松廼屋｜論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 107-214-215【物理・化学・生物、衛生／実務】論点：大黄甘草湯 / 便秘 / 化学構造 / センノシド / 尿の着色
第107回薬剤師国家試験｜薬学実践問題 /
問214-215
一般問題（薬学実践問題）
【物理・化学・生物、衛生／実務】
■複合問題｜問 107-214-215
Q. 25歳女性。妊娠なし。最近、便秘気味のため一般用医薬品を求めて薬局を訪れた。薬剤師が症状を確認したところ、ふきでもの（にきび）や食欲不振もみられた。一方、吐き気や腹部の痛みはなかったことから、以下の一般用医薬品を勧めた。
大黄甘草湯エキス顆粒｜12包入り（6日分）
成分・分量｜本品2包（3.75g）中、以下の割合の大黄甘草湯エキス（1/2量）0.75gを含有する。｜
日局ダイオウ・・・・・2.0g｜日局カンゾウ・・・・・1.0g
物理・化学・生物
問 107-214｜化学
Q. この女性から当該医薬品の成分について聞かれたため、薬剤師は便秘の改善に関係する成分はＡであることを女性に伝えた。Ａの化学構造として、適切なのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 1
2. 2
3. 3
4. 4
5. 5
Here:
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実務
問 107-215｜実務
Q. 薬剤師は、この女性に「主にＡによってＢが起こることがありますが、心配ありません。」と伝えた。Ｂに入るものとして、適切なのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 発疹
2. 尿の橙色への着色
3. 手足の脱力感
4. 筋肉痛
5. 激しい腹痛を伴う下痢
Here:
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こんにちは！薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。
matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、【物理・化学・生物、衛生／実務】 の複合問題を一緒に完全攻略しよう！
今回は、第107回薬剤師国家試験｜薬学実践問題 / 問214-215、論点：大黄甘草湯 / 便秘 / 化学構造 / センノシド / 尿の着色を徹底解説します。
薬剤師国家試験対策ノート NOTE ver.
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松廼屋｜論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 107-214-215【物理・化学・生物、衛生／実務】論点：大黄甘草湯 / 便秘 / 化学構造 / センノシド / 尿の着色｜matsunoya
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このコンテンツの制作者｜
滝沢 幸穂 Yukiho Takizawa, PhD
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設問へのアプローチ｜
薬学実践問題は原本で解いてみることをおすすめします。
まずは、複合問題や実務の問題の構成に慣れることが必要だからです。
薬学実践問題は薬剤師国家試験2日目の①、②、③ の3部構成です。
今回の論点解説では2日目の①を取り上げています。
厚生労働省｜過去の試験問題👇
第109回（令和6年2月17日、2月18日実施）
第108回（令和5年2月18日、2月19日実施）
第107回（令和4年2月19日、2月20日実施）
第106回（令和3年2月20日、2月21日実施）
第107回薬剤師国家試験 問214-215（問107-214-215）では、大黄甘草湯および生薬の成分に関する知識を化学および実務のそれぞれの科目の視点から複合問題として問われました。
複合問題は、各問題に共通の冒頭文とそれぞれの科目別の連問で構成されます。
冒頭文は、問題によっては必要がない情報の場合もあるため、最初に読まずに、連問すべてと選択肢に目を通してから、必要に応じて情報を取得するために読むようにすると、時間のロスが防げます。
1問、2分30秒で解答できればよいので、いつも通り落ち着いて一問ずつ別々に解けば大丈夫です。
出題範囲は、それぞれの科目別の出題範囲に準じています。
連問と言ってもめったに連動した問題は出ないので、平常心で取り組んでください。
