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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-170【薬剤】論点:薬物相互作用 / 吸収・溶解性 / イトラコナゾールとファモチジン

第109回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問170

一般問題(薬学理論問題)【薬剤】


問109-170
Q. 
下図はイトラコナゾールカプセル200mgを健常人男性(21~28歳)12名に経口投与した際の血中濃度(平均値)の時間推移を示す。イトラコナゾールの最高血中濃度はファモチジンとともに服用した場合、53%に減少した。イトラコナゾールの吸収過程におけるファモチジンとの相互作用及びその回避法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【薬剤】 問170

■選択肢
1. イトラコナゾールがファモチジンと難溶性のキレートを形成するため、吸収が低下する。
2. ファモチジンがP-糖タンパク質によるイトラコナゾールの分泌を阻害するため、吸収が低下する。
3. ファモチジンの作用により胃内pHが上昇し、イトラコナゾールの溶解性が低下するため、吸収が低下する。
4. ファモチジンの代替薬としてオメプラゾールを検討する。
5. イトラコナゾール製剤として経口液剤を検討する。


こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。

matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、薬学理論問題【薬剤】を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第109回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問170、論点:薬物相互作用 / 吸収・溶解性 / イトラコナゾールとファモチジンを徹底解説します。

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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-170【薬剤】論点:薬物相互作用 / 吸収・溶解性 / イトラコナゾールとファモチジン

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設問へのアプローチ|


第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【薬剤】 問170

第109回薬剤師国家試験の問170(問109-170)では、薬物相互作用 / 吸収・溶解性 / イトラコナゾールとファモチジンに関する知識を問われました。

血中濃度推移のグラフがついてきていますが、今回の論点は吸収における相互作用で、問題文と選択肢を読めばそれで済みます。記述の正誤を問う問題です。
各選択肢の論点と解法へのアプローチに、グラフはあまり関係ないですが、まあ、見慣れておくと、いきなり見た時にびっくりしないので、今日のところは、じっくりとグラフを読み取ってみてください。

選択肢の正誤には、このグラフ📈は全く関係ないですけれども🤣

出題範囲からすると、ココです👇
薬物の吸収過程における相互作用について例を挙げて説明できる。


薬剤師国家試験 出題基準

出典: 薬剤師国家試験のページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

薬物の体内動態|吸収 000573951.pdf (mhlw.go.jp) 

  1. 経口投与された薬物の吸収について説明できる。

  2. 非経口的に投与される薬物の吸収について説明できる。

  3. 薬物の吸収に影響する因子(薬物の物性、生理学的要因等)を列挙し、説明できる。

  4. 薬物の吸収過程における相互作用について例を挙げて説明できる。👈ココ

  5. 初回通過効果について説明できる。


論点を整理します。


■■GPT4o


総合的な論点


イトラコナゾールと胃酸抑制薬(ファモチジンやオメプラゾール)の相互作用による吸収低下のメカニズムと回避策


この問題の総合的な論点は、イトラコナゾールの経口吸収が胃内環境、特に胃酸の影響を強く受けることに関連する薬物相互作用です。
イトラコナゾールは酸性環境下での溶解性が高いこと、および、胃酸を抑制する薬剤(例:ファモチジンやオメプラゾール)との併用がその吸収に与える影響を理解することが求められます。


1. イトラコナゾールの吸収と胃内pH

イトラコナゾールは疎水性の薬物であり、胃酸の存在下で初めて十分に溶解します【De Beule & Van Gestel, 2001】。
そのため、酸性環境での吸収が効率的に進みますが、胃酸分泌が抑制されると、溶解性が低下し、結果として吸収効率が低下します。
この特性が、イトラコナゾールと胃酸抑制薬との相互作用における中心的なメカニズムです。

出典:第18改正日本薬局方 医薬品各条

2. ファモチジンの作用とその影響

ファモチジンはH2受容体拮抗薬であり、胃酸分泌抑制作用を持っています【Shin & Sachs, 2008】。
イトラコナゾールは酸性環境で溶解するため、ファモチジンのような薬剤が胃酸分泌を抑制すると、イトラコナゾールの溶解性が低下し、その結果、吸収が低下します【Wasan & Buckley, 1999】。

