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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 109-208-209【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:エストロゲン補充療法 / 血栓症 / 乳がん・子宮がん / 加味逍遙散 / サンシシ / 腸間膜静脈硬化症

第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問208-209

一般問題(薬学実践問題)


【物理・化学・生物、衛生/実務】

■複合問題|問 109-208-209

Q. 55歳女性(閉経後)。身長160cm、体重52kg。血圧135/70mmHg。高血圧症にて、処方1の薬剤を服用している。
(処方1)
アジルサルタン錠20mg|1回1錠(1日1錠)|
1日1回|朝食後|14日分|
今回、1ケ月前よりほてりや発汗、不眠症状等があり、更年期障害を疑い婦人科クリニックを受診した。その後、以下の追加処方箋を持参して、かかりつけ薬局を訪れた。
(処方2)
結合型エストロゲン錠0.625mg 1回1錠(1日1錠)|
1日1回|朝食後|14日分|


実務

問 109-208|実務
Q. 処方2の薬剤の服用開始にあたり、患者への説明内容として適切でないのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 下肢の疼痛・浮腫、息切れ等が出現した際は、連絡すること。
2. 血圧が低下する場合があること。
3. 手術前には休薬を検討する必要があること。
4. 投与開始後は、定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行う必要があること。
5. 骨折のリスクが上がること。


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物理・化学・生物

問 109-209|化学
Q. 後日、同患者が再び来局し、不安やイライラが強いことから漢方薬を紹介してほしいと依頼された。この患者に加味逍遙散(注)を紹介したが、この漢方薬を長期服用する場合、留意すべき副作用として腸間膜静脈硬化症が報告されている。
(注)サイコ、シャクヤク、トウキ、ソウジュツ、ブクリョウ、サンシシ、ボタンピ、カンゾウ、ショウキョウ、ハッカから構成される処方
この副作用の原因と考えられる生薬として正しいのはどれか。1つ選べ。なお、写真左下のスケールバーは1cmである。

第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 / 問208-209

■選択肢
1. 1
2. 2
3. 3
4. 4
5. 5


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このコンテンツの制作者|

滝沢 幸穂  Yukiho Takizawa, PhD

https://www.facebook.com/Yukiho.Takizawa

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設問へのアプローチ|

薬学実践問題は原本で解いてみることをおすすめします。
まずは、複合問題や実務の問題の構成に慣れることが必要だからです。
薬学実践問題は薬剤師国家試験2日目の①、②、③ の3部構成です。
今回の論点解説では2日目を取り上げています。


厚生労働省|過去の試験問題👇

第109回(令和6年2月17日、2月18日実施)
第108回(令和5年2月18日、2月19日実施)
第107回(令和4年2月19日、2月20日実施)
第106回(令和3年2月20日、2月21日実施)


第109回薬剤師国家試験 問208-209(問109-208-209)では、天然物由来の医薬品(結合型エストロゲン、漢方薬)に関する知識を化学および実務のそれぞれの科目の視点から複合問題として問われました。


複合問題は、各問題に共通の冒頭文とそれぞれの科目別の連問で構成されます。
冒頭文は、問題によっては必要がない情報の場合もあるため、最初に読まずに、連問すべてと選択肢に目を通してから、必要に応じて情報を取得するために読むようにすると、時間のロスが防げます。
1問、2分30秒で解答できればよいので、いつも通り落ち着いて一問ずつ別々に解けば大丈夫です。
出題範囲は、それぞれの科目別の出題範囲に準じています。
連問と言ってもめったに連動した問題は出ないので、平常心で取り組んでください。


💡ワンポイント

複合問題ですが、問109-208-209を解くうえで必要な情報は、黄色い線で示した部分です。
それ以外の情報取得は必要がないです。読んでいると時間のロスに繋がります。

問109-208-209 論点解説|matsunoya_note

問109-208は、結合型エストロゲンに関する記述の正誤を問う問題です。
医療用医薬品添付文書とホルモン補充療法(HRT)の理解が必要です。
問109-209は、漢方薬の副作用(腸間膜静脈硬化症)の原因とされる生薬(サンシシ)に関する記述の正誤を問う問題です。
医療用医薬品添付文書と生薬の理解が必要です。

冒頭文で必要な情報は、
処方2(結合型エストロゲン)
です。


問109-209 では、写真から「サンシシ(山梔子):クチナシの果実」を選べばいいので、木の皮や根っこ関係は除外できるというアプローチがあります。

ただし、サンシシに起因する副作用(腸間膜静脈硬化症)を知識として持っていなければ選べません。
薬学生がコアカリキュラムの範囲で、山梔子に起因する副作用を知っているべきか、疑問が残ります。🤔
薬剤師国家試験の出題基準におけるコアカリキュラムの出題範囲として適格性があるかはレビュワーが責任者に差し戻して、照会または審査をするプロセスが必要です。

2013年と2018年、サンシシが配合された漢方薬およびサンシシの医療用医薬品添付文書が改訂されました。
使用上の注意改訂情報として指示されています。

[重要な基本的注意]の項に

 「サンシシ含有製剤の長期投与(多くは5年以上)により、大腸の色調異
  常、浮腫、びらん、潰瘍、狭窄を伴う腸間膜静脈硬化症があらわれるお
  それがある。長期投与する場合にあっては、定期的にCT、大腸内視鏡等
  の検査を行うことが望ましい。」

を追記し、[副作用]の「重大な副作用」の項に

 「腸間膜静脈硬化症:
  長期投与により、腸間膜静脈硬化症があらわれることがある。腹痛、下
  痢、便秘、腹部膨満等が繰り返しあらわれた場合、又は便潜血陽性にな
  った場合には投与を中止し、CT、大腸内視鏡等の検査を実施するととも
  に、適切な処置を行うこと。なお、腸管切除術に至った症例も報告され
  ている。」

を追記する。

使用上の注意改訂情報(平成25年8月6日指示分) | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
使用上の注意改訂情報(平成30年2月13日指示分) | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

出典:
使用上の注意改訂情報(平成25年8月6日指示分) | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
使用上の注意改訂情報(平成30年2月13日指示分) | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構


生薬を写真から特定するのは、難しいです。
天然物ですし、しかも木の皮や木の根っこや果実ですから当然です。
木の皮か、根っこか、果実か、種子なのかくらいは覚えておくとヒントになります。
写真の判別のコツとしては、輪郭線とその中の面の質感で判断するとよいです。フィーリングですね。🫥

第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 / 問208-209

選択肢:
1. ボタンピ (根皮)
2. サンシシ (果実)
3. ショウキョウ (根茎)
4. カンゾウ (根及びストロン)
5. サイシン (根および根茎)
※ それぞれの生薬は、あくまでも、著者個人の推定です。