💡ワンポイント
複合問題ですが、問107-214-215を解くうえで必要な情報は、黄色い線で示した部分です。
それ以外の情報取得は必要がないです。読んでいると時間のロスに繋がります。
問107-214は、生薬成分の化学構造式を覚えていることを求められた問題です。各選択肢の生薬成分は代表的な化合物なのでその化学構造の特徴は覚えておくとよいです。
問107-215は、大黄甘草湯に関する記述の正誤を問う問題です。
冒頭文で必要な情報は、
大黄甘草湯が2つの生薬（ダイオウとカンゾウ）で構成されること、です。
🤔左（PubChem）と右（選択肢1から5）の化学構造式を見比べて、特徴を覚えよう。
出典： PubMed
Glycyrrhizin | C42H62O16 | CID 14982 – PubChem
Senna | C42H38O20 | CID 73111 - PubChem
Baicalin | C21H18O11 | CID 64982 – PubChem
Ephedrine | C10H15NO | CID 9294 – PubChem
Beta-Carotene | C40H56 | CID 5280489 – PubChem
🫛豆知識 センノシドAの薬物動態
センノシドA、8-O-グルコシルレイン、レイン（ダイオウの成分）
ヒト腸内細菌によるダイオウの成分センノシドAの代謝経路
製造販売元／株式会社ツムラ インタビューフォーム
血漿中レイン濃度推移
［平均値＋標準偏差,n=3～4,HPLCにより測定］
製造販売元／株式会社ツムラ インタビューフォーム
出典： PMDA 医療用医薬品添付文書等 大黄甘草湯エキス
製造販売元／株式会社ツムラ インタビューフォーム
F1_ツムラ大黄甘草湯エキス顆粒(医療用)
まず基本的な知識について復習しておきましょう。
■■Gemini 2.0 Flash
それぞれの化合物の化学構造の特徴、含有される代表的な生薬、その薬効・薬理
出典： PubChem
Glycyrrhizin | C42H62O16 | CID 14982 – PubChem
Senna | C42H38O20 | CID 73111 - PubChem
Baicalin | C21H18O11 | CID 64982 – PubChem
Ephedrine | C10H15NO | CID 9294 – PubChem
Beta-Carotene | C40H56 | CID 5280489 – PubChem
1. グリチルリチン (Glycyrrhizin, CAS NR. 1405-86-3)
化学構造の特徴:
グリチルリチンは、トリテルペンサポニンの一種であり、ステロイド骨格を持つ化合物です。
具体的には、グリチルレチン酸というトリテルペンに、2分子のグルクロン酸が結合した構造をしています。
分子内に複数の水酸基（-OH）とカルボキシル基（-COOH）を持ち、極性が高い化合物です。
配糖体であるため、水によく溶けます。
含有される代表的な生薬:
カンゾウ（甘草）：マメ科植物 Glycyrrhiza uralensis などの根やストロンを乾燥させたもの。
薬効・薬理:
抗炎症作用: グリチルリチンは、炎症性メディエーターの産生を抑制し、抗炎症作用を発揮します。具体的には、プロスタグランジンやロイコトリエンなどの炎症性物質の生成を阻害します。
抗アレルギー作用: アレルギー反応に関わるヒスタミンなどの遊離を抑制し、抗アレルギー作用を示します。
副腎皮質ホルモン様作用（ミネラルコルチコイド作用）: グリチルリチンは、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを阻害し、コルチゾールの代謝を抑制します。これにより、副腎皮質ホルモン（特にミネラルコルチコイド）の作用が増強され、浮腫、高血圧、低カリウム血症などの偽アルドステロン症を引き起こす可能性があります。
肝保護作用: グリチルリチンは、肝細胞の損傷を抑制し、肝機能の改善に役立つことが示唆されています。
抗ウイルス作用: 一部のウイルスに対する増殖抑制効果が報告されています。
2. センノシドA (Sennoside A, CAS NR. 8013-11-4)
化学構造の特徴:
センノシドAは、アントラキノン配糖体の一種であり、二量体構造を持つ化合物です。
具体的には、レインアンスロン（アントラキノン骨格を持つ化合物）2分子が、糖（グルコース）を介して結合した構造をしています。
分子内に複数の水酸基とカルボニル基を持ち、極性が高い化合物です。
配糖体であるため、水によく溶けます。
含有される代表的な生薬:
ダイオウ（大黄）：タデ科植物 Rheum palmatum などの根茎を乾燥させたもの。
