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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-218-219【物理・化学・生物、衛生/実務】(1/2) 論点:レボチロキシン / 甲状腺ホルモン補充療法 / T4・T3 / TSH抑制

第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問218-219

一般問題(薬学実践問題)


【物理・化学・生物、衛生/実務】

■複合問題|問 106-218-219

Q. 33歳女性。夫と2歳の娘との3人暮らし。2年前に慢性甲状腺炎(橋本病)と診断されて経過観察していたが、最近、疲れやすさ、皮膚の乾燥、便秘などの症状が現れるようになった。病院で検査を受けた結果、今回から薬物治療が開始になり、検査値が記載された処方箋を薬局に持参した。
(処方)
レボチロキシンナトリウム水和物錠25µg 1回1錠(1日1錠)
1日1回|朝食後|14日分
(検査値)
甲状腺刺激ホルモン(TSH)20.2µU/mL
遊離トリヨードサイロニン(FT3)1.2pg/mL
遊離サイロキシン(FT4)0.5ng/dL


物理・化学・生物

問 106-218|生物
Q. 甲状腺とその機能に関与するホルモンに対し処方薬がもたらす変化として正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢
1. 甲状腺濾胞細胞による血液中のヨウ化物イオンの取り込みが亢進する。
2. 処方薬が、徐々に代謝されて生じるT3により、甲状腺の機能が持続的に補われる。
3. 甲状腺濾胞からのT4分泌が増強される。
4. 血中のTSH濃度が低下する。
5. 血中の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)濃度が上昇する。


Here:

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-218-219【物理・化学・生物、衛生/実務】(1/2) 論点:レボチロキシン / 甲状腺ホルモン補充療法 / T4・T3 / TSH抑制|matsunoya


実務

問 106-219|実務
Q. 薬剤師は患者からの聞き取りで、ときどき市販の胃腸薬(スクラルファート含有)やサプリメント(鉄分含有)を服用することがあり、便秘予防にひじきなどの海藻類をよく食べるとの情報を得た。患者への指導として誤っているのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 薬物治療を行っている間は、海藻類を積極的に摂取してください。
2. 処方薬服用中であっても妊娠を避ける必要はありません。
3. 処方薬の影響で、脈が速くなることがあります。
4. 処方薬とスクラルファート含有胃腸薬を併用する場合は、服用間隔をできるだけあけてください。
5. 処方薬と鉄分含有サプリメントを併用する場合は、同時に服用しないでください。


解説はこちらからどうぞ。

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-218-219【物理・化学・生物、衛生/実務】(2/2) 論点:レボチロキシン / 吸収阻害 / ヨウ素 / 妊娠 / 甲状腺ホルモン|matsunoya


こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。

matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、【物理・化学・生物、衛生/実務】 の複合問題を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 / 問218-219 (1/2) 、論点:レボチロキシン / 甲状腺ホルモン補充療法 / T4・T3 / TSH抑制を徹底解説します。

薬剤師国家試験対策ノート NOTE ver.
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Here; https://note.com/matsunoya_note/n/n6016b0ace9a9

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-218-219【物理・化学・生物、衛生/実務】(1/2) 論点:レボチロキシン / 甲状腺ホルモン補充療法 / T4・T3 / TSH抑制|matsunoya

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このコンテンツの制作者|

滝沢 幸穂  Yukiho Takizawa, PhD

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設問へのアプローチ|

薬学実践問題は原本で解いてみることをおすすめします。
まずは、複合問題や実務の問題の構成に慣れることが必要だからです。
薬学実践問題は薬剤師国家試験2日目の①、②、③ の3部構成です。
今回の論点解説では2日目を取り上げています。


厚生労働省|過去の試験問題👇

第109回(令和6年2月17日、2月18日実施)
第108回(令和5年2月18日、2月19日実施)
第107回(令和4年2月19日、2月20日実施)
第106回(令和3年2月20日、2月21日実施)


第106回薬剤師国家試験 問218-219(問106-218-219)では、慢性甲状腺炎(橋本病)の病態と治療に関する知識を生物および実務のそれぞれの科目の視点から複合問題として問われました。


複合問題は、各問題に共通の冒頭文とそれぞれの科目別の連問で構成されます。
冒頭文は、問題によっては必要がない情報の場合もあるため、最初に読まずに、連問すべてと選択肢に目を通してから、必要に応じて情報を取得するために読むようにすると、時間のロスが防げます。
1問、2分30秒で解答できればよいので、いつも通り落ち着いて一問ずつ別々に解けば大丈夫です。
出題範囲は、それぞれの科目別の出題範囲に準じています。
連問と言ってもめったに連動した問題は出ないので、平常心で取り組んでください。


今回は、2回に分けて、それぞれの問題の論点を解説します。
第1回は、問106-218です。

💡ワンポイント

複合問題ですが、問106-218を解くうえで必要な情報は、黄色い線で示した部分です。
それ以外の情報取得は必要がないです。読んでいると時間のロスに繋がります。
冒頭文で必要な情報は、慢性甲状腺炎(橋本病)と診断されたことと、処方レボチロキシンナトリウム水和物という情報だけです。