下記の生薬一覧が参考になるかもしれません。
参考資料:
生薬ファイル|生薬を知れば漢方がさらにわかる!|漢方セラピー|クラシエ
生薬辞典 アーカイブ | 漢方ビュー 漢方のポータルサイト
生薬一覧監修:株式会社ツムラ 生薬本部 生薬研究所 shouyaku_list.pdf


第十八改正日本薬局方 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
からサンシシの起源と性状を引用します。


サンシシ Gardenia Fruit GARDENIAE FRUCTUS

山梔子
本品はクチナシGardenia jasminoides Ellis (Rubiaceae) の果実で,ときには湯通し又は蒸したものである.
本品は定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,ゲニポシド2.7%以上を含む.
生薬の性状
本品はほぼ長卵形~卵形を呈し,長さ1 ~ 5 cm,幅1 ~ 1.5 cmである.外面は黄褐色~黄赤色で,通例6本,まれに5本又は7本の明らかな隆起線がある.一端にはがく又はその跡があり,他端には果柄を付けているものもある.果皮の内面は黄褐色を呈し,平らで艶がある.内部は2室で,黄赤色~暗赤色の胎座に種子の団塊が付く.種子はほぼ円形で扁平,長径約0.5 cmで,黒褐色又は黄赤色である. 本品は弱いにおいがあり,味は苦い.

出典: 第18改正日本薬局方 医薬品各条 生薬等 
第十八改正日本薬局方 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 / 問208-209

時間にゆとりがない人は、論点およびポイントから読んでくださいね。
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🫛豆知識① 医療用医薬品添付文書等

医療用医薬品添付文書等を一読しておくと応用力がつきます。
今回の問109-208は、患者への説明なので、患者向医薬品ガイドで十分解答はできます。
ただし、医療用医薬品添付文書を読んでおいたほうが科学的な知識は得られます。

PMDA 医療用医薬品添付文書等 結合型エストロゲン
製造販売元/ファイザー株式会社 プレマリン錠0.625mg
インタビューフォーム F1_プレマリン錠0.625mg
患者向医薬品ガイド G_プレマリン錠0.625mg_2022年4月更新

以下、医療用医薬品添付文書から抜粋します。

薬効分類名

結合型エストロゲン製剤

一般的名称

結合型エストロゲン

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

2.1 エストロゲン依存性腫瘍(例えば乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。][8.2 参照]
2.2 乳癌の既往歴のある患者[8.2 参照]
2.3 血栓性静脈炎や肺塞栓症のある患者、又はその既往歴のある患者[エストロゲンは凝固因子を増加させ、血栓形成傾向を促進するとの報告がある。][11.1.1 参照]
2.4 動脈性の血栓塞栓疾患(例えば、冠動脈性心疾患、脳卒中)又はその既往歴のある患者[11.1.1 参照],[15.1.3 参照],[15.1.4 参照]
2.5 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
* 2.6 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5.1 参照]
2.7 重篤な肝障害のある患者[9.3.1 参照]
2.8 診断の確定していない異常性器出血のある患者[出血が子宮内膜癌による場合は、癌の悪化あるいは顕性化を促すことがある。][8.2 参照]
2.9 未治療の子宮内膜増殖症のある患者[子宮内膜増殖症は細胞異型を伴う場合がある。][8.2 参照]

4. 効能又は効果

卵巣欠落症状、卵巣機能不全症、更年期障害、腟炎(老人、小児および非特異性)、機能性子宮出血

8. 重要な基本的注意

8.1 外国において、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を長期併用した女性では、乳癌になる危険性が対照群の女性と比較して高くなり、その危険性は併用期間が長期になるに従って高くなるとの報告があるので、本剤の投与にあたっては、患者に対し本剤のリスクとベネフィットについて十分な説明を行うとともに必要最小限の使用にとどめ、漫然と長期投与を行わないこと。[15.1.2 参照],[15.1.7 参照]
8.2 投与前に病歴、家族素因等の問診、乳房検診並びに婦人科検診(子宮を有する患者においては子宮内膜細胞診及び超音波検査による子宮内膜厚の測定を含む)を行い、投与開始後は定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行うこと。[2.1 参照],[2.2 参照],[2.8 参照],[2.9 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照],[9.1.7 参照]
8.3 本剤の服用により、血栓症があらわれることがあるので、次のような症状・状態があらわれた場合は投与を中止すること。また、患者に対しては、次のような症状・状態が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること。[9.1.6 参照],[11.1.1 参照]
血栓症の初期症状
下肢の疼痛・浮腫、突然の呼吸困難、息切れ、胸痛、中枢神経症状(めまい、意識障害、四肢麻痺等)、急性視力障害等
血栓症のリスクが高まる状態
体を動かせない状態、顕著な血圧上昇がみられた場合等

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

9.1.1 子宮内膜症のある患者
症状を悪化させるおそれがある。[8.2 参照]
9.1.2 子宮筋腫のある患者
子宮筋腫の発育を促進するおそれがある。[8.2 参照]
9.1.3 心疾患又はその既往歴のある患者
エストロゲンの過量投与では体液貯留を来し、心疾患を悪化させるおそれがある。
9.1.4 てんかんの患者
症状を悪化させることがある。
9.1.5 糖尿病患者
十分管理を行いながら使用すること。耐糖能を低下させるおそれがある。
9.1.6 手術前4週以内又は長期臥床状態の患者
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。血液凝固能が亢進し、血管系の副作用の危険性が高くなるおそれがある。[8.3 参照],[11.1.1 参照]
9.1.7 乳癌家族素因が強い患者、乳房結節のある患者、乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者
症状を悪化させるおそれがある。[8.2 参照]
9.1.8 全身性エリテマトーデスの患者
症状を悪化させるおそれがある。
9.1.9 片頭痛の患者
症状を悪化させるおそれがある。前兆を伴う片頭痛は虚血性脳卒中を有するおそれがある。
9.1.10 思春期前の患者
卵胞ホルモン剤の投与により骨端の早期閉鎖を来すおそれがある。[9.7 参照]

9.2 腎機能障害患者

9.2.1 腎疾患又はその既往歴のある患者
エストロゲンの過量投与では体液貯留を来し、腎疾患を悪化させるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

9.3.1 重篤な肝障害のある患者
投与しないこと。代謝能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪することがある。[2.7 参照]
9.3.2 肝障害のある患者(重篤な肝障害のある患者を除く)
肝障害を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。[2.6 参照]
* 9.5.2 卵胞ホルモン剤を妊娠動物(マウス)に投与した場合、児の成長後腟上皮及び子宮内膜の癌性変性を示唆する結果が報告されている。
また、新生児に投与した場合、児の成長後腟上皮の癌性変性を認めたとの報告がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

[9.1.10 参照]

9.8 高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

** 10. 相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等
臨床症状・措置方法機序・危険因子

イプリフラボン
エストロゲン作用(帯下、不正出血、経血量の変化等)が増強する可能性がある。
エストロゲンの作用を増加させる。

血糖降下剤

  • グリベンクラミド

  • グリクラジド

  • アセトヘキサミド等

血糖降下剤の作用が減弱することがあるので、併用する場合には血糖値その他患者の状態を十分観察し、血糖降下剤の用量を調節するなど注意すること。
エストロゲンは耐糖能を低下させ、血糖を上昇させる作用が認められている。