センナ（旃那）：マメ科植物 Cassia angustifolia などの葉や果実を乾燥させたもの。
薬効・薬理:
瀉下作用: センノシドAは、経口摂取後、大腸内で腸内細菌によって加水分解され、活性型であるレインアンスロンとなります。レインアンスロンは、大腸粘膜を刺激し、蠕動運動を亢進させ、排便を促進します。
大腸刺激性瀉下作用: 作用機序としては、大腸の水分分泌を促進する効果も関与していると考えられています。
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3. バイカリン (Baicalin, CAS NR. 21967-41-9)
化学構造の特徴:
バイカリンは、フラボノイドの一種であり、フラボン骨格を持つ配糖体です。
具体的には、バイカレインというフラボンに、グルクロン酸が結合した構造をしています。
分子内に複数の水酸基とカルボニル基を持ち、極性が高い化合物です。
配糖体であるため、水によく溶けます。
含有される代表的な生薬:
オウゴン（黄芩）：シソ科植物 Scutellaria baicalensis の根を乾燥させたもの。
薬効・薬理:
抗炎症作用: バイカリンは、炎症性メディエーターの産生を抑制し、抗炎症作用を発揮します。具体的には、シクロオキシゲナーゼ（COX）やリポキシゲナーゼ（LOX）などの酵素活性を阻害します。
抗酸化作用: バイカリンは、活性酸素種を消去し、抗酸化作用を示します。
抗菌作用: 一部の細菌やウイルスに対する増殖抑制効果が報告されています。
神経保護作用: 神経細胞を保護する作用が示唆されており、神経変性疾患への応用が研究されています。
4. エフェドリン (Ephedrine, CAS NR. 299-42-3)
化学構造の特徴:
エフェドリンは、フェニルエチルアミン誘導体であり、交感神経刺激薬に分類されるアルカロイドです。
分子内に1つのキラル中心を持ち、光学異性体が存在します。
分子内にアミノ基（-NH2）と水酸基（-OH）を持ち、塩基性を示す化合物です。
含有される代表的な生薬:
マオウ（麻黄）：マオウ科植物 Ephedra sinica などの地上茎を乾燥させたもの。
薬効・薬理:
交感神経刺激作用: エフェドリンは、アドレナリン作動性受容体を刺激し、交感神経系を活性化します。
気管支拡張作用: β2アドレナリン受容体を刺激し、気管支を拡張させ、喘息や気管支炎などの呼吸器疾患の治療に用いられます。
血管収縮作用: α1アドレナリン受容体を刺激し、血管を収縮させ、鼻粘膜の腫れを緩和する効果があります。
中枢神経刺激作用: 中枢神経を刺激し、覚醒作用や食欲抑制作用を示すことがあります。
5. β-カロテン (beta-Carotene, CAS NR. 7235-40-7)
化学構造の特徴:
β-カロテンは、イソプレノイド（テルペン）の一種であり、40個の炭素原子を持つテトラテルペンです。
分子内に複数の二重結合を持ち、共役系を形成しています。
分子内に水酸基などの極性基を持たないため、疎水性の高い化合物です。
含有される代表的な生薬:
緑黄色野菜（ニンジン、カボチャ、ほうれん草など）に広く含まれています。
藻類（スピルリナなど）にも多く含まれています。
薬効・薬理:
プロビタミンAとしての作用: 体内でビタミンA（レチノール）に変換され、ビタミンA欠乏症の予防や改善に役立ちます。
抗酸化作用: β-カロテンは、活性酸素種を消去し、抗酸化作用を示します。
抗腫瘍作用: 一部の研究では、抗腫瘍効果が示唆されています。
免疫賦活作用: 免疫細胞を活性化し、免疫機能を高める効果が示唆されています。
引用文献
日本薬局方解説書編集委員会 編: 第十八改正日本薬局方解説書. 廣川書店, 2021.
Muller, D., & Schilcher, H. (2008). Herbal remedies: a guide for health professionals. Thieme.
Bruneton, J. (2016). Pharmacognosy, phytochemistry, medicinal plants. Lavoisier.
Martindale: The Complete Drug Reference. Pharmaceutical Press.
Rang, H. P., Dale, M. M., Ritter, J. M., & Flower, R. J. (2020). Rang and Dale's pharmacology. Elsevier.
Evans, W. C. (2009). Trease and Evans' pharmacognosy. Elsevier Health Sciences.
