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薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 薬学理論問題 薬剤(1) 第106回-第109回 31問 powered by GPT4o, Chat GPT

こんにちは!Mats & BLNtです。

matsunoya_note から、薬剤師国家 の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、薬学理論問題【薬剤】 を一緒に完全攻略しよう!
今回は、薬学理論問題 薬剤(1)として、2024年2月に実施された最新の薬剤師国家試験までの4回分、第106回薬剤師国家試験-第109回薬剤師国家試験 薬学理論問題【薬剤】31問の論点解説を powered by GPT4o, Chat GPT との対話を基盤にして一挙公開します。


Chat GPT との対話を基盤にした論点解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形でGPT4o & Copilot が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。


GPT4oの製造元(Open AI)がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。


一般問題【薬学理論問題】は、解法へのアプローチで分類すると、2つにわけられます。
・選択肢の文章のみから、その記述の正誤を判断する問題
・図表の理解から、正答を選択する問題
今回取り上げた問題は、基本的に前者です。
必須問題との違いは、問題によって、選択肢を1つ選ぶ場合2つ選ぶ場合がある事、また、1問の中に論点が複数ある事です。
要するに、必須問題がたくさんあるようなものです。
まず、ここから攻略することで、論点理解を深め、知識の幅を増やして、実力アップに挑戦しましょう。

薬剤師国家試験の勉強法は色々ありますが、薬学理論問題を一通り解いてみて、そこから自分に合った勉強法の傾向と対策を立てることは効率的な方法のひとつです。
Matsunoya品質の論点解説でサクッと学べば、それはそれで、薬剤師国家資格取得に向け走り出すきっかけになると思います。

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薬剤師にしかできない仕事がある。

さあ、はじめよう。

薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 薬学理論問題 薬剤(1) 第106回-第109回 31問 powered by GPT4o, Chat GPT
https://note.com/matsunoya_note/n/n304c6f6026f4

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薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 薬学理論問題 薬剤(1) 第106回-第109回 31問 powered by GPT4o, Chat GPT

1. 論点一覧 31問 薬学理論問題【薬剤】

問番号は[試験の回]-[問番号]です。問番号順に並んでいます。
まず、論点を確認しましょう。
💡Tips:
Webブラウザ上でショートカットキー[Ctrl+F]を使ってみよう!
例: 問 107-100の論点、問題、論点解説、解説要約に素早くアクセスするには、107-100を選択してからCtrl+Fを押します。

薬剤師国家試験問題 薬学理論問題【薬剤】第106回 - 第109回

Creator: Yukiho Takizawa, PhD
Tool: Chat GPT powered by GPT4o
Date: 2024/ 07/12

Matsunoya|薬剤師国家試験対策ノート
1. 論点一覧 31問 薬学理論問題【薬剤】

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論点:
■■GPT4o, GPT Chat
⇒ 改変・校正(Yukiho Takizawa, PhD)
論点リスト
問番号 |論点
薬剤|問 108-168|薬物の消化管吸収
薬剤|問 107-169|消化管上皮細胞での代謝を免れる率
薬剤|問 108-169|血漿タンパク質と薬物の結合
薬剤|問 106-170|トランスポーターを介した薬物輸送
薬剤|問 108-170|薬物のリンパ系への移行
薬剤|問 106-171|薬物の胎児への移行
薬剤|問 107-171|プラバスタチンの体内動態
薬剤|問 109-171|薬物のバイオアベイラビリティへの食事の影響
薬剤|問 108-172|薬物の腎排泄
薬剤|問 107-173|薬物の腸肝循環
薬剤|問 109-173|薬物の分布容積と血漿タンパク結合
薬剤|問 108-174|薬物動態の非線形性
薬剤|問 109-174|薬物代謝酵素の遺伝子多型
薬剤|問 107-175|フェニトインの血中濃度予測
薬剤|問 106-176|抗菌薬の投与計画とPK-PDパラメーター
薬剤|問 109-176|治療薬物モニタリング(TDM)の適用基準
薬剤|問 107-177|粉体の性質
薬剤|問 108-177|界面現象に関する基礎知識
薬剤|問 109-177|イリノテカンの製剤特性
薬剤|問 109-178|イリノテカンの代謝
薬剤|問 108-178|医薬品の水溶液中における安定性
薬剤|問 108-179|経口投与製剤の安定性と規格
薬剤|問 106-180|乳剤と懸濁剤の物理化学的特性
薬剤|問 108-180|注射剤の製剤特性と規定
薬剤|問 107-181|皮膚用製剤の基剤特性と評価方法
薬剤|問 108-181|日本薬局方一般試験法に関する記述の正誤判断
薬剤|問 106-182|製剤機械の特性および適用例
薬剤|問 107-182|懸濁性点鼻液の添加物の機能
薬剤|問 107-183|薬物とターゲティング技術
薬剤|問 109-183|製剤機械の特性および適用例
薬剤|問 106-184|薬物送達システム(DDS)


2. 試験問題 31問 薬学理論問題【薬剤】

薬剤師国家試験問題 薬学理論問題【薬剤】第106回 - 第109回

Creator: Yukiho Takizawa, PhD
Tool: Chat GPT powered by GPT4o
Date: 2024/ 07/12

Matsunoya|薬剤師国家試験対策ノート
2. 試験問題 31問 薬学理論問題【薬剤】

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論点を確認し終わったら、問題を解いてみましょう。
薬剤師国家試験の本番では、薬学理論問題は原則1問2.5分以内に解く必要があります。でも、最初はゆっくりで大丈夫です。よく考えることが大切だからです。時間がかかる問題とかからない問題があります。
落ち着いて一通り解いてみましょう。
2. 試験問題の後に、
3. 論点解説、4. 徹底解説があります。
わからなかった問題に関して、論点解説を読み、重点的に復習してみましょう。正解だった問題も、時間があったら、解説を確認するとよいです。

薬剤師国家試験問題 薬学理論問題【薬剤】第106回 - 第109回
・正答の選択肢は問題によって異なります。
 1つ選択または2つ選択のどちらかです。


💡豆知識: 
一般問題「薬学理論問題」の完全攻略の第一歩は、慣れる事です。
薬剤学の問題の場合は、4. 徹底解説で事前にモノの見方、考え方のポイントの復習をして、自分で必要な事柄をまとめてから問題に取り組むのもよいでしょう。
問題の下にリンク🔗松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノートがついている問題が、15問ありますが、これらは特に徹底解説している問題です。


薬剤学は、薬物動態学と製剤学の2つの科目の知識を評価する科目です。
過去問を解いていく中で、傾向と対策を把握し、自分なりの勉強法を身につけて、全問正解を目指せ!
3. 論点解説、4. 徹底解説を活用して弱点を克服しましょう。
読書百遍意自ずから通ず📚


薬剤師国家試験問題の原本で解いてみることをお勧めします。
薬剤師国家試験問題の原本は厚生労働省のホームページ 薬剤師国家試験のページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp) にあります。

薬学理論問題【薬剤】は本番の国家試験では第1日目の午後の休憩の後、15:50から始まる【薬理、薬剤、病態・薬物治療】の薬理の次の科目です。
薬剤師国家試験1日目の必須問題9科目90問が午前中に終わり、午後、12:30からの15:00までの一般問題のうちの薬学理論問題【物理・化学・生物、衛生、法規・制度・倫理】が終わった後の15:50から17:45までの115分の3科目中の薬理の次のパート部分です。
ラストには病態・薬物治療が控えていますから、薬剤で煩悶して苦しまないように十分に余裕ができるレベルまで勉強しておくのも戦略の一つです。

試験問題の原本(PDF)はこちら 
過去の試験問題及び解答
第106回 000756021.pdf (mhlw.go.jp)
第107回 000915527.pdf (mhlw.go.jp)
第108回 001074630.pdf (mhlw.go.jp)
第109回 001226761.pdf (mhlw.go.jp)

それでは、はじめましょう。


薬剤|問 108-168
薬物の消化管吸収に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
■選択肢

  1. 小腸下部から吸収された薬物は門脈を介さずに全身循環へ移行する。

  2. P-糖タンパク質に認識される薬物の消化管からの吸収速度定数は、薬物の脂溶性と吸収速度定数との相関から推定される値よりも大きい。

  3. 食後に薬物を投与すると胃内容排出速度が上昇するため、薬物の最高血中濃度到達時間は早くなる。

  4. 脂溶性の高い薬物は、小腸吸収過程において非撹拌水層の影響を受けやすい。

  5. 消化管粘膜表面のpHは消化管管腔内のpHよりも低いため、弱酸性薬物の消化管からの吸収量は、管腔内pHから予想される量よりも少ない。


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問108-168【薬剤】論点:薬物の消化管吸収|matsunoya (note.com)


薬剤|問 107-169
線形薬物動態を示す薬物A10mgを静脈内投与あるいは経口投与した後の血中濃度時間曲線下面積(AUC)は、それぞれ500ng・h/mL、150ng・h/mLであった。経口投与後の薬物Aの消化管上皮細胞への移行率と肝抽出率を算出したところ、それぞれ90%と45%であった。また、胆汁中及び尿中に未変化体薬物は検出されなかった。薬物Aが消化管上皮細胞での代謝を免れる率として、最も近いのはどれか。1つ選べ。
■選択肢

  1. 10%

  2. 20%

  3. 30%

  4. 60%

  5. 75%


薬剤|問 108-169
血漿タンパク質と、血漿タンパク質と薬物の結合に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 血漿タンパク質と薬物の結合は、通常、共有結合である。

  2. 血漿タンパク質のうち、最も多く存在するのがC-グロブリンである。

  3. 血漿タンパク質のうち、a1-酸性糖タンパク質は多くの酸性薬物と結合する。

  4. 血漿アルブミン濃度は肝硬変で低下し、血漿中の薬物の非結合形の割合が増加する。

  5. 併用薬により血漿タンパク結合の競合阻害を受けた薬物は、単独投与の場合と比較して組織への分布量が増加する。


薬剤|問 106-170
トランスポーターを介した薬物輸送に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. ペプチドトランスポーターPEPT1によるバラシクロビル輸送の駆動力は、プロトン濃度勾配である。

  2. 有機アニオントランスポーターOAT1によるメトトレキサート輸送は、ATPの加水分解エネルギーを駆動力として直接利用する。

  3. シクロスポリンは有機アニオントランスポーターOATP1B1を阻害するため、プラバスタチンの肝臓への移行を抑制し、血中濃度を上昇させる。

  4. カルビドパは血液脳関門に発現する中性アミノ酸トランスポーターLAT1を介して、脳へ移行する。

  5. シスプラチンは有機カチオントランスポーターOCT2の基質であるため、ジゴキシンの尿細管分泌を競合的に阻害する。


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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問106-170【薬剤】論点:トランスポーターを介した薬物輸送|matsunoya (note.com)


薬剤|問 108-170
薬物のリンパ系への移行に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 消化管からリンパ系を介して吸収された薬物は、肝初回通過効果を受けずに全身循環系に到達する。

  2. リンパ系に移行した薬物は、血液循環系へ移行した薬物に比べてゆっくりと全身に分布する。

  3. 毛細リンパ管内皮細胞は密着結合を形成しているため、分子量の小さい薬物の方が透過しやすい。

  4. 皮下投与された抗体医薬品は、リンパ系へ移行しにくい。

  5. リンパ系に移行した薬物は、胸管リンパを経て肺動脈に入り、全身循環血を介して体内に分布する。


薬剤|問 106-171
薬物の胎児への移行に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 母体血と胎児血が胎盤内で混ざり合うことで、薬物は母体血から胎児血へ移行する。

  2. 胎盤にはP-糖タンパク質が発現し、薬物の胎児血への移行を抑制している。

  3. 胎盤にはシトクロムP450などの薬物代謝酵素が存在しないため、薬物は胎盤で代謝を受けることなく胎児血に移行する。

  4. 胎盤には母体血中の抗体を胎児に移行させる透過機構が存在しないため、全ての抗体医薬品は胎児血に移行しない。

  5. 薬物は母体血中でアルブミンと結合した状態では、胎盤を介して胎児血に移行しない。


薬剤|問 107-171
プラバスタチンの体内動態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. プラバスタチンは、シトクロムP450による代謝を受けやすい。

