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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-183【薬剤】論点:薬物とターゲティング技術(その2)

こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。

matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、薬学理論問題【薬剤】 を一緒に完全攻略しよう!

Here; https://note.com/matsunoya_note/n/ne16625a9708e

今回は、第107回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問183、論点:薬物とターゲティング技術(その2)として問題で取り上げられた5つの薬物のインタビューフォームに記載された開発の経緯および治療学的特性ならびに製剤学的特性を引用して論点を解説します。


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-183【薬剤】論点:薬物とターゲティング技術(その2)


第107回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問183

Q. 薬物とターゲティング技術に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。


■選択肢
1.      レボドパは、主にP-糖タンパク質により選択的に脳内に取り込まれる。
2.      サラゾスルファピリジンは、腸内細菌により5-アミノサリチル酸に変換される。
3.      フルシトシンは、腫瘍細胞内の酵素により5-フルオロウラシルに変換される。
4.      アルプロスタジルは、乳酸・グリコール酸共重合体マイクロスフェアを担体として病変部位にターゲティングされる。
5.      ガラクトシル人血清アルブミンジエチレントリアミン五酢酸テクネチウムは、肝細胞膜上のアシアロ糖タンパク質受容体に強く結合する。


設問へのアプローチ|

第107回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【薬剤】 問183

論点(薬物とターゲティング技術)に対して、インタビューフォームに記載された開発の経緯および治療学的特性ならびに製剤学的特性の読解から迫ることで、薬学理論問題【薬剤】の完全攻略を目指ししましょう。
第107回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【薬剤】 問183に関しては、設問へのアプローチを前回(1. 前編)と今回(2. 後編)に分けて解説します。

前編

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-183【薬剤】論点:薬物とターゲティング技術(その1)|matsunoya (note.com)

後編

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-183【薬剤】論点:薬物とターゲティング技術(その2)|matsunoya (note.com)


前後編の両方を学習すると、同じテーマでのその他の薬物に関する対策にも役立つような応用力がつくと思います。
ぜひ、両方のアプローチを試してみてください。

Here; https://note.com/matsunoya_note/n/ne16625a9708e


■Lecture
開発の経緯および製品の治療学的特性ならびに製剤学的特性


選択肢1. レボドパ


構造式または示性式

レボドパ・カルビドパ水和物配合剤
開発の経緯


レボドパの開発経緯

レボドパは、1911年にC.Funkによって合成され、その後1949年にSealockによって天然の豆類に存在することが報告されました。1961年からはパーキンソン病に対する臨床研究が始まり、1967年にCotziasによってその有効性が確認され、世界的に注目されることになりました。
パーキンソン病の治療において中脳のドパミン作動性神経が変性脱落するため、レボドパは、ドパミンの前駆体として使用されます。


カルビドパの開発経緯

カルビドパは、1962年にアメリカのMerck社によって発見されたドパ脱炭酸酵素阻害薬です。
カルビドパは、レボドパと併用することで脳以外の部位におけるレボドパのドパミンへの代謝を抑制し、脳内へのレボドパの移行を高めることで、レボドパの効果を増強し、副作用を軽減します。
レボドパとカルビドパの合剤(配合比10:1)は1979年に製造承認されました。


日本における展開

共和薬品工業株式会社は、後発医薬品としてレボドパ・カルビドパの配合剤を開発し、平成3年(1991年)11月に「カルコーパ錠100mg」として承認を取得し、平成10年(1998年)12月に上市しました。その後、医療事故防止のため「カルコーパ錠100mg」の販売名を「カルコーパ配合錠L100」に変更し、平成22年(2010年)5月に代替新規承認を取得し、同年11月に薬価収載されました。また、平成23年(2011年)1月には「カルコーパ配合錠L250」が承認され、同年6月に上市されました。


製品の治療学的特性


レボドパ

パーキンソン病の治療において、脳内のドパミン作動性神経が変性脱落するため、レボドパはドパミンの前駆体として使用されます。
レボドパは血液脳関門を通過し、脳内でドパミンに変換されることで、神経伝達を改善します。


カルビドパ水和物

カルビドパは末梢性ドパ脱炭酸酵素阻害薬であり、レボドパと併用することで末梢でのレボドパの代謝を抑制し、効率よくレボドパが脳に移行するようにします。これにより、レボドパの必要量を減らし、副作用を軽減することが可能となります。


