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#35 夜中のコーヒーと困難な原稿

この28日から30日まで奄美は旧盆である。28日の夕方には多くの人々が提灯を持って、墓所へ祖霊を迎えに行く。その風景は静かで荘厳さすら感じる。家々ではこの日までに家の周囲の雑草を刈り掃除をして清浄にしておく。わが家では前日までに終らせておく予定だった荒地の整備が長引き、迎えの日である今日の午前中いっぱい私と妻で、家の横の土地の雑草を処理した。
そのせいか、夜8時前には二人とも疲れ切って床についてしまった。そうして目覚めたのが夜中の2時。しばらくはフトンの上でヘッドホンをしてAudibleを聴いていたが、Audibleで聴いていた内田樹の『困難な成熟』に触発されて今のうちに原稿を書いてしまおうと思い立った。
 
思い立った勢いでさっさと書けば良いものを、まずはコーヒーが欲しくなった。ガラス製のドリッパーは以前割れてしまったので最近はコーヒーメーカーでドリップしているのだが、数年使わずにいたコーヒープレスが目に留まり、久し振りにプレスをする事にした。ビーカーで水の量を計ったらケトルに移し火にかける。夜中なので手挽きでコリコリと豆を挽く間に湯が沸いた。プレス器に湯を注いで2分半が経過したところでグッと押し棒を下げてから一気に引き上げる。そうしてさらに1分半待ってから静かに押し棒を下げて出来上がりだ。コーヒーの香りが部屋中に漂っている。
 
さて、原稿である。『困難な成熟』に触発されて日常の反復作業と運について書こうと思っていたのだが、旧盆とコーヒーの事などから書き始めてしまい途方に暮れている。それが今だ。大切なことなので、日常の反復作業と運については来週にでも書こうと思うが、きっと来週は来週で書きたい事が出て来るのだろうとも思う。なので大切なはずの「日常の反復作業と運について」はいつになるかわからない。さて、こんな事をしているうちに4時だ。いつも5時には起床するので、これから何をするわけでも無い1時間がある。きょう提出予定の見積書でもつくろうか。久々のプレスコーヒーはとても旨かった。

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