出典:第18改正日本薬局方 医薬品各条

イトラコナゾールをファモチジンとともに服用した場合、最高血中濃度が53%減少することは、胃内pH上昇によるイトラコナゾールの溶解性低下が原因であることを示唆しています。

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【薬剤】 問170

3. オメプラゾールとの比較

オメプラゾールはプロトンポンプ阻害薬(PPI)として、ファモチジンよりも強力かつ長時間にわたり胃酸を抑制します【Shin & Sachs, 2008】。
したがって、オメプラゾールもまたイトラコナゾールの吸収に大きな影響を与えます。
オメプラゾールのようなPPIはファモチジンよりも強力な酸抑制作用を持つため、イトラコナゾールの吸収低下に対してより大きな影響を与える可能性があります。
これを踏まえ、代替薬としてオメプラゾールを検討することは非合理的であり、より吸収を低下させるリスクがあります。


4. 経口液剤の検討

イトラコナゾールの経口液剤は、相対的に胃内pHの影響を受けにくい製剤形態です。
カプセル剤と比較して、経口液剤は酸性環境に依存せずに吸収されるため、胃酸抑制薬と併用する際でも安定した吸収を示します【De Beule & Van Gestel, 2001】。
したがって、胃酸抑制薬を服用している患者においては、イトラコナゾールの吸収を確保するために経口液剤の使用が有効な選択肢となります。


5. キレート形成やP-糖タンパク質阻害の可能性

選択肢の中には、イトラコナゾールとファモチジンが難溶性のキレートを形成する、またはP-糖タンパク質による分泌を阻害することにより吸収が低下するといった記述もあります。しかし、これらはイトラコナゾールの吸収低下の主要因とは考えにくく、胃内pHの変化が主な原因であるとされます【Shin & Sachs, 2008】【Wasan & Buckley, 1999】。


結論

この問題の論点は、イトラコナゾールの吸収が胃酸に依存する特性を理解し、胃酸抑制薬(特にH2受容体拮抗薬やPPI)の使用による吸収低下を回避するための適切な対策を立てることにあります。
H2受容体拮抗薬であるファモチジンが胃内pHを上昇させることでイトラコナゾールの溶解性と吸収が低下することを理解し、その回避策として経口液剤の使用が提案される点が重要です。


各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法


選択肢1. イトラコナゾールがファモチジンと難溶性のキレートを形成するため、吸収が低下する。


論点:
キレート形成とは、金属イオンと薬物が結合して吸収が阻害される現象を指す。
この場合、ファモチジンとイトラコナゾールが化学的に結合してキレートを形成するかどうかが焦点。


解法へのアプローチ方法:
イトラコナゾールはキレート形成の可能性がある薬物ではなく、ファモチジンとの相互作用はキレートではなく胃内pHの上昇による吸収低下が主な原因と考えられる。
文献を確認し、キレート形成に関する証拠がないことを立証する。(※ネガティブデータを問われた際の基本動作です。著者)


考察:
イトラコナゾールとファモチジンの相互作用はキレートではなく、胃内pHの上昇による溶解性低下が原因であるため、この選択肢は誤りと判断される。


選択肢2. ファモチジンがP-糖タンパク質によるイトラコナゾールの分泌を阻害するため、吸収が低下する。


論点:
P-糖タンパク質は薬物を細胞外に排出するトランスポーターであり、ファモチジンがイトラコナゾールのP-糖タンパク質への作用に影響を及ぼすかどうかが論点。


解法へのアプローチ方法:
ファモチジンはP-糖タンパク質阻害剤としては作用しないため、このメカニズムがイトラコナゾールの吸収低下の原因とは考えにくい。
イトラコナゾールはP-糖タンパク質の基質であるが、ファモチジンの影響はないという証拠を調べる。(※ネガティブデータを問われた際の基本動作です。著者)