ダイオウおよびカンゾウを含む漢方薬について 概説
はじめに
ダイオウ（大黄）とカンゾウ（甘草）は、多くの漢方薬に配合される代表的な生薬です。これらの生薬は、それぞれ異なる薬理作用を持ち、組み合わされることで、より幅広い症状に対応できます。本稿では、ダイオウとカンゾウの薬理作用、臨床応用、注意点について概説します。
1. ダイオウ（大黄）
起源: タデ科植物ダイオウ属の根茎を乾燥させたもの。
主要成分: アントラキノン誘導体（センノシドA,B、レイン、エモジンなど）。
薬理作用:
瀉下作用: センノシドA,Bは大腸内で腸内細菌により活性代謝物であるレインアンスロンに変換され、大腸の蠕動運動を亢進させ、排便を促進します。
抗菌作用、抗炎症作用: レイン、エモジンなどが抗菌作用や抗炎症作用を示すことが報告されています。
止血作用: 収斂作用により、止血作用を示すことがあります。
臨床応用:
便秘：最も一般的な適応であり、便秘薬として広く用いられます。
月経不順：婦人科領域で、月経困難症や月経不順に用いられることがあります。
消化器疾患：胃腸炎や痔などの炎症性疾患に用いられることがあります。
注意点:
長期連用による耐性：長期連用により効果が減弱する場合があります。
低カリウム血症：長期連用により、腸管からのカリウム喪失による低カリウム血症が生じる可能性があります。
妊娠中の使用：子宮収縮作用があるため、妊娠中の使用には注意が必要です。
相互作用：利尿薬など、他の薬剤との相互作用に注意が必要です。
尿の着色：服用により、尿が黄色～赤色に着色することがあります。
2. カンゾウ（甘草）
起源: マメ科植物カンゾウ属の根やストロンを乾燥させたもの。
主要成分: グリチルリチン、フラボノイド（リクイリチンなど）。
薬理作用:
抗炎症作用: グリチルリチンが炎症性サイトカインの産生を抑制し、抗炎症作用を発揮します。
鎮痛作用: グリチルリチンが痛みの伝達を抑制し、鎮痛作用を発揮します。
抗アレルギー作用: アレルギー反応に関わるヒスタミンなどの物質の遊離を抑制します。
肝機能保護作用: 肝細胞を保護し、肝機能障害を改善します。
副腎皮質ホルモン様作用: グリチルリチンは、コルチゾール分解酵素を阻害し、結果として副腎皮質ホルモン（ミネラルコルチコイド）様作用を示すことがあります。
臨床応用:
咽頭炎、咳：抗炎症作用や鎮咳作用により、咽頭炎や咳の治療に用いられます。
胃炎、胃潰瘍：抗炎症作用により、胃炎や胃潰瘍の治療に用いられます。
アレルギー性疾患：アレルギー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などに用いられます。
肝疾患：肝機能障害の改善に用いられます。
注意点:
偽アルドステロン症：グリチルリチンのミネラルコルチコイド様作用により、浮腫、高血圧、低カリウム血症などの偽アルドステロン症を引き起こす可能性があります。特に高齢者や高血圧患者では注意が必要です。
相互作用：利尿薬など、他の薬剤との相互作用に注意が必要です。
長期連用：長期連用は、偽アルドステロン症のリスクを高めるため、注意が必要です。
3. ダイオウとカンゾウを含む漢方薬
例: 大黄甘草湯、乙字湯、調胃承気湯など
作用: ダイオウの瀉下作用と、カンゾウの抗炎症作用や鎮痛作用が組み合わさることで、便秘を改善するだけでなく、腹痛を緩和したり、便秘に伴う炎症を抑える効果が期待できます。
まとめ
ダイオウとカンゾウは、多くの漢方薬に配合される重要な生薬です。ダイオウは主に瀉下作用を発揮し、カンゾウは抗炎症、鎮痛、抗アレルギー作用を持ちます。これらを組み合わせることで、様々な症状に対応できる一方で、副作用や相互作用にも注意が必要です。漢方薬を理解する上で、それぞれの生薬の薬理作用と注意点を把握しておくことが重要です。
引用文献
日本薬局方解説書編集委員会 編: 第十八改正日本薬局方解説書. 廣川書店, 2021.
Muller, D., & Schilcher, H. (2008). Herbal remedies: a guide for health professionals. Thieme.
Bruneton, J. (2016). Pharmacognosy, phytochemistry, medicinal plants. Lavoisier.
Martindale: The Complete Drug Reference. Pharmaceutical Press.
Rang, H. P., Dale, M. M., Ritter, J. M., & Flower, R. J. (2020). Rang and Dale's pharmacology. Elsevier.