副腎皮質ホルモン プレドニゾロン等
これらの薬剤の作用が増強するおそれがある。
エストロゲンはこれらの薬剤の代謝を抑制すると考えられる。

ソマトロピン(遺伝子組換え)
成長ホルモンの作用が抑制されることがある。
成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)の患者に併用する場合は、ソマトロピンの増量を検討すること。
エストロゲンがIGF-I産生を抑制するため。

** ソムアトロゴン( 遺伝子組換え)
成長ホルモンの成長促進作用が抑制されることがある。
エストロゲンがIGF-I産生を抑制するため。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

11.1.1 血栓症(頻度不明)
血栓症あるいは血栓塞栓症(四肢、肺、心、脳、網膜等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、下肢の疼痛・浮腫、突然の呼吸困難、息切れ、胸痛、中枢神経症状(めまい、意識障害、四肢麻痺等)、急性視力障害等の初期症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[2.3 参照],[2.4 参照],[8.3 参照],[9.1.6 参照]

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

15.1.1 ホルモン補充療法(HRT)と子宮内膜癌の危険性
卵胞ホルモン剤を長期間(約1年以上)使用した閉経期以降の女性では、子宮内膜癌になる危険性が対照群の女性と比較して高く、この危険性は、使用期間に相関して上昇し(1〜5年間で2.8倍、10年以上で9.5倍)、黄体ホルモン剤の併用により抑えられる(対照群の女性と比較して0.8倍)との疫学調査の結果が報告されている1)
15.1.2 HRTと乳癌の危険性
(1) 米国における閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験(Women's Health Initiative(WHI)試験)の結果、本剤と黄体ホルモンの配合剤投与群では、乳癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.24)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、本剤単独投与群では、乳癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意差はない(ハザード比:0.80)との報告がある2),3)[8.1 参照]
(2) 英国における疫学調査(Million Women Study(MWS))の結果、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を併用している女性では、乳癌になる危険性が対照群と比較して有意に高くなり(2.00倍)、この危険性は、併用期間が長期になるに従って高くなる(1年未満:1.45倍、1〜4年: 1.74倍、5〜9年:2.17倍、10年以上:2.31倍)との報告がある4),5)[8.1 参照]
15.1.3 HRTと冠動脈性心疾患の危険性
米国におけるWHI試験の結果、本剤と黄体ホルモンの配合剤投与群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ投与群と比較して高い傾向にあり、特に服用開始1年後では有意に高くなる(ハザード比:1.81)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、本剤単独投与群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ投与群と比較して有意差はない(ハザード比:0.91)との報告がある3),6)[2.4 参照]
15.1.4 HRTと脳卒中の危険性
米国におけるWHI試験の結果、本剤と黄体ホルモンの配合剤投与群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.31)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、本剤単独投与群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.37)との報告がある3),7),8)[2.4 参照]
15.1.5 HRTと認知症の危険性
米国における65歳以上の閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験(WHI Memory Study(WHIMS))の結果、本剤と黄体ホルモンの配合剤投与群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:2.05)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、本剤単独投与群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ投与群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられた(ハザード比:1.49)との報告がある9),10)
15.1.6 長期投与により肝腫瘍が発生したとの報告がある。
15.1.7 卵胞ホルモン剤投与と乳癌発生との因果関係については未だ明らかではないが、使用期間と相関性があることを示唆する疫学調査の結果が報告されている。[8.1 参照]
15.1.8 HRTと卵巣癌の危険性
(1) 卵胞ホルモン剤を長期間使用した閉経期以降の女性では、卵巣癌になる危険性が対照群の女性と比較して高くなるとの疫学調査の結果が報告されている11),12),13),14)
(2) 米国におけるWHI試験の結果、本剤と黄体ホルモンの配合剤投与群において、卵巣癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられた(ハザード比:1.58)との報告がある11),12),13),14)
15.1.9 HRTと胆嚢疾患の危険性
米国におけるWHI試験の結果、本剤と黄体ホルモンの配合剤投与群において、胆嚢疾患になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.59)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、本剤単独投与群では、胆嚢疾患になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.67)との報告がある15)


以下、インタビューフォームから抜粋します。
<解説>
ヒトにおいてエストロゲン剤が乳癌及び子宮内膜癌の危険率を上昇させるとの報告がある。また、動物実験で、長期継続投与により乳房、子宮頸部、腟、肝臓における癌の発現が高まることが認められている。10)米国において、結合型エストロゲン0.625mg/日とメドロキシプロゲステロン酢酸エステル2.5mg/日の配合剤の投与についての臨床試験が、閉経後の女性における癌、冠動脈疾患、骨粗鬆症による骨折などの予防に関するWomen'sHealthInitiative(WHI)試験の一部として実施された。本臨床試験では、健康な子宮がある50~79歳の閉経後女性を対象に、ホルモン療法を行った場合の冠動脈疾患のリスク軽減と、浸潤性乳癌への影響を中心に、ホルモンにより影響を受けると考えられる、脳卒中、肺塞栓症、子宮内膜癌、大腸癌、股関節部骨折、その他の原因による死亡の発現状況を併せて、リスクとベネフィットを評価している。第10回中間解析(平均5.2年間の追跡時点)において、プラセボ投与群に対する配合剤投与群のリスクのハザード比(HR)は、股関節部骨折が0.66(95%信頼区間(CI):0.45~0.98)、大腸癌が0.63(95%CI:0.43~0.92)、子宮内膜癌が0.83(95%CI:0.47~1.47)、その他の原因による死亡が0.92(95%CI:0.74~1.14)と減少したが、冠動脈疾患が1.29(95%CI:1.02~1.63)、肺塞栓症が2.13(95%CI:1.39~3.25)、脳卒中が1.41(95%CI:1.07~1.85)、乳癌が1.26(95%CI:1.00~1.59)と増加し、全体としてリスクがベネフィットを上回る結果となった。また、浸潤性乳癌の増加が試験開始時に中止基準として設定したリスクの範囲を超えたため、平成14年7月に本試験の参加者が不利益を被らないよう、本試験の中止が決定された。ただし、本試験は閉経後女性の冠動脈疾患等の予防のために結合型エストロゲンとメドロキシプロゲステロン酢酸エステルを投与した場合の健康への影響を検討したものであり、この結果は更年期障害等のエストロゲン低下に起因する各種疾患の治療に用いられる場合、短期的な投与の場合には必ずしもあてはまるものではなく、そうした適応についての有用性を否定したものではない。また、子宮摘出女性でのエストロゲン単独投与群をプラセボ投与群と比較した試験についての試験結果18、19、23)及びその一部として行われたWHIMemoryStudyの試験結果が公表されたことから、その結果を追記した。25)日本において、本剤の効能・効果は「卵巣欠落症状、卵巣機能不全症、更年期障害、腟炎(老人、小児および非特異性)、機能性子宮出血」であり、必ずしもこの長期投与試験の結果があてはまるものではないが、「その他の注意」の項に本試験の結果を踏まえて、また海外でも子宮のある患者に対して黄体ホルモン剤と多く併用されていることから、「この子宮内膜癌発生の危険性を軽減させる意味から、子宮のある患者に対して、本剤を長期にわたって使用する場合は、黄体ホルモン剤との併用が望ましい」及び「黄体ホルモン剤の長期併用投与」に関する記載を追記し、注意を喚起することとした。16)外国で実施された疫学調査において、「閉経後の女性に特に長期間(10年以上)エストロゲンを使用した場合に、使用していない場合と比較して、卵巣癌を発生する危険性が増大する」との報告がある。26~28)WHI試験のエストロゲンとプロゲスチンとの併用投与試験における卵巣癌に関する解析結果が公表されたことから、その結果を追記した。29)また、WHI試験のエストロゲンとプロゲスチンとの併用投与試験及びエストロゲン単独投与試験における胆嚢疾患に関する解析結果が公表されたことから、その結果を追記した。30)