  2. プラバスタチンは、胆管側膜に存在するMultidrug ResistanCe-assoCiatedProtein 2(MRP2)により胆汁中に分泌される。

  3. プラバスタチンは、キニジンとの併用により中枢移行量が増える。

  4. プラバスタチンの血中濃度は、シクロスポリンとの併用により上昇する。

  5. プラバスタチンは、有機カチオントランスポーターOCT1を介して肝細胞内に取り込まれる。


薬剤|問 109-171
経口投与する薬物について、食事により量的バイオアベイラビリティは変わらないが、速度的バイオアベイラビリティが低下するのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. アセトアミノフェン

  2. セファクロル

  3. リボフラビン

  4. フェニトイン

  5. インドメタシン ファルネシル


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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-171【薬剤】論点:薬物のバイオアベイラビリティへの食事の影響|matsunoya (note.com)


薬剤|問 108-172
薬物の腎排泄に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. パラアミノ馬尿酸の腎クリアランスは血中濃度に比例する。

  2. サリチル酸の腎クリアランスは、アスコルビン酸の併用により増大する。

  3. グルコースは、尿中にほとんど排泄されない。

  4. ゲンタマイシンの血中半減期は、糸球体ろ過速度の低下により長くなる。

  5. メトホルミンの腎クリアランスは、クレアチニンクリアランスより小さい。


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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問108-172【薬剤】論点:薬物の腎排泄|matsunoya (note.com)


薬剤|問 106-173
体内動態が線形性を示す薬物Aは、肝代謝と腎排泄によって体内から消失し、正常時における腎クリアランスは全身クリアランスの60%である。また、腎疾患時に薬物Aの肝クリアランスは変化しないが、腎クリアランスは糸球体ろ過速度(GFR)に比例して変化する。薬物Aを投与中の患者において、GFRが正常時の50%に低下したとする。薬物Aの血中濃度時間曲線下面積(AUC)を腎機能正常時と同じにするには、投与量を腎機能正常時の何%に変更すればよいか。1つ選べ。
■選択肢

  1. 20

  2. 40

  3. 70

  4. 140

  5. 250


薬剤|問 107-173
薬物の腸肝循環に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 胆管閉塞で血中半減期が短縮する。

  2. 抗菌薬の内服による影響を受けることがある。

  3. 静脈内投与された薬物では起こらない。

  4. 腸内細菌のβ-グルクロニダーゼが阻害されると血中半減期が延長する。

  5. 経口投与後の血中濃度において、ピークが二峰性を示すことがある。


薬剤|問 109-173
薬物のみかけの分布容積とその変動に関与する血漿タンパク結合に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. みかけの分布容積は、体内薬物量と血漿中薬物濃度の平衡定数として定義される。

  2. 特定の臓器や細胞内小器官(核やリソソーム、ミトコンドリアなど)に分布する薬物は、体重1kgあたりの分布容積が10Lを越えることがある。

  3. 脂溶性の高い薬物の分布容積は加齢に伴って減少する。

  4. 血漿タンパク結合率が高い薬物のみかけの分布容積は体内水分量とほぼ等しい。

  5. タンパク非結合型薬物の濃度は、定常状態において血漿中と組織間隙液中との間でほぼ等しい。


薬剤|問 108-174
薬物動態の非線形性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 薬物代謝が非線形性を示す場合、全身クリアランスは投与量の増加に伴い変化する。

  2. 血漿タンパク結合に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。

  3. 肝臓の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の分布容積は増加する。

  4. 小腸上皮細胞の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。

  5. 尿細管分泌を担う担体輸送に飽和が生じた場合、薬物の尿細管分泌クリアランスは低下する。


薬剤|問 109-174
薬物代謝酵素の遺伝子多型に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. CYP2C19の遺伝子多型によってオメプラゾールの血中濃度時間曲線下面積(AUC)は変化するが、代謝物のAUCは変化しない。

  2. CYP2D6の遺伝子多型が関与するイミプラミンのpoor metabolizer(PM)では、活性代謝物の血中濃度が高い。

  3. アザチオプリンを使用する前には、UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT1A1)の遺伝子多型の診断が行われている。

  4. N-アセチル転移酵素(NAT2)には遺伝子多型が存在し、日本人では約10%がイソニアジドのアセチル化反応速度が速い群に属する。

  5. アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)はPMの頻度に人種差があり、白人と比べて日本人ではPMの出現率が高い。


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-174【薬剤】論点:薬物代謝酵素の遺伝子多型|matsunoya (note.com)


薬剤|問 107-175
フェニトイン100mg錠を1回1錠、1日3回服用するところ、誤って1回1錠、1日2回しか服用していなかった。その時の患者のフェニトインの血中濃度は4μg/mLであった。この患者が処方どおりに1日3回服用した場合のフェニトインの血中濃度(μg/mL)として、最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、フェニトインの血中濃度は定常状態における平均値であるものとし、フェニトインの体内からの消失はMiChaelis-Menten式で表され、MiChaelis定数を4μg/mL、バイオアベイラビリティを100%とする。
■選択肢

  1. 6

  2. 12

  3. 16

  4. 20

  5. 24


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-175【薬剤】論点:フェニトインの血中濃度予測|matsunoya (note.com)


薬剤|問 106-176
抗菌薬の投与計画に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 薬物動態(PK)パラメーターとして、最小発育阻止濃度(MIC)が用いられる。

  2. 薬力学的(PD)パラメーターとして、time above MICが用いられる。

  3. PK-PDパラメーターとして、血中濃度時間曲線下面積(AUC)をMICで除したAUC/MICが用いられる。

  4. 濃度依存性作用型薬物のPK-PDパラメーターとして、最高血中濃度(Cmax)をMICで除したCmax/MICが用いられる。

  5. 時間依存性作用型薬物は、1回あたりの投与量を増やし、投与間隔を延ばすことが望ましい。


薬剤|問 109-176
TDMの実施が望ましい薬物の性質として、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 有効血中濃度の範囲が広い。

  2. 体内動態の個人差が小さい。

  3. 薬物相互作用を受ける可能性が低い。

  4. 体内動態に非線形性が認められる。

  5. 副作用と対象疾患の症状の区別が難しい。


薬剤|問 107-177
粉体の性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 顕微鏡法により得られた粒子の投影像を一定方向の2本の平行線で挟んだとき、平行線間の長さに相当する粒子径をマーチン径という。

  2. 同一粉体において、質量基準による粒度分布の平均粒子径より、個数基準による粒度分布の平均粒子径の方が小さい。

  3. 水溶性の結晶性粉体の臨界相対湿度は、水不溶性の結晶性粉体と混合することで低下する。

  4. 真密度1.4g/cm^3、空隙率0.5の粉末70gの空隙体積が2/5になるまで圧縮した際のみかけの密度は1.0g/cm^3である。

  5. 試料粉体の比表面積と平均粒子径が比例することから、比表面積を測定することで試料粉体の平均粒子径を求めることができる。


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-177【薬剤】論点:粉体の性質|matsunoya (note.com)


薬剤|問 108-177
界面に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 固相-気相界面が固相-液相界面に置き換わることを吸着という。

  2. 溶液における表面吸着は、Gibbsの吸着等温式で表される。

  3. 液滴の接触角が小さい固体表面ほどぬれやすい。

  4. 錠剤は、拡張ぬれにより崩壊する。

  5. 表面張力測定法には、毛管上昇法、円環法及び沈降法がある。


問 109-177-178
抗悪性腫瘍薬であるイリノテカンはプロドラッグである。この薬物の製剤と代謝に関する以下の問に答えよ。


薬剤|問 109-177
イリノテカン塩酸塩水和物を有効成分とするオニバイド点滴静注に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。なお、本製剤は以下の添加物を含む。添加物:1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、コレステロール、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール-2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸
■選択肢

  1. イリノテカンをポリエチレングリコール誘導体で可溶化した製剤である。

  2. ポリエチレングリコールで表面が修飾されたリポソーム製剤である。

  3. 能動的ターゲティングにより腫瘍に集積する。

  4. 細網内皮系を回避することにより血中に滞留する。

  5. 製剤中に含まれる微粒子は150nm程度である。


薬剤|問 109-178
イリノテカンは酵素(ア)によって活性代謝物(イ)に変換され、さらに酵素 (ウ)によって代謝物(エ)に変換され不活化される。(ア)の酵素及び(イ)の 構造式、(ウ)の酵素及び(エ)の構造式のそれぞれの組合せとして、正しいのは どれか。1つ選べ。

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【薬剤】 問178

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-177, 109-178【薬剤】論点:イリノテカン塩酸塩水和物|matsunoya (note.com)


薬剤|問 108-178
医薬品の水溶液中における安定性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 加水分解を受けやすい医薬品は、難溶性の塩として溶解度を低下させることで安定性が改善する。

  2. EDTAは、包接化により医薬品の安定性を改善する。

  3. 特殊酸触媒のみで分解する医薬品は、保存するpHを低くすることで安定性が改善する。

  4. 異符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、塩を添加することで溶液のイオン強度を増大させると安定性が改善する。

  5. 同符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、アルコールを添加することで溶媒の誘電率を低下させると安定性が低下する。


薬剤|問 108-179
日本薬局方における経口投与する製剤に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 別に規定するもののほか、冷所に保存する。

  2. 微生物による汚染に関する規定はない。

  3. 即放性製剤は、通例、有効成分の溶解性に応じた溶出挙動を示す。

  4. 懸濁剤は、別に規定するもののほか、溶出試験法に適合する。

  5. 崩壊試験法は、製剤中の有効成分が完全に溶解するかを確認する試験である。


薬剤|問 106-180
乳剤及び懸濁剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. バンクロフト(Bancroft)の経験則によると、親油性の乳化剤を添加するとw/o 型乳剤が形成されやすい。

  2. 一般に、分散相が凝集した乳剤は、振り混ぜると容易に再分散される。

  3. 懸濁剤において、粒子が凝集沈降を起こし、再分散が困難な強固な凝集体を形成することをケーキングという。

  4. 一般に、乳剤の外相に内相を加えて両相の容積が等しくなったとき、外相と内相が逆転する転相を起こす。

  5. 乳剤のクリーミングは、内相が浮上又は沈降する現象であり、可逆的である。


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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問106-180【薬剤】論点:乳剤と懸濁剤の物理化学的特性|matsunoya (note.com)


薬剤|問 108-180
日本薬局方における注射剤に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 非水性溶剤として、ダイズ油を用いることができる。

  2. 水性溶剤は、エンドトキシン試験法と発熱性物質試験法の両方に適合する。

  3. 等張化剤として、ホウ酸を加えることができる。

  4. 乳濁性注射剤は、製剤均一性試験法に適合する。

  5. 埋め込み注射剤には、通例、生分解性高分子化合物を用いる。


薬剤|問 107-181
皮膚に使用する製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 油脂性基剤である単軟膏や白色軟膏は、乾燥型及び湿潤型いずれの皮膚疾患にも使用できる。

  2. 水溶性基剤であるマクロゴールは、分子量が大きくなると水に不溶になる。

  3. 水溶性ゲル基剤は、損傷皮膚を含めた様々な状態の皮膚に安全に使用できる。

  4. 吸水クリームと親水クリームは、いずれもサラシミツロウを含んでいる。

  5. マトリックス型のテープ剤は、日本薬局方の粘着力試験法により評価される。


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-181【薬剤】論点:皮膚用製剤の基剤特性と評価方法|matsunoya (note.com)


薬剤|問 108-181
日本薬局方一般試験法に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 吸入剤の空気力学的粒度測定法では、吸入剤から噴霧、放出される薬物量の均一性を定量的に評価する。

  2. 展延性試験法では、スプレッドメーター(平行板粘度計)を用いて、半固形製剤の流動性(流れやすさ)を測定する。

  3. ローリングボールタック試験法では、皮膚に適用する製剤からの薬物の放出性を評価する。

  4. 溶出試験法は、経口製剤の溶出試験規格への適合を判定するとともに、著しい生物学的非同等性を防ぐことを目的とする。

  5. 点眼剤の不溶性異物検査法では、点眼剤中の不溶性異物の大きさと数を測定する。


薬剤|問 106-182
単位操作と製剤機械に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. ジェットミルは、ジュール・トムソン効果により粉砕時の温度の上昇を抑えられるので、熱に不安定な化合物や低融点化合物の粉砕に適している。

  2. 旋回スクリュー型混合機は、本体容器が回転することにより、粉粒体の集合と分割を交互に繰り返すことで混合が進行する。

  3. 流動層造粒装置は、熱風気流中に吹き上げた粉末に結合剤を噴霧するので、装置内で圧密化を受けて重質な造粒物が得られる。

  4. ロータリー型打錠機は、複数組の上下杵と臼を組み込むことができるので、大量生産に適している。

  5. オーガ式のカプセル充てん装置は、瞬間的に薬物溶液をゼラチンで包み込めるので、シームレスカプセルを製することができる。


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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問106-182【薬剤】論点:製剤機械の特性および適用例|matsunoya (note.com)