問106-218 論点解説|matsunoya_note

問106-218は、レボチロキシンの薬効および薬理作用を問う問題です。


まず基本的な知識について復習しておきましょう。

■■Gemini 2.0 Flash


レボチロキシンの薬理メカニズム 概説

はじめに

レボチロキシンは、甲状腺ホルモンであるチロキシン(T4)の合成型製剤であり、甲状腺機能低下症の治療に広く用いられます。
この概説では、レボチロキシンの作用機序、体内動態、および臨床応用について解説します。

1. 作用機序

レボチロキシンの主な作用機序は以下の2つに分けられます。

  • T4の補充:
    レボチロキシンは、体内で甲状腺ホルモンであるT4として作用します。
    甲状腺機能低下症では、内因性のT4が不足しているため、レボチロキシンを投与することで、T4の血中濃度を正常レベルに保ち、甲状腺ホルモンの生理作用を補います。

  • T3への変換:
    レボチロキシン(T4)は、末梢組織で5'-脱ヨード酵素によって、より活性の高い甲状腺ホルモンであるトリヨードチロニン(T3)に変換されます。
    T3は、細胞核内の甲状腺ホルモン受容体に結合し、遺伝子転写を調節することで、タンパク質合成や代謝など、様々な生理作用を発揮します。

2. 生理作用

甲状腺ホルモン(T3およびT4)は、身体のほぼすべての細胞に影響を及ぼし、以下のような生理作用を担っています。

  • 基礎代謝の亢進: 酸素消費量を増加させ、エネルギー産生を促進します。

  • 成長・発達の促進: 特に小児期における骨や神経系の成長・発達に必須です。

  • 心血管系の調節: 心拍数、心収縮力、血管拡張を調節します。

  • 神経系の調節: 脳機能や精神状態に影響を与え、認知機能や精神活動を維持します。

  • 脂質・糖代謝の調節: 脂質代謝を促進し、血糖値やインスリン感受性に影響を与えます。

3. 体内動態

  • 吸収: 経口投与後、小腸から吸収されます。吸収率は食事や他の薬剤の影響を受けやすいです。

  • 分布: 血中では、甲状腺ホルモン結合タンパク質(TBGなど)に結合して運搬されます。

  • 代謝: 主に肝臓で代謝され、T4からT3への変換や、不活性な代謝産物への変換を受けます。

  • 排泄: 主に胆汁中に排泄され、一部は尿中にも排泄されます。

4. 臨床応用

レボチロキシンは、以下の疾患の治療に用いられます。

  • 甲状腺機能低下症: 原発性、続発性、中枢性などの様々な原因による甲状腺ホルモン不足を補います。

  • 橋本病: 自己免疫疾患による甲状腺機能低下症の治療に用いられます。

  • 甲状腺腫: 甲状腺ホルモンを補充することで、甲状腺腫の縮小を促すことがあります。

  • 甲状腺癌手術後: 甲状腺を摘出した患者の甲状腺ホルモン補充療法として用いられます。

5. 副作用

レボチロキシンの副作用は、通常、過剰投与による甲状腺機能亢進症状です。
主な症状は、動悸、頻脈、発汗、不眠、体重減少、不安などです。適切な用量調節によって、これらの副作用を回避することが可能です。

まとめ

レボチロキシンは、甲状腺ホルモンであるT4を補充することで、甲状腺機能低下症による様々な症状を改善する重要な薬剤です。
効果的な治療のためには、患者の状態に応じた適切な用量調節が不可欠です。また、投与されたレボチロキシンは、末梢でより活性の高いT3に変換されて効果を発揮することを理解しておくことが重要です。

引用文献

以下の参考文献を参照し、本概説を作成しました。

  1. Gereben, B., Zavacki, A. M., & Bianco, A. C. (2020). Chapter 18: The Thyroid Hormone System. In D. L. Jameson, A. H. De Groot, & J. L. Jameson (Eds.), Endocrinology: Adult and Pediatric (8th ed., Vol. 1, pp. 331-358). Elsevier.

  2. Brent, G. A. (2012). Mechanisms of thyroid hormone action. Journal of Clinical Investigation, 122(9), 3035-3043.

  3. Jonklaas, J., Bianco, A. C., Bauer, A. J., Burman, K. D., Cappola, A. R., Celi, F. S., ... & Sawka, A. M. (2014). Guidelines for the treatment of hypothyroidism: prepared by the American Thyroid Association task force on thyroid hormone replacement therapy. Thyroid, 24(12), 1670-1751.

  4. Ross, D. S. (2023). Treatment of Hypothyroidism. In K. R. Feingold, B. Anawalt, A. Boyce, G. Chrousos, W. W. de Herder, K. Dhatariya, ... & J. L. Fliers (Eds.), Endotext. MDText.com, Inc.

