
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 109-224-225【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:緑膿菌 / 好気性グラム陰性菌 / 耐性菌 / MIC試験 / 抗菌薬
第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問224-225
一般問題(薬学実践問題)
【物理・化学・生物、衛生/実務】
■複合問題|問 109-224-225
Q. 3歳5ケ月女児。台所で沸かしていたやかんのお湯をかぶり、体表の熱傷(Ⅱ度)で救急搬送された。入院14日目に39℃の発熱を認め、熱傷創部からセフェム系抗菌薬に感受性のある[ A ]が同定されたため、セフタジジムを2週間投与し、症状が改善したため終了した。
抗菌薬終了7日後に、再び38℃の発熱及び熱傷創部に膿を認めた。膿を検査したところ、[ A ]が同定された。検出された[ A ]の薬剤感受性試験及び患者の血液検査の結果は、以下のとおりである。
(薬剤感受性試験の結果)
抗菌薬|MIC(μg/mL)|判定|
ピペラシリン|≦2|Susceptible(感性)|
タゾバクタム・ピペラシリン|≦2|Susceptible(感性)|
セフタジジム|>16|Resistant(耐性)|
メロペネム|≦0.25|Susceptible(感性)|
シプロフロキサシン|≦0.25|Susceptible(感性)|
アミカシン|2|Susceptible(感性)
(検査値)
血清アルブミン 4.2g/dL、CRP 8.0mg/dL、白血球 17,600/µL、AST 24IU/L、ALT 11IU/L、血清クレアチニン 0.24mg/dL、BUN 10mg/dL|
なお、この患者はアモキシシリン水和物に対するアレルギー歴がある。

物理・化学・生物
問 109-224|生物
Q. [ A ]に該当する細菌に関しては、培養検査等により以下の情報が得られている。[ A ]はどれか。1つ選べ。
「好気条件で増殖する。グラム陰性菌である。鞭毛を有する。芽胞は形成しない。色素ピオシアニンを産生する。バイオフィルムを形成する。」
■選択肢
1. リステリア菌
2. 緑膿菌
3. 淋菌
4. 黄色ブドウ球菌
5. 破傷風菌
Here:
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実務
問 109-225|実務
Q. この患者の検査結果を受けて、医師と感染制御チーム(ICT)の薬剤師が協議した。薬剤師が医師に提案する抗菌薬として、適切なのはどれか。2つ選べ。
■選択肢
1. シプロフロキサシン
2. メロペネム
3. アミカシン
4. セフタジジム
5. タゾバクタム・ピペラシリン
Here:
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こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。
matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、【物理・化学・生物、衛生/実務】 の複合問題を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 / 問224-225、論点:緑膿菌 / 好気性グラム陰性菌 / 耐性菌 / MIC試験 / 抗菌薬を徹底解説します。
薬剤師国家試験対策ノート NOTE ver.
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Here; https://note.com/matsunoya_note/n/n97f657d675ad
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 109-224-225【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:緑膿菌 / 好気性グラム陰性菌 / 耐性菌 / MIC試験 / 抗菌薬|matsunoya
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このコンテンツの制作者|
滝沢 幸穂 Yukiho Takizawa, PhD
https://www.facebook.com/Yukiho.Takizawa
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設問へのアプローチ|
薬学実践問題は原本で解いてみることをおすすめします。
まずは、複合問題や実務の問題の構成に慣れることが必要だからです。
薬学実践問題は薬剤師国家試験2日目の①、②、③ の3部構成です。
今回の論点解説では2日目の①を取り上げています。
厚生労働省|過去の試験問題👇
第109回(令和6年2月17日、2月18日実施)
第108回(令和5年2月18日、2月19日実施)
第107回(令和4年2月19日、2月20日実施)
第106回(令和3年2月20日、2月21日実施)
第109回薬剤師国家試験 問224-225(問109-224-225)では、薬剤耐性の緑膿菌に関する感染症に関する知識を生物および実務のそれぞれの科目の視点から複合問題として問われました。