以下、インタビューフォームから抜粋します。

1.開発の経緯

結合型エストロゲンの起源は1929年アメリカでのGlimm & Wadehnによる通常の有機溶媒では 抽出されない水溶型で尿中に排泄されるエストロゲンとしての発見にある。
その後、妊馬尿を 抽出源としてGrantらが医薬品として開発し、1941年から市販された。
本剤は内分泌学的補充療法に使用される他、止血作用を有する薬剤であり、本邦ではアイヤースト・ラボラトリー(米)(現米国ファイザー社)との提携のもと、1964年東洋醸造株式会社(現 旭化成ファーマ株式会社)が0.625 mg錠及び1.25 mg錠の承認を取得し、旭化成ファーマ株式 会社が国内向け製品の製造を行っていたが、本剤の世界的な規格の統一化を目的として、1999 年日本ワイスレダリー株式会社(現ファイザー株式会社)が0.625 mg錠の承認を取得した。
その後、一部処方変更で溶出性を改良した新製剤が2013年12月27日に承認された。

2.製品の治療学的特性

(1)本剤は天然の結合型エストロゲン製剤で、経口投与においても高いエストロゲン活性を示す。
(「Ⅱ-3.構造式又は示性式」及び「Ⅵ-2.(2)薬効を裏付ける試験成績」の項参照)
(2)機能性子宮出血に対してエストロゲンのアンバランスを是正し、すみやかな止血効果を発 揮する。
(3)卵巣欠落症状、更年期障害に対して中枢系に作用し、自律神経系の異常を正す。 (「Ⅴ-5.(7)その他」の項参照)

3.構造式又は示性式

プレマリンは、結合型エストロゲンと呼ばれる天然水溶性のエストロゲン複合体で、主として エストロン硫酸エステルナトリウム、エクイリン硫酸エステルナトリウム、17α-ジヒドロエク イリン硫酸エステルナトリウムからなる混合物である。

3.構造式又は示性式

出典:

PMDA 医療用医薬品添付文書等 結合型エストロゲン
製造販売元/ファイザー株式会社 プレマリン錠0.625mg
インタビューフォーム F1_プレマリン錠0.625mg
患者向医薬品ガイド G_プレマリン錠0.625mg_2022年4月更新


🫛豆知識② PMDA 使用上の注意の改訂指示通知(医薬品) | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構


最新の使用上の注意の改定情報を、薬剤師国家試験の問題として出題することは、出題基準に照らして適格性に欠くため、草案の時点で、レビュワーが責任者に差し戻して、指導と修正の指示を出すプロセスが必要です。

しかし、今回の問題の論点となっていたため、せっかくの機会なので、下記の使用上の注意改訂情報(平成25年8月6日指示分)および使用上の注意改訂情報(平成30年2月13日指示分)を一読しておくとよいです。


使用上の注意改訂情報(平成25年8月6日指示分) | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
使用上の注意改訂情報(平成30年2月13日指示分) | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
使用上の注意改訂情報(平成30年2月13日指示分) | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

以下抜粋します。
なお、上記リンクを閲覧するとわかりますが、この日付での使用上の注意改訂情報は複数あり、漢方薬に限ったものではないので、薬学生が全部把握するのは無理ですし、全部把握する必要もないです。

薬剤師国家試験の出題基準に準じた出題ではない場合の修正プロセスを的確に実行できる体制づくりが、行われるべき事案です。


使用上の注意改訂情報(平成30年2月13日指示分) | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

【医薬品名】サンシシ

【措置内容】以下のように使用上の注意を改めること。

[重要な基本的注意]の項を新たに設け

 「本剤の使用にあたっては、漢方処方における患者の証(体質・症状)を
  考慮して投与すること。なお、経過を十分に観察し、症状・所見の改善
  が認められない場合には、継続投与を避けること。」
 「サンシシ含有製剤の長期投与(多くは5年以上)により、大腸の色調異
  常、浮腫、びらん、潰瘍、狭窄を伴う腸間膜静脈硬化症があらわれるお
  それがある。長期投与する場合にあっては、定期的にCT、大腸内視鏡等
  の検査を行うことが望ましい。」
 「漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意すること。」

を追記し、[副作用]の「重大な副作用」の項を新たに設け

 「腸間膜静脈硬化症:
  長期投与により、腸間膜静脈硬化症があらわれることがある。腹痛、下
  痢、便秘、腹部膨満等が繰り返しあらわれた場合、又は便潜血陽性にな
  った場合には投与を中止し、CT、大腸内視鏡等の検査を実施するととも
  に、適切な処置を行うこと。なお、腸管切除術に至った症例も報告され
  ている。」

を追記する。


520 漢方製剤

【医薬品名】茵ちん蒿湯
      黄連解毒湯        
      加味逍遙散
      辛夷清肺湯

【措置内容】以下のように使用上の注意を改めること。

[重要な基本的注意]の項に

 「サンシシ含有製剤の長期投与(多くは5年以上)により、大腸の色調異
  常、浮腫、びらん、潰瘍、狭窄を伴う腸間膜静脈硬化症があらわれるお
  それがある。長期投与する場合にあっては、定期的にCT、大腸内視鏡等
  の検査を行うことが望ましい。」

を追記する。


520 漢方製剤

【医薬品名】温清飲
      加味帰脾湯
      荊芥連翹湯
      五淋散
      柴胡清肝湯
      梔子柏皮湯
      清上防風湯
      清肺湯
      防風通聖散
      竜胆瀉肝湯