薬剤|問 107-182
フルチカゾンプロピオン酸エステルを有効成分とする懸濁性点鼻液に含まれる添加物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
〔添加物〕カルボキシビニルポリマー、L-アルギニン、ベンザルコニウム塩化物、エデト酸ナトリウム水和物、ポリソルベート80、濃グリセリン、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、精製水
■選択肢

  1. ポリソルベート80は、懸濁化剤として添加されている。

  2. ベンザルコニウム塩化物は、有効成分を可溶化するために添加されている。

  3. 塩化ナトリウムは、微生物の増殖を抑制するために添加されている。

  4. カルボキシビニルポリマーは、有効成分の鼻腔内滞留性を高めるために添加されている。

  5. エデト酸ナトリウム水和物は、無痛化剤として添加されている。


薬剤|問 107-183
薬物とターゲティング技術に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. レボドパは、主にP-糖タンパク質により選択的に脳内に取り込まれる。

  2. サラゾスルファピリジンは、腸内細菌により5-アミノサリチル酸に変換される。

  3. フルシトシンは、腫瘍細胞内の酵素により5-フルオロウラシルに変換される。

  4. アルプロスタジルは、乳酸・グリコール酸共重合体マイクロスフェアを担体として病変部位にターゲティングされる。

  5. ガラクトシル人血清アルブミンジエチレントリアミン五酢酸テクネチウムは、肝細胞膜上のアシアロ糖タンパク質受容体に強く結合する。


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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-183【薬剤】論点:薬物とターゲティング技術(その1)|matsunoya (note.com)


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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-183【薬剤】論点:薬物とターゲティング技術(その2)|matsunoya (note.com)


薬剤|問 109-183
我が国で実用化されている薬物送達システム(DDS)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1.  ア|イ

  2.  オ|エ

  3.  イ|ウ

  4.  エ|オ

  5.  ウ|ア

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【薬剤】 問183

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-183【薬剤】論点:製剤機械の特性および適用例|matsunoya (note.com)


薬剤|問 106-184
我が国で実用化されている薬物送達システム(DDS)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. ニトログリセリンのテープ剤は、投与薬物の肝初回通過効果を回避して、薬効の持続を期待できる経皮吸収型製剤である。

  2. ファモチジンの口腔内崩壊錠は、薬物の苦味を抑えるため、水溶性高分子を担体とする固体分散体を利用して薬物溶出が抑えられている。

  3. 直腸粘膜からのセフチゾキシムナトリウムの吸収を高めるため、カプリン酸ナトリウムを添加した坐剤が実用化されている。

  4. 鼻粘膜からの薬物吸収を高めるため、付着性を有する高分子を添加したトリアムシノロンアセトニドの製剤がある。

  5. プロポフォールの注射剤は、薬物が脂質二重膜に包まれることで、血中での滞留性が高まり、治療効果を発揮する。


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問106-184【薬剤】論点:薬物送達システム(DDS)|matsunoya (note.com)


この後に記載された解説は、薬理学の基本的な概念に基づいており、特定の薬剤の作用機序や臨床応用に関する一般的な情報を提供するものです。もし更に詳細な情報が必要な場合は、専門の文献や資料を参照してください。

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😊 お疲れ様でした。次は、論点解説です。
がんばろう!絶対、完全攻略できます。


3. 論点解説 31問 薬学理論問題【薬剤】

薬剤師国家試験問題 薬学理論問題【薬剤】第106回 - 第109回

Creator: Yukiho Takizawa, PhD
Tool: Chat GPT powered by GPT4o
Date: 2024/ 07/12

Matsunoya|薬剤師国家試験対策ノート
3. 論点解説 31問 薬学理論問題【薬剤】

Here; https://note.com/matsunoya_note/n/n304c6f6026f4

Matsunoya|薬剤師国家試験対策ノート


薬剤|問 108-168 ■正答| 4
薬物の消化管吸収に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
■選択肢

  1. 小腸下部から吸収された薬物は門脈を介さずに全身循環へ移行する。

  2. P-糖タンパク質に認識される薬物の消化管からの吸収速度定数は、薬物の脂溶性と吸収速度定数との相関から推定される値よりも大きい。

  3. 食後に薬物を投与すると胃内容排出速度が上昇するため、薬物の最高血中濃度到達時間は早くなる。

  4. 脂溶性の高い薬物は、小腸吸収過程において非撹拌水層の影響を受けやすい。

  5. 消化管粘膜表面のpHは消化管管腔内のpHよりも低いため、弱酸性薬物の消化管からの吸収量は、管腔内pHから予想される量よりも少ない。


薬剤|問 108-168


■■GPT4o


■論点|薬物の消化管吸収
この問題の論点は、薬物の消化管吸収に関する正確な知識を特定することです。


■解説1|


脂溶性の高い薬物は、小腸吸収過程において非撹拌水層の影響を受けやすい。(選択肢4) [正しい]


非撹拌水層は、小腸粘膜表面の水層であり、脂溶性の高い薬物が細胞膜を通過する前に通過する必要があります。
膜透過速度が非常に速い脂溶性の高い難溶解性薬物の場合、小腸上皮細胞層に存在する非撹拌水層 (unstirred water layer: UWL) 内の拡散速度が消化管膜透過速度に影響します。


■解説2|


非撹拌水層は、消化管粘膜表面に存在する微小な水層であり、薬物の吸収に重要な役割を果たします。この層を通過する能力は、薬物の物理化学的特性、特に脂溶性に大きく依存します。
脂溶性の高い薬物は、この層を通過する際に障害を受けやすく、吸収速度が遅くなることが知られています。


■結論|
正しい選択肢は、4です。


■補足|


小腸下部から吸収された薬物は門脈を介さずに全身循環へ移行する。(選択肢1) [誤り]


小腸下部から吸収された薬物は、通常、門脈を介して肝臓に運ばれます。


P-糖タンパク質に認識される薬物の消化管からの吸収速度定数は、薬物の脂溶性と吸収速度定数との相関から推定される値よりも大きい。(選択肢2) [誤り]


P-糖タンパク質は薬物の排出を促進するため、吸収速度定数が実際よりも低くなることが一般的です。


食後に薬物を投与すると胃内容排出速度が上昇するため、薬物の最高血中濃度到達時間は早くなる。(選択肢3) [誤り]


食後は胃内容排出速度(GER)が遅くなることが一般的です。
しかし、GERは個人差や食事内容(胃内容物)などの種々の因子により著しく影響されるため、実際の個々の研究のプロトコールとデータがなければ、一概には、食後に薬物を投与すると胃内容排出速度が上昇しない、もしく減少するとは言えないです。
GERが上昇した場合、薬物の最高血中濃度到達時間が早くなることは一般的ですが例外はあります。


※正誤問題の選択肢としては、科学的な見地からは表現が適切ではないと思います。


消化管粘膜表面のpHは消化管管腔内のpHよりも低いため、弱酸性薬物の消化管からの吸収量は、管腔内pHから予想される量よりも少ない。(選択肢5) [誤り]


消化管粘膜表面のpHは一般的に管腔内のpHよりも低いため、弱酸性薬物の吸収は管腔内pHから予想される量よりも多いと予測されます。
これは以下の理由に基づいています。
消化管粘膜表面には、非撹拌水槽が存在しており、小腸上皮細胞よりプロトンが分泌されます。
そのため、消化管粘膜表面のpHは、消化管管腔内のpHよりも低く保たれます。
弱酸性薬物の分子形の割合が高くなるため、消化管粘膜表面では、弱酸性薬物の消化管からの吸収量は、管腔内pHから予想される量よりも多くなります。


■Lecture|


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問108-168【薬剤】論点:薬物の消化管吸収|matsunoya (note.com)


薬剤|問 107-169 ■正答| 4
線形薬物動態を示す薬物A 10mgを静脈内投与あるいは経口投与した後の血中濃度時間曲線下面積(AUC)は、それぞれ500ng・h/mL、150ng・h/mLであった。経口投与後の薬物Aの消化管上皮細胞への移行率と肝抽出率を算出したところ、それぞれ90%と45%であった。また、胆汁中及び尿中に未変化体薬物は検出されなかった。薬物Aが消化管上皮細胞での代謝を免れる率として、最も近いのはどれか。1つ選べ。
■選択肢

  1. 10%

  2. 20%

  3. 30%

  4. 60%

  5. 75%


薬剤|問 107-169


■■GPT4o


■論点|消化管上皮細胞での代謝を免れる率
この問題の論点は、薬物の消化管上皮細胞での代謝を免れる率を正確に計算することです。


■解説1|


薬物Aの静脈内投与後のAUCは500ng・h/mL、経口投与後のAUCは150ng・h/mLであることから、以下のように考えます。


経口投与のAUC / 静脈内投与のAUC = 150(ng・h/mL) / 500(ng・h/mL) = 0.3
ここから、薬物Aの経口投与後のバイオアベイラビリティ (F) は30%です。
薬物Aの消化管上皮細胞への移行率は90%、肝抽出率は45%です。
消化管での吸収効率 (消化管上皮細胞での代謝を含む) = 0.90
肝臓を通過して全身循環に入る確率は1 - 0.45 = 0.55


■解説2|


薬物Aの全体のバイオアベイラビリティは消化管上皮細胞への移行率と肝臓での代謝率の両方を考慮する必要があります。
薬物Aが消化管上皮細胞で代謝を免れる確率は、
全体のバイオアベイラビリティ (F)
F = 消化管上皮細胞への移行率 × 消化管上皮細胞で代謝を免れる確率 × 肝臓での代謝を免れる率
0.3 = 0.9 × 消化管上皮細胞で代謝を免れる確率 × 0.55
消化管上皮細胞で代謝を免れる確率 = 0.3 / (0.9 × 0.55) = 0.606
したがって、消化管上皮細胞での代謝を免れる率は、60.6 %


■結論|
正しい選択肢は、4です。
消化管上皮細胞での代謝を免れる率は60%に最も近いです。


薬剤|問 108-169 ■正答| 4 5
血漿タンパク質と、血漿タンパク質と薬物の結合に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 血漿タンパク質と薬物の結合は、通常、共有結合である。

  2. 血漿タンパク質のうち、最も多く存在するのがγ-グロブリンである。

  3. 血漿タンパク質のうち、α1-酸性糖タンパク質は多くの酸性薬物と結合する。

  4. 血漿アルブミン濃度は肝硬変で低下し、血漿中の薬物の非結合形の割合が増加する。

  5. 併用薬により血漿タンパク結合の競合阻害を受けた薬物は、単独投与の場合と比較して組織への分布量が増加する。


薬剤|問 108-169


■■GPT4o


■論点|血漿タンパク質と薬物の結合
この問題の論点は、血漿タンパク質と薬物の結合に関する正確な知識を特定することです。


■解説1|


血漿アルブミン濃度は肝硬変で低下し、血漿中の薬物の非結合形の割合が増加する。(選択肢4) [正しい]


肝硬変はアルブミン合成能力を低下させるため、血漿アルブミン濃度が低下します。
結果として、薬物の非結合形の割合が増加し、薬物の有効性や毒性が変化することがあります。


併用薬により血漿タンパク結合の競合阻害を受けた薬物は、単独投与の場合と比較して組織への分布量が増加する。(選択肢5) [正しい]


複数の薬物が同じ結合部位を競合すると自由型の薬物濃度が増加します。
自由型薬物は組織への分布が増加します。


■解説2|


血漿アルブミンは、薬物の主要な結合タンパク質の一つであり、肝臓で合成されます。
肝硬変などの肝機能障害により、アルブミンの合成が低下すると、血漿中のアルブミン濃度が減少します。
これにより、アルブミンに結合する薬物の非結合形の割合が増加し、薬物の効果や副作用が強まることがあります。
また、併用薬が同じタンパク質結合部位を競合すると、薬物の非結合形が増加し、分布や排泄に影響します。


■結論|
正しい選択肢は、4と5です。


■補足|


血漿タンパク質と薬物の結合は、通常、共有結合である。(選択肢1) [誤り]


薬物と血漿タンパク質の結合は、通常、疎水性相互作用や静電気相互作用などの非共有結合です。


血漿タンパク質のうち、最も多く存在するのがγ-グロブリンである。(選択肢2) [誤り]


血漿タンパク質の中で最も多く存在するのはアルブミンであり、γ-グロブリンではありません。


血漿タンパク質のうち、α1-酸性糖タンパク質は多くの酸性薬物と結合する。(選択肢3) [誤り]