複合問題は、各問題に共通の冒頭文とそれぞれの科目別の連問で構成されます。
冒頭文は、問題によっては必要がない情報の場合もあるため、最初に読まずに、連問すべてと選択肢に目を通してから、必要に応じて情報を取得するために読むようにすると、時間のロスが防げます。
1問、2分30秒で解答できればよいので、いつも通り落ち着いて一問ずつ別々に解けば大丈夫です。
出題範囲は、それぞれの科目別の出題範囲に準じています。
連問と言ってもめったに連動した問題は出ないので、平常心で取り組んでください。
💡ワンポイント
複合問題ですが、問109-224-225を解くうえで必要な情報は、黄色い線で示した部分です。
それ以外の情報取得は必要がないです。読んでいると時間のロスに繋がります。

問109-224および問109-225は、薬剤耐性の緑膿菌に関する感染症に関する記述の正誤を問う問題です。
感染症の理解が必要です。
冒頭文で必要な情報は、
小児:3歳5ケ月
薬剤感受性
セフタジジム:耐性
検査結果
感染症:CRP 8.0mg/dL、白血球 17,600/µL
アモキシシリン水和物に対するアレルギー歴
です。
時間にゆとりがない人は、論点およびポイントから読んでくださいね。
上記の太字を選択して Ctrl + F でジャンプできます。
🫛豆知識① 文献紹介
下記の文献を一読しておくと応用力がつきます。
抗微生物薬適正使用の手引き 第三版|厚生労働省
薬剤耐性(AMR)対策について|厚生労働省 001169116.pdf
小児における急性気道感染症の特徴と注意点
(4) 小児において気をつけるべき薬剤について
表1. 小児特有の副作用が懸念される薬剤
以下抜粋します。
ST合剤:
核黄疸のリスクから、新生児や低出生体重児には禁忌。
(一般的に生後2か月以内は投与を避ける)セフトリアキソン:
高ビリルビン血症の新生児で核黄疸のリスクあり、禁忌。
カルシウムを含有する輸液製剤との併用で結晶化するため注意が必要。マクロライド系抗菌薬:
新生児期に幽門狭窄症リスクを増加。
(特にエリスロマイシンだが、アジスロマイシンでも報告あり)テトラサイクリン系抗菌薬:
8歳未満の歯牙着色リスクから原則使用を避ける。
(テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン)ピボキシル基抗菌薬:
低カルニチン血症に伴って低血糖症、痙攣、脳症等を起こし、後遺症に至る症例も報告されている。
<セフカペン、セフジトレン、セフテラム、テビペネム>フルオロキノロン系抗菌薬:
幼若動物への投与により関節障害が報告され、小児には投与禁忌となっている薬剤がある。
(シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ガレノキサシン等)アセチルサリチル酸、 メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム等の解熱鎮痛剤、 あるいは総合感冒薬
小児のインフルエンザや水痘罹患時の急性脳症発症に関連する。
厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアル「小児の急性脳症」(平成23年3月)を参照。抗ヒスタミン薬:
熱性けいれんを誘発するリスク、急性脳症発症に関連することが報告されている。
厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアル「小児の急性脳症」(平成23年3月)を参照ジヒドロコデイン:
呼吸抑制作用の強いジヒドロモルヒネに代謝されるため、米国では12歳未満の小児へは禁忌となっている。
(日本小児科学会誌雑誌 2018;122:1186-1190)テオフィリン製剤:
急性脳症発症に関連する。
厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアル「小児の急性脳症」(平成23年3月)を参照。
急性脳症との因果関係に関して、結論は出ていないものの議論がなされている。ロペラミド:
ロペラミドは乳児で腸閉塞の発症が報告され、6か月未満は禁忌である。6か月以上2歳未満の乳幼児は治療上やむを得ないと判断される場合を除き投与しない。
【抗菌薬の種類】の一覧表も見ておくとよいです。
一部抜粋します。※経口のβ-ラクタム系抗菌薬一覧

出典: 抗微生物薬適正使用の手引き 第三版|厚生労働省
薬剤耐性(AMR)対策について|厚生労働省 001169116.pdf
🫛豆知識② 文献紹介
以下のサイトに薬剤耐性緑膿菌の情報が良くまとまっています。
見ておくとよいです。
国立感染症研究所
薬剤耐性緑膿菌感染症とは
以下、まとめます。
薬剤耐性緑膿菌(Multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa, MDRP)は、通常の抗菌薬が効かない緑膿菌による感染症です。
この細菌は水回りや生活環境中に広く存在し、健常者には通常病原性を示しませんが、免疫力が低下した患者において問題となります。
特徴:
緑膿菌はグラム陰性桿菌で、ペニシリンやセファゾリンなどの抗菌薬に自然耐性を持ちます。
また、β-ラクタム薬、カルバペネム系薬、フルオロキノロン系薬、アミノ配糖体系抗生物質などに耐性を獲得した株が存在します。近縁の菌種:
蛍光菌(P. fluorescens)やP. putida などがある。ピオシアニン、ピオベルジン、ピオルビン、ピオメラニンなどの色素を産生し、また、o‐アセトアミノフェノンの産生により、甘酸っぱい特有の強い臭気を発する。