【措置内容】以下のように使用上の注意を改めること。

[重要な基本的注意]の項に

 「サンシシ含有製剤の長期投与(多くは5年以上)により、大腸の色調異
  常、浮腫、びらん、潰瘍、狭窄を伴う腸間膜静脈硬化症があらわれるお
  それがある。長期投与する場合にあっては、定期的にCT、大腸内視鏡等
  の検査を行うことが望ましい。」

を追記し、[副作用]の「重大な副作用」の項に

 「腸間膜静脈硬化症:
  長期投与により、腸間膜静脈硬化症があらわれることがある。腹痛、下
  痢、便秘、腹部膨満等が繰り返しあらわれた場合、又は便潜血陽性にな
  った場合には投与を中止し、CT、大腸内視鏡等の検査を実施するととも
  に、適切な処置を行うこと。なお、腸管切除術に至った症例も報告され
  ている。」

を追記する。

【医薬品名】一般用医薬品
       サンシシ含有製剤(経口剤)

【措置内容】以下のように使用上の注意を改めること。

[相談すること]の項に

 「服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ち
  に服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談
  すること
   まれに下記の重篤な症状が起こることがある。その場合は直ちに医師
   の診療を受けること。
    腸間膜静脈硬化症:
    長期服用により、腹痛、下痢、便秘、腹部膨満等が繰り返しあらわ
    れる。」
 「長期連用する場合には、医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること」

を追記する。
(注)現行記載のある製剤を除く。


まず基本的な知識について復習しておきましょう。

■■GPT4o


ホルモン補充療法(HRT)に関連するリスク

  1. 子宮内膜癌のリスク

    • 閉経後の女性がエストロゲンを長期間使用すると、子宮内膜癌のリスクが上昇。

    • 使用期間が長いほどリスクが高まり、10年以上で9.5倍に。

    • 黄体ホルモンを併用するとリスクは低下(0.8倍)。

  2. 乳癌のリスク

    • WHI試験では、エストロゲンと黄体ホルモンの併用で乳癌リスクが1.24倍に上昇。

    • MWS調査では、併用期間が長くなるほどリスクが増加(10年以上で2.31倍)。

    • エストロゲン単独では有意なリスク増加なし。

  3. 冠動脈性心疾患のリスク

    • WHI試験では、エストロゲンと黄体ホルモンの併用で心疾患のリスクが1.81倍に上昇。

    • エストロゲン単独では有意な差なし。

  4. 脳卒中のリスク

    • WHI試験では、エストロゲンと黄体ホルモンの併用で脳卒中リスクが1.31倍に上昇。

    • エストロゲン単独でもリスクが1.37倍に上昇。

  5. 認知症のリスク

    • WHIMS試験では、エストロゲンと黄体ホルモンの併用でアルツハイマーなどの認知症リスクが2.05倍に上昇。

    • エストロゲン単独では有意差はないが、増加傾向(1.49倍)。

  6. 肝腫瘍のリスク

    • 長期投与による肝腫瘍の発生が報告されている。

  7. 卵巣癌のリスク

    • 長期間のエストロゲン使用で卵巣癌リスクが上昇。

    • WHI試験では、エストロゲンと黄体ホルモンの併用で1.58倍の増加傾向。

  8. 胆嚢疾患のリスク

    • WHI試験では、エストロゲンと黄体ホルモンの併用で胆嚢疾患リスクが1.59倍に上昇。

    • エストロゲン単独でも1.67倍に上昇。

まとめ

HRTは閉経後の女性の更年期症状を改善するが、長期使用により子宮内膜癌、乳癌、心疾患、脳卒中、認知症、卵巣癌、胆嚢疾患などのリスクが上昇する可能性がある。
特に黄体ホルモンの併用が乳癌や心疾患のリスクを増加させることが示唆されている。
一方で、子宮摘出者に対するエストロゲン単独療法では、一部のリスクは低いか、統計的な有意差が見られないケースもある。


結合型エストロゲン(プレマリン錠0.625mg)に関するWHI試験
ホルモン補充療法(HRT)のリスクとベネフィット

1. HRTのリスク

  • 乳癌・子宮内膜癌のリスク増加

    • ヒトおよび動物実験で、エストロゲン剤が乳癌・子宮内膜癌のリスクを上昇させることが確認されている。

  • WHI試験の結果(エストロゲン+プロゲスチン併用)

    • 増加したリスク

      • 冠動脈疾患(1.29倍)

      • 肺塞栓症(2.13倍)

      • 脳卒中(1.41倍)

      • 乳癌(1.26倍)(特に浸潤性乳癌が増加し、試験は途中中止)

    • 減少したリスク

      • 股関節骨折(0.66倍)

      • 大腸癌(0.63倍)

    • 子宮内膜癌(0.83倍)やその他の死亡リスク(0.92倍)には有意差なし

    • 総合的に、リスクがベネフィットを上回る結果となったため試験が中止された。

2. WHI試験の適用範囲

  • 本試験は閉経後女性の疾患予防目的の研究であり、HRTの短期使用(更年期障害治療など)には必ずしも適用されない。

  • 子宮摘出女性のエストロゲン単独投与試験(WHI Memory Studyを含む)についても結果が公表されている。

3. 追加された注意事項

  • 黄体ホルモンとの併用推奨

    • 子宮のある患者に対するHRTでは、子宮内膜癌のリスクを軽減するために黄体ホルモン剤との併用が望ましい。

  • 卵巣癌リスク

    • 長期間(10年以上)のエストロゲン使用で、卵巣癌リスクが上昇する可能性がある。

  • 胆嚢疾患リスク

    • WHI試験の結果に基づき、HRT(エストロゲン+プロゲスチン、およびエストロゲン単独)による胆嚢疾患リスクの増加が追記された。

4. 日本での適用

  • 日本におけるプレマリン錠の適応症は「更年期障害、卵巣欠落症状、機能性子宮出血、腟炎」などであり、長期投与試験の結果が直接適用されるわけではないが、海外の知見を踏まえ注意喚起を行っている。

総括

HRT(特にエストロゲンとプロゲスチンの併用)は、骨折や大腸癌リスクを減少させるが、乳癌、心疾患、脳卒中、肺塞栓症などのリスクを増加させる可能性がある。そのため、子宮のある女性には黄体ホルモンの併用が推奨され、長期使用には慎重な判断が求められる。日本での短期的な更年期障害治療などには、これらのリスクが必ずしもそのまま当てはまるわけではないが、十分な注意が必要とされる。


参考文献:

PMDA 医療用医薬品添付文書等 結合型エストロゲン
製造販売元/ファイザー株式会社 プレマリン錠0.625mg


論点およびポイント

■■GPT4o


まとめ問 109-208|実務
論点|
エストロゲン補充療法 / 血栓症 / 骨密度 / 乳がん・子宮がん / 手術時
ポイント|

  • エストロゲン補充療法(HRT) により血栓症リスクが上昇するため、下肢の疼痛・浮腫、息切れがあれば注意が必要。

  • 血圧の変動 が起こる可能性があり、低下することもあるため、慎重に経過観察を行う。

  • 手術前には休薬を検討 する必要があり、医師に相談することが推奨される。

  • 定期的な婦人科・乳房検診 を受けることで、乳がんや子宮がんの早期発見につながる。

  • エストロゲンは骨密度を増加させる ため、骨折リスクは低下する。
    (選択肢5は誤り)