α1-酸性糖タンパク質は主に塩基性薬物と結合し、酸性薬物とはあまり結合しません。


薬剤|問 106-170 ■正答| 1 3
トランスポーターを介した薬物輸送に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. ペプチドトランスポーターPEPT1によるバラシクロビル輸送の駆動力は、プロトン濃度勾配である。

  2. 有機アニオントランスポーターOAT1によるメトトレキサート輸送は、ATPの加水分解エネルギーを駆動力として直接利用する。

  3. シクロスポリンは有機アニオントランスポーターOATP1B1を阻害するため、プラバスタチンの肝臓への移行を抑制し、血中濃度を上昇させる。

  4. カルビドパは血液脳関門に発現する中性アミノ酸トランスポーターLAT1を介して、脳へ移行する。

  5. シスプラチンは有機カチオントランスポーターOCT2の基質であるため、ジゴキシンの尿細管分泌を競合的に阻害する。


薬剤|問 106-170


■■GPT4o


■論点|トランスポーターを介した薬物輸送
この問題の論点は、薬物輸送に関与するトランスポーターの機能とその駆動力、阻害作用に関する正確な知識を特定することです。


■解説1|


ペプチドトランスポーターPEPT1によるバラシクロビル輸送の駆動力は、プロトン濃度勾配である。(選択肢1) [正しい]


PEPT1は、ペプチドおよびペプチド類似薬物を輸送するトランスポーターであり、プロトンと共輸送するメカニズムを持っています。
このトランスポーターはプロトン濃度勾配を駆動力として、薬物を細胞内に取り込みます。


シクロスポリンは有機アニオントランスポーターOATP1B1を阻害するため、プラバスタチンの肝臓への移行を抑制し、血中濃度を上昇させる。(選択肢3) [正しい]


シクロスポリンはOATP1B1を阻害することで、プラバスタチンの肝臓への取り込みを減少させます。
これにより、プラバスタチンの血中濃度が上昇し、薬物相互作用が生じることがあります。


■解説2|


PEPT1はプロトン駆動型のトランスポーターで、腸管での薬物吸収に重要な役割を果たします。
このメカニズムにより、ペプチドおよびペプチド類似薬物が効率よく吸収されます。
シクロスポリンは、肝臓のOATP1B1を阻害し、これにより薬物の肝取り込みが減少し、全身循環での薬物濃度が増加することがあります。
このようなトランスポーターの阻害は、薬物相互作用の主要な原因となります。


■結論|
正しい選択肢は、1と3です。


■補足|


有機アニオントランスポーターOAT1によるメトトレキサート輸送は、ATPの加水分解エネルギーを駆動力として直接利用する。(選択肢2) [誤り]


有機アニオントランスポーターOAT1は、メトトレキサート(MTX)などの薬物を輸送する二次性能動輸送担体です。
OAT1の輸送活動は、ナトリウムイオンの濃度勾配を利用したエネルギー依存性のメカニズムに基づいています。
具体的には、ナトリウム-カリウムポンプによって維持されるナトリウムイオンの濃度勾配を利用します。
OAT1は、ナトリウムイオンの濃度勾配を利用した共輸送体(コトランスポーター)として機能します。
具体的には、ナトリウムイオンが濃度勾配に従って細胞内に流れ込む際に、同時に有機アニオン(例えばメトトレキサート)を細胞内に取り込みます。
細胞膜にはナトリウム-カリウムポンプ(Na⁺/K⁺-ATPase)が存在します。
Na⁺/K⁺-ATPaseはATPの加水分解によって得られるエネルギーを利用し、ナトリウムイオンを細胞外に排出し、カリウムイオンを細胞内に取り込みます。
このプロセスにより、細胞外のナトリウムイオン濃度は高く、細胞内のナトリウムイオン濃度は低く保たれナトリウムイオンの濃度勾配が発生します。


※設問の論点であるATPの加水分解エネルギーを駆動力として直接利用するのか、直接利用しないのかは、科学的な表現という見地からは適切ではない言い回しです。
「直接」って、どの範囲の定義で言っていますか?ってことです。
法的に定義された薬剤師の国家資格にふさわしいかどうかを判断する検出能力として、正解を導くための選択肢の記述にはふさわしくない表現です。


カルビドパは血液脳関門に発現する中性アミノ酸トランスポーターLAT1を介して、脳へ移行する。(選択肢4) [誤り]


カルビドパは、ドーパ脱炭酸酵素の阻害剤として作用します。ドーパ脱炭酸酵素はレボドパ(L-DOPA)をドーパミンに変換する役割を持ちますが、カルビドパは血液脳関門を通過しないため、末梢でのみこの酵素を阻害します。この結果、末梢でのL-DOPAからドーパミンへの変換が抑制され、L-DOPAが脳に到達しやすくなります。
血液脳関門に発現する中性アミノ酸トランスポーターLAT1を介して、脳へ移行する薬物としては、メトトレキサート(MTX)やL-DOPA(パーキンソン病治療薬)が知られています。


シスプラチンは有機カチオントランスポーターOCT2の基質であるため、ジゴキシンの尿細管分泌を競合的に阻害する。(選択肢5) [誤り]


シスプラチンは有機カチオントランスポーターOCT2の基質であり、尿細管細胞内に輸送されます。
OCT2はシスプラチンの腎毒性に関連する重要な輸送メカニズムを持っています。
ジゴキシンの輸送において重要なトランスポーターはP-糖タンパク質(P-gp、別名ABCB1)です。
また、有機アニオントランスポーター(OATP、特にOATP1B1およびOATP1B3)は、肝臓でのジゴキシンの取り込みに関与しています。


■Lecture|


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問106-170【薬剤】論点:トランスポーターを介した薬物輸送|matsunoya (note.com)


薬剤|問 108-170 ■正答| 1 2
薬物のリンパ系への移行に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 消化管からリンパ系を介して吸収された薬物は、肝初回通過効果を受けずに全身循環系に到達する。

  2. リンパ系に移行した薬物は、血液循環系へ移行した薬物に比べてゆっくりと全身に分布する。

  3. 毛細リンパ管内皮細胞は密着結合を形成しているため、分子量の小さい薬物の方が透過しやすい。

  4. 皮下投与された抗体医薬品は、リンパ系へ移行しにくい。

  5. リンパ系に移行した薬物は、胸管リンパを経て肺動脈に入り、全身循環血を介して体内に分布する。


薬剤|問 108-170


■■GPT4o


■論点|薬物のリンパ系への移行
この問題の論点は、薬物のリンパ系への移行に関する正確な知識を特定することです。


■解説1|


消化管からリンパ系を介して吸収された薬物は、肝初回通過効果を受けずに全身循環系に到達する。(選択肢1) [正しい]


リンパ系を介して吸収された薬物は、門脈を経由せずに直接全身循環に入るため、肝初回通過効果を受けません。


リンパ系に移行した薬物は、血液循環系へ移行した薬物に比べてゆっくりと全身に分布する。(選択肢2) [正しい]


リンパ系を通じた薬物の移行は、血液循環系に比べてゆっくりであるため、全身への分布も遅れます。


■解説2|


リンパ系を介した薬物吸収は、特に脂溶性の高い薬物において重要です。消化管から吸収された薬物がリンパ系を通ると、肝臓を経由せずに全身循環に入るため、肝初回通過効果を避けられます。また、リンパ系の流れは血液循環系に比べて遅いため、薬物の全身への分布も遅れます。これにより、薬物の作用持続時間が延長されることがあります。


■結論|
正しい選択肢は、1と2です。


■補足|


毛細リンパ管内皮細胞は密着結合を形成しているため、分子量の小さい薬物の方が透過しやすい。(選択肢3) [誤り]


リンパ管内皮細胞は密着結合を形成していないため、分子量の大きい薬物も透過しやすいです。


皮下投与された抗体医薬品は、リンパ系へ移行しにくい。(選択肢4) [誤り]


皮下投与された抗体医薬品は、リンパ系を介して全身循環に移行します。


リンパ系に移行した薬物は、胸管リンパを経て肺動脈に入り、全身循環血を介して体内に分布する。(選択肢5) [誤り]


集合リンパ管は最も下流において、静脈と合流します。具体的には、胸管は左静脈角で、右リンパ本幹は右静脈角で静脈に開口します。


■Lecture|


リンパ管の構造と機能について (論点解説|選択肢5)


脈管系は血管系とリンパ管系から成り、体液の運搬に重要な役割を果たしています。
血管は酸素や栄養素の供給、二酸化炭素や老廃物の回収に関与し、リンパ管は余剰な組織液やタンパク質、免疫応答に重要です。


■Lecture|
論点解説 リンパの構造


リンパ管は毛細リンパ管(起始リンパ管)と集合リンパ管で構成され、リンパ液の運搬路となっています。
毛細リンパ管はボタン様結合で繋がり、大型物質の取り込みが可能です。
集合リンパ管はジッパー様結合で接着し、弁による一方向性のリンパ流を作り出しています。
集合リンパ管は、リンパ管系の一部であり、リンパ液を運搬する役割を果たしています。最も下流において、静脈と合流します。具体的には、胸管は左静脈角で、右リンパ本幹は右静脈角で静脈に開口します。この部位では、リンパ液が血管に還流され、体液の恒常性維持に寄与しています。また、リンパ管静脈吻合部位には弁が形成されており、血液のリンパ管内への流入を防いでいます。リンパ浮腫などの病態に関連しても重要な役割を果たしています。


Ref.
血管・リンパ管の構造と機能 - J-STAGE. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsph/26/1/26_9/_pdf/-char/ja.
リンパ管・リンパ節動態学の最近の進歩. http://j-ca.org/wp/wp-content/uploads/2016/04/4803_3.pdf.


薬剤|問 106-171 ■正答| 2 5
薬物の胎児への移行に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 母体血と胎児血が胎盤内で混ざり合うことで、薬物は母体血から胎児血へ移行する。

  2. 胎盤にはP-糖タンパク質が発現し、薬物の胎児血への移行を抑制している。

  3. 胎盤にはシトクロムP450などの薬物代謝酵素が存在しないため、薬物は胎盤で代謝を受けることなく胎児血に移行する。

  4. 胎盤には母体血中の抗体を胎児に移行させる透過機構が存在しないため、全ての抗体医薬品は胎児血に移行しない。

  5. 薬物は母体血中でアルブミンと結合した状態では、胎盤を介して胎児血に移行しない。


薬剤|問 106-171


■GPT4o


■論点|薬物の胎児への移行
この問題の論点は、薬物の胎児への移行に関する正確な知識を特定することです。


■解説1|


胎盤にはP-糖タンパク質が発現し、薬物の胎児血への移行を抑制している。(選択肢2) [正しい]


P-糖タンパク質は胎盤に発現しており、薬物の胎児への移行を防ぐバリアとして機能します。これにより、胎児への有害な影響を軽減します。


薬物は母体血中でアルブミンと結合した状態では、胎盤を介して胎児血に移行しない。(選択肢5) [正しい]


アルブミンと結合した薬物は、分子量が大きくなるため、胎盤を通過しにくくなります。このため、胎児への移行が制限されます。


■解説2|


胎盤は、母体血と胎児血の間のバリアとして機能し、さまざまなトランスポーターや酵素を持っています。P-糖タンパク質は胎盤で発現し、薬物の胎児への移行を抑制します。また、薬物がアルブミンと結合している場合、その分子量が大きくなるため、胎盤を通過しにくくなり、胎児への移行が制限されます。これらの機構により、胎児への薬物の影響を最小限に抑えることができます。


■結論|
正しい選択肢は、2と5です。


■補足|


母体血と胎児血が胎盤内で混ざり合うことで、薬物は母体血から胎児血へ移行する。(選択肢1) [誤り]


胎盤関門を通じて酸素や栄養素が胎児に供給されます。


胎盤にはシトクロムP450などの薬物代謝酵素が存在しないため、薬物は胎盤で代謝を受けることなく胎児血に移行する。(選択肢3) [誤り]


胎盤にはシトクロムP450などの薬物代謝酵素が存在し、一部の薬物は胎盤で代謝されます。


胎盤には母体血中の抗体を胎児に移行させる透過機構が存在しないため、全ての抗体医薬品は胎児血に移行しない。(選択肢4) [誤り]


胎盤には特定の抗体を胎児に移行させる透過機構が存在します。IgG抗体は胎盤を通過して胎児に移行します。


■Lecture|
論点解説 胎盤の構造と胎盤関門


胎盤の構造と母体・胎児の血管との関係について (論点解説|選択肢1)