感染経路:
主に医療器具や手指を介した接触感染が原因となります。菌の病原性:
典型的な日和見病原細菌の一つであり、健常者には無害です。
しかし、グラム陰性桿菌でありエンドトキシンを産生するため、何らかの原因で血液中に侵入し、菌血症や敗血症を引き起こすと、エンドトキシンショックが誘発され、多臓器不全により死亡することがあります。
その他、エキソエンザイムS(GTP‐結合蛋白のADP‐リボシル化酵素)やエキソトキシンA(蛋白合成に重要な役割を果たす伸長因子(EF‐2)のADP‐リボシル化による阻害)、さらに、コラゲナーゼ、フィブリノリジン、ホスホリパーゼなどの各種有害酵素を産生し、褥創などでは感染部位の細胞や組織を傷害します。症状:
菌血症や敗血症、高熱、震え、発汗などが見られ、重症の場合には敗血症性ショックを引き起こすことがあります。治療:
効果のある抗菌薬を特定し、それを用いて治療します。
ただし、耐性菌の場合、治療が困難になることがあります。予防:
医療施設内の清掃や消毒、手洗いの徹底が重要です。
また、人工呼吸器やネブライザーなどの医療器具の適切な管理も必要です。
出典: 国立感染症研究所 薬剤耐性緑膿菌感染症とは
まず基本的な知識について復習しておきましょう。
■■GPT4o

患者の所見および検査結果の考察
① 基本的な病態の整理
患者背景:3歳5か月の女児
受傷原因:熱傷(Ⅱ度)による創傷感染
経過:
入院14日目:39℃の発熱 → 創部感染 → セフタジジム投与(2週間)で改善
抗菌薬終了7日後:再び38℃の発熱、膿の形成 → 再感染(耐性化の可能性あり)
分離菌:緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)
特徴として、バイオフィルム形成能・抗菌薬耐性獲得しやすい・重篤な感染症の原因となる
MIC試験の結果から、セフタジジム耐性株に変化
② 検査結果の評価
項目|結果|基準値(参考)|
考察|
体温|38℃(発熱)|36.5–37.5℃|
感染の再燃を示唆
CRP|8.0|mg/dL|0–0.3|mg/dL|
炎症・感染の指標として高値
白血球|17,600/µL|5,000–15,000/µL(小児)|
感染症に伴う白血球増加
血清アルブミン|4.2|g/dL|3.5–5.0|g/dL|
栄養状態は維持されている
AST(GOT)|24|IU/L|10–40|IU/L|
肝機能は問題なし
ALT(GPT)|11|IU/L|5–40|IU/L|
肝機能は問題なし|
血清クレアチニン|0.24|mg/dL|0.2–0.5|mg/dL(小児)|
腎機能に問題なし
BUN|10|mg/dL|5–18|mg/dL|
腎機能に問題なし
炎症マーカー(CRP, 白血球)上昇 → 活発な感染が進行中
肝・腎機能は保たれているため、抗菌薬の選択肢が広がる
治療方針の考察
① 緑膿菌感染症に対する抗菌薬の選択
セフタジジムは耐性化(MIC >16 μg/mL) → 無効
感受性が確認された薬剤:
メロペネム(MIC ≦0.25 μg/mL)
アミカシン(MIC 2 μg/mL)
シプロフロキサシン(MIC ≦0.25 μg/mL)
タゾバクタム・ピペラシリン(MIC ≦2 μg/mL)
推奨される治療法:
小児の緑膿菌感染症では、カルバペネム系(メロペネム)+アミノグリコシド系(アミカシン)の併用療法が推奨される
理由:
メロペネムはβ-ラクタム系であり、細胞壁合成阻害作用を持つ
アミカシンはリボソーム阻害作用により殺菌的に作用し、耐性化を防ぐ
シプロフロキサシンは?
MIC上では感受性があるが、小児への安全性の問題(軟骨障害)を考慮し第一選択にはしない
経口薬としての選択肢として考えられるが、重症例では静注薬が優先される
タゾバクタム・ピペラシリンは?
MIC上は感受性ありだが、セフタジジム耐性株に対するβ-ラクタム単独投与のリスクを考慮し、メロペネムを優先
② 治療戦略
第一選択(静注)
メロペネム+アミカシン併用療法
必要に応じTDM(治療薬物モニタリング)を実施し、アミカシンの適正投与を管理
経過観察と治療の評価
48~72時間後の症状改善を評価
CRPや白血球数の動向を追跡
創部の培養結果を再評価し、適切な抗菌薬調整
結論
患者はセフタジジム耐性の緑膿菌による再感染を発症
CRPと白血球増加により、活動性の高い感染が進行中と考えられる
メロペネム+アミカシンの併用療法が最適な治療選択肢
シプロフロキサシンやタゾバクタム・ピペラシリンは補助的な選択肢となるが、第一選択ではない
参考文献
日本化学療法学会編『抗菌薬適正使用の手引き』第2版、日本化学療法学会、2021年.
緑膿菌感染症に対する抗菌薬の選択、特にカルバペネム系+アミノグリコシド系併用療法の推奨について記載。
日本感染症学会・日本化学療法学会編『耐性菌感染症の治療ガイドライン』2018年版、日本感染症学会.
セフタジジム耐性緑膿菌の治療選択肢について、メロペネムやアミカシンの使用が推奨されている。
日本小児科学会編『小児感染症診療ガイドライン』2020年版、日本小児科学会.
小児における抗菌薬選択の基準、特にニューキノロン系(シプロフロキサシン)の使用制限についての記載あり。
Sanford Guide to Antimicrobial Therapy 2023(David N. Gilbert et al., Antimicrobial Therapy, Inc.)