問 109-209|化学
論点|
加味逍遙散 / サンシシ / ゲニポシド / 腸間膜静脈硬化症 / 副作用
ポイント|

  • 加味逍遙散 は更年期障害の症状(不安・イライラ)を改善する漢方薬である。

  • サンシシ(山梔子)は、加味逍遙散の構成生薬の1つであり、長期服用により腸間膜静脈硬化症 を引き起こすことが報告されている。

  • ゲニポシド が腸間膜静脈の硬化を促進する可能性があるため、特に長期服用者や高齢者では慎重な使用が求められる。

  • 腸間膜静脈硬化症は消化器症状(腹痛・下痢・便秘)を伴うことがあるため、患者の訴えを慎重に評価する必要がある。

  • 腸間膜静脈硬化症はサンシシが配合される漢方薬の医療用医薬品添付文書の改訂において「重要な基本的注意」と「重大な副作用」に追記記載された。


薬剤師国家試験 出題基準

出典: 薬剤師国家試験のページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

出題基準 000573951.pdf (mhlw.go.jp) 


論点を整理します。

■■GPT4o


総合的な論点


問 109-208(実務)

本問題は、更年期障害に対するホルモン補充療法(HRT)としての結合型エストロゲンの適正使用に関する説明が主な論点となる。
具体的には、以下の4つのポイントが重要となる。

  1. 血栓症リスクの増加

    • 結合型エストロゲン(CEE)は、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクを上昇させる可能性がある。
      そのため、下肢の疼痛・浮腫、息切れなどのVTE徴候に注意が必要である。

    • 参考:
      Women’s Health Initiative(WHI)試験では、エストロゲン単独療法においてVTEリスクが増加したことが報告されている(Rossouw et al., 2002)。

  2. 血圧変動の可能性

    • エストロゲンには血管拡張作用があり、一部の患者では血圧低下が起こることがある。
      しかし、高血圧の悪化が報告される場合もあり、注意が必要である。

  3. 手術前の休薬の必要性

    • 血栓症リスクの上昇を考慮し、大きな手術の前にはエストロゲンを休薬することが推奨されている(ACOG, 2013)。

  4. 乳がん・子宮内膜がんリスクの増加

    • エストロゲン単独療法では子宮内膜がんリスクが上昇する可能性があるため、定期的な婦人科検診・乳房検診が必要である(Chlebowski et al., 2015)。

  5. 骨密度への影響

    • エストロゲンは骨密度を維持し、骨折リスクを低減する効果がある。
      (Barrett-Connor et al., 2003)

    • 「骨折リスクが上がる」という説明は誤りである。これが、本問において不適切な説明として選択肢5が正答となる理由である。


各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法


問 109-208(実務)

選択肢1:下肢の疼痛・浮腫、息切れ等が出現した際は、連絡すること。

  • 論点
    エストロゲンは血液凝固系に影響を与え、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクを上昇させる。そのため、血栓症の初期症状である下肢の疼痛・浮腫、息切れに注意が必要である。

  • アプローチ方法
    エストロゲン製剤の服用患者には、血栓症のリスクを十分に説明し、症状が現れた場合に速やかに医療機関へ連絡するよう指導することが適切である。

選択肢2:血圧が低下する場合があること。

  • 論点
    エストロゲンは血管拡張作用を有するため、一部の患者では血圧が低下することがある。

  • アプローチ方法
    血圧が大きく変動する可能性を考慮し、患者には血圧のモニタリングを推奨し、低血圧症状(めまい、ふらつきなど)が見られた場合は医師へ相談するよう伝える。

選択肢3:手術前には休薬を検討する必要があること。

  • 論点
    エストロゲン療法を受けている患者では、手術に伴う長時間の不動状態によって血栓症リスクが増加するため、手術前の休薬が推奨される。

  • アプローチ方法
    手術予定がある患者には、術前の一定期間(通常4~6週間前)にHRTの休薬が必要であることを説明し、担当医と相談するよう指導する。

選択肢4:投与開始後は、定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行う必要があること。

  • 論点
    エストロゲン補充療法は乳がんおよび子宮内膜がんのリスクを上昇させる可能性があるため、定期的な検診が重要である。

  • アプローチ方法
    患者には、HRTの使用中は年1回の乳がん検診および婦人科検診を受けるように指導し、乳房の異常や不正出血があれば速やかに受診するよう伝える。

選択肢5:骨折のリスクが上がること。(誤り)

  • 論点
    エストロゲンは骨密度を維持し、骨折リスクを低減する効果がある。そのため、「骨折リスクが上がる」という説明は誤りである。

  • アプローチ方法
    患者にはHRTの利点として、骨粗鬆症の予防や骨折リスクの低減が期待できることを伝える。ただし、長期使用におけるリスク・ベネフィットについても十分に説明することが重要である。

正答:選択肢 5


引用文献

  1. Rossouw JE, et al. "Risks and benefits of estrogen plus progestin in healthy postmenopausal women: principal results From the Women's Health Initiative randomized controlled trial." JAMA. 2002; 288(3):321-333.

    • エストロゲン補充療法(HRT)による血栓症リスク上昇について報告しているWHI試験の結果を含む。

  2. American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). "Hormone Therapy and Heart Disease." Committee Opinion No. 565. Obstet Gynecol. 2013; 121:1407-1410.

    • HRTの使用において、手術前の休薬の必要性を指摘。

  3. Chlebowski RT, et al. "Estrogen alone and breast cancer detection by means of mammography and breast biopsy." J Clin Oncol. 2015; 33(30): 3561-3567.

    • エストロゲン単独療法と乳がんリスクの関連についての研究。

  4. Barrett-Connor E, et al. "Effects of raloxifene on cardiovascular events and breast cancer in postmenopausal women." N Engl J Med. 2006; 355(2):125-137.