胎盤は妊娠中に母体と胎児を結びつける重要な組織であり、酸素や栄養素の交換を担当しています。


胎盤の構造:
胎盤は直径約20cm、厚さ2〜3cm、重さ約500gの円盤状に発達します。
基底脱落膜と絨毛から構成されており、基底脱落膜の中に絨毛が納まっています。
絨毛内には胎児の毛細血管が含まれ、母体血との交換が行われます。
母体と胎盤の血管関係:
臍動脈は内腸骨動脈から分かれて胎盤へ流れ、静脈血を運びます。
臍静脈は胎盤から静脈管を経て下大静脈へ流れ、動脈血を運びます。
胎盤関門を通じて酸素や栄養素が胎児に供給され、母体のタンパク質やウイルスは通過できない仕組みです。
胎盤関門:
胎盤関門は、基底脱落膜と絨毛の間の薄い壁であり、物質交換を担当しています。
酸素や栄養素に富んだ母体血は、この壁を介して胎児に供給されます。
胎盤は胎児の成長と発育に欠かせない重要な役割を果たしています。


薬剤|問 107-171 ■正答| 2 4
プラバスタチンの体内動態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. プラバスタチンは、シトクロムP450による代謝を受けやすい。

  2. プラバスタチンは、胆管側膜に存在するMultidrug Resistance-associated Protein 2(MRP2)により胆汁中に分泌される。

  3. プラバスタチンは、キニジンとの併用により中枢移行量が増える。

  4. プラバスタチンの血中濃度は、シクロスポリンとの併用により上昇する。

  5. プラバスタチンは、有機カチオントランスポーターOCT1を介して肝細胞内に取り込まれる。


薬剤|問 107-171


■■GPT4o


■論点|プラバスタチンの体内動態
この問題の論点は、プラバスタチンの代謝、排泄、および相互作用に関する正確な知識を特定することです。


■解説1|


プラバスタチンは、胆管側膜に存在するMultidrug Resistance-associated Protein 2(MRP2)により胆汁中に分泌される。(選択肢2) [正しい]


プラバスタチンは肝臓で代謝されにくく、主に胆汁中に排泄されます。この排泄にはMRP2が関与しており、胆汁中に分泌されることで体外へ排泄されます。


プラバスタチンの血中濃度は、シクロスポリンとの併用により上昇する。(選択肢4) [正しい]


シクロスポリンはOATP1B1を阻害するため、プラバスタチンの肝取り込みが減少し、その結果、血中濃度が上昇します。


■解説2|


プラバスタチンは、主に肝臓での取り込みと胆汁中への排泄によって体内から除去されます。
シクロスポリンはOATP1B1を阻害することで、プラバスタチンの肝取り込みを減少させ、血中濃度を上昇させます。これにより、プラバスタチンの効果が増強される可能性があります。
また、MRP2は胆汁中へのプラバスタチン排泄に重要な役割を果たします。


■結論|
正しい選択肢は、2と4です。


■補足|


プラバスタチンは、シトクロムP450による代謝を受けやすい。(選択肢1) [誤り]


プラバスタチンはシトクロムP450による代謝を受けにくい薬物です。


プラバスタチンは、キニジンとの併用により中枢移行量が増える。(選択肢3) [誤り]


プラバスタチンは血液脳関門をほとんど通過しないため、キニジンとの併用によって中枢移行量が増えることはありません。
キニジンはCYP2D6及びP-gp阻害作用を有する(in vitro)ことが報告されています。


プラバスタチンは、有機カチオントランスポーターOCT1を介して肝細胞内に取り込まれる。(選択肢5) [誤り]


プラバスタチンは主にOATP1B1を介して肝細胞内に取り込まれます。


薬剤|問 109-171 ■正答| 1 2
経口投与する薬物について、食事により量的バイオアベイラビリティは変わらないが、速度的バイオアベイラビリティが低下するのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. アセトアミノフェン

  2. セファクロル

  3. リボフラビン

  4. フェニトイン

  5. インドメタシン ファルネシル


薬剤|問 109-171


■■GPT4o


■論点|薬物のバイオアベイラビリティへの食事の影響
この問題の論点は、経口投与薬物の量的および速度的バイオアベイラビリティに食事が与える影響に関する知識を特定することです。


■解説1|


アセトアミノフェン (選択肢1) [正しい]


※臨床データに基づいていないため[誤り]の可能性は否定できない。
臨床試験データの一例から引用すると、アセトアミノフェンは経口摂取後、胃腸から迅速に吸収され、体内利用率は70〜90%で、食事や特定の薬剤によって吸収率が変動します。


セファクロル (選択肢2) [正しい]


※臨床データに基づいていないため[誤り]の可能性は否定できない。
臨床試験データの一例から引用すると、食事摂取により、セファクロルの吸収速度は有意に減少しましたが、吸収の程度や排除の速度は有意に減少しません。特に、高脂肪の非ベジタリアン食がセファクロルの吸収率に最も大きな影響を与えます。低脂肪のベジタリアン食は、高脂肪の非ベジタリアン食に比べて、MIC50濃度以上の時間が有意に増加します。


■解説2|


経口薬物の吸収には、食事がその吸収速度に影響を与える場合があります。アセトアミノフェンとセファクロルは、食事により吸収速度が遅くなります。これにより、薬物の効果発現が遅れる可能性があります。


■結論|
正しい選択肢は、1と2です。 
※臨床データに基づいていないため[誤り]の可能性は否定できない。


■補足|


リボフラビン (選択肢3) [誤り]


リボフラビンの吸収は食事により増加することがあります。


フェニトイン (選択肢4) [誤り]


フェニトインの狭い治療範囲と非線形な薬物動態により、食事による吸収の変化が薬物濃度に大きく影響し、安全性と有効性に影響を及ぼす可能性があります。


インドメタシン ファルネシル (選択肢5) [誤り]


健康成人男子8名に、クロスオーバー法によりインドメタシン ファルネシルとして150mgを含有するカプセルを12時間絶食後に投与した場合、本薬の吸収は著しく低下したが、通常食(脂肪含量約10g)摂取では吸収は良好でした。


■Lecture|


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-171【薬剤】論点:薬物のバイオアベイラビリティへの食事の影響|matsunoya (note.com)


薬剤|問 108-172 ■正答| 3 4
薬物の腎排泄に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. パラアミノ馬尿酸の腎クリアランスは血中濃度に比例する。

  2. サリチル酸の腎クリアランスは、アスコルビン酸の併用により増大する。

  3. グルコースは、尿中にほとんど排泄されない。

  4. ゲンタマイシンの血中半減期は、糸球体ろ過速度の低下により長くなる。

  5. メトホルミンの腎クリアランスは、クレアチニンクリアランスより小さい。


薬剤|問 108-172


■■GPT4o


■論点|薬物の腎排泄
この問題の論点は、薬物の腎排泄に関する知識を特定することです。


■解説1|


グルコースは、尿中にほとんど排泄されない。(選択肢3) [正しい]


グルコースは通常、腎臓の近位尿細管で再吸収されるため、健常な状態では尿中にはほとんど排泄されません。


ゲンタマイシンの血中半減期は、糸球体ろ過速度の低下により長くなる。(選択肢4) [正しい]


ゲンタマイシンは主に腎臓から排泄されるため、糸球体ろ過速度が低下するとその排泄が遅くなり、血中半減期が延長します。


■解説2|


腎排泄される薬物の多くは、糸球体ろ過、尿細管分泌、尿細管再吸収のいずれかの過程を経ます。グルコースは近位尿細管で再吸収されるため、正常な腎機能の下では尿中にはほとんど排泄されません。
ゲンタマイシンは腎臓から排泄されるため、糸球体ろ過速度が低下すると、体内からの排泄が遅れ、血中半減期が延長します。


■結論|
正しい選択肢は、3と4です。


■補足|


パラアミノ馬尿酸の腎クリアランスは血中濃度に比例する。(選択肢1) [誤り]


パラアミノ馬尿酸(PAH)の腎クリアランスは腎血漿流量の指標として使われ、血中濃度には比例しません。


サリチル酸の腎クリアランスは、アスコルビン酸の併用により増大する。(選択肢2) [誤り]


サリチル酸は、酸性物質であるため、尿がアルカリ性になると尿中の分子形分率が低下します。そのため、尿細管での再吸収が低下し排泄が亢進するため、その腎クリアランスは大きくなります。


メトホルミンの腎クリアランスは、クレアチニンクリアランスより小さい。(選択肢5) [誤り]


メトホルミンの腎クリアランスは医療用医薬品添付文書に掲載されていますが、クレアチニンクリアランスよりも大きいです。


ただし、メトホルミンの腎クリアランスと、クレアチニンクリアランスとの大きさを比較してどちらのクリアランス値が大きいのか小さいのか理解することを求める出題意図は理解できないです。


メトホルミンで論点になるであろうクリアランス関連の話題は、医療用医薬品添付文書の禁忌の記載が2019年に改正され、重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m^2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)に限定されたことで、軽度から中等度の腎機能障害がある患者には適用されることになったことです。


ちなみに、腎機能正常者のクレアチニンクリアランスが>90mL/minと定義されたとき、臨床試験結果として、メトホルミンの腎クリアランスCLRは 394.7±83.8 mL/minであったと、添付文書の薬物動態の排泄の項に記載があります。この臨床試験データの論点は、読めば薬学生ならだれでも理解できます。


さらに、薬剤師国家試験の出題基準に準拠するのであれば、薬学理論問題で、特定の薬物の腎クリアランスの臨床試験の数値まで暗記していることを求めるべきではないです。出題基準から逸脱した問題設計と言えます。


■Lecture|


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問108-172【薬剤】論点:薬物の腎排泄|matsunoya (note.com)


薬剤|問 106-173 ■正答| 3
体内動態が線形性を示す薬物Aは、肝代謝と腎排泄によって体内から消失し、正常時における腎クリアランスは全身クリアランスの60%である。また、腎疾患時に薬物Aの肝クリアランスは変化しないが、腎クリアランスは糸球体ろ過速度(GFR)に比例して変化する。薬物Aを投与中の患者において、GFRが正常時の50%に低下したとする。薬物Aの血中濃度時間曲線下面積(AUC)を腎機能正常時と同じにするには、投与量を腎機能正常時の何%に変更すればよいか。1つ選べ。
■選択肢

  1. 20%

  2. 40%

  3. 70%

  4. 140%

  5. 250%


■解説|
全身クリアランス(CLtot):
薬物の体内からの排除速度を示す指標で、次の式で計算されます。
CLtot (L/h) =Dose (mg)/AUCss (mg/L)
ここで、AUCssは定常状態での血中濃度曲線下面積を意味します。
高齢者の薬物動態:
加齢による生理学的変化により、消化管運動機能の低下、体脂肪率の増大、肝重量の減少などが起こり、これらは薬物の吸収、分布、代謝、排泄に影響を与えます。
クリアランスの計算:
薬物のクリアランスは、肝クリアランスと腎クリアランスによって主に決定され、薬物の血中曝露量(AUC)は投与量とクリアランスに依存します。
投与量の調整:
腎機能の低下や薬物相互作用によるクリアランスの変化を考慮し、適切な投与量や投与間隔の調整が重要です。
全身クリアランス(CLtot)の残存率を計算するための式:
CLtotの残存率 = 1 - (その経路の寄与率×低下率)
この式は、薬物の腎排泄寄与率(RR)、肝代謝寄与率、CYP3A4寄与率(CR)、腎機能低下率、CYP3A4阻害率(IR)など、薬物の排泄経路とその経路が低下した場合の影響を評価する際に使用されます。この計算により、薬物の投与量や投与間隔を調整する必要があるかどうかを判断することができます。
AUC(血中濃度曲線下面積)を全身クリアランス(CLtot)の変化後も一定に保つための式は以下の通りです:
投与量調整:
AUCを一定に保つためには、投与量(D)をCLtotの残存率に応じて調整します。具体的には、投与量を「CLtot残存率」倍に減らす必要があります。
Dnew = Dold×CLtot残存率
投与間隔調整:
同様に、投与間隔(τ)を1/(CLtot残存率)倍に延長することで、AUCを一定に保つことができます。
τnew = τold×1/CLtot残存率
ここで、CLtot残存率は、腎排泄寄与率(RR)、肝代謝寄与率(CR)、腎機能低下率、CYP3A4阻害率(IR)などのパラメーターを用いて計算されます。
腎排泄寄与率(RR)=0.6
肝代謝寄与率(CR)=1-0.6=0.4
腎機能低下率 =50%=0.5
CLtotの残存率=1-(腎排泄寄与率(RR)×腎機能低下率)=1-(0.6×0.5)=0.7
Dnew=Dold×CLtot残存率=Dold×0.7