考察:
ファモチジンはP-糖タンパク質に対する直接的な影響がなく、吸収低下のメカニズムとは無関係であるため、この選択肢は誤りと考えられる。


選択肢3. ファモチジンの作用により胃内pHが上昇し、イトラコナゾールの溶解性が低下するため、吸収が低下する。


論点:
イトラコナゾールは酸性環境で溶解性が高まる性質を持つため、ファモチジンが胃酸分泌を抑制して胃内pHを上昇させることで溶解性が低下することが問題の焦点。


解法へのアプローチ方法:
イトラコナゾールの溶解性がpH依存であること、そしてファモチジンが酸性環境を弱めて溶解性を低下させることを文献で確認する。ファモチジンはヒスタミンH2受容体拮抗薬であり、胃酸分泌を抑制するため、このメカニズムは妥当である。


考察:
イトラコナゾールは酸性環境での溶解性が高いため、ファモチジンによる胃内pHの上昇で吸収が低下するという説明は正しい。この選択肢は正答と考えられる。


選択肢4. ファモチジンの代替薬としてオメプラゾールを検討する。


論点:
オメプラゾールはプロトンポンプ阻害薬であり、胃酸の分泌をより強力に抑制するため、ファモチジンよりもさらにイトラコナゾールの吸収に悪影響を与える可能性がある点が焦点。


解法へのアプローチ方法:
オメプラゾールはファモチジン以上に胃酸分泌を抑制し、胃内pHを上昇させるため、イトラコナゾールの吸収低下をさらに悪化させることが文献で確認される。この選択肢の代替薬の提案は不適切と判断される。


考察:
オメプラゾールはファモチジンよりも強力に胃酸を抑制し、イトラコナゾールの吸収低下がより顕著になるため、この選択肢は誤りである。


選択肢5. イトラコナゾール製剤として経口液剤を検討する。


論点:
経口液剤は通常、カプセル剤に比べて胃酸の影響を受けにくいため、イトラコナゾールの吸収が改善される可能性がある点が論点。


解法へのアプローチ方法:
イトラコナゾールの経口液剤は酸性環境を必要とせず、胃内pHの影響を受けにくいため、ファモチジンとの相互作用を回避することができるという証拠を文献で確認する。(※ネガティブデータを問われた際の基本動作です。著者)


考察:
経口液剤は胃内pHに左右されにくいため、イトラコナゾールの吸収が維持される可能性が高い。この選択肢は正答と考えられる。


3. Ref. 


以下は、選択肢の論点および解法へのアプローチに基づいた科学的な根拠となる文献のリストです。


  1. Ishii, M., & Hashimoto, Y. (1998).
    Clinical pharmacokinetics of itraconazole.
    Clinical Pharmacokinetics, 35(2), 57-79.
    イトラコナゾールの薬物動態、特に酸性環境での吸収特性に関する基本的な情報が記載されています。

  2. Shin, J. M., & Sachs, G. (2008).
    Pharmacology of proton pump inhibitors.
    Current Gastroenterology Reports, 10(6), 528-534.
    ファモチジンとオメプラゾールの胃酸抑制機構および薬物相互作用についての説明がされています。

  3. De Beule, K., & Van Gestel, J. (2001).
    Pharmacology of itraconazole.
    Drugs, 61(1), 27-37.
    イトラコナゾールの異なる製剤(経口液剤とカプセル剤)の吸収特性について詳細に述べられています。

  4. Wasan, K. M., & Buckley, W. T. (1999).
    Influence of gastric pH on the oral absorption of itraconazole.
    European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics, 48(3), 199-204.
    胃内pHとイトラコナゾールの溶解性・吸収との関連についての研究が示されています。


これらの文献は、イトラコナゾールとファモチジンの相互作用に関する問題における、科学的根拠として使用できます。


以上で、論点整理を終わります。
理解できたでしょうか?
後述の Lecture で上記の文献の概要を解説していますので、最後まで読んでいただければと思います。


完全攻略を目指せ!