    • HRTが骨密度を維持し、骨折リスクを低減することを報告。


問 109-209(化学)

本問題は、加味逍遙散(かみしょうようさん)に含まれる生薬の長期服用による副作用と、その原因となる生薬の特定が主な論点となる。

  1. 腸間膜静脈硬化症(IPVS, Idiopathic Portal Venopathy)

    • 漢方薬の長期服用によってまれに報告される副作用で、腸間膜静脈に硬化性変化を引き起こし、門脈圧亢進や腹水を伴う病態となる。

    • 病理学的には、門脈周囲の線維化や静脈壁の肥厚が特徴である。

  2. 原因生薬としてのサンシシ(山梔子)

    • 加味逍遙散にはサンシシ(山梔子, Gardenia jasminoides Ellis)が含まれる。

    • サンシシにはゲニポシド(geniposide)などのイリドイド配糖体が含まれており、これが長期服用により腸間膜静脈硬化症を引き起こすリスクがあると考えられている(Takikawa et al., 2014)。

    • サンシシの長期使用に伴う腸間膜静脈硬化症の報告が複数あり、特に防風通聖散などの漢方薬での発症例が知られている。

  3. 解法へのアプローチ方法

    • 問題文では、加味逍遙散に含まれる生薬のうち、腸間膜静脈硬化症の原因として適切なものを選択する。

    • 選択肢2の「サンシシ」が正解となる。


各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法


問 109-209(化学)

選択肢1:ボタンピ(牡丹皮)

  • 論点
    ボタンピは抗炎症作用や鎮痛作用を持つ生薬で、主成分としてペオノール(paeonol)を含む。

  • アプローチ方法
    ボタンピには腸間膜静脈硬化症との関連は報告されていないため、本問の正解にはならない。

選択肢2:サンシシ(山梔子)

  • 論点
    サンシシに含まれるゲニポシド(geniposide)などの成分が、長期服用によって腸間膜静脈硬化症を引き起こす可能性がある。

  • アプローチ方法
    サンシシが含まれる漢方薬(例:加味逍遙散、防風通聖散など)では、長期使用に注意するよう指導する必要がある。

選択肢3:ショウキョウ(生姜)

  • 論点
    ショウキョウは生姜の根茎を用いた生薬で、主成分としてジンゲロール(gingerol)やショウガオール(shogaol)を含む。

  • アプローチ方法
    ショウキョウには消化促進や抗炎症作用があるが、腸間膜静脈硬化症の報告はなく、本問の正解ではない。

選択肢4:カンゾウ(甘草)

  • 論点
    カンゾウにはグリチルリチン(glycyrrhizin)が含まれ、長期使用により偽アルドステロン症(低カリウム血症や血圧上昇)を引き起こす可能性がある。

  • アプローチ方法
    カンゾウは他の副作用リスクがあるが、腸間膜静脈硬化症とは直接的な関連がないため、本問の正解ではない。

選択肢5:サイシン(細辛)

  • 論点
    サイシンにはアリストロキア酸(aristolochic acid)が含まれる場合があり、腎毒性や腎がんリスクが懸念される。

  • アプローチ方法
    サイシンは腎障害リスクに注意が必要だが、腸間膜静脈硬化症の原因とはならないため、本問の正解ではない。

正答:選択肢 2(サンシシ)


引用文献

  1. Takikawa H, et al. "Long-term ingestion of gardenia fruit causes mesenteric phlebosclerosis." J Gastroenterol. 2014; 49(4): 740-744.

    • サンシシ(山梔子)に含まれるゲニポシドが腸間膜静脈硬化症を引き起こす可能性について報告。

  2. Shibata M, et al. "Mesenteric phlebosclerosis: a review of the literature." World J Gastroenterol. 2014; 20(28): 9962-9970.

    • 腸間膜静脈硬化症の病態や原因、生薬との関連についての総説。

  3. Kusunoki R, et al. "Mesenteric phlebosclerosis: a gut disorder associated with long-term oral intake of gardenia fruit." Intern Med. 2012; 51(17): 2341-2347.

    • 防風通聖散や加味逍遙散の服用患者における腸間膜静脈硬化症の症例を報告。

  4. Japanese Ministry of Health, Labour and Welfare (MHLW). "Warning on the long-term use of traditional herbal medicines containing gardenia fruit." 2019.

    • 厚生労働省による、サンシシを含む漢方薬の長期服用に関する注意喚起。


以上で、論点整理を終わります。
理解できたでしょうか?


大丈夫です。
完全攻略を目指せ!


はじめましょう。

薬剤師国家試験の薬学実践問題【複合問題】からエストロゲン補充療法 / 血栓症 / 乳がん・子宮がん / 加味逍遙散 / サンシシ / 腸間膜静脈硬化症を論点とした問題です。


なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形で GPT4o & Copilot 、Gemini 2、または Grok 2 が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。

生成AIの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。

Here we go.


第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問208-209

一般問題(薬学実践問題)


【物理・化学・生物、衛生/実務】

■複合問題|問 109-208-209

Q. 55歳女性(閉経後)。身長160cm、体重52kg。血圧135/70mmHg。高血圧症にて、処方1の薬剤を服用している。
(処方1)
アジルサルタン錠20mg|1回1錠(1日1錠)|
1日1回|朝食後|14日分|
今回、1ケ月前よりほてりや発汗、不眠症状等があり、更年期障害を疑い婦人科クリニックを受診した。その後、以下の追加処方箋を持参して、かかりつけ薬局を訪れた。
(処方2)
結合型エストロゲン錠0.625mg 1回1錠(1日1錠)|
1日1回|朝食後|14日分|


実務

問 109-208|実務
Q. 処方2の薬剤の服用開始にあたり、患者への説明内容として適切でないのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 下肢の疼痛・浮腫、息切れ等が出現した際は、連絡すること。
2. 血圧が低下する場合があること。
3. 手術前には休薬を検討する必要があること。
4. 投与開始後は、定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行う必要があること。
5. 骨折のリスクが上がること。


Here:

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 109-208-209【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:エストロゲン補充療法 / 血栓症 / 乳がん・子宮がん / 加味逍遙散 / サンシシ / 腸間膜静脈硬化症|matsunoya


物理・化学・生物

問 109-209|化学
Q. 後日、同患者が再び来局し、不安やイライラが強いことから漢方薬を紹介してほしいと依頼された。この患者に加味逍遙散(注)を紹介したが、この漢方薬を長期服用する場合、留意すべき副作用として腸間膜静脈硬化症が報告されている。
(注)サイコ、シャクヤク、トウキ、ソウジュツ、ブクリョウ、サンシシ、ボタンピ、カンゾウ、ショウキョウ、ハッカから構成される処方
この副作用の原因と考えられる生薬として正しいのはどれか。1つ選べ。なお、写真左下のスケールバーは1cmである。

第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 / 問208-209

■選択肢
1. 1
2. 2
3. 3
4. 4
5. 5


Here:

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 109-208-209【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:エストロゲン補充療法 / 血栓症 / 乳がん・子宮がん / 加味逍遙散 / サンシシ / 腸間膜静脈硬化症|matsunoya


■■GPT4o


■問 109-208|実務

■論点|

この問題の論点は、エストロゲン補充療法(HRT)による骨密度への影響と副作用リスク を特定することです。

■解説1|

骨折のリスクが上がること。(選択肢5)[誤り]

  • エストロゲン補充療法(HRT)は骨密度を増加させ、骨折リスクを低下させる ことが確認されている。

  • 閉経後の女性はエストロゲンの減少によって骨吸収が亢進し、骨粗鬆症のリスクが上昇 するが、HRTにより骨吸収が抑制されるため、結果として骨折リスクは低下する。

  • 公的エビデンスとして、WHI(Women's Health Initiative)試験では、エストロゲン+プロゲスチン併用療法が骨折リスクを低下させることが報告されている。