論点およびポイント
■■Gemini 2.0 Flash
問107-214｜化学
論点｜大黄甘草湯 / 瀉下成分 / 化学構造式 / センノシド
ポイント｜
製造販売元／株式会社ツムラ インタビューフォーム
大黄甘草湯の主成分はダイオウとカンゾウであり、便秘改善に寄与する瀉下成分は大黄に含まれるセンノシドである。
センノシドはアントラキノン誘導体であり、大腸内で腸内細菌によって代謝され、活性型であるレインアンスロンとなる。
レインアンスロンが大腸の蠕動運動を促進することで、便秘改善効果を発揮する。
与えられた選択肢の化学構造式を比較し、センノシドAの構造（アントラキノン骨格を持つ二糖配糖体）を特定する必要がある。
グリチルリチン（甘草の成分）、バイカリン、エフェドリン、β-カロテンは便秘改善には直接関与しない。
問 107-215｜実務
論点｜大黄甘草湯 / 薬効 / 副作用
ポイント｜
大黄に含まれるセンノシドの服用により、尿の色が変化する可能性がある。
センノシドは、体内で代謝され、生成される代謝物が尿中に排泄される際に、尿のpHによって黄色〜橙色、または赤色〜紫色に着色することがある。
この尿の着色は、臨床的に問題となるものではなく、副作用として認識されている。
発疹、手足の脱力感、筋肉痛は、センノシドによる一般的な副作用とは考えにくい。
激しい腹痛を伴う下痢は、大黄の過剰摂取により起こる可能性はあるが、大黄甘草湯の用法用量では起こりにくく、また、問題文の「心配ありません」という記述と矛盾する。
薬剤師国家試験 出題基準
出典： 薬剤師国家試験のページ ｜厚生労働省 (mhlw.go.jp)
出題基準 000573951.pdf (mhlw.go.jp)
論点を整理します。
■■Gemini 2.0 Flash
総合的な論点
問 107-214｜化学
この問題の総合的な論点は、大黄甘草湯という漢方薬の主要成分と、その薬効メカニズムを理解しているか、という点です。
具体的には、便秘改善に寄与する成分が、大黄に含まれる瀉下成分であるセンノシドであることを知っている必要があります。
次に、与えられた化学構造式から、センノシドの構造を同定できるかという、有機化学的な知識も問われています。
大黄甘草湯は、ダイオウとカンゾウという2つの生薬から構成されています。
ダイオウにはアントラキノン誘導体であるセンノシドが含まれており、これが大腸で腸内細菌によって代謝され、活性型であるレインアンスロンとなり、大腸の蠕動運動を促進することで瀉下作用（便秘改善効果）を発揮します。
カンゾウには、グリチルリチンが含まれており、抗炎症作用、肝機能改善作用、鎮痛作用などが報告されていますが、本症例の便秘改善効果には直接的に関与しません。
したがって、問題は、与えられた選択肢の中から、センノシドの化学構造式を正しく選択できるか否かを評価しています。
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法
選択肢1：グリチルリチン
論点:
グリチルリチンは、甘草（カンゾウ）に含まれる主要な成分であり、抗炎症作用やミネラルコルチコイド作用（偽アルドステロン症）を示すことが知られています。しかし、便秘の改善に直接的な効果はありません。
アプローチ方法:
問題文では、便秘改善に関係する成分を問われているため、グリチルリジンは選択肢から除外されます。
化学構造はステロイド骨格をもつトリテルペン配糖体です。
選択肢2：センノシドA
論点:
センノシドAは、大黄（ダイオウ）に含まれるアントラキノン誘導体であり、瀉下作用（便秘改善効果）を持つ成分です。腸内細菌によって代謝され、活性型のレインアンスロンとなり、大腸の蠕動運動を促進します。
アプローチ方法:
問題文で問われている便秘改善成分に該当するため、この選択肢が正答の可能性が高いと判断できます。
化学構造はアントラキノン骨格を持つ二糖配糖体です。
選択肢3：バイカリン
論点:
バイカリンは、コガネバナに含まれるフラボノイドの一種で、抗炎症作用や抗酸化作用などが報告されていますが、便秘改善に直接的な効果はありません。
アプローチ方法:
問題文の便秘改善成分とは無関係であるため、この選択肢は除外します。
化学構造はフラボン骨格を持つ配糖体です。
選択肢4：エフェドリン
論点:
エフェドリンは、交感神経刺激作用を持つアルカロイドで、気管支拡張薬や血管収縮薬として用いられます。便秘改善効果は期待できません。
アプローチ方法:
問題文の便秘改善成分とは無関係であるため、この選択肢は除外します。
化学構造はフェニルエチルアミン誘導体です。
選択肢5：β-カロテン
論点:
β-カロテンは、ビタミンAの前駆体であり、抗酸化作用があります。しかし、便秘改善効果は期待できません。
アプローチ方法:
問題文の便秘改善成分とは無関係であるため、この選択肢は除外します。
化学構造はイソプレノイド（テルペン）の一種です。
便秘改善に関与する成分はセンノシドAであるため、選択肢2が正答であると結論付けられます。
引用文献
日本薬局方解説書編集委員会 編: 第十八改正日本薬局方解説書. 廣川書店, 2021.