範囲について

本概説は、上記文献の広範囲の内容を参考に、レボチロキシンの薬理メカニズムに関する基本的な情報をまとめたものです。特に、以下の点において文献を参照しています。

  • レボチロキシンの作用機序、特にT4からT3への変換について (文献 1, 2)

  • 甲状腺ホルモンの生理作用について (文献 1, 2)

  • レボチロキシンの体内動態について (文献 1, 4)

  • レボチロキシンの臨床応用と副作用について (文献 3, 4)

これらの文献は、甲状腺ホルモンとその治療に関する包括的な情報を提供しており、より詳細な知識を得たい場合は、ぜひご参照ください。


甲状腺ホルモンのフィードバック機構 概説

はじめに

甲状腺ホルモンは、全身の代謝や成長、発達に重要な役割を果たすホルモンです。その分泌は厳密に調節されており、特に視床下部-下垂体-甲状腺軸(HPT軸)によるフィードバック機構が重要な役割を担っています。
この概説では、甲状腺ホルモン分泌の調節機構、特にフィードバック機構について詳しく解説します。

1. 視床下部-下垂体-甲状腺軸(HPT軸)

甲状腺ホルモン分泌の制御は、視床下部、下垂体、甲状腺という3つの内分泌腺が協調して行うHPT軸によって行われます。

  • 視床下部:
    視床下部は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)を分泌します。
    TRHは、下垂体前葉に作用し、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を促進します。

  • 下垂体:
    下垂体前葉は、TRHの刺激を受けてTSHを分泌します。
    TSHは、血流を介して甲状腺に運ばれ、甲状腺細胞に作用し、甲状腺ホルモン(T3およびT4)の合成と分泌を促進します。

  • 甲状腺:
    甲状腺は、TSHの刺激を受けて、甲状腺ホルモンであるチロキシン(T4)とトリヨードチロニン(T3)を合成・分泌します。
    T4は末梢組織でT3に変換され、より活性の高いホルモンとして作用します。

2. 負のフィードバック機構

甲状腺ホルモンの分泌は、主に負のフィードバック機構によって制御されています。この機構は、甲状腺ホルモン濃度が上昇すると、その上昇がHPT軸に抑制的に作用し、甲状腺ホルモンの過剰分泌を防ぐ働きをします。具体的には、以下のようになります。

  • T3/T4による視床下部への抑制:
    血中のT3およびT4濃度が上昇すると、視床下部のTRH産生を抑制します。これにより、下垂体からのTSH分泌が抑制されます。

  • T3/T4による下垂体への抑制:
    血中のT3およびT4濃度が上昇すると、下垂体前葉でのTRHに対する反応性を低下させ、TSH分泌を直接的に抑制します。

これらの負のフィードバック機構により、血中の甲状腺ホルモン濃度は一定範囲に維持され、過剰分泌や不足を防いでいます。

3. その他の調節因子

HPT軸以外にも、甲状腺ホルモンの分泌に影響を与える因子が存在します。

  • ヨウ素:
    食事からのヨウ素摂取は、甲状腺ホルモン合成に必須です。ヨウ素不足は、甲状腺機能低下症の原因となります。

  • ストレス:
    ストレスは、視床下部のTRH分泌を抑制し、甲状腺機能に影響を与える可能性があります。

  • 環境因子:
    低温などの環境因子は、甲状腺ホルモン分泌を一時的に増加させることがあります。

  • 薬物:
    特定の薬物(例:リチウム、アミオダロン)は、甲状腺機能に影響を与える可能性があります。

4. 臨床的意義

甲状腺ホルモンのフィードバック機構は、甲状腺疾患の診断と治療において重要な意味を持ちます。

  • 甲状腺機能低下症:
    甲状腺ホルモンが不足すると、視床下部および下垂体への負のフィードバックが弱まり、TRHおよびTSH分泌が増加します。
    これにより、TSH高値、FT4低値として発見されます。

  • 甲状腺機能亢進症:
    甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、視床下部および下垂体への負のフィードバックが強まり、TRHおよびTSH分泌が低下します。
    これにより、TSH低値、FT4高値として発見されます。

これらのフィードバック機構の理解は、甲状腺疾患の鑑別診断や適切な治療方針の決定に不可欠です。

まとめ

甲状腺ホルモンの分泌は、視床下部-下垂体-甲状腺軸(HPT軸)による複雑なフィードバック機構によって厳密に調節されています。この機構は、甲状腺ホルモンの血中濃度を一定に保ち、過剰分泌や不足を防ぐ役割を果たしています。HPT軸とフィードバック機構の理解は、甲状腺疾患の病態生理を理解し、適切な治療を行うために不可欠です。

引用文献

以下の参考文献を参照し、本概説を作成しました。

  1. Gereben, B., Zavacki, A. M., & Bianco, A. C. (2020). Chapter 18: The Thyroid Hormone System. In D. L. Jameson, A. H. De Groot, & J. L. Jameson (Eds.), Endocrinology: Adult and Pediatric (8th ed., Vol. 1, pp. 331-358). Elsevier.

  2. Brent, G. A. (2012). Mechanisms of thyroid hormone action. Journal of Clinical Investigation, 122(9), 3035-3043.

  3. Ross, D. S. (2023). Approach to the Patient with Abnormal Thyroid Function Tests. In K. R. Feingold, B. Anawalt, A. Boyce, G. Chrousos, W. W. de Herder, K. Dhatariya, ... & J. L. Fliers (Eds.), Endotext. MDText.com, Inc.