副作用

重大な副作用として、悪性症候群、錯乱、幻覚、抑うつ、溶血性貧血、血小板減少、突発的睡眠、閉塞隅角緑内障が報告されています。


まとめ

レボドパ・カルビドパ配合剤は、パーキンソン病の治療において効果的な治療法として広く使用されています。
レボドパはドパミンの前駆体として使用され、カルビドパはレボドパの代謝を抑制することで、効果を増強し、副作用を軽減します。


レボドパ・カルビドパ水和物配合剤
薬理作用および薬物動態


薬理作用


1. 作用部位・作用機序

1) レボドパ

パーキンソン病は、中脳の黒質と線条体を連絡するドパミン作動性神経が変性・脱落することによって発症します。
ドパミン作動性神経と機能的にバランスをとっているコリン作動性神経が相対的に過剰に活動するため、治療はドパミン作動性神経の活動を高めるか、コリン作動性神経を抑制する方法が取られます。
ドパミンそのものは血液脳関門を通過できないため、ドパミンの前駆体であるレボドパが用いられます。
レボドパは血液脳関門を通過し、脳内に入り、ドパ脱炭酸酵素によってドパミンに変換され、神経終末から放出されることで症状を緩和します。

2) カルビドパ水和物

カルビドパ水和物は末梢性ドパ脱炭酸酵素阻害薬です。
レボドパを単独で投与すると、脳に到達する前に末梢でドパミンに代謝され、その効果が減弱しますが、カルビドパ水和物を併用することで、この代謝が抑制されます。
これにより、レボドパが効率よく脳に移行し、効果が高まるため、レボドパの投与量を減らすことが可能となります。


薬物動態


1. 吸収

1) レボドパ

レボドパは消化管から吸収され、バイオアベイラビリティは40~80%とされています。

2) カルビドパ水和物

カルビドパ水和物のバイオアベイラビリティは40~70%です。

2. 分布

1) 血液-脳関門通過性

レボドパは血液脳関門を通過することができますが、カルビドパ水和物は血液脳関門を通過しません。

2) 血液-胎盤関門通過性

この点に関する資料はありませんが、動物実験(ウサギ)では催奇形性が報告されています。

3) 乳汁への移行性

レボドパは乳汁に移行することが動物実験(ラット)で知られており、乳汁分泌を抑制する可能性があります。

3. 代謝

1) 代謝部位及び代謝経路

レボドパは脳の錐体外路中枢に取り込まれ、脱炭酸によりドパミン及びノルアドレナリンを生成します。

2) 代謝物の活性の有無及び活性比、存在比率

レボドパはドパミンの前駆物質であり、生体内で芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素によってドパミンに変換されます。
ドパミンは神経伝達物質として重要な役割を果たしますが、その代謝には酵素の飽和性が見られることがあります。


まとめ

レボドパはドパミンの前駆体として脳内でドパミンに変換され、症状を緩和しますが、カルビドパ水和物の併用により、末梢での代謝が抑制されるため、レボドパの脳内移行が効率的に行われ、治療効果が向上します。


Ref. 


インタビューフォーム「カルコーパ配合錠L100/カルコーパ配合錠L250」
レボドパ・カルビドパ水和物 (pmda.go.jp)


選択肢2. サラゾスルファピリジン


構造式または示性式

サラゾスルファピリジン坐剤
開発の経緯および製品の治療学的特性


開発の経緯


サラゾスルファピリジンは、1930年代後半にファルマシア社(現ファイザー社)とカロリンスカ病院のN. Svartzの協力によって、リウマチ性多発性関節炎の治療薬として開発されました。
その後、サラゾスルファピリジンは潰瘍性大腸炎の治療に有用であることが示唆され、1948年にはBargenによって米国に紹介されました。米国では1951年から、ドイツでは1958年から臨床使用が開始されました。


日本においては、1969年にサラゾスルファピリジンの輸入が許可され、三菱ウェルファーマ(株)がサラゾピリン錠の輸入販売を開始しました。
一方で、1967年には英国のWatkinson、1971年にはHankeらがサラゾスルファピリジン坐剤の有用性を発表し、Bockusらもその使用を教科書に記載しました。
日本では樋渡らによって、経口投与が無効な症例に対してサラゾピリン坐剤が有効であることが報告され、臨床研究が進められ、1981年に承認されました。