解説：日本薬局方に収載されている医薬品の成分に関する情報をまとめた書籍です。大黄や甘草の成分、薬効に関する記述を参照しました。
厚生労働省: 一般用医薬品添付文書の記載要領について (令和5年3月31日).
解説：一般用医薬品の添付文書における成分、効能、副作用等の記載に関する基準を示した資料です。大黄甘草湯の添付文書情報を確認しました。
Muller, D., & Schilcher, H. (2008). Herbal remedies: a guide for health professionals. Thieme.
解説：ハーブに関する詳細な情報を提供しており、センノシド、グリチルリジン、その他の植物成分の化学構造と薬理作用に関する情報が記載されています。
Bruneton, J. (2016). Pharmacognosy, phytochemistry, medicinal plants. Lavoisier.
解説：薬用植物と天然化合物の薬理作用に関する詳細な情報が記載されており、様々な植物成分の化学構造や薬効メカニズムを理解するために役立ちます。
問 107-215（実務）
この問題の総合的な論点は、大黄甘草湯に含まれる大黄の成分（主にセンノシド）によって起こりうる副作用を理解しているか、という点です。
具体的には、センノシドが引き起こす可能性のある、特徴的な副作用である「尿の着色」を認識している必要があります。
大黄に含まれるアントラキノン誘導体（センノシド）は、代謝されて生成されるレインアンスロンなどの代謝物が、尿中に排泄される際に、酸性条件下では黄色～橙色、アルカリ性条件下では赤色～紫色に着色することがあります。
この現象は、特に臨床的に問題となるものではなく、副作用として認識されていますが、患者さんに不安を与えないように、事前に説明しておく必要があります。
製造販売元／株式会社ツムラ インタビューフォーム
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法
選択肢1：発疹
論点:
発疹は、薬物アレルギー反応や皮膚炎などによって起こる可能性がありますが、センノシドの主な副作用とは考えにくいです。
アプローチ方法:
センノシドと発疹との直接的な関連性は低いため、この選択肢は除外します。
選択肢2：尿の橙色への着色
論点:
尿の着色は、センノシドなどのアントラキノン誘導体が代謝された際に生成される代謝物によって起こりうる、特徴的な副作用です。
尿のpHによって、黄色〜橙色、または赤色〜紫色に変化することがあります。
アプローチ方法:
センノシドに特徴的な副作用であり、この選択肢が正答である可能性が高いと判断できます。
選択肢3：手足の脱力感
論点:
手足の脱力感は、低カリウム血症や神経疾患などによって起こる可能性があります。
大黄に含まれる成分が原因となる可能性も否定できませんが、センノシドによる副作用としては一般的ではありません。
アプローチ方法:
センノシドの副作用として一般的でないため、この選択肢は除外します。
選択肢4：筋肉痛
論点:
筋肉痛は、過度の運動や炎症、または薬剤による副作用（例：スタチン系薬剤）によって起こることがあります。
センノシドの副作用としては一般的ではありません。
アプローチ方法:
センノシドの副作用として一般的でないため、この選択肢は除外します。
選択肢5：激しい腹痛を伴う下痢
論点:
激しい腹痛を伴う下痢は、大黄の過剰摂取や感染性腸炎などによって起こる可能性があり、大黄の副作用としてありえますが、通常、大黄甘草湯の用法用量では起こりにくいと考えられます。
また、問題文では「心配ありません」とあるため、重篤な症状を示唆するこの選択肢は不適切です。
アプローチ方法:
大黄甘草湯の用量では起こりにくい症状であるため、この選択肢は除外します。
以上の分析から、センノシドによって起こりうる副作用として最も適切なのは「尿の橙色への着色」であるため、選択肢2が正答であると結論付けられます。
引用文献
日本薬局方解説書編集委員会 編: 第十八改正日本薬局方解説書. 廣川書店, 2021.
解説：日本薬局方に収載されている医薬品の成分に関する情報をまとめた書籍です。大黄の成分、薬効、副作用に関する記述を参照しました。
厚生労働省: 一般用医薬品添付文書の記載要領について (令和5年3月31日).
解説：一般用医薬品の添付文書における成分、効能、副作用等の記載に関する基準を示した資料です。大黄甘草湯の添付文書情報を確認しました。
Martindale: The Complete Drug Reference. Pharmaceutical Press.
解説：医薬品に関する包括的な情報源であり、様々な薬剤の副作用に関する情報が記載されています。センノシドの副作用について確認しました。
Rang, H. P., Dale, M. M., Ritter, J. M., & Flower, R. J. (2020). Rang and Dale's pharmacology. Elsevier.