  4. Melmed, S., Polonsky, K. S., Larsen, P. R., & Kronenberg, H. M. (2016). Williams textbook of endocrinology (13th ed.). Elsevier Saunders.

範囲について

本概説は、上記文献の広範囲の内容を参考に、甲状腺ホルモンのフィードバック機構に関する基本的な情報をまとめたものです。特に、以下の点において文献を参照しています。

  • HPT軸の役割と各ホルモンの分泌調節について (文献 1, 4)

  • 負のフィードバック機構の詳細な機序について (文献 1, 2)

  • 甲状腺ホルモン分泌に影響を与えるその他の因子について (文献 1, 3)

  • 甲状腺疾患におけるフィードバック機構の重要性について (文献 3, 4)

これらの文献は、甲状腺ホルモンとその調節に関する詳細な情報を提供しており、さらに深い知識を得たい場合は、ぜひご参照ください。


出典: 第18改正日本薬局方 医薬品各条
https://www.pmda.go.jp/rs-std-jp/standards-development/jp/0192.html

医療用医薬品添付文書等を一読しておくと応用力がつきます。

ところどころ、原文のまま抜粋しました。必要に応じてまとめて覚えよう。
問106-219の論点は、一部、医療用医薬品添付文書に記載がなく、インタビューフォームに解説として記述されている部分でした。
下記の抜粋から、見つけてみてください。


PMDA 医療用医薬品添付文書 レボチロキシンナトリウム水和物
製造販売/サンド株式会社 
レボチロキシンNa錠25μg「サンド」/レボチロキシンNa錠50μg「サンド」
以下、一部抜粋します。ポイントが盛りだくさんな医薬品です。


2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

新鮮な心筋梗塞のある患者[基礎代謝の亢進により心負荷が増大し、病態が悪化することがある。]

4. 効能又は効果

粘液水腫、クレチン病、甲状腺機能低下症(原発性及び下垂体性)、甲状腺腫

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

9.1.1 狭心症、陳旧性心筋梗塞、動脈硬化症、高血圧症等の重篤な心・血管系の障害のある患者

投与する場合には少量から開始し、通常より長期間をかけて増量し維持量は最小必要量とすること。
基礎代謝の亢進による心負荷により、病態が悪化するおそれがある。

9.1.2 副腎皮質機能不全、脳下垂体機能不全のある患者

副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)を十分にはかってから投与すること。副腎クリーゼを誘発し、ショック等を起こすことがある。

9.5 妊婦

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

インタビューフォーム(抜粋)
(解説)
甲状腺ホルモンは胎盤をほとんど通過しないため、胎児への副作用はない。母体の甲状腺ホ ルモンが不足していると間接的に(胎盤の発育が悪くなるために)胎児に影響し、流産、早産、胎児発育不全等を起こしやすい。
このため、妊娠を維持させるためにも、適正量の甲状 腺ホルモン剤の投与による補充療法が大切である31)。 
Ref. 31) 杉本充広他:産婦人科の実際.1982;31:765-773

インタビューフォーム チラーヂンS錠50μg_1_1.pdf

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

インタビューフォーム(抜粋)
(解説)
甲状腺ホルモンが乳汁中にどの程度分泌されるかについては一定した成績がなく、乳児に対する意義は不明である。
母親の血中甲状腺ホルモンを正常に維持する量であれば、乳汁中に正常者と同じ量が分泌されるはずであり、投与した甲状腺ホルモン剤は、乳児に悪影響を及ぼさない32)。
Ref. 32) 百渓尚子他:臨牀と研究.1985;62:2117-2123

インタビューフォーム チラーヂンS錠50μg_1_1.pdf

9.7 小児等

9.7.1 児の状態(血圧、尿量、血清ナトリウム値等)を観察しながら慎重に投与すること。
9.7.2 低出生体重児、早産児では、晩期循環不全を起こすことがある。なお、低出生体重児、早産児のうち、特に極低出生体重児や超早産児では、晩期循環不全を起こしやすく、また、本剤の投与後早期に起こりやすい。

9.8 高齢者

少量から投与を開始するとともに投与間隔を延長するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
一般に生理機能が低下しており、本剤を投与すると基礎代謝の亢進による心負荷により、狭心症等を来すおそれがある。

10.相互作用
10.2 併用注意 (併用に注意すること)

  • クマリン系抗凝血剤

    • 例:
      ワルファリンカリウム等

    • 臨床症状・措置方法:
      クマリン系抗凝血剤の作用を増強することがあるので、併用する場合にはプロトロンビン時間等を測定しながらクマリン系抗凝血剤の用量を調節するなど慎重に投与すること。