サラゾスルファピリジンは、スルファピリジンと5-アミノサリチル酸(5-ASA)の酸性アゾ化合物であり、大腸の腸内細菌によって分解されます。
治療活性部分である5-ASAは、組織学的に変化のある粘膜上皮下の結合組織に対して特異的な親和性を持ち、炎症部位で抗炎症作用を示すと考えられています。


製品の治療学的特性

  1. 抗炎症作用
    サラゾスルファピリジンの未変化体は、白血球の内皮細胞への接着を抑制することにより抗炎症作用を発揮します。これはヒト内皮細胞やマウスで確認されています。

  2. 重大な副作用
    サラゾスルファピリジン坐剤の使用に際して、以下の重大な副作用が報告されています:

    • 再生不良性貧血、汎血球減少症、無顆粒球症、血小板減少、貧血(溶血性貧血、巨赤芽球性貧血(葉酸欠乏)等)

    • 播種性血管内凝固症候群(DIC)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)、紅皮症型薬疹、過敏症症候群、伝染性単核球症様症状

    • 間質性肺炎、薬剤性肺炎、PIE症候群、線維性肺胞炎

    • 急性腎障害、ネフローゼ症候群、間質性腎炎

    • 消化性潰瘍(出血、穿孔を伴うことがある)、S状結腸穿孔

    • 脳症、無菌性髄膜(脳)炎、心膜炎、胸膜炎、SLE様症状

    • 劇症肝炎、肝炎、肝機能障害、黄疸

    • ショック、アナフィラキシー


まとめ

サラゾスルファピリジン坐剤は、潰瘍性大腸炎の治療に有用な薬剤であり、その治療活性部分である5-ASAが炎症部位において抗炎症作用を発揮します。
開発当初はリウマチ性多発性関節炎の治療薬として開発されましたが、その後、潰瘍性大腸炎の治療に効果があることが判明し、現在では広く使用されています。
重大な副作用には注意が必要ですが、適切な使用により潰瘍性大腸炎の症状改善に寄与します。


Ref. 


インタビューフォーム「F1_サラゾピリン坐剤500mg」
サラゾスルファピリジン (pmda.go.jp)


選択肢3.  フルシトシン


構造式または示性式

フルシトシン(5-FC)
開発の経緯

フルシトシン(5-FC)は、1956年にDuschinskyらによって合成されたフッ化ピリミジン化合物の一つで、深在性真菌症治療剤として使用されています。1963年には、マウスの実験的カンジダ症に対して優れた効果を示すことが明らかになり、1967年頃から臨床応用が始まりました。


日本における展開

日本では、昭和54年(1979年)に日本ロシュ株式会社(現:中外製薬株式会社)によってアンコチルの販売名で発売されました。その後、共和薬品工業株式会社が平成14年(2002年)9月に承認を引き継ぎ、同年12月から販売を開始しました。平成18年(2006年)7月には、医療事故防止のため販売名を「アンコチル」から「アンコチル錠500mg」に変更し、新たに承認を取得して、同年12月に薬価収載されました。


製品の治療学的特性

作用機序

フルシトシン(5-FC)は、真菌細胞膜のシトシン透過酵素を介して真菌細胞内に選択的に取り込まれた後、脱アミノ化されて5-フルオロウラシル(5-FU)となり、核酸合成系を阻害することで抗真菌作用を発揮します。


抗菌スペクトル

フルシトシンは、以下の真菌に対して抗菌作用を示します。

  • クリプトコックス: 最小発育阻止濃度(MIC)0.5以下 mg/mL

  • カンジダ: MIC 0.5~2 mg/mL

  • アスペルギルス: MIC 0.5~4 mg/mL

  • ヒアロホーラ: MIC 1~4 mg/mL

  • ホンセカエア: MIC 0.5~32 mg/mL


副作用

主な副作用として、食欲不振、嘔気、発疹、下痢、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)上昇、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)上昇があります。また、重大な副作用として、汎血球減少、無顆粒球症、腎不全が報告されています。


まとめ

フルシトシン(5-FC)は、1956年に合成されたフッ化ピリミジン化合物で、深在性真菌症に対する治療薬として広く使用されています。
日本では1979年から販売が開始され、2002年以降は共和薬品工業株式会社が販売を引き継ぎました。
フルシトシンは真菌細胞内で5-FUに変換され、核酸合成を阻害することで抗真菌効果を発揮します。
様々な真菌に対して効果を示しますが、副作用の管理が重要です。


Ref. 