緑膿菌感染症の抗菌薬選択およびMICブレイクポイントに関する情報を提供。
WHO Model List of Essential Medicines 2023(World Health Organization)
小児における抗菌薬の推奨使用、特にカルバペネム系・アミノグリコシド系の適応について記載。
Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI) 2023 M100 Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing
MIC(最小発育阻止濃度)の基準と、各抗菌薬のブレイクポイントに関する最新情報。
上記の文献は、今回の考察における緑膿菌感染症の治療方針、MIC試験の評価基準、抗菌薬の適応などの論拠として活用しました。
薬剤耐性緑膿菌(Multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa, MDRP)の感染症における薬物治療
1. MDRPの定義と臨床的意義
薬剤耐性緑膿菌(MDRP)は、3種類以上の主要な抗菌薬クラス(β-ラクタム系、アミノグリコシド系、フルオロキノロン系)に耐性を示す緑膿菌として定義される。
特に、カルバペネム耐性緑膿菌(CRPA, Carbapenem-resistant P. aeruginosa)は、治療選択肢が限られるため、感染管理上の重要な課題となる。
2. MDRP感染症の主なリスク因子
長期入院や集中治療室(ICU)での治療歴
広域スペクトル抗菌薬(特にカルバペネム系やセファロスポリン系)の長期使用
免疫抑制状態(悪性腫瘍、移植、ステロイド療法)
医療機器(人工呼吸器、中心静脈カテーテル、尿道カテーテル)への曝露
3. 薬物治療のスタンダード
① 第一選択の治療(感受性試験に基づく)
MDRPは通常のβ-ラクタム系抗菌薬に耐性であるため、以下の薬剤が治療選択肢となる。
新規β-ラクタム系抗菌薬 + β-ラクタマーゼ阻害薬
セフタジジム・アビバクタム(CAZ-AVI)
セフィデロコル(Cefiderocol)
メロペネム・バボルバクタム(MEM-VAB)(一部のMDRPに有効)
ポリミキシン系(Colistin, Polymyxin B)
カルバペネム耐性(CRPA)の場合に選択されるが、腎毒性が高いため慎重投与が必要。
アミノグリコシド系(Amikacin, Tobramycin)
単独療法よりもβ-ラクタム系との併用療法が推奨される。
フルオロキノロン系(Ciprofloxacin, Levofloxacin)
感受性がある場合に使用されるが、耐性化リスクが高い。
② 併用療法の推奨
MDRP感染症の治療では、単剤療法よりも併用療法が推奨される場合がある。
カルバペネム系 + アミノグリコシド系
(例:メロペネム + アミカシン)β-ラクタム系 + フルオロキノロン系
(例:セフタジジム + シプロフロキサシン)ポリミキシン系 + リファンピシン
(リファンピシンは細胞膜透過性を向上させる)
③ 感染部位別の治療戦略

感染部位|推奨される抗菌薬
肺炎(VAP, HAP)
セフタジジム・アビバクタム or セフィデロコル + アミカシン
菌血症
メロペネム・バボルバクタム + コリスチン(重症例)
尿路感染症(CRPA)
セフィデロコル(特に膀胱内移行性が高い)
皮膚・軟部組織感染症
β-ラクタム + アミノグリコシド
中枢神経感染症(髄膜炎)
コリスチン + リファンピシン + カルバペネム
4. 耐性メカニズムと治療の課題
MDRPは複数の耐性メカニズムを有しており、それに応じた治療戦略が求められる。

耐性メカニズム|代表的な遺伝子・酵素
治療の考慮点
β-ラクタマーゼ産生|AmpC, VIM, IMP, NDM
β-ラクタム阻害剤併用が有効(CAZ-AVI, MEM-VAB)
外膜透過性低下|OprD 欠損
カルバペネムの効果低下
薬剤排出ポンプの活性化|MexAB-OprM, MexXY-OprM
フルオロキノロン、β-ラクタム系の排出
コリスチン耐性|mcr-1
代替薬(CAZ-AVI, セフィデロコル)の使用
5. 予防と感染管理
MDRP感染症の拡大を防ぐためには、抗菌薬適正使用(Antimicrobial Stewardship)と感染対策(Infection Control)が不可欠である。
接触予防策(手指衛生、個人防護具(PPE)の使用)
環境管理(医療機器・病室の消毒)
患者の隔離(単独室管理、コホート隔離)
抗菌薬の適正使用(De-escalation strategyの実施)
6. まとめ
MDRPは治療選択肢が限られる難治性病原体であり、新規抗菌薬(CAZ-AVI, MEM-VAB, セフィデロコル)の適切な使用が鍵となる。
さらに、耐性メカニズムを理解し、併用療法や感染管理策を徹底することが、院内感染の制御と治療成功のカギとなる。
参考文献
日本化学療法学会編『抗菌薬適正使用の手引き』第2版、日本化学療法学会、2021年.
MDRPの治療選択肢、CAZ-AVIやセフィデロコルの位置づけについて記載。
日本感染症学会・日本化学療法学会編『耐性菌感染症の治療ガイドライン』2018年版、日本感染症学会.
MDRPに対する併用療法の推奨。
Sanford Guide to Antimicrobial Therapy 2023(David N. Gilbert et al., Antimicrobial Therapy, Inc.)
MDRPに対する最新の抗菌薬感受性データおよび治療指針。
Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI) 2023 M100 Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing
MICブレイクポイントの最新基準。
World Health Organization (WHO), Global Action Plan on Antimicrobial Resistance, 2022.