    • 機序・危険因子:
      甲状腺ホルモンがビタミンK依存性凝血因子の異化を促進すると考えられている。

  • 交感神経刺激剤

    • 例:
      アドレナリン、ノルアドレナリン、エフェドリン・メチルエフェドリン含有製剤

    • 臨床症状・措置方法:
      交感神経刺激剤の作用を増強し、冠動脈疾患のある患者に併用すると冠不全のリスクが増大するおそれがあるので、併用する場合には慎重に投与すること。

    • 機序・危険因子:
      甲状腺ホルモンがカテコールアミン類のレセプターの感受性を増大すると考えられている。

  • 強心配糖体製剤

    • 例:
      ジゴキシン、ジギトキシン等

    • 臨床症状・措置方法:
      甲状腺機能亢進状態では血清ジゴキシン濃度が低下し、甲状腺機能低下状態では上昇するとの報告があるため、甲状腺機能亢進状態では通常より多量の、甲状腺機能低下状態では通常より少量の強心配糖体製剤の投与を必要とすることがある。
      併用する場合には強心配糖体製剤の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。

    • 機序・危険因子:
      強心配糖体製剤の吸収率、分布容積、肝代謝、腎排泄速度等の増減が関与していると考えられている。

  • 血糖降下剤

    • 例:
      インスリン製剤、スルフォニル尿素系製剤等

    • 臨床症状・措置方法:
      血糖降下剤を投与している患者において、本剤を投与すると血糖コントロールの条件が変わることがあるので、併用する場合には血糖値その他患者の状態を十分観察しながら両剤の用量を調節するなど慎重に投与すること。

    • 機序・危険因子:
      糖代謝全般に作用し血糖値を変動させると考えられている。

  • コレスチラミン、コレスチミド、鉄剤、アルミニウム含有制酸剤、炭酸カルシウム、炭酸ランタン水和物、セベラマー塩酸塩、ポリスチレンスルホン酸カルシウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム

    • 臨床症状・措置方法:
      同時投与により本剤の吸収が遅延又は減少することがあるので、併用する場合には本剤との投与間隔をできる限りあけるなど慎重に投与すること。

    • 機序・危険因子:
      消化管内で本剤と結合し吸収を抑制すると考えられている。

  • フェニトイン製剤、カルバマゼピン、フェノバルビタール

    • 臨床症状・措置方法:
      これらの薬剤は本剤の血中濃度を低下させることがあるので、併用する場合には本剤を増量するなど慎重に投与すること。

    • 機序・危険因子: これらの薬剤は甲状腺ホルモンの異化を促進すると考えられている。

  • アミオダロン

    • 臨床症状・措置方法:
      アミオダロンは甲状腺ホルモン値を上昇又は低下させるおそれがあるので、併用する場合には甲状腺ホルモン値に注意し、慎重に投与すること。

    • 機序・危険因子:
      アミオダロンが甲状腺ホルモンの脱ヨード化を阻害することが考えられている。

  • 経口エストロゲン製剤

    • 例:
      結合型エストロゲン、エストラジオール、エストリオール等

    • 臨床症状・措置方法:
      経口エストロゲン製剤は甲状腺ホルモン値を低下させるおそれがあるので、併用する場合には本剤を増量するなど慎重に投与すること。

    • 機序・危険因子:
      経口エストロゲン製剤がサイロキシン結合グロブリンを増加させることが考えられている。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

11.1.1 狭心症(頻度不明)

狭心症があらわれることがある。このような場合には過剰投与のおそれがあるので、減量、休薬等適切な処置を行うこと。[9.1.1 参照]

11.1.2 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)

AST、ALT、γ-GTP等の著しい上昇、発熱、倦怠感等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

11.1.3 副腎クリーゼ(頻度不明)

副腎皮質機能不全、脳下垂体機能不全のある患者では、副腎クリーゼがあらわれることがあるので、副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)を十分にはかってから投与すること。全身倦怠感、血圧低下、尿量低下、呼吸困難等の症状があらわれることがある。[9.1.2 参照]

11.1.4 晩期循環不全(頻度不明)

低出生体重児や早産児では、晩期循環不全があらわれることがある。特に極低出生体重児や超早産児で起こりやすく、また、本剤の投与後早期に起こりやすいので、血圧低下、尿量低下、血清ナトリウム低下等があらわれた場合には適切な処置を行うこと。[9.7.2 参照]

11.1.5 ショック(頻度不明)

11.1.6 うっ血性心不全(頻度不明)
うっ血性心不全があらわれることがある。このような場合には過剰投与のおそれがあるので、減量、休薬等適切な処置を行うこと。[9.1.1 参照]

18. 薬効薬理
18.1 作用機序

レボチロキシンナトリウムは、生体内で甲状腺から分泌されるT4と同じ薬理作用を示す。
T4は甲状腺の他、肝臓や腎臓などの末梢組織でトリヨードチロニン(T3)に代謝された後、核内に存在する甲状腺ホルモン受容体に結合することにより、標的遺伝子の転写及びタンパク質の発現を調節し、エネルギー代謝、タンパク質代謝、脂質代謝の調整等の生理作用をもたらす。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称
レボチロキシンナトリウム水和物(Levothyroxine Sodium Hydrate)