  • よって、「骨折リスクが上がる」という記述は誤り。

■解説2|

  • エストロゲン補充療法は骨密度の維持・増加に寄与するが、長期投与には注意が必要。

  • HRTの適応は、骨折リスクが高い閉経後女性に対して慎重に検討される。

  • HRTの使用は、最小有効量で必要最短期間とするのが推奨されている(米国FDAおよび日本産科婦人科学会の指針)。

  • 長期間の使用により乳がん・子宮がんリスクが上昇する可能性があるため、定期的な検診が推奨される。

■結論|

エストロゲン補充療法は骨密度を増加させるため、骨折リスクは低下する。このため、選択肢5は誤りであり、適切でない説明に該当する。

■補足|

下肢の疼痛・浮腫、息切れ等が出現した際は、連絡すること。(選択肢1)[正しい]

  • HRTは静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクを上昇させる ため、下肢の疼痛・浮腫、息切れなどの症状が現れた場合、速やかに医療機関を受診する必要がある。

血圧が低下する場合があること。(選択肢2)[正しい]

  • エストロゲンは血管拡張作用を持つため、一部の患者で血圧低下を引き起こすことがある。

  • 特に降圧薬(例:アジルサルタン)を併用している場合は注意が必要。

手術前には休薬を検討する必要があること。(選択肢3)[正しい]

  • HRTは手術時の血栓リスクを増加させるため、手術前には休薬が推奨される。

  • 日本産科婦人科学会のガイドラインでは、手術の4~6週間前にHRTを中止し、手術後のリスク評価を行うことが推奨 されている。

投与開始後は、定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行う必要があること。(選択肢4)[正しい]

  • HRTの長期使用により乳がん・子宮内膜がんリスクが上昇するため、定期的な検診が必須。

  • 日本乳癌学会および日本産科婦人科学会は、乳がん検診を1~2年ごとに行うことを推奨 している。


■問 109-209|化学

■論点|

この問題の論点は、加味逍遙散に含まれる生薬の成分と腸間膜静脈硬化症の関連 を特定することです。

■解説1|

第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 / 問208-209

サンシシ(選択肢2)[正しい]

  • 腸間膜静脈硬化症は、長期間の生薬摂取により腸間膜静脈に線維化が起こり、腸管の血流障害を引き起こす疾患。

  • その原因として、サンシシ(山梔子)に含まれるゲニポシドという成分が関与している と考えられている。

  • ゲニポシドは腸内細菌により加水分解され、ゲニピンという代謝物に変換される。

  • ゲニピンは腸間膜静脈の線維化を促進するため、長期間の服用によって腸間膜静脈硬化症を発症するリスクがある。

  • これらの報告は、国内外の症例報告および基礎研究からも支持されている。

■解説2|

  • 加味逍遙散は、更年期障害や月経不順、冷え症などに用いられる代表的な漢方薬である。

  • この処方にはサンシシの他にも、トウキやシャクヤクなどの生薬が含まれており、血流改善やホルモンバランス調整の作用を持つ。

  • サンシシは、肝機能改善や消炎作用を持つが、長期使用により腸間膜静脈硬化症を引き起こす可能性があるため注意が必要。

  • 腸間膜静脈硬化症は進行すると消化管虚血や狭窄を引き起こし、重篤な場合は腸閉塞のリスクがある。

■結論|

加味逍遙散の長期使用により腸間膜静脈硬化症が報告されている。その原因となる生薬はサンシシであるため、選択肢2が正解。

■補足|

第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 / 問208-209

ボタンピ(選択肢1)[誤り]

  • ボタンピ(牡丹皮)は抗炎症・血流促進作用を持つが、腸間膜静脈硬化症の原因とはならない。

  • 主成分のペオノールやパエオノールは、抗酸化作用や鎮痛作用を有する。

ショウキョウ(選択肢3)[誤り]

  • ショウキョウ(生姜)は血行促進や胃腸機能改善に関与し、腸間膜静脈硬化症との関連はない。

  • 消化管の蠕動運動を促進し、吐き気や消化不良を改善する作用がある。

カンゾウ(選択肢4)[誤り]

  • カンゾウ(甘草)は、主に抗炎症作用や鎮痙作用を持ち、腸間膜静脈硬化症の原因にはならない。

  • ただし、長期服用により偽アルドステロン症(低カリウム血症、高血圧)を引き起こす可能性がある。

サイシン(選択肢5)[誤り]

  • サイシン(細辛)は鎮痛・去痰作用があり、腸間膜静脈硬化症の原因とはならない。

  • 長期間・大量摂取で腎毒性が懸念されるため、腎機能低下患者には慎重投与が必要。


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第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問208-209

一般問題(薬学実践問題)


【物理・化学・生物、衛生/実務】

■複合問題|問 109-208-209

Q. 55歳女性(閉経後)。身長160cm、体重52kg。血圧135/70mmHg。高血圧症にて、処方1の薬剤を服用している。
(処方1)
アジルサルタン錠20mg|1回1錠(1日1錠)|
1日1回|朝食後|14日分|
今回、1ケ月前よりほてりや発汗、不眠症状等があり、更年期障害を疑い婦人科クリニックを受診した。その後、以下の追加処方箋を持参して、かかりつけ薬局を訪れた。
(処方2)
結合型エストロゲン錠0.625mg 1回1錠(1日1錠)|
1日1回|朝食後|14日分|


実務

問 109-208|実務
Q. 処方2の薬剤の服用開始にあたり、患者への説明内容として適切でないのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 下肢の疼痛・浮腫、息切れ等が出現した際は、連絡すること。
2. 血圧が低下する場合があること。
3. 手術前には休薬を検討する必要があること。
4. 投与開始後は、定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行う必要があること。
5. 骨折のリスクが上がること。


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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 109-208-209【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:エストロゲン補充療法 / 血栓症 / 乳がん・子宮がん / 加味逍遙散 / サンシシ / 腸間膜静脈硬化症|matsunoya


物理・化学・生物

問 109-209|化学
Q. 後日、同患者が再び来局し、不安やイライラが強いことから漢方薬を紹介してほしいと依頼された。この患者に加味逍遙散(注)を紹介したが、この漢方薬を長期服用する場合、留意すべき副作用として腸間膜静脈硬化症が報告されている。
(注)サイコ、シャクヤク、トウキ、ソウジュツ、ブクリョウ、サンシシ、ボタンピ、カンゾウ、ショウキョウ、ハッカから構成される処方
この副作用の原因と考えられる生薬として正しいのはどれか。1つ選べ。なお、写真左下のスケールバーは1cmである。

第109回薬剤師国家試験|薬学実践問題 / 問208-209

■選択肢
1. 1
2. 2
3. 3
4. 4
5. 5


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