。つまりは人間社会に適合していない。最たるものがムダ吠えだ。自宅に近づくあらゆる生命体に対して吠える。これはオス犬の習性だろうが、多くの人がわが家に近づくのを怖がっている。そして家族が食事を始めると吠える。「自分もみんなと同じ場所で過ごしたい」と言っている。リードを外してやると食卓近くに来て満足気にしているので間違いない。困るのは夜中に吠える事だ。近所迷惑だ。便意を訴えているのかと外に連れ出そうとすると、前足でリードを押さえて「そうじゃない」と言う。何かを訴えたいのだろうけれど、飼い主にはわからない。仕方がないので放置して置くと諦めて静かになる。それまでに小一時間も吠え続ける。子供の夜泣きやかんむしの様なものではないかと飼い主は思っている。近所は穏やかな人ばかりなので「昨日は賑やかだったね」と笑って言ってくれるが、夜中に起こされた人はたまらないだろう。
飼う側の都合ではあるが、やはり躾は飼い主の義務であると痛感している。

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