MDRPを含む薬剤耐性菌に対するグローバルな取り組み。
国立感染症研究所(NIID)「薬剤耐性菌サーベイランスレポート 2023」
日本国内のMDRP発生動向。
この文献リストは、今回の考察におけるMDRPの定義、治療方針、耐性機構、感染管理のエビデンスとして使用しました。
論点およびポイント
■■GPT4o
問 109-224|生物
論点| 緑膿菌 / グラム陰性菌 / バイオフィルム / ピオシアニン / 好気性菌
ポイント|
緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa) は、好気性のグラム陰性菌であり、鞭毛を有し運動性を持つ。
芽胞は形成しないが、環境中での生存能力が高く、多くの抗菌薬に自然耐性を持つ。
ピオシアニンという青緑色の色素を産生し、活性酸素の産生を促し、宿主組織に損傷を与える。
バイオフィルムを形成し、抗菌薬や宿主免疫からの防御機構を持つため、持続感染を引き起こしやすい。
熱傷患者の感染症原因菌として重要であり、しばしば院内感染の原因となる。
問 109-225|実務
論点| 緑膿菌 / 耐性菌 / MIC試験 / カルバペネム系 / アミノグリコシド系
ポイント|
本症例では、セフタジジム耐性の緑膿菌が検出され、再感染が疑われる。
薬剤感受性試験(MIC)の結果、メロペネム、シプロフロキサシン、アミカシンが感受性を示した。
メロペネム(カルバペネム系):
広域抗菌薬であり、β-ラクタム系の中でも特に緑膿菌に有効である。アミカシン(アミノグリコシド系):
緑膿菌に対して有効な選択肢の一つであり、腎機能が正常であるため使用可能。ペニシリン系(タゾバクタム・ピペラシリン):
アモキシシリンアレルギーのリスクがあるため慎重な判断が必要。シプロフロキサシン:
感受性があるが、単剤治療よりもβ-ラクタム系との併用療法が推奨される場合がある。
小児への安全性の問題(軟骨障害)を考慮し第一選択にはしない。
薬剤師国家試験 出題基準
出典: 薬剤師国家試験のページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
出題基準 000573951.pdf (mhlw.go.jp)
論点を整理します。
■■GPT4o
総合的な論点
この複合問題は、小児の熱傷後感染症における病原菌の特定と、それに対する適切な抗菌薬の選択について問うものである。
まず、各問題の論点を整理する。
問109-224 (生物)
この問題では、熱傷部位の感染を引き起こした病原菌 [A] の同定が求められる。問題文の情報を整理すると、以下の特徴が挙げられる。
好気性グラム陰性菌
鞭毛を有する
芽胞を形成しない
色素ピオシアニンを産生する
バイオフィルムを形成する
この特徴に合致するのは 緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa) である。
緑膿菌は、特に免疫が低下した患者において問題となる病原菌であり、院内感染や熱傷創部感染の主な原因菌の一つである。
問109-225 (実務)
この問題では、患者の抗菌薬感受性試験の結果をもとに、適切な治療薬を選択する必要がある。
主な論点は以下の通りである。
セフタジジム耐性の出現
初期感染ではセフェム系抗菌薬に感受性があったが、治療後に 耐性化 した。
MIC (最小発育阻止濃度) の上昇が確認され、セフタジジムが無効になっている。
治療選択の基準
感受性試験の結果から、メロペネム、シプロフロキサシン、アミカシン、タゾバクタム・ピペラシリン に感受性がある。
アモキシシリンに対するアレルギー歴 があるため、β-ラクタム系抗菌薬の使用には慎重な判断が求められる。
推奨される治療選択
メロペネム (選択肢2)
カルバペネム系抗菌薬であり、広域スペクトルを持つ。
緑膿菌に対する強い活性 を示し、β-ラクタマーゼを産生する耐性菌にも有効な場合が多い。
アミカシン (選択肢3)
アミノグリコシド系抗菌薬で、緑膿菌に対する効果が期待できる。
ただし、腎機能を考慮する必要があるが、本患者の血清クレアチニン (0.24 mg/dL) は正常範囲内であり、使用可能と考えられる。
総括
本問題は、
(1) 熱傷後の緑膿菌感染を特定 し、
(2) 適切な抗菌薬治療を選択 することが求められている。
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法
問109-224 (生物)
本問の目的は、熱傷創部感染の原因菌 [A] を特定することである。
各選択肢の特徴を比較し、正答を導く。
選択肢|菌種
特徴|論点
1. リステリア菌 (Listeria monocytogenes) - グラム陽性桿菌
- 鞭毛を持つ
- 芽胞なし
グラム陰性菌ではない → 誤り
2. 緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa) - グラム陰性桿菌
- 好気性
- 鞭毛を持つ
- 芽胞なし
- ピオシアニンを産生
- バイオフィルム形成能あり
問題文の記述と完全に一致 → 正答
3. 淋菌 (Neisseria gonorrhoeae) - グラム陰性球菌
- 鞭毛なし
球菌であり、特徴が一致しない → 誤り
4. 黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus) - グラム陽性球菌
- 芽胞なし
- バイオフィルムを形成
グラム陰性菌ではない → 誤り
5. 破傷風菌 (Clostridium tetani) - グラム陽性桿菌
- 嫌気性
- 芽胞を形成
嫌気性菌であり、芽胞を形成する → 誤り
解法へのアプローチ方法
菌の基本分類を確認
グラム染色特性、形態(桿菌・球菌)、芽胞形成の有無をチェックする。
追加の生理学的特徴を参照
好気性 or 嫌気性、運動性(鞭毛の有無)、色素産生などを確認する。
問題文の記述と照合
「ピオシアニン産生」「バイオフィルム形成」 という特徴が明記されており、緑膿菌が唯一該当 する。
→ 正答は「2. 緑膿菌」
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法
問109-225 (実務)