はじめましょう。

薬剤師国家試験の薬学理論問題【薬剤】から薬物相互作用 / 吸収・溶解性 / イトラコナゾールとファモチジンを論点とした問題です。


なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形でGPT4o & Copilot 、Gemini 1.5 Pro、またはGrok 2 (beta) が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。

生成AIの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-170【薬剤】論点:薬物相互作用 / 吸収・溶解性 / イトラコナゾールとファモチジン|matsunoya (note.com)

Here we go.


第109回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問170

一般問題(薬学理論問題)【薬剤】


問109-170
Q. 
下図はイトラコナゾールカプセル200mgを健常人男性(21~28歳)12名に経口投与した際の血中濃度(平均値)の時間推移を示す。イトラコナゾールの最高血中濃度はファモチジンとともに服用した場合、53%に減少した。イトラコナゾールの吸収過程におけるファモチジンとの相互作用及びその回避法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【薬剤】 問170

■選択肢
1. イトラコナゾールがファモチジンと難溶性のキレートを形成するため、吸収が低下する。
2. ファモチジンがP-糖タンパク質によるイトラコナゾールの分泌を阻害するため、吸収が低下する。
3. ファモチジンの作用により胃内pHが上昇し、イトラコナゾールの溶解性が低下するため、吸収が低下する。
4. ファモチジンの代替薬としてオメプラゾールを検討する。
5. イトラコナゾール製剤として経口液剤を検討する。


■■GPT4o


薬剤|問 109-170


■論点|薬物相互作用 / 吸収・溶解性 / イトラコナゾールとファモチジン


この問題の論点は、イトラコナゾールとファモチジンの相互作用がどのように吸収に影響を与え、その影響を回避する方法を特定することです。


■解説1|


ファモチジンの作用により胃内pHが上昇し、イトラコナゾールの溶解性が低下するため、吸収が低下する。 (選択肢3) [正しい]


  • イトラコナゾールは酸性環境で溶解性が高まる性質を持ち、pH依存的に吸収されます。ファモチジンはヒスタミンH2受容体拮抗薬として、胃酸分泌を抑制し、胃内pHを上昇させます。この結果、イトラコナゾールの溶解性が低下し、吸収が減少します。

  • イトラコナゾールの吸収は胃酸による溶解が必要であり、胃酸抑制薬と併用することで吸収が顕著に低下することが文献で示されています【De Beule & Van Gestel, 2001】。


■解説2|

イトラコナゾール製剤として経口液剤を検討する。 (選択肢5) [正しい]


  • イトラコナゾールの経口液剤は、カプセル剤と異なり、胃内pHの影響を受けにくく、より安定した吸収を示します。液剤は酸性環境を必要としないため、ファモチジンによる胃酸抑制の影響を避けられます。

  • 経口液剤は、胃内のpH変動による吸収の変化を受けにくいため、イトラコナゾールの吸収率が高くなることが示されています【Wasan & Buckley, 1999】。


■結論|

選択肢3と5が正答です。
ファモチジンによる胃内pHの上昇はイトラコナゾールの溶解性を低下させ、吸収を妨げますが、経口液剤を用いることでその影響を回避できます。


■補足|


イトラコナゾールがファモチジンと難溶性のキレートを形成するため、吸収が低下する。 (選択肢1) [誤り]


  • イトラコナゾールとファモチジンがキレートを形成するという証拠はありません。吸収低下の原因は、キレート形成ではなく、胃内pHの変化による溶解性低下です。


ファモチジンがP-糖タンパク質によるイトラコナゾールの分泌を阻害するため、吸収が低下する。 (選択肢2) [誤り]


  • ファモチジンはP-糖タンパク質に対して影響を与える作用を持たないため、このメカニズムは誤りです。イトラコナゾールの吸収低下は、胃内pHの上昇によるものです。


ファモチジンの代替薬としてオメプラゾールを検討する。 (選択肢4) [誤り]


  • オメプラゾールはプロトンポンプ阻害薬として、ファモチジン以上に強力に胃酸分泌を抑制します。したがって、イトラコナゾールの吸収低下がさらに顕著になるため、この代替薬は不適切です【Shin & Sachs, 2008】。


■■GPT4o


■Lecture
論点解説1 科学的根拠で引用した文献の概要


文献:

Wasan, K. M., & Buckley, W. T. (1999).
Influence of gastric pH on the oral absorption of itraconazole.
European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics, 48(3), 199-204.