解説：薬理学の教科書であり、薬剤の作用機序や副作用について詳細な情報が記載されています。センノシドの薬理作用と副作用について確認しました。
以上で、論点整理を終わります。
理解できたでしょうか？
大丈夫です。
完全攻略を目指せ！
はじめましょう。
薬剤師国家試験の薬学実践問題【複合問題】から大黄甘草湯 / 便秘 / 化学構造 / センノシド / 尿の着色を論点とした問題です。
なお、以下の解説は、著者（Yukiho Takizawa, PhD）がプロンプトを作成して、その対話に応答する形で GPT4o & Copilot 、Gemini 2、または Grok 2 が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。
生成AIの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。
Here we go.
第107回薬剤師国家試験｜薬学実践問題 /
問214-215
一般問題（薬学実践問題）
【物理・化学・生物、衛生／実務】
■複合問題｜問 107-214-215
Q. 25歳女性。妊娠なし。最近、便秘気味のため一般用医薬品を求めて薬局を訪れた。薬剤師が症状を確認したところ、ふきでもの（にきび）や食欲不振もみられた。一方、吐き気や腹部の痛みはなかったことから、以下の一般用医薬品を勧めた。
大黄甘草湯エキス顆粒｜12包入り（6日分）
成分・分量｜本品2包（3.75g）中、以下の割合の大黄甘草湯エキス（1/2量）0.75gを含有する。｜
日局ダイオウ・・・・・2.0g｜日局カンゾウ・・・・・1.0g
物理・化学・生物
問 107-214｜化学
Q. この女性から当該医薬品の成分について聞かれたため、薬剤師は便秘の改善に関係する成分はＡであることを女性に伝えた。Ａの化学構造として、適切なのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 1
2. 2
3. 3
4. 4
5. 5
Here:
松廼屋｜論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 107-214-215【物理・化学・生物、衛生／実務】論点：大黄甘草湯 / 便秘 / 化学構造 / センノシド / 尿の着色｜matsunoya
実務
問 107-215｜実務
Q. 薬剤師は、この女性に「主にＡによってＢが起こることがありますが、心配ありません。」と伝えた。Ｂに入るものとして、適切なのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 発疹
2. 尿の橙色への着色
3. 手足の脱力感
4. 筋肉痛
5. 激しい腹痛を伴う下痢
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松廼屋｜論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 107-214-215【物理・化学・生物、衛生／実務】論点：大黄甘草湯 / 便秘 / 化学構造 / センノシド / 尿の着色｜matsunoya
■■Gemini 2.0 Flash
■問 107-214｜化学
■論点｜
この問題の論点は、大黄甘草湯の便秘改善に関与する成分（センノシドA）の化学構造を特定することです。
■解説1｜
センノシドA（選択肢2）[正しい]
大黄甘草湯はダイオウとカンゾウの2つの生薬から構成され、便秘改善作用の主な成分はダイオウに含まれるセンノシドである。
センノシドはアントラキノン誘導体であり、大腸内で腸内細菌によって代謝され、活性型のレインアンスロンとなる。
レインアンスロンは大腸の蠕動運動を促進することで、瀉下作用を発揮する。
与えられた化学構造式から、選択肢2がセンノシドAの構造（アントラキノン骨格を持つ二糖配糖体）と一致する。
製造販売元／株式会社ツムラ インタビューフォーム
■解説2｜
日本薬局方には、大黄の成分としてセンノシドAとBが規定されている。
センノシドAは、大腸内でグルコース部分が加水分解され、レインアンスロンとなる。
レインアンスロンが、大腸粘膜を刺激し、蠕動運動を促進することで排便を促す。
化学構造式において、選択肢2は二糖配糖体であり、アントラキノン骨格を持つ。これはセンノシドAの特徴と一致する。
■結論｜
センノシドAは、大黄に含まれる主要な瀉下成分であり、その化学構造は選択肢2で示されている。したがって、選択肢2が正答である。
■補足｜
グリチルリチン（選択肢1）[誤り]
グリチルリチンはカンゾウの主要成分であり、抗炎症作用やミネラルコルチコイド作用（偽アルドステロン症）を示すが、便秘改善作用は持たない。
化学構造はステロイド骨格をもつトリテルペン配糖体であり、センノシドAとは構造が大きく異なる。
バイカリン（選択肢3）[誤り]
バイカリンはコガネバナに含まれるフラボノイドで、抗炎症作用や抗酸化作用を持つが、便秘改善作用はない。