インタビューフォーム「アンコチル錠500mg」
フルシトシン (pmda.go.jp)


選択肢4. アルプロスタジル



構造式または示性式

アルプロスタジル注射液
開発の経緯および治療学的特性ならびに製剤学的特性


開発の経緯

アルプロスタジル注射液(パルクス注)は、既存のプロスタグランジンE1(PGE1)製剤の問題点を改良し、PGE1の治療有用性を高めるために開発されました。脂肪粒子をPGE1の担体として利用することで、効果の持続性や局所刺激性の低減などを実現しました。
この製品は大正製薬株式会社と株式会社ミドリ十字(現:田辺三菱製薬株式会社)によって共同開発され、1988年に承認を受けました。

6,533例(成人6,017例、新生児516例)の使用成績調査を経て、1992年に再審査申請が行われ、1993年に薬事法に基づく承認を得ました。
その後、1995年に「糖尿病における皮膚潰瘍の改善」、1998年に「経上腸間膜動脈性門脈造影における造影能の改善」について効能が追加承認されました。
アンプル製剤の有効期間は2009年に14ヶ月に延長されました。パルクス注ディスポは医療現場のニーズに応じて開発され、2005年に承認されました。


製品の治療学的特性

  1. 有効成分と作用機序
    アルプロスタジル注射液の有効成分はプロスタグランジンE1(PGE1)です。
    PGE1は血管拡張作用および血小板凝集抑制作用を有しており、アルプロスタジル注射液は、既存のPGE1製剤に比べて1/4~1/8の用量で同等以上の効果を発揮します。
    また、投与時間の短縮や局所刺激性の低減など、臨床的有用性が高いとされています。

  2. 適応症

    • 慢性動脈閉塞症(バージャー病、閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍および安静時疼痛

    • 進行性全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、糖尿病における皮膚潰瘍の改善

    • 振動病における末梢血行障害に伴う自覚症状の改善および末梢循環・神経・運動機能障害の回復

    • 動脈管依存性先天性心疾患における動脈管の開存

    • 経上腸間膜動脈性門脈造影における造影能の改善

  3. 重大な副作用

    • ショック、アナフィラキシー、意識消失、心不全、肺水腫、間質性肺炎

    • 心筋梗塞、脳出血、消化管出血

    • 無顆粒球症、白血球減少、血小板減少

    • 肝機能障害、黄疸、無呼吸発作


製品の製剤学的特性

  1. 脂肪乳剤粒子
    パルクス注は微細な脂肪乳剤粒子中にPGE1を溶解したものであり、脂肪粒子が障害された血管などに分布しやすい特性を持つため、病変部位に効率よくPGE1を集積させることができます。
    このため、少量投与で優れた有効性を発揮するDDS(Drug Delivery System:薬物送達システム)の考えに基づいて開発されました。

  2. パルクス注ディスポ
    パルクス注ディスポはアンプル製剤の薬液をあらかじめシリンジ容器に充填したキット製剤(プレフィルドシリンジ製剤)であり、薬剤調製時間の短縮・簡便化を実現します。
    また、細菌汚染や異物混入のリスクを軽減し、識別性を高めることで医療過誤の防止にも寄与します。


まとめ

アルプロスタジル注射液は、PGE1の治療効果を最大限に引き出すために開発された製品であり、脂肪粒子を担体とすることで効率的な薬物送達を実現しています。


Ref. 


インタビューフォーム「F1_パルクス注5μg/パルクス注10μg」
アルプロスタジル (pmda.go.jp)


選択肢5. ガラクトシル人血清アルブミンジエチレントリアミン五酢酸テクネチウム


構造式または示性式

ガラクトシル人血清アルブミン ジエチレントリアミン五酢酸テクネチウム(99mTc)注射液
開発の経緯および製品の治療学的特性ならびに製剤学的特性


開発の経緯


ガラクトシル人血清アルブミン ジエチレントリアミン五酢酸テクネチウム(99mTc)注射液(以下、本剤)は、肝疾患の診断において残存する肝細胞の総能力(肝予備能)を評価するために開発されました。
既存の検査法では十分な情報が得られない場合が多く、新しい診断手法の開発が求められていました。