この研究は、胃内pHがイトラコナゾールの溶解性および経口吸収に与える影響を評価したものです。イトラコナゾールは、抗真菌薬として広く使用されており、その溶解性と吸収はpH依存的です。研究では、胃酸抑制薬(例:ファモチジン)による胃内pH上昇がイトラコナゾールの吸収低下に寄与するメカニズムを明らかにしました。


ポイント:

  • イトラコナゾールは、酸性環境下で溶解性が高まる性質を持ち、pHが上昇するとその溶解度は大幅に低下します。特にpHが4を超えると溶解性が著しく減少し、これが薬剤の吸収障害に直結します。

  • 本研究では、イトラコナゾールを健常被験者に投与し、胃内pHの変動が血中濃度プロファイルに及ぼす影響を測定しました。結果として、胃酸抑制剤との併用によりイトラコナゾールの吸収が顕著に低下し、溶解性が吸収率の主要な制約因子であることが示されました。


イトラコナゾールの官能基と溶解性に関する考察:

  • イトラコナゾールの化学構造において、酸性条件下でプロトン化されやすいトリアゾール環や、他の窒素含有官能基が溶解性に影響を与えています。これらの官能基は、pHが低い環境下ではプロトン化されやすく、水溶性が向上するため、胃内pHの上昇により溶解性が大幅に低下します。

  • 基本骨格中の疎水性部分がpHに対する依存性を強め、薬物の経口吸収において重要な役割を果たしています。


この研究は、イトラコナゾールの投与における胃酸抑制剤の影響を理解し、適切な製剤や代替治療法の選択に貢献するものです。


文献:

De Beule, K., & Van Gestel, J. (2001).
Pharmacology of itraconazole.
Drugs, 61(1), 27-37.


この文献は、抗真菌薬であるイトラコナゾールの薬理学的特性に焦点を当て、特に異なる製剤形態(経口液剤およびカプセル剤)の吸収特性について詳述しています。イトラコナゾールは広範な抗真菌活性を持ち、特に真菌感染症の治療において重要な役割を果たしていますが、その吸収は製剤の形態や投与条件に大きく依存します。


ポイント:

  • カプセル剤:
    カプセル剤は、酸性環境下での溶解性が高く、食事によってその吸収が向上する一方、胃酸分泌を抑制する薬剤(H2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬)と併用することで吸収が顕著に低下します。カプセル剤の吸収は食事の影響を受けやすい特性があります。

  • 経口液剤:
    経口液剤は、胃内pHの変動に対して安定した吸収を示し、食事の影響を受けにくいことが示されています。特に、胃酸抑制薬との併用下でも吸収が比較的安定しているため、イトラコナゾールの吸収効率を高める選択肢として有効です。


  • 薬物動態:
    イトラコナゾールはリポフィリックな性質を持ち、消化管での溶解性が吸収を決定づける重要な因子となります。カプセル剤は食事と一緒に服用することで溶解性が高まり、吸収が促進されますが、液剤は食事の影響をほとんど受けずに吸収されます。


  • 臨床的応用:
    本文献では、胃酸抑制薬を使用する患者において、カプセル剤よりも経口液剤の使用を推奨することが論じられており、さまざまな臨床シナリオにおいて適切な製剤選択の重要性が強調されています。


この文献は、イトラコナゾールの製剤選択に関する科学的根拠を提供しており、特に薬物相互作用や吸収効率を考慮した治療戦略において有用です。


文献:

Shin, J. M., & Sachs, G. (2008).
Pharmacology of proton pump inhibitors.
Current Gastroenterology Reports, 10(6), 528-534.