化学名
Monosodium O-(4-hydroxy-3,5-diiodophenyl)-3,5-diiodo-L-tyrosinate hydrate

分子式
C15H10I4NNaO4・xH2O

分子量
798.85(anhydrous)

出典: 第18改正日本薬局方 医薬品各条
https://www.pmda.go.jp/rs-std-jp/standards-development/jp/0192.html

論点およびポイント

■■GPT4o


問 106-218|生物
論点|レボチロキシン / 甲状腺ホルモン補充療法 / T4・T3 / TSH抑制
ポイント|

  • レボチロキシンはT4(サイロキシン)として作用し、体内でT3(トリヨードサイロニン)に代謝され、甲状腺機能を補う。

  • 血中のTSH(甲状腺刺激ホルモン)は、甲状腺ホルモン補充に伴い負のフィードバックで減少する。

  • レボチロキシンは外因性ホルモンであるため、甲状腺自体のホルモン産生(T4やT3の分泌)は刺激されない。

  • TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)の濃度はTSHの減少により低下する可能性があるが、直接的な影響は限定的。

  • ヨウ素代謝には関与せず、甲状腺濾胞細胞の活動に影響を与えない。


問 106-219|実務
論点|レボチロキシン / 吸収阻害 / ヨウ素 / 妊娠 / 甲状腺ホルモン
ポイント|

  • スクラルファートや鉄分サプリメントはレボチロキシンの吸収を阻害するため、服用間隔を空ける必要がある。

  • 海藻類(ヨウ素含有)の過剰摂取は甲状腺ホルモンバランスに影響を与える可能性があるが、補充療法中は必要以上に摂取する必要はない。

  • レボチロキシンは妊娠中も使用できる。母体の甲状腺ホ ルモンが不足していると間接的に(胎盤の発育が悪くなるために)胎児に影響するのでむしろ必要である。

  • レボチロキシンの副作用として、頻脈などの甲状腺機能亢進症状が起こる場合があるため、患者に説明する必要がある。

  • 患者の食習慣や薬剤使用情報を聞き取り、吸収阻害および相互作用を考慮した適切な指導を行うことが重要である。


薬剤師国家試験 出題基準

出典: 薬剤師国家試験のページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

出題基準 000573951.pdf (mhlw.go.jp) 


論点を整理します。

■■GPT4o


総合的な論点


問 106-218 生物

本問では、処方された「レボチロキシンナトリウム水和物」による甲状腺機能低下症の治療メカニズムが問われています。
患者は橋本病による甲状腺機能低下症の状態にあり、以下のポイントが論点となります。

  1. 甲状腺ホルモンの役割とその調節機構:

    • 甲状腺ホルモン(T4およびT3)は代謝調節において重要であり、甲状腺刺激ホルモン(TSH)と甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)による負のフィードバック制御が関与します。

    • レボチロキシン(T4)は投与後にT3へ変換され、生理活性を発揮します。

  2. 患者の検査値:

    • 高TSH(20.2µU/mL)と低FT3(1.2pg/mL)および低FT4(0.5ng/dL)は、甲状腺機能低下症の典型的な所見で、ホルモン補充療法が適応される理由です。

  3. 治療効果と薬理作用:

    • レボチロキシン補充により血中T4濃度が上昇し、T3に変換されることで症状改善が期待されます。

    • 負のフィードバックによりTSH濃度が低下する可能性が高い。

正解の選択肢の根拠

  • 選択肢2:
    レボチロキシン(T4)は体内でT3に変換され、生理的に甲状腺ホルモン機能を補います。これは補充療法の主目的です。

  • 選択肢4:
    T4補充により、フィードバック機構でTSH濃度が低下するため正解です。

不正解の選択肢の論点

  • 選択肢1:
    ヨウ化物イオン取り込みは甲状腺濾胞細胞の機能に依存しますが、レボチロキシン投与はこれを直接亢進しません。

  • 選択肢3:
    T4分泌が増強されるわけではなく、外部から補充されるため誤りです。

  • 選択肢5:
    TRH濃度は負のフィードバックにより低下するため誤りです。

結論

本問は、甲状腺ホルモン補充療法の基本的なメカニズムとそのフィードバック制御を理解する必要があります。


各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法


選択肢1: 甲状腺濾胞細胞による血液中のヨウ化物イオンの取り込みが亢進する。

  • 論点:
    ヨウ化物イオンの取り込みは甲状腺ホルモン合成に必要な初期過程であり、甲状腺濾胞細胞が主導します。
    しかし、レボチロキシンは体外からホルモンを補充する薬剤であり、甲状腺自体の活動を亢進させる作用はありません。

  • アプローチ方法:
    レボチロキシンの作用は補充療法であり、甲状腺ホルモンの生理的役割を代替することを理解する。甲状腺濾胞細胞への影響は限定的です。
    選択肢1は誤り。


選択肢2: 処方薬が、徐々に代謝されて生じるT3により、甲状腺の機能が持続的に補われる。

  • 論点:
    レボチロキシンはT4(チロキシン)として補充され、体内の脱ヨウ素酵素によってT3(トリヨードチロニン)に変換されます。
    T3は活性型ホルモンであり、代謝促進やエネルギー産生の調節を担います。