薬剤|問 107-173 ■正答| 2 5
薬物の腸肝循環に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 胆管閉塞で血中半減期が短縮する。

  2. 抗菌薬の内服による影響を受けることがある。

  3. 静脈内投与された薬物では起こらない。

  4. 腸内細菌のβ-グルクロニダーゼが阻害されると血中半減期が延長する。

  5. 経口投与後の血中濃度において、ピークが二峰性を示すことがある。


薬剤|問 107-173


■■GPT4o


■論点|薬物の腸肝循環
この問題の論点は、薬物の腸肝循環に関する正しい記述を特定することです。


■解説1|


抗菌薬の内服による影響を受けることがある。(選択肢2) [正しい]


抗菌薬の内服により腸内細菌が減少すると、薬物の腸肝循環に影響が及ぶことがあります。
腸内細菌は、薬物のグルクロニドを加水分解して薬物を再吸収可能な形に戻す役割を担っています。


経口投与後の血中濃度において、ピークが二峰性を示すことがある。(選択肢5) [正しい]


腸肝循環により、経口投与された薬物が腸から再吸収されるため、血中濃度の時間プロファイルで二峰性のピークが観察されることがあります。
最初のピークは初回吸収によるもので、二回目のピークは再吸収によるものです。


■解説2|


抗菌薬の影響:
抗菌薬の使用により腸内細菌が抑制されると、腸肝循環に関与する薬物の再吸収が減少し、その結果、薬物の効果や持続時間が変わることがあります。
例えば、経口抗菌薬は腸内細菌を殺すことで、エストロゲンなどの薬物の腸肝循環を阻害する可能性があります。
二峰性ピーク:
薬物の腸肝循環は、薬物が肝臓で代謝されて胆汁に排泄され、その後腸内で再吸収されるプロセスです。
これにより、薬物の血中濃度が再上昇し、時間プロファイルに二つのピークが現れることがあります。
これは、薬物の持続的な効果や半減期の延長に寄与します。


■結論|
正しい選択肢は、2と5です。


■補足|


胆管閉塞で血中半減期が短縮する。(選択肢1) [誤り]


胆管閉塞がある場合、胆汁の排泄が阻害されるため、薬物の持続的な効果や半減期の延長に寄与する腸肝循環が減少します。
しかしながら、薬物が肝臓を経由して胆汁排泄される過程が阻害された場合、血中半減期は延長する可能性があります。


静脈内投与された薬物では起こらない。(選択肢3) [誤り]


腸肝循環は経口投与だけでなく、静脈内投与された薬物でも起こることがあります。
静脈内投与された薬物が肝臓を経由して胆汁中に分泌され、再び腸から吸収されることがあるためです。


腸内細菌のβ-グルクロニダーゼが阻害されると血中半減期が延長する。(選択肢4) [誤り]


腸内細菌のβ-グルクロニダーゼが薬物のグルクロニドを分解することにより、薬物が再吸収されます。
したがって、腸内細菌のβ-グルクロニダーゼが阻害されると腸肝循環が減少し、薬物の血中半減期が短縮されることが期待されます。


薬剤|問 109-173 ■正答| 2 5
薬物のみかけの分布容積とその変動に関与する血漿タンパク結合に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. みかけの分布容積は、体内薬物量と血漿中薬物濃度の平衡定数として定義される。

  2. 特定の臓器や細胞内小器官(核やリソソーム、ミトコンドリアなど)に分布する薬物は、体重1kgあたりの分布容積が10Lを越えることがある。

  3. 脂溶性の高い薬物の分布容積は加齢に伴って減少する。

  4. 血漿タンパク結合率が高い薬物のみかけの分布容積は体内水分量とほぼ等しい。

  5. タンパク非結合型薬物の濃度は、定常状態において血漿中と組織間隙液中との間でほぼ等しい。


薬剤|問 109-173


■■GPT4o


■論点|薬物の分布容積と血漿タンパク結合
この問題の論点は、薬物の分布容積とその変動に関与する血漿タンパク結合についての正確な記述を特定することです。


■解説1|


特定の臓器や細胞内小器官(核やリソソーム、ミトコンドリアなど)に分布する薬物は、体重1kgあたりの分布容積が10Lを越えることがある。(選択肢2) [正しい]


分布容積(Vd)は、薬物が体内のどこに分布するかを示す指標です。
特定の臓器や細胞内小器官に高い親和性を持つ薬物は、実際の体液量を超えて非常に大きな分布容積を示すことがあります。
例えば、脂肪組織や特定の細胞内小器官に高濃度で蓄積する薬物は、このような大きな分布容積を持つことが一般的です。


タンパク非結合型薬物の濃度は、定常状態において血漿中と組織間隙液中との間でほぼ等しい。(選択肢5) [正しい]


タンパク非結合型薬物(自由型薬物)は、組織間隙液と血漿中の濃度がほぼ等しい状態で平衡を保ちます。
これは、自由型薬物が血漿タンパクに結合していないため、自由に細胞膜を通過し、血液と組織間で速やかに分布できるからです。


■解説2|


特定の臓器や細胞内小器官への分布:
薬物が特定の臓器や細胞内小器官に高く蓄積する場合、全身の血漿中濃度は低く見積もられるため、見かけの分布容積が非常に大きくなります。
この現象は、特に脂溶性の薬物に見られます。
自由型薬物の平衡:
血漿中と組織間隙液中の自由型薬物の濃度が等しいことは、薬物の自由な移動を意味し、血漿タンパクに結合していない部分が組織に自由に分布できるためです。この平衡状態は、薬物の治療効果や毒性の予測に重要です。


■結論|
正しい選択肢は、2と5です。


■補足|


みかけの分布容積は、体内薬物量と血漿中薬物濃度の平衡定数として定義される。(選択肢1) [誤り]


見かけの分布容積(Vd)は、体内の薬物量を血漿中の薬物濃度で割ったもので、平衡定数ではありません。


脂溶性の高い薬物の分布容積は加齢に伴って減少する。(選択肢3) [誤り]


加齢に伴い、体脂肪量が増加することが多く、脂溶性薬物の分布容積はむしろ増加することがあります。


血漿タンパク結合率が高い薬物のみかけの分布容積は体内水分量とほぼ等しい。(選択肢4) [誤り]


血漿タンパク結合率が高い薬物は、血中に多く留まり、分布容積は実際の体液量よりも小さくなることが多いです。


薬剤|問 108-174 ■正答| 1 5
薬物動態の非線形性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 薬物代謝が非線形性を示す場合、全身クリアランスは投与量の増加に伴い変化する。

  2. 血漿タンパク結合に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。

  3. 肝臓の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の分布容積は増加する。

  4. 小腸上皮細胞の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。

  5. 尿細管分泌を担う担体輸送に飽和が生じた場合、薬物の尿細管分泌クリアランスは低下する。


薬剤|問 108-174


■■GPT4o


■論点|薬物動態の非線形性
この問題の論点は、薬物動態における非線形性に関する正確な記述を特定することです。


■解説1|


薬物代謝が非線形性を示す場合、全身クリアランスは投与量の増加に伴い変化する。(選択肢1) [正しい]


薬物代謝が飽和すると、薬物の代謝速度が投与量に対して比例しなくなります。このため、全身クリアランス(CL)は投与量に依存して変化し、一般的に投与量が増加するとクリアランスが低下します。これをミカエリス・メンテン型の飽和現象と呼びます。


尿細管分泌を担う担体輸送に飽和が生じた場合、薬物の尿細管分泌クリアランスは低下する。(選択肢5) [正しい]


尿細管分泌に関与する担体輸送系が飽和すると、薬物の尿中への排泄が効率的に行えなくなります。その結果、薬物の尿細管分泌クリアランスは低下し、体内に薬物が蓄積しやすくなります。


■解説2|


非線形性の薬物代謝:
薬物の代謝酵素が飽和する場合、代謝速度は投与量に対して比例しなくなります。これにより、クリアランスが投与量依存的に変化し、一定以上の投与量では代謝速度が一定に近づくため、クリアランスが低下します。
担体輸送の飽和:
担体輸送系が飽和すると、薬物の尿中への排泄が制限され、薬物のクリアランスが低下します。特に尿細管分泌を担う担体が飽和すると、薬物の排泄能力が制限されるため、体内での薬物の蓄積が進行しやすくなります。


■結論|
正しい選択肢は、1と5です。


■補足|


血漿タンパク結合に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。(選択肢2) [誤り]


血漿タンパク結合が飽和すると、自由型(非結合型)薬物の割合が増加し、結果として全身クリアランスが増加することがあります。これは、自由型薬物がクリアランスの主要な要因であるためです。


肝臓の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の分布容積は増加する。(選択肢3) [誤り]


肝臓の薬物代謝酵素が飽和しても、分布容積自体は直接的には影響を受けません。分布容積は主に薬物の脂溶性や組織親和性によって決まります。


小腸上皮細胞の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。(選択肢4) [誤り]


小腸上皮細胞の代謝酵素に飽和が生じると、初回通過効果が減少し、全身クリアランスがむしろ増加する可能性があります。


薬剤|問 109-174 ■正答| 2 5
薬物代謝酵素の遺伝子多型に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. CYP2C19の遺伝子多型によってオメプラゾールの血中濃度時間曲線下面積(AUC)は変化するが、代謝物のAUCは変化しない。

  2. CYP2D6の遺伝子多型が関与するイミプラミンのpoor metabolizer(PM)では、活性代謝物の血中濃度が高い。

  3. アザチオプリンを使用する前には、UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT1A1)の遺伝子多型の診断が行われている。

  4. N-アセチル転移酵素(NAT2)には遺伝子多型が存在し、日本人では約10%がイソニアジドのアセチル化反応速度が速い群に属する。

  5. アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)はPMの頻度に人種差があり、白人と比べて日本人ではPMの出現率が高い。


薬剤|問 109-174


■■GPT4o


■論点|薬物代謝酵素の遺伝子多型
この問題の論点は、薬物代謝酵素における遺伝子多型が薬物動態に及ぼす影響に関する正確な記述を特定することです。


■解説1|


CYP2D6の遺伝子多型が関与するイミプラミンのpoor metabolizer(PM)では、活性代謝物の血中濃度が高い。(選択肢2) [正しい]


イミプラミンは主にCYP2D6による水酸化を受けて不活性化されます。CYP2D6の遺伝子多型によって、イミプラミンの代謝が遅いPM(poor metabolizer)では、水酸化された不活性体の生成が抑制されます。そのため、活性代謝物のデシプラミンが生成するCYP1A2、CYP2C19による脱メチル化がイミプラミンの主代謝経路となります。その結果、デシプラミンの血中濃度が上昇してイミプラミンの作用が増強します。


アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)はPMの頻度に人種差があり、白人と比べて日本人ではPMの出現率が高い。(選択肢5) [正しい]


ALDH2の遺伝子多型は、特に東アジア人(日本人や中国人など)で高い頻度で見られます。ALDH2の活性が低いPMはアルコール代謝が遅く、顔が赤くなるなどの反応を示します。白人に比べて日本人のPMの頻度は高いです。


■解説2|


CYP2D6の遺伝子多型:CYP2D6は多くの薬物の代謝に関与し、その活性に関する遺伝子多型が広く知られています。PMでは代謝速度が遅く、薬物およびその代謝物の血中濃度に大きな影響を与えます。イミプラミンのPMでは、デシプラミンの血中濃度が高くなるため、治療効果や副作用のリスクが変わります。
ALDH2の遺伝子多型:ALDH2はアセトアルデヒドを酢酸に変換する酵素です。ALDH2*2アレルを持つ個体は酵素活性が低く、アセトアルデヒドの蓄積によりアルコール摂取後に顔が赤くなるフラッシング反応が起こります。この遺伝子多型は日本人を含む東アジア人で高頻度に見られます。


■結論|
正しい選択肢は、2と5です。


■補足|


CYP2C19の遺伝子多型によってオメプラゾールの血中濃度時間曲線下面積(AUC)は変化するが、代謝物のAUCは変化しない。(選択肢1) [誤り]


CYP2C19の遺伝子多型はオメプラゾールの代謝に影響を与え、親薬物とその代謝物の両方のAUCに変化をもたらします。


アザチオプリンを使用する前には、UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT1A1)の遺伝子多型の診断が行われている。(選択肢3) [誤り]