本問の目的は、患者の感染状況に基づいて 適切な抗菌薬を選択 することである。
選択肢 抗菌薬名|作用機序
感受性試験の結果|論点
1. シプロフロキサシン|DNAジャイレース阻害
感受性あり (MIC ≦0.25 μg/mL)
有効だが、単独療法は推奨されない
2. メロペネム|細胞壁合成阻害 (カルバペネム系)
感受性あり (MIC ≦0.25 μg/mL)
広域抗菌スペクトルを持ち、緑膿菌にも有効 → 選択
3. アミカシン|30Sリボソーム阻害 (アミノグリコシド系)
感受性あり (MIC 2 μg/mL) 緑膿菌に有効、
耐性化リスクを考慮しつつ併用可能 → 選択
4. セフタジジム|細胞壁合成阻害 (セフェム系)
耐性あり (MIC >16 μg/mL)
使用不可 (耐性化) → 除外
5. タゾバクタム・ピペラシリン|β-ラクタム系 (β-ラクタマーゼ阻害剤配合)
感受性あり (MIC ≦2 μg/mL)
有効だが、ペニシリンアレルギー既往のためリスクあり
解法へのアプローチ方法
耐性菌の除外
セフタジジムは耐性菌のため使用不可。
有効な抗菌薬を選定
メロペネム (カルバペネム系) :
耐性菌が出にくく、緑膿菌に対して有効。アミカシン (アミノグリコシド系) :
緑膿菌に有効であり、β-ラクタム系と異なる作用機序を持つため、併用により治療効果が期待できる。
ペニシリンアレルギーの影響を考慮
タゾバクタム・ピペラシリン:
感受性があるが、ペニシリン系に分類されるため、アレルギー歴のある本患者には慎重な適応が求められる。
→ 正答は「2. メロペネム」「3. アミカシン」
引用文献
以下に、本問題の解答に関連するエビデンスの出典を示す。
緑膿菌の特徴に関する文献
Ryan KJ, Ray CG. Sherris Medical Microbiology, 7th Edition. McGraw-Hill Education; 2018.
Gilligan PH. Pseudomonas and Burkholderia. Clin Microbiol Rev. 1996;9(2):221-241.
熱傷感染症と緑膿菌に関する文献
Church D, Elsayed S, Reid O, Winston B, Lindsay R. Burn wound infections. Clin Microbiol Rev. 2006;19(2):403-434.
Lachiewicz AM, Hauck CG, Weber DJ, Cairns BA, van Duin D. Bacterial Infections After Burn Injuries: Impact of Multidrug Resistance. Clin Infect Dis. 2017;65(12):2130-2136.
抗菌薬の選択と耐性に関する文献
Mandell GL, Bennett JE, Dolin R. Principles and Practice of Infectious Diseases, 9th Edition. Elsevier; 2020.
Livermore DM. Current epidemiology and growing resistance of gram-negative pathogens. Korean J Intern Med. 2012;27(2):128-142.
Magiorakos AP, Srinivasan A, Carey RB, et al. Multidrug-resistant, extensively drug-resistant and pandrug-resistant bacteria: an international expert proposal for interim standard definitions for acquired resistance. Clin Microbiol Infect. 2012;18(3):268-281.
カルバペネム系抗菌薬およびアミノグリコシド系抗菌薬の有効性
Bassetti M, Righi E, Carnelutti A. New treatment options against Gram-negative organisms. Crit Care. 2018;22(1):150.
Tamma PD, Cosgrove SE, Maragakis LL. Combination therapy for treatment of infections with gram-negative bacteria. Clin Microbiol Rev. 2012;25(3):450-470.
ペニシリンアレルギーとβ-ラクタム系抗菌薬の使用に関する文献
Joint Task Force on Practice Parameters. Drug Allergy: An Updated Practice Parameter. Ann Allergy Asthma Immunol. 2010;105(4):259-273.
Macy E, Contreras R. Health care use and serious infection prevalence associated with penicillin “allergy” in hospitalized patients. J Allergy Clin Immunol. 2014;133(3):790-796.
以上で、論点整理を終わります。
理解できたでしょうか?
大丈夫です。
完全攻略を目指せ!
はじめましょう。
薬剤師国家試験の薬学実践問題【複合問題】から緑膿菌 / 好気性グラム陰性菌 / 耐性菌 / MIC試験 / 抗菌薬を論点とした問題です。
なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形で GPT4o & Copilot 、Gemini 2、または Grok 2 が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。
生成AIの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。
Here we go.