  • アプローチ方法:
    レボチロキシンの生体内変換とT3の生理作用を理解することで、この選択肢が正しいことが確認できる。


選択肢3: 甲状腺濾胞からのT4分泌が増強される。

  • 論点:
    レボチロキシンは外因性に補充されるホルモンであり、甲状腺自体の分泌を直接刺激することはありません。
    むしろ、フィードバック機構で甲状腺刺激が減少することがあります。

  • アプローチ方法:
    補充療法の作用機序を理解することで、この選択肢が誤りであることを判断する。


選択肢4: 血中のTSH濃度が低下する。

  • 論点:
    レボチロキシン補充により、T4とそれに由来するT3の濃度が上昇し、下垂体のTSH分泌が負のフィードバックにより抑制されます。

  • アプローチ方法:
    ホルモンの調節メカニズムを理解し、フィードバック効果によるTSH低下が合理的であると判断する。


選択肢5: 血中の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)濃度が

上昇する。

  • 論点:
    TRHは視床下部から分泌されるホルモンであり、血中T4およびT3濃度が低い場合に上昇します。
    レボチロキシン補充後、T4/T3濃度上昇によりTRH濃度は低下する傾向があります。

  • アプローチ方法:
    ホルモン調節経路におけるTRHの役割を理解し、この選択肢が誤りであると判断する。


正答: 2, 4


Ref.

  1. Braverman, L. E., & Cooper, D. S. (2012). Werner & Ingbar's The Thyroid: A Fundamental and Clinical Text. 10th Edition. Lippincott Williams & Wilkins.

    • 甲状腺ホルモンの生合成と作用機序に関する包括的な解説。

  2. Ross, D. S., et al. (2016). Treatment of Primary Hypothyroidism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 101(12), 3853–3871.

    • レボチロキシン治療における推奨事項および作用メカニズム。

  3. Yen, P. M. (2001). Physiological and Molecular Basis of Thyroid Hormone Action. Physiological Reviews, 81(3), 1097–1142.

    • 甲状腺ホルモンの全身作用とそのフィードバック機構の解説。

  4. Nussey, S., & Whitehead, S. (2001). Endocrinology: An Integrated Approach. BIOS Scientific Publishers.

    • ホルモンフィードバック機構の基礎に関するリソース。


以上で、論点整理を終わります。
理解できたでしょうか?


大丈夫です。
完全攻略を目指せ!


はじめましょう。

薬剤師国家試験の薬学実践問題【複合問題】からレボチロキシン / 甲状腺ホルモン補充療法 / T4・T3 / TSH抑制を論点とした問題です。


なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形で GPT4o & Copilot 、Gemini 2、または Grok 2 が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。

生成AIの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。

Here we go.


第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問218-219

一般問題(薬学実践問題)


【物理・化学・生物、衛生/実務】

■複合問題|問 106-218-219

Q. 33歳女性。夫と2歳の娘との3人暮らし。2年前に慢性甲状腺炎(橋本病)と診断されて経過観察していたが、最近、疲れやすさ、皮膚の乾燥、便秘などの症状が現れるようになった。病院で検査を受けた結果、今回から薬物治療が開始になり、検査値が記載された処方箋を薬局に持参した。
(処方)
レボチロキシンナトリウム水和物錠25µg 1回1錠(1日1錠)
1日1回|朝食後|14日分
(検査値)
甲状腺刺激ホルモン(TSH)20.2µU/mL
遊離トリヨードサイロニン(FT3)1.2pg/mL
遊離サイロキシン(FT4)0.5ng/dL


物理・化学・生物

問 106-218|生物
Q. 甲状腺とその機能に関与するホルモンに対し処方薬がもたらす変化として正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢
1. 甲状腺濾胞細胞による血液中のヨウ化物イオンの取り込みが亢進する。
2. 処方薬が、徐々に代謝されて生じるT3により、甲状腺の機能が持続的に補われる。
3. 甲状腺濾胞からのT4分泌が増強される。
4. 血中のTSH濃度が低下する。
5. 血中の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)濃度が上昇する。


Here:

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-218-219【物理・化学・生物、衛生/実務】(1/2) 論点:レボチロキシン / 甲状腺ホルモン補充療法 / T4・T3 / TSH抑制|matsunoya


実務

問 106-219|実務
Q. 薬剤師は患者からの聞き取りで、ときどき市販の胃腸薬(スクラルファート含有)やサプリメント(鉄分含有)を服用することがあり、便秘予防にひじきなどの海藻類をよく食べるとの情報を得た。患者への指導として誤っているのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 薬物治療を行っている間は、海藻類を積極的に摂取してください。
2. 処方薬服用中であっても妊娠を避ける必要はありません。
3. 処方薬の影響で、脈が速くなることがあります。
4. 処方薬とスクラルファート含有胃腸薬を併用する場合は、服用間隔をできるだけあけてください。
5. 処方薬と鉄分含有サプリメントを併用する場合は、同時に服用しないでください。