アザチオプリン使用前には、チオプリンS-メチルトランスフェラーゼ(TPMT)の遺伝子多型の診断が一般的です。
UGT1A1はイリノテカンの使用前に診断されることが多いです。


N-アセチル転移酵素(NAT2)には遺伝子多型が存在し、日本人では約10%がイソニアジドのアセチル化反応速度が速い群に属する。(選択肢4) [誤り]


日本人のNAT2遺伝子多型の分布は、スローアセチレーターが約10~15%、ラピッドアセチレーターが約85~90%を占めています。この結果は、他の東アジア人種と類似しており、スローアセチレーターの割合が他の人種に比べて低いことを示しています。


■Lecture|


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-174【薬剤】論点:薬物代謝酵素の遺伝子多型|matsunoya (note.com)


薬剤|問 107-175 ■正答| 2
フェニトイン100mg錠を1回1錠、1日3回服用するところ、誤って1回1錠、1日2回しか服用していなかった。その時の患者のフェニトインの血中濃度は4μg/mLであった。この患者が処方どおりに1日3回服用した場合のフェニトインの血中濃度(μg/mL)として、最も近い値はどれか。1つ選べ。
ただし、フェニトインの血中濃度は定常状態における平均値であるものとし、フェニトインの体内からの消失はMichaelis-Menten式で表され、Michaelis定数を4μg/mL、バイオアベイラビリティを100%とする。
■選択肢

  1. 6μg/mL

  2. 12μg/mL

  3. 16μg/mL

  4. 20μg/mL

  5. 24μg/mL


薬剤|問 107-175


■■GPT4o


■論点|フェニトインの血中濃度予測
この問題の論点は、フェニトインの投与回数変更に伴う血中濃度の変化をMichaelis-Menten式を用いて正確に予測することです。


■解説1|


抗てんかん薬であるフェニトインの医療用医薬品添付文書「アレビアチン錠25mg/アレビアチン錠100mg」によれば、定常状態におけるフェニトイン血中濃度と投与量の関係はMichaelis-Menten式C=Km・D/(Dmax-D) を用いた曲線で近似され、有効血中濃度付近では、投与量の増減が血中濃度に及ぼす影響は極めて大きい。また、定数Dmax、Kmの個人差は大きく、さらに成人に比較して年少児ほどDmaxの値は大きくなる。このため、フェニトインの血中濃度測定が、至適投与量の検討ないしは中毒症状発現防止に役立てられている。


フェニトインの血中濃度は、Michaelis-Menten式で表されます。この式は、以下のように記述されます。
C=Km・D/(Dmax-D) …(式1)
ここで、Cは定常状態の血中濃度(μg/mL)、
KmはMichaelis定数(μg/mL)、
Dは1日投与量(mg/day/kg)、
Dmaxは1日に代謝される最大量(mg/day/kg)です。
※引用元:医療用医薬品添付文書「アレビアチン錠25mg/アレビアチン錠100mg」
患者が1日2回服用していたときのフェニトインの血中濃度は4μg/mLであり、このときの1日投与量Dは200mg(100mgを2回)/体重(kg)です。
これを基にDmaxを求めます。
C=Km・D/(Dmax-D) …(式1)
4=4・200/W/(Dmax-200/W)
4・Dmax-800/W=800/W
Dmax=400/W


■解説2|


次に、処方通り1日3回服用する場合の血中濃度を計算します。
このときの1日投与量Dは300mg(100mgを3回)です。
Dmaxが400(mg/day/kg)であることを考慮し、次のように計算します。
C=Km・D/(Dmax-D) …(式1)
C=4・300/W/(400/W-300/W)
C=12μg/mL
したがって、フェニトインの血中濃度は12μg/mLです。
フェニトインの有効血中濃度範囲は10~20μg/mLが目安とされており、12μg/mLは適切な範囲内にあります。


■結論|
正しい選択肢は、2です。


■補足|


選択肢の他の値について考察します。
6μg/mL:これは1日3回服用時の血中濃度としては低すぎます。(選択肢1) [誤り]


16μg/mL、4. 20μg/mL、5. 24μg/mL:これらの値は、フェニトインの投与量に対する血中濃度の予測として過大です。(選択肢3, 4, 5) [誤り]


■Lecture|


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-175【薬剤】論点:フェニトインの血中濃度予測|matsunoya (note.com)


薬剤|問 106-176 ■正答| 3 4
抗菌薬の投与計画に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 薬物動態(PK)パラメーターとして、最小発育阻止濃度(MIC)が用いられる。

  2. 薬力学的(PD)パラメーターとして、time above MICが用いられる。

  3. PK-PDパラメーターとして、血中濃度時間曲線下面積(AUC)をMICで除したAUC/MICが用いられる。

  4. 濃度依存性作用型薬物のPK-PDパラメーターとして、最高血中濃度(Cmax)をMICで除したCmax/MICが用いられる。

  5. 時間依存性作用型薬物は、1回あたりの投与量を増やし、投与間隔を延ばすことが望ましい。


薬剤|問 106-176


■■GPT4o


■論点|抗菌薬の投与計画と薬物動態・薬力学(PK-PD)パラメーター
この問題の論点は、抗菌薬の投与計画における薬物動態(PK)および薬力学(PD)のパラメーターの正確な理解と使用方法を特定することです。


■解説1|


抗菌薬の投与計画において、PKおよびPDパラメーターは重要な役割を果たします。これらのパラメーターに基づいて、効果的な投与スケジュールが決定されます。


PK-PDパラメーターとして、血中濃度時間曲線下面積(AUC)をMICで除したAUC/MICが用いられる。(選択肢3)[正しい]


AUC/MICは、特に時間依存性および濃度依存性の両方の特性を持つ抗菌薬に対して用いられる重要な指標です。
これにより、薬物の総曝露量とその効果の関係を評価できます。


濃度依存性作用型薬物のPK-PDパラメーターとして、最高血中濃度(Cmax)をMICで除したCmax/MICが用いられる。(選択肢4)[正しい]


濃度依存性の抗菌薬では、Cmax/MICが治療効果を予測するのに重要です。
高いピーク濃度が抗菌効果に直結するため、投与計画ではピーク濃度を最適化することが求められます。


■解説2|


AUC/MICおよびCmax/MICの具体的な適用例:
AUC/MIC:
フルオロキノロンやグリコペプチドなどの抗菌薬において、治療効果と毒性のバランスをとるために使われます。これにより、適切な薬物曝露を確保しながら、副作用を最小限に抑えます。
Cmax/MIC:
アミノグリコシドやフルオロキノロンなどの抗菌薬において、短期間で高い濃度を達成することが効果的であるため、このパラメーターが重要です。


■結論|
正しい選択肢は、3と4です。


■補足|


薬物動態(PK)パラメーターとして、最小発育阻止濃度(MIC)が用いられる。(選択肢1)[誤り]


MICは薬力学(PD)の指標であり、薬物動態(PK)パラメーターとして用いられるものではありません。


薬力学的(PD)パラメーターとして、time above MICが用いられる。(選択肢2)[誤り]


time above MIC(T>MIC)は時間依存性の抗菌薬において重要なPKパラメーターです。


時間依存性作用型薬物は、1回あたりの投与量を増やし、投与間隔を延ばすことが望ましい。(選択肢5)[誤り]


時間依存性の抗菌薬では、一定の時間内に薬物濃度がMICを超えることが重要です。従って、投与間隔を延ばすことは適切ではなく、むしろ頻回投与が推奨されます。


■Lecture|
論点解説 抗菌活性(薬力学)のPK-PD


抗菌活性(薬力学)を最適化する薬物動態に基づく抗菌薬の3つのカテゴリー (論点解説)


抗菌活性と最も相関するパラメーター


濃度依存性:
最高濃度がMICを超える度合い
(典型的には最高血中濃度/MIC比として表される)
時間依存性:
投与間隔中に抗菌薬の濃度がMICを超える時間
(典型的にはMICを超える時間の割合として表される)
曝露量依存性:
MICに対する薬物量(薬物量は24時間の濃度-時間曲線下面積[AUC24]とする)の比(AUC24/MIC比)


薬剤|問 109-176 ■正答| 4 5
TDMの実施が望ましい薬物の性質として、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 有効血中濃度の範囲が広い。

  2. 体内動態の個人差が小さい。

  3. 薬物相互作用を受ける可能性が低い。

  4. 体内動態に非線形性が認められる。

  5. 副作用と対象疾患の症状の区別が難しい。


薬剤|問 109-176 


■■GPT4o


■論点|治療薬物モニタリング(TDM)の適用基準
この問題の論点は、治療薬物モニタリング(TDM)が実施されるべき薬物の特性を特定することです。


■解説1|


TDM(治療薬物モニタリング)は、薬物の血中濃度を測定し、その結果を基に投与量を調整する方法です。特定の条件下でTDMが特に有用です。


体内動態に非線形性が認められる。(選択肢4)[正しい]


非線形性のある薬物は、投与量の変化に対して血中濃度が予測しにくいため、TDMが必要です。
フェニトインなどの薬物は非線形動態を示し、小さな投与量の変化でも血中濃度が大きく変動することがあります。


副作用と対象疾患の症状の区別が難しい。(選択肢5)[正しい]


副作用と疾患の症状が似ている場合、血中濃度のモニタリングにより、副作用を特定しやすくなります。
例えば、リチウムは治療域が狭く、副作用(例えば振戦や吐き気)と双極性障害の症状が似ているため、TDMが有用です。


■解説2|


TDMが有効な理由:
非線形性の動態を示す薬物では、薬物の血中濃度が容易に治療域を逸脱する可能性があります。
したがって、定期的なモニタリングにより安全かつ効果的な治療が確保されます。
副作用と疾患の症状が区別しにくい薬物では、治療効果と安全性を確保するためにTDMが必要です。
モニタリングにより、適切な血中濃度を維持し、治療効果を最大化しつつ副作用を最小化します。


■結論|
正しい選択肢は、4と5です。


■補足|


選択肢1|有効血中濃度の範囲が広い。[誤り]


有効血中濃度の範囲が広い場合、軽微な変動は治療効果に大きな影響を与えないため、TDMの必要性は低くなります。


選択肢2|体内動態の個人差が小さい。[誤り]


体内動態の個人差が小さい場合、標準的な投与量で大部分の患者に対して適切な効果が得られるため、TDMの必要性は低くなります。


選択肢3|薬物相互作用を受ける可能性が低い。[誤り]


薬物相互作用の可能性が低い場合、他の薬物による血中濃度の変動が少ないため、TDMの必要性は低くなります。


薬剤|問 107-177 ■正答| 2 4
粉体の性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 顕微鏡法により得られた粒子の投影像を一定方向の2本の平行線で挟んだとき、平行線間の長さに相当する粒子径をマーチン径という。

  2. 同一粉体において、質量基準による粒度分布の平均粒子径より、個数基準による粒度分布の平均粒子径の方が小さい。

  3. 水溶性の結晶性粉体の臨界相対湿度は、水不溶性の結晶性粉体と混合することで低下する。

  4. 真密度1.4g/cm^3、空隙率0.5の粉末70gの空隙体積が2/5になるまで圧縮した際のみかけの密度は1.0g/cm^3である。

  5. 試料粉体の比表面積と平均粒子径が比例することから、比表面積を測定することで試料粉体の平均粒子径を求めることができる。


薬剤|問 107-177 


■■GPT4o


■論点|粉体の性質
この問題の論点は、粉体の性質に関する知識を確認し、正しい記述を特定することです。


■解説1|


同一粉体において、質量基準による粒度分布の平均粒子径より、個数基準による粒度分布の平均粒子径の方が小さい。(選択肢2)[正しい]


質量基準と個数基準による粒度分布の違いにより、質量基準では大きな粒子が重視されるため、平均粒子径が大きくなります。
一方、個数基準では全粒子の平均を取るため、相対的に小さな粒子の影響が大きくなり、平均粒子径は小さくなります。


真密度1.4g/cm^3、空隙率0.5の粉末70gの空隙体積が2/5になるまで圧縮した際のみかけの密度は1.0g/cm^3である。(選択肢4)[正しい]