第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問224-225
一般問題(薬学実践問題)
【物理・化学・生物、衛生/実務】
■複合問題|問 109-224-225
Q. 3歳5ケ月女児。台所で沸かしていたやかんのお湯をかぶり、体表の熱傷(Ⅱ度)で救急搬送された。入院14日目に39℃の発熱を認め、熱傷創部からセフェム系抗菌薬に感受性のある[ A ]が同定されたため、セフタジジムを2週間投与し、症状が改善したため終了した。
抗菌薬終了7日後に、再び38℃の発熱及び熱傷創部に膿を認めた。膿を検査したところ、[ A ]が同定された。検出された[ A ]の薬剤感受性試験及び患者の血液検査の結果は、以下のとおりである。
(薬剤感受性試験の結果)
抗菌薬|MIC(μg/mL)|判定|
ピペラシリン|≦2|Susceptible(感性)|
タゾバクタム・ピペラシリン|≦2|Susceptible(感性)|
セフタジジム|>16|Resistant(耐性)|
メロペネム|≦0.25|Susceptible(感性)|
シプロフロキサシン|≦0.25|Susceptible(感性)|
アミカシン|2|Susceptible(感性)
(検査値)
血清アルブミン 4.2g/dL、CRP 8.0mg/dL、白血球 17,600/µL、AST 24IU/L、ALT 11IU/L、血清クレアチニン 0.24mg/dL、BUN 10mg/dL|
なお、この患者はアモキシシリン水和物に対するアレルギー歴がある。

物理・化学・生物
問 109-224|生物
Q. [ A ]に該当する細菌に関しては、培養検査等により以下の情報が得られている。[ A ]はどれか。1つ選べ。
「好気条件で増殖する。グラム陰性菌である。鞭毛を有する。芽胞は形成しない。色素ピオシアニンを産生する。バイオフィルムを形成する。」
■選択肢
1. リステリア菌
2. 緑膿菌
3. 淋菌
4. 黄色ブドウ球菌
5. 破傷風菌
Here:
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 109-224-225【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:緑膿菌 / 好気性グラム陰性菌 / 耐性菌 / MIC試験 / 抗菌薬|matsunoya
実務
問 109-225|実務
Q. この患者の検査結果を受けて、医師と感染制御チーム(ICT)の薬剤師が協議した。薬剤師が医師に提案する抗菌薬として、適切なのはどれか。2つ選べ。
■選択肢
1. シプロフロキサシン
2. メロペネム
3. アミカシン
4. セフタジジム
5. タゾバクタム・ピペラシリン
Here:
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 109-224-225【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:緑膿菌 / 好気性グラム陰性菌 / 耐性菌 / MIC試験 / 抗菌薬|matsunoya
■■GPT4o
■問 109-224|生物
■論点|
この問題の論点は、緑膿菌の微生物学的特徴を特定することです。
■解説1|
緑膿菌(選択肢2)[正しい]
緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa) は好気性のグラム陰性桿菌である。
鞭毛を有し運動性を持つため、培養した際に流動的な増殖パターンを示す。
芽胞は形成しないが、乾燥環境でも比較的生存可能。
ピオシアニンという青緑色の色素を産生し、酸化ストレスを誘導することで宿主細胞に損傷を与える。
バイオフィルムを形成し、抗菌薬耐性を獲得しやすい。特に医療器具や慢性創部感染の原因菌となる。
院内感染の代表的な起因菌であり、免疫不全患者や熱傷患者での感染リスクが高い。
■解説2|
ピオシアニンの産生:
緑膿菌の識別の重要なポイントである。ピオシアニンは青色の色素で、活性酸素を産生し、宿主細胞にダメージを与える。バイオフィルム形成:
緑膿菌の病原性の重要な特徴であり、抗菌薬治療の難治化を引き起こす。特に慢性創傷感染や気道感染(嚢胞性線維症など)に関与する。熱傷患者は緑膿菌感染のリスクが高い。
創部が外界に露出することで、湿潤環境を好む緑膿菌の増殖を助長する。
■結論|
緑膿菌は、問題文で示された「好気性」「グラム陰性」「鞭毛を有する」「芽胞を形成しない」「ピオシアニンを産生」「バイオフィルムを形成」の全ての特徴に合致するため、正答である。
■補足|
リステリア菌(選択肢1)[誤り]
グラム陽性桿菌
問題文の「グラム陰性」に該当しない。運動性を有する
室温(約25℃)で活発に動く。
人の体温(37℃)では運動性はほぼ消失する。芽胞を形成しない
低温でも増殖可能な点で食品汚染のリスクがある。
淋菌(選択肢3)[誤り]
グラム陰性球菌
鞭毛を有しない。
バイオフィルム形成能を持たない。
ピオシアニンを産生しない。
黄色ブドウ球菌(選択肢4)[誤り]
グラム陽性球菌
バイオフィルム形成能はある。
ピオシアニンを産生しない。
熱傷創部感染の原因菌として頻出する。
緑膿菌とは異なる特徴を持つ。
破傷風菌(選択肢5)[誤り]
グラム陽性桿菌
芽胞を形成する。
嫌気性菌である。
■問 109-225|実務
■論点|
この問題の論点は、緑膿菌感染症に対する適切な抗菌薬選択を行うことです。
■解説1|
メロペネム(選択肢2)[正しい]
メロペネムはカルバペネム系抗菌薬であり、緑膿菌を含む広範なグラム陰性菌に対して強い殺菌活性を示す。
MIC(最小発育阻止濃度)が≦0.25 μg/mLで「感性(Susceptible)」と判定されているため、十分な治療効果が期待できる。