解説はこちらからどうぞ。

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-218-219【物理・化学・生物、衛生/実務】(2/2) 論点:レボチロキシン / 吸収阻害 / ヨウ素 / 妊娠 / 甲状腺ホルモン|matsunoya


■■GPT4o


■問 106-218|生物

■論点|

この問題の論点は、レボチロキシンの薬理作用と甲状腺ホルモンの代謝および調節機構を特定することです。

■解説1|

処方薬が、徐々に代謝されて生じるT3により、甲状腺の機能が持続的に補われる。(選択肢2)[正しい]

  • レボチロキシン(T4)は体内でトリヨードサイロニン(T3)に代謝されます。T3は甲状腺ホルモンの活性型であり、生理作用を担います。

  • T3は細胞内で核内受容体に結合し、代謝調節や細胞成長に寄与します。このため、T4の補充療法は甲状腺機能低下症を効果的に補うと考えられます。

血中のTSH濃度が低下する。(選択肢4)[正しい]

  • レボチロキシンによるT4補充療法は、下垂体の甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を負のフィードバックで抑制します。

  • TSHの濃度低下は治療の目標でもあり、血中の適切なホルモンバランスを示します。

■解説2|

  • 選択肢2
    体内でT4がT3に変換される過程には主に肝臓や腎臓が関与します。この過程が正常である限り、患者の甲状腺機能を補完することが可能です。

  • 選択肢4
    TSH濃度は甲状腺ホルモンの治療効果を評価する指標として重要です。TSH低下は、患者が適切なホルモン補充を受けている証拠となります。

■結論|

選択肢2および選択肢4が正しい理由:
レボチロキシンの作用機序および甲状腺ホルモンのフィードバック制御によるものです。

■補足|

甲状腺濾胞細胞による血液中のヨウ化物イオンの取り込みが亢進する。(選択肢1)[誤り]

  • レボチロキシンは外因性ホルモンであり、甲状腺濾胞細胞のヨウ素取り込みを刺激しません。

甲状腺濾胞からのT4分泌が増強される。(選択肢3)[誤り]

  • レボチロキシンは体外供給されるため、甲状腺のT4分泌は亢進せず、むしろ抑制されます。

血中の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)濃度が上昇する。(選択肢5)[誤り]

  • レボチロキシン補充によりTSHが低下するため、TRHの分泌も通常低下します。


必須問題の解説は、こちらからどうぞ。

薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 必須問題 第106回-第109回 一覧 powered by Gemini 1.5 Pro, Google AI Studio & GPT4, Copilot|matsunoya (note.com)


薬学理論問題の解説は、こちらからどうぞ。

薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 薬学理論問題 第106回-第109回 一覧 powered by Gemini 1.5 Pro, GPT4o, Copilot, and Grok 2|matsunoya


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では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。


第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問218-219

一般問題(薬学実践問題)


【物理・化学・生物、衛生/実務】

■複合問題|問 106-218-219

Q. 33歳女性。夫と2歳の娘との3人暮らし。2年前に慢性甲状腺炎(橋本病)と診断されて経過観察していたが、最近、疲れやすさ、皮膚の乾燥、便秘などの症状が現れるようになった。病院で検査を受けた結果、今回から薬物治療が開始になり、検査値が記載された処方箋を薬局に持参した。
(処方)
レボチロキシンナトリウム水和物錠25µg 1回1錠(1日1錠)
1日1回|朝食後|14日分
(検査値)
甲状腺刺激ホルモン(TSH)20.2µU/mL
遊離トリヨードサイロニン(FT3)1.2pg/mL
遊離サイロキシン(FT4)0.5ng/dL


物理・化学・生物

問 106-218|生物
Q. 甲状腺とその機能に関与するホルモンに対し処方薬がもたらす変化として正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢
1. 甲状腺濾胞細胞による血液中のヨウ化物イオンの取り込みが亢進する。
2. 処方薬が、徐々に代謝されて生じるT3により、甲状腺の機能が持続的に補われる。
3. 甲状腺濾胞からのT4分泌が増強される。
4. 血中のTSH濃度が低下する。
5. 血中の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)濃度が上昇する。


Here:

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-218-219【物理・化学・生物、衛生/実務】(1/2) 論点:レボチロキシン / 甲状腺ホルモン補充療法 / T4・T3 / TSH抑制|matsunoya


実務

問 106-219|実務
Q. 薬剤師は患者からの聞き取りで、ときどき市販の胃腸薬(スクラルファート含有)やサプリメント(鉄分含有)を服用することがあり、便秘予防にひじきなどの海藻類をよく食べるとの情報を得た。患者への指導として誤っているのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 薬物治療を行っている間は、海藻類を積極的に摂取してください。
2. 処方薬服用中であっても妊娠を避ける必要はありません。
3. 処方薬の影響で、脈が速くなることがあります。
4. 処方薬とスクラルファート含有胃腸薬を併用する場合は、服用間隔をできるだけあけてください。
5. 処方薬と鉄分含有サプリメントを併用する場合は、同時に服用しないでください。


解説はこちらからどうぞ。

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