ヒトの肝細胞表面にはアシアロ糖タンパク(ASGP)受容体が存在し、この受容体は肝癌組織にはほとんど存在せず、肝硬変では減少することが報告されています。
また、ASGP受容体量は肝細胞量を反映し、肝疾患の病態と密接に関連しています。これに基づき、合成糖タンパク(ガラクトース結合アルブミン)を用いてASGP受容体の量を評価する手法が考案されました。


本剤は、合成糖タンパクを放射性核種である99mTcで標識した製剤であり、ASGP受容体の量を非侵襲的に評価することが可能です。
この製品は1992年7月に「シンチグラフィによる肝臓の機能及び形態の診断」を効能・効果として製造承認を取得し、2001年には再審査結果を受けて承認が維持されました。


製品の治療学的特性

  1. 作用機序と診断能力
    本剤はアルブミンにガラクトースを結合させた合成糖タンパクであり、天然のASGPと同様にASGP受容体に取り込まれます。肝疾患の病態に応じてASGP受容体量が減少するため、本剤を投与し肝集積を評価することで肝機能を診断することが可能です。

  2. シンチグラム所見
    本剤のシンチグラムにより肝機能障害の重症度を視覚的に判定できます。これにより、肝疾患の診断および治療効果の評価が可能です。

  3. 副作用
    重大な副作用としてショックやアナフィラキシーが報告されています。これらの副作用は迅速に対処する必要があるため、使用時には注意が求められます。


製品の製剤学的特性

  1. バイファンクショナルキレート剤
    本剤には99mTcに対して強い配位能力を持つジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)がバイファンクショナルキレート剤として導入されています。これにより、放射化学的純度と生体内での安定性が向上しています。

  2. 99mTc標識製剤の特徴
    本剤は99mTcで標識されており、141keVのγ線を放出し、半減期が短い(約6時間)ため、被検者の被曝が少ないという優れた特徴を持っています。また、β線を放出しないため、シンチグラフィに適した安全な診断薬です。


まとめ

ガラクトシル人血清アルブミン ジエチレントリアミン五酢酸テクネチウム(99mTc)注射液は、肝疾患の診断において重要な役割を果たす新しい診断薬です。ASGP受容体をターゲットにすることで、肝機能を正確かつ非侵襲的に評価することが可能です。
さらに、99mTcを用いることで被曝を最小限に抑えつつ、高精度な診断を実現しています。


Ref. 


インタビューフォーム「F1_アシアロシンチ注」
ガラクトシル人血清アルブミンジエチレントリアミン五酢酸テクネチウム(99mTc) (pmda.go.jp)


お疲れ様でした。

🍰☕🍊


では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。

第107回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問183

Q. 薬物とターゲティング技術に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。


選択肢|

1.      レボドパは、主にP-糖タンパク質により選択的に脳内に取り込まれる。
2.      サラゾスルファピリジンは、腸内細菌により5-アミノサリチル酸に変換される。
3.      フルシトシンは、腫瘍細胞内の酵素により5-フルオロウラシルに変換される。
4.      アルプロスタジルは、乳酸・グリコール酸共重合体マイクロスフェアを担体として病変部位にターゲティングされる。
5.      ガラクトシル人血清アルブミンジエチレントリアミン五酢酸テクネチウムは、肝細胞膜上のアシアロ糖タンパク質受容体に強く結合する。


楽しく!驚くほど効率的に。

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お疲れ様でした。

🍰☕🍊

またのご利用をお待ちしております。
ご意見ご感想などお寄せくださると励みになりうれしいです。
note からのサポート、感謝します。

今日はこの辺で、
それではまた
お会いしましょう。

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Mats & BLNt

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第107回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【薬剤】 問183に関しては、設問へのアプローチを今回(1)と次回(2)に分けて解説します。

前編

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後編

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前後編の両方を学習すると、同じテーマでのその他の薬物に関する対策にも役立つような応用力がつくと思います。
ぜひ、両方のアプローチを試してみてください。

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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問102-21、問97-131
【衛生】論点:代謝 / 生物学的モニタリング

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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-130
【衛生】論点:労働安全衛生法 / 特化則

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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問102-124
【衛生】論点:人口動態 / 死亡率

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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問102-128
【衛生】論点:人口動態 / 死因別の死亡率

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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問100-124
【衛生】論点:人口動態 / 出生率・死亡率

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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-126
【衛生】論点:人口動態 悪性新生物

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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問100-125
【衛生】論点:人口動態 / 平均寿命

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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問97-17
【衛生】論点:人口動態 / 死亡率・死因



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