カルバペネム系はβ-ラクタマーゼに対して安定であり、多剤耐性緑膿菌(MDRP)にも有効なことがある。
血中半減期が短いため、重症感染症では持続点滴や頻回投与が推奨される場合がある。
アミカシン(選択肢3)[正しい]
アミカシンはアミノグリコシド系抗菌薬であり、緑膿菌に対する強い抗菌活性を有する。
MICが2 μg/mLで「感性(Susceptible)」と判定されており、適切な治療選択肢となる。
アミノグリコシド系は静菌的ではなく殺菌的に作用するため、緑膿菌感染症の治療に有効である。
腎毒性と内耳毒性のリスクがあるため、TDM(治療薬物モニタリング)を行いながら使用する必要がある。
単独投与よりもβ-ラクタム系との併用が推奨されることが多い。
■解説2|
この患者では、セフタジジムに耐性(MIC > 16 μg/mL, Resistant)を示しているため、セフェム系の中でも特に緑膿菌に有効なカルバペネム系(メロペネム)が適切である。
アミノグリコシド系のアミカシンは、グラム陰性菌に対する強い殺菌作用を持ち、緑膿菌感染症の治療選択肢の一つとなる。
メロペネムとアミカシンの併用は、異なる作用機序を利用することで耐性菌の出現を抑制できる可能性がある。
■結論|
この患者の薬剤感受性試験結果から、
緑膿菌に対して「感性(Susceptible)」と判定されているメロペネム(選択肢2)とアミカシン(選択肢3)が適切な治療選択肢である。
■補足|
シプロフロキサシン(選択肢1)[誤り]
フルオロキノロン系抗菌薬であり、緑膿菌に有効な薬剤の一つではあるが、小児には第一選択として推奨されない。
軟骨障害のリスクがあるため、小児ではリスクとベネフィットを慎重に評価する必要がある。
セフタジジム(選択肢4)[誤り]
この患者の検出された緑膿菌はセフタジジムに耐性(MIC > 16 μg/mL, Resistant)を示しているため、効果が期待できない。
タゾバクタム・ピペラシリン(選択肢5)[誤り]
MICは≦2 μg/mLで「感性(Susceptible)」ではあるが、既にβ-ラクタム系(セフタジジム)を使用して耐性化した菌が再増殖している可能性があり、単独投与は不適切と考えられる。
重症感染症では、カルバペネム系(メロペネム)のほうが確実な治療効果が期待できる。
必須問題の解説は、こちらからどうぞ。
薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 必須問題 第106回-第109回 一覧 powered by Gemini 1.5 Pro, Google AI Studio & GPT4, Copilot|matsunoya (note.com)
薬学理論問題の解説は、こちらからどうぞ。
薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 薬学理論問題 第106回-第109回 一覧 powered by Gemini 1.5 Pro, GPT4o, Copilot, and Grok 2|matsunoya
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では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問224-225
一般問題(薬学実践問題)
【物理・化学・生物、衛生/実務】
■複合問題|問 109-224-225
Q. 3歳5ケ月女児。台所で沸かしていたやかんのお湯をかぶり、体表の熱傷(Ⅱ度)で救急搬送された。入院14日目に39℃の発熱を認め、熱傷創部からセフェム系抗菌薬に感受性のある[ A ]が同定されたため、セフタジジムを2週間投与し、症状が改善したため終了した。
抗菌薬終了7日後に、再び38℃の発熱及び熱傷創部に膿を認めた。膿を検査したところ、[ A ]が同定された。検出された[ A ]の薬剤感受性試験及び患者の血液検査の結果は、以下のとおりである。
(薬剤感受性試験の結果)
抗菌薬|MIC(μg/mL)|判定|
ピペラシリン|≦2|Susceptible(感性)|
タゾバクタム・ピペラシリン|≦2|Susceptible(感性)|
セフタジジム|>16|Resistant(耐性)|
メロペネム|≦0.25|Susceptible(感性)|
シプロフロキサシン|≦0.25|Susceptible(感性)|
アミカシン|2|Susceptible(感性)
(検査値)
血清アルブミン 4.2g/dL、CRP 8.0mg/dL、白血球 17,600/µL、AST 24IU/L、ALT 11IU/L、血清クレアチニン 0.24mg/dL、BUN 10mg/dL|
なお、この患者はアモキシシリン水和物に対するアレルギー歴がある。

物理・化学・生物
問 109-224|生物
Q. [ A ]に該当する細菌に関しては、培養検査等により以下の情報が得られている。[ A ]はどれか。1つ選べ。
「好気条件で増殖する。グラム陰性菌である。鞭毛を有する。芽胞は形成しない。色素ピオシアニンを産生する。バイオフィルムを形成する。」
■選択肢
1. リステリア菌
2. 緑膿菌
3. 淋菌
4. 黄色ブドウ球菌
5. 破傷風菌
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実務
問 109-225|実務
Q. この患者の検査結果を受けて、医師と感染制御チーム(ICT)の薬剤師が協議した。薬剤師が医師に提案する抗菌薬として、適切なのはどれか。2つ選べ。
■選択肢
1. シプロフロキサシン
2. メロペネム
3. アミカシン
4. セフタジジム
5. タゾバクタム・ピペラシリン
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