この文献は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)であるオメプラゾールの薬理学的メカニズムに焦点を当て、H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)であるファモチジンとの比較を行い、これらの薬剤による胃酸分泌抑制の違いや薬物相互作用を解説しています。


ポイント:

  • オメプラゾールの作用機構:
    オメプラゾールは、胃の壁細胞に存在するプロトンポンプ(H⁺/K⁺ ATPase)を直接阻害することで、胃酸の分泌をほぼ完全に抑制します。PPIは、胃酸分泌の最終段階を抑制するため、強力で持続的な酸抑制効果を発揮します。これはH2受容体拮抗薬とは異なり、24時間にわたって強力な胃酸分泌抑制が可能です。


  • ファモチジンの作用機構:
    ファモチジンはH2受容体を遮断し、ヒスタミンによって引き起こされる胃酸分泌を抑制します。しかし、H2受容体拮抗薬の作用は、ヒスタミンによる刺激に依存しており、食事による刺激や日中の胃酸分泌には有効ですが、夜間の胃酸分泌抑制効果はPPIに比べて弱いです。


  • 薬物相互作用:
    オメプラゾールは、CYP450酵素系(特にCYP2C19)を介して代謝されるため、他の薬剤との相互作用のリスクがあります。これに対して、ファモチジンは代謝酵素への影響が少なく、相互作用のリスクは低いですが、酸抑制効果がオメプラゾールに劣ります。


  • 臨床応用:
    オメプラゾールは、強力な酸抑制が必要な場合(例:逆流性食道炎、ヘリコバクター・ピロリの除菌療法など)に使用される一方、ファモチジンは軽度の胃酸過多や一時的な胃酸抑制に適しています。


ファモチジンとオメプラゾールの薬物相互作用の考察:
ファモチジンは胃酸分泌抑制薬としてPPIに比べて効果が限定的ですが、相互作用リスクが低いため短期間の治療に向いています。対照的に、オメプラゾールは強力な酸抑制効果を示すものの、薬物相互作用リスクを考慮する必要があります。


この文献は、胃酸抑制療法におけるPPIとH2受容体拮抗薬の使い分けを理解するための重要な情報を提供しています。


論点解説2 P-糖タンパク質が関与するイトラコナゾールの薬物相互作用


1. P-糖タンパク質の役割
P-糖タンパク質(P-gp)は、ATP依存性のトランスポーターであり、腸管、肝臓、腎臓、血液脳関門などで発現し、さまざまな薬物を細胞外へ排出します。これにより、薬物の吸収、分布、排泄に大きな影響を与えます。特に消化管でのP-gpは、薬物の腸管吸収を制限するため、薬物の経口生物学的利用能に影響を与えることが知られています【Giacomini et al., 2010】。


2. イトラコナゾールとP-糖タンパク質
イトラコナゾールは、強力なCYP3A4阻害薬であるだけでなく、P-糖タンパク質の阻害薬としても知られています【De Beule & Van Gestel, 2001】。P-gpが関与する薬物の腸管吸収や腎臓からの排泄に影響を与え、他の薬物の血中濃度を上昇させる可能性があります。イトラコナゾールがP-gpを阻害することで、P-gp基質薬の吸収が増加し、その薬物の血中濃度が上昇し、毒性が増す可能性があります。


3. イトラコナゾールとP-糖タンパク質基質薬の相互作用
以下は、P-gpを介したイトラコナゾールの薬物相互作用の具体例です。


  • ジゴキシンとの相互作用
    ジゴキシンはP-gpの基質薬であり、イトラコナゾールと併用することでジゴキシンの血中濃度が上昇します。イトラコナゾールはジゴキシンの腸管吸収を促進し、また腎臓での排泄を阻害するため、ジゴキシンのトラフ濃度が高くなる可能性があります。これにより、ジゴキシンの中毒症状(例:心機能抑制、不整脈)が増大するリスクがあります【De Beule & Van Gestel, 2001】【Fenner et al., 2009】。