化学構造はフラボン骨格をもつ配糖体であり、センノシドAとは構造が大きく異なる。
エフェドリン（選択肢4）[誤り]
エフェドリンは交感神経刺激薬であり、気管支拡張作用や血管収縮作用を持つが、便秘改善作用はない。
化学構造はフェニルエチルアミン誘導体であり、センノシドAとは構造が大きく異なる。
β-カロテン（選択肢5）[誤り]
β-カロテンはビタミンAの前駆体であり、抗酸化作用を持つが、便秘改善作用はない。
化学構造はイソプレノイドの一種であり、センノシドAとは構造が大きく異なる。
■論点｜
この問題の論点は、大黄甘草湯に含まれる大黄の成分（センノシド）によって起こりうる副作用のうち、特徴的な尿の着色を特定することです。
■解説1｜
尿の橙色への着色（選択肢2）[正しい]
大黄に含まれるアントラキノン誘導体（センノシド）は、代謝されて生成されるレインアンスロンなどの代謝物が、尿中に排泄される際に、酸性条件下では黄色～橙色、アルカリ性条件下では赤色～紫色に着色することがある。
この尿の着色は、センノシドによる特徴的な副作用であり、臨床的に問題となるものではないため「心配ありません」と説明できる。
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■解説2｜
センノシドは、腸内細菌によって代謝され、活性型であるレインアンスロンとなる。
レインアンスロンは、一部が尿中に排泄され、尿の色を変化させる。
この尿の着色は、個人差や尿のpHによって異なり、必ずしも全員に現れるわけではない。
尿の着色は、センノシドの服用を中止すれば自然に消失する。
■結論｜
センノシドの服用による尿の着色は、特徴的な副作用であり、患者に事前に説明しておくことで安心して服用できる。したがって、選択肢2が正答である。
■補足｜
発疹（選択肢1）[誤り]
発疹は、薬物アレルギー反応や皮膚炎などによって起こる可能性はあるが、センノシドの副作用としては一般的ではない。
手足の脱力感（選択肢3）[誤り]
手足の脱力感は、低カリウム血症や神経疾患などによって起こる可能性はあるが、センノシドの副作用としては一般的ではない。
筋肉痛（選択肢4）[誤り]
筋肉痛は、過度の運動や炎症、または薬剤による副作用（例：スタチン系薬剤）によって起こる可能性はあるが、センノシドの副作用としては一般的ではない。
激しい腹痛を伴う下痢（選択肢5）[誤り]
激しい腹痛を伴う下痢は、大黄の過剰摂取や感染性腸炎などによって起こる可能性はあるが、大黄甘草湯の用法用量では起こりにくい。また、「心配ありません」という薬剤師の発言と矛盾する。
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薬剤師国家試験対策ノート｜論点解説 必須問題 第106回-第109回 一覧 powered by Gemini 1.5 Pro, Google AI Studio & GPT4, Copilot｜matsunoya (note.com)
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すっきり、はっきりわかったら、合格です。
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問214-215
一般問題（薬学実践問題）
【物理・化学・生物、衛生／実務】
■複合問題｜問 107-214-215
Q. 25歳女性。妊娠なし。最近、便秘気味のため一般用医薬品を求めて薬局を訪れた。薬剤師が症状を確認したところ、ふきでもの（にきび）や食欲不振もみられた。一方、吐き気や腹部の痛みはなかったことから、以下の一般用医薬品を勧めた。
大黄甘草湯エキス顆粒｜12包入り（6日分）
成分・分量｜本品2包（3.75g）中、以下の割合の大黄甘草湯エキス（1/2量）0.75gを含有する。｜
日局ダイオウ・・・・・2.0g｜日局カンゾウ・・・・・1.0g
物理・化学・生物
問 107-214｜化学
Q. この女性から当該医薬品の成分について聞かれたため、薬剤師は便秘の改善に関係する成分はＡであることを女性に伝えた。Ａの化学構造として、適切なのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 1
2. 2
3. 3
4. 4
5. 5
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実務
問 107-215｜実務
Q. 薬剤師は、この女性に「主にＡによってＢが起こることがありますが、心配ありません。」と伝えた。Ｂに入るものとして、適切なのはどれか。1つ選べ。
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1. 発疹
2. 尿の橙色への着色
3. 手足の脱力感
4. 筋肉痛
5. 激しい腹痛を伴う下痢
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