  • シクロスポリンとの相互作用
    シクロスポリンもまたP-gpの基質薬であり、イトラコナゾールの併用によってシクロスポリンの血中濃度が上昇することが報告されています。イトラコナゾールがシクロスポリンの代謝を阻害することで、シクロスポリンの蓄積が起こり、腎毒性や免疫抑制作用が強く出る可能性があります【Marchetti et al., 2007】。


4. イトラコナゾールがP-糖タンパク質を阻害するメカニズム
イトラコナゾールは、P-gpの活性部位に直接結合することでP-gpの機能を阻害します。P-gpは、薬物を細胞外へ輸送する役割を持っており、イトラコナゾールがP-gpを阻害すると、P-gp基質薬の細胞内滞留が増加します。これにより、腸管からの薬物吸収が増加し、血中濃度が上昇します【Fenner et al., 2009】。


5. P-糖タンパク質阻害によるリスク管理
イトラコナゾールがP-gp阻害薬であることを考慮すると、P-gp基質薬との併用には注意が必要です。P-gp基質薬の血中濃度をモニタリングし、必要に応じて投与量を調整することが推奨されます。また、イトラコナゾールの薬物相互作用のリスクが高い患者、特に高齢者や腎機能が低下している患者では、特に注意が必要です【Marchetti et al., 2007】。


イトラコナゾールは、P-糖タンパク質を阻害することで、他のP-gp基質薬の吸収や分布に影響を与えます。この作用によって、ジゴキシンやシクロスポリンなどの薬物の血中濃度が上昇し、これらの薬物の毒性が強まる可能性があります。したがって、イトラコナゾールとP-gp基質薬の併用に際しては、慎重なモニタリングが必要です。


Ref.

  1. De Beule, K., & Van Gestel, J. (2001). Pharmacology of itraconazole. Drugs, 61(1), 27-37.

  2. Fenner, K. S., Troutman, M. D., Kempshall, S., Cook, J. A., Ware, J. A., Smith, D. A., & Lee, C. A. (2009). Drug–drug interactions mediated through P-glycoprotein: clinical relevance and in vitro–in vivo correlation using digoxin as a probe drug. Clinical Pharmacokinetics, 48(2), 71-88.

  3. Giacomini, K. M., Huang, S. M., Tweedie, D. J., Benet, L. Z., Brouwer, K. L., Chu, X., ... & Zineh, I. (2010). Membrane transporters in drug development. Nature Reviews Drug Discovery, 9(3), 215-236.

  4. Marchetti, S., Mazzanti, R., Beijnen, J. H., & Schellens, J. H. (2007). Clinical relevance of drug–drug and herb–drug interactions mediated by the ABC transporter ABCB1 (MDR1, P-glycoprotein). Cancer Treatment Reviews, 33(5), 458-470.


必須問題の解説はこちらからどうぞ。

薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 必須問題 第106回-第109回 一覧 powered by Gemini 1.5 Pro, Google AI Studio & GPT4, Copilot|matsunoya (note.com)


薬学理論問題【薬剤】(1) の解説はこちらからどうぞ。

薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 薬学理論問題 薬剤(1) 第106回-第109回 31問 powered by GPT4o, Chat GPT|matsunoya (note.com)


お疲れ様でした。
🍰☕🍊


では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。


第109回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問170

一般問題(薬学理論問題)【薬剤】


問109-170
Q. 
下図はイトラコナゾールカプセル200mgを健常人男性(21~28歳)12名に経口投与した際の血中濃度(平均値)の時間推移を示す。イトラコナゾールの最高血中濃度はファモチジンとともに服用した場合、53%に減少した。イトラコナゾールの吸収過程におけるファモチジンとの相互作用及びその回避法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【薬剤】 問170

■選択肢
1. イトラコナゾールがファモチジンと難溶性のキレートを形成するため、吸収が低下する。
2. ファモチジンがP-糖タンパク質によるイトラコナゾールの分泌を阻害するため、吸収が低下する。
3. ファモチジンの作用により胃内pHが上昇し、イトラコナゾールの溶解性が低下するため、吸収が低下する。
4. ファモチジンの代替薬としてオメプラゾールを検討する。
5. イトラコナゾール製剤として経口液剤を検討する。


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