この問題を解くために、次のステップを踏んで計算を行います。


  1. 初期の空隙体積の計算

  2. 初期の全体積の計算

  3. 圧縮後の空隙体積の計算

  4. 圧縮後の全体積の計算

  5. 圧縮後の見かけの密度の計算


ステップ 1: 初期の空隙体積の計算


まず、粉末の空隙率が0.5ということは、全体積の50%が空隙であることを意味します。


ステップ 2: 初期の全体積の計算


粉末の質量が70gで、真密度が1.4g/cm³です。真密度は固体部分の密度を意味しますので、固体部分の体積を計算します。
固体部分の体積 = 質量/真密度 = 70(g)/1.4(g/cm^3) = 50cm^3
全体積は、固体部分の体積と空隙部分の体積の合計です。
空隙率が0.5なので、空隙部分の体積は固体部分の体積の1倍(同じ量)です。
空隙部分の体積 = 50cm^3
したがって、初期の全体積は、
全体積 = 固体部分の体積 + 空隙部分の体積 = 50cm^3 + 50cm^3 = 100cm^3


ステップ 3: 圧縮後の空隙体積の計算


問題によると、空隙体積は圧縮後に2/5になります。したがって、
圧縮後の空隙体積 = 2/5×50cm^3 = 20cm^3


ステップ 4: 圧縮後の全体積の計算


圧縮後の全体積は、固体部分の体積と圧縮後の空隙部分の体積の合計です。
圧縮後の全体積 = 50cm^3 + 20cm^3 = 70cm^3


ステップ 5: 圧縮後の見かけの密度の計算


見かけの密度は、全体の質量を全体積で割った値です。
見かけの密度 = 質量/全体積 = 70(g)/70(cm^3) = 1g/cm^3
したがって、圧縮後の見かけの密度は 1 g/cm³ です。


まとめ


初期の空隙体積: 50 cm³
初期の全体積: 100 cm³
圧縮後の空隙体積: 20 cm³
圧縮後の全体積: 70 cm³
圧縮後の見かけの密度: 1 g/cm³


■解説2|


粉体の性質において、質量基準による粒度分布では、大粒子が質量に大きな影響を与えるため、質量基準での平均粒子径は個数基準での平均粒子径よりも大きくなります。
粉体の性質において、全体積は、固体部分の体積と空隙部分の体積の合計です。見かけの密度は、全体の質量を全体積で割った値です。


■結論|
正しい選択肢は、2と4です。


■補足|


顕微鏡法により得られた粒子の投影像を一定方向の2本の平行線で挟んだとき、平行線間の長さに相当する粒子径をマーチン径という。(選択肢1) [誤り]


統計的平均径:視野についてあらかじめ定めた一定の方向に沿って測定した長さを粒子径とします。
粒子が視野内でランダムな方向を向いていると仮定すると、視野について「定方向」に測ることは粒子について「統計的にランダム方向」に測ることになります。


Feret径:粒子をはさむ2本の平行線間の距離で定義される定方向接線径
Martin径:投影面積を二等分する線分の長さで定義される定方向面積等分径
Krummbein径:その方向における粒子の最大さしわたし長さで定義される定方向最大径


水溶性の結晶性粉体の臨界相対湿度は、水不溶性の結晶性粉体と混合することで低下する。(選択肢3) [誤り]


水溶性の結晶性粉体の臨界相対湿度(CRH)は、その粉体が水不溶性の結晶性粉体と混合されることで変動する可能性があります。
吸湿性材料と非吸湿性材料を混合すると、吸湿性材料の吸湿挙動が変化し、混合比に応じて全体の吸湿特性が調整されます。
具体的な影響は混合比率や条件に依存するため、実験的な確認が必要です。


試料粉体の比表面積と平均粒子径が比例することから、比表面積を測定することで試料粉体の平均粒子径を求めることができる。(選択肢5) [誤り]


試料粉体の比表面積と平均粒子径は反比例します。
比表面積を測定することで試料粉体の平均粒子径を求めることができます。
比表面積を測定することによって試料粉体の平均粒子径を求めるプロセスでは、BET法などのガス吸着法を用いて比表面積を測定し、その結果と粉体の密度を基に平均粒子径を計算します。


平均粒子径(m)= 6/(比表面積(m²/g)×粉体の密度(g/cm³))


■Lecture|


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-177【薬剤】論点:粉体の性質|matsunoya (note.com)


薬剤|問 108-177 ■正答| 2 3
界面に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 固相-気相界面が固相-液相界面に置き換わることを吸着という。

  2. 溶液における表面吸着は、Gibbsの吸着等温式で表される。

  3. 液滴の接触角が小さい固体表面ほどぬれやすい。

  4. 錠剤は、拡張ぬれにより崩壊する。

  5. 表面張力測定法には、毛管上昇法、円環法及び沈降法がある。


薬剤|問 108-177 


■■GPT4o


■論点|界面現象に関する基礎知識
この問題の論点は、界面現象に関する正しい記述を特定することです。


■解説1|


溶液における表面吸着は、Gibbsの吸着等温式で表される。(選択肢2)[正しい]


Gibbsの吸着等温式は、界面における吸着現象を記述するための式であり、界面張力と吸着量の関係を示します。特に溶液中の表面活性剤の吸着を説明するために使用されます。


液滴の接触角が小さい固体表面ほどぬれやすい。(選択肢3)[正しい]


接触角が小さいほど、液滴は固体表面に広がりやすく、ぬれやすいと判断されます。接触角が0度に近づくほど完全にぬれた状態を意味します。


■解説2|


■結論|
正しい選択肢は、2と3です。


■補足|


固相-気相界面が固相-液相界面に置き換わることを吸着という。(選択肢1)[誤り]


吸着とは、気相または液相中の物質(吸着質)が、その相と接触する他の相(例:固相、吸着媒)との界面において、相の内部より高い濃度になり平衡に達する現象である(理化学辞典より抜粋)。


錠剤は、拡張ぬれにより崩壊する。(選択肢4)[誤り]


液体が固体表面に拡がっていくことを拡張ぬれといいます。
錠剤の崩壊は、通常、水の侵入による膨潤や崩壊剤の作用によるものです。
拡張ぬれは直接的な崩壊メカニズムではありません。


表面張力測定法には、毛管上昇法、円環法及び沈降法がある。(選択肢5)[誤り]


表面張力測定法には、毛管上昇法や円環法(デュヌイ法)が含まれますが、沈降法は表面張力測定の方法ではありません。
沈降法は粒子の沈降速度を測定する方法です。


■Lecture|
論点解説 界面現象


Gibbsの吸着等温式について (論点解説|選択肢2)


Gibbsの吸着等温式は、溶液界面における表面吸着現象を定量的に表す関係式です。
基本概念:
溶液中の溶質分子が界面(例:液体と気体の境界、液体と固体の境界)に吸着する現象を扱います。
表面吸着は、界面のエネルギーを低下させるために起こります。


表面張力と吸着量の関係:
Gibbsの吸着等温式は、溶液の表面張力 (γ) と表面吸着量 (Γ) との関係を示します。
表面張力が変化すると、溶質の濃度も変化し、それが表面にどの程度吸着しているかが反映されます。
等温式の形式:
等温式は次のように表されます。
Γ=-(1/RT)(dγ/d(lnC))_T
ここで、
Γ: 表面吸着量(単位面積当たりの吸着量)
R: 気体定数
T: 絶対温度
γ: 表面張力
C: 溶液中の溶質の濃度
吸着量の解釈:
正の吸着量 (Γ>0) は、溶質が界面に吸着していることを示します。
負の吸着量 (Γ<0) は、溶質が界面から排除されていることを示します。
実用例:
界面活性剤の研究や、コロイドやエマルジョンの安定性に関する研究でよく用いられます。
界面での分子の配置や、溶液の性質が変化する状況を理解するための重要なツールです。


表面張力の測定について (論点解説|選択肢5)


表面張力は、液体の表面が収縮しようとする力のことで、界面に関する重要な物理特性です。
表面張力の測定にはいくつかの方法があり、それぞれの方法には独自の特徴と利点があります。


毛管上昇法(Capillary Rise Method)
原理
液体が細い毛管内を上昇する高さを測定し、その高さから表面張力を計算する方法です。
計算式
ジュルゴンの式を使用します。
γ=rhρg/2
ここで、γは表面張力、rは毛管の半径、hは上昇した液柱の高さ、ρは液体の密度、gは重力加速度です。
利点
簡便で特別な装置が不要です。
制約
毛管の内径が一定であることが必要であり、液体が毛管に完全に浸透することが前提です。


吊り滴法(Pendant Drop Method)
原理
液体の滴が針の先端から垂れる際の形状を分析し、その形状から表面張力を計算する方法です。
計算式
ヤング・ラプラス方程式を用います。
ΔP = γ(1/R1 + 1/R2)
ここで、ΔPは圧力差、γは表面張力、R1とR2は滴の曲率半径です。
利点
高精度な測定が可能で、非対称な液滴形状にも対応できます。
制約
高精度な画像解析技術が必要で、測定装置が比較的高価です。


デュヌイ環法(Du Noüy Ring Method)
原理
リングを液面に浸し、ゆっくりと引き上げる際の力を測定して表面張力を計算する方法です。
計算式
測定した力から次の式を用いて表面張力を求めます。
γ = F/(4πr)
ここで、γは表面張力、Fは引き上げる力、rはリングの半径です。
利点
簡便で広範な液体に適用可能です。
制約
リングの形状や寸法に依存し、液体の粘度が高い場合には測定精度が低下します。


Wilhelmy板法(Wilhelmy Plate Method)
原理
垂直に配置された板が液面に接触する際の力を測定し、その力から表面張力を計算する方法です。
計算式
γ = F/(L・cosθ)
ここで、γは表面張力、Fは測定力、Lは板の周囲の長さ、θは接触角です。
接触角がゼロの場合、計算が簡単です。
利点
接触角がゼロに近い場合、簡便で高精度な測定が可能です。
制約
板の清浄度や液体との完全な濡れ性が重要です。


滴重法(Drop Weight Method)
原理
液体が針の先から滴下する際の滴の質量または体積を測定し、それから表面張力を計算する方法です。
計算式
滴の質mから次の式を用いて表面張力を求めます。
γ = mg/(2πr)
ここで、rは滴が形成される針の半径です。
利点
装置が比較的簡単で、さまざまな液体に対応できます。
制約
滴が均一に形成されることが必要で、滴の形状や環境条件に影響されやすいです。


まとめ
各測定法にはそれぞれの利点と制約があります。測定精度、装置の複雑さ、適用範囲などを考慮して適切な方法を選択することが重要です。表面張力の測定は、液体の特性評価、材料の開発、界面現象の理解など、さまざまな科学技術分野で重要な役割を果たしています。


問 109-177-178 
抗悪性腫瘍薬であるイリノテカンはプロドラッグである。この薬物の製剤と代謝に関する以下の問に答えよ。


薬剤|問 109-177 ■正答| 2 4
■問題文|イリノテカン塩酸塩水和物を有効成分とするオニバイド点滴静注に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
なお、本製剤は以下の添加物を含む。
添加物:1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、コレステロール、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール-2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸
■選択肢

  1. イリノテカンをポリエチレングリコール誘導体で可溶化した製剤である。

  2. ポリエチレングリコールで表面が修飾されたリポソーム製剤である。

  3. 能動的ターゲティングにより腫瘍に集積する。

  4. 細網内皮系を回避することにより血中に滞留する。

  5. 製剤中に含まれる微粒子は150nm程度である。


薬剤|問 109-178
イリノテカンは酵素(ア)によって活性代謝物(イ)に変換され、さらに酵素 (ウ)によって代謝物(エ)に変換され不活化される。(ア)の酵素及び(イ)の 構造式、(ウ)の酵素及び(エ)の構造式のそれぞれの組合せとして、正しいのは どれか。1つ選べ。

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【薬剤】 問178



薬剤|問 109-177 


■■GPT4o


■論点|イリノテカンの製剤特性
この問題の論点は、抗悪性腫瘍薬イリノテカン塩酸塩水和物を有効成分とするオニバイド点滴静注製剤の特性に関する正しい記述を特定することです。


■解説1|


ポリエチレングリコールで表面が修飾されたリポソーム製剤である。(選択肢2)[正しい]


オニバイド点滴静注はポリエチレングリコール(PEG)で修飾されたリポソーム製剤です。
PEG修飾により、血中滞留時間が延長され、腫瘍への受動的ターゲティングが向上します。


細網内皮系を回避することにより血中に滞留する。(選択肢4)[正しい]


PEG修飾により、リポソームが細網内皮系(RES)を回避し、血中滞留時間が延長されます。
これにより、腫瘍組織への集積が促進されます。


■解説2|


リポソームは薬物を封入することで、薬物の安定性やバイオアベイラビリティを向上させる効果があります。
特にPEG修飾(PEGylation)はリポソームの表面にPEGを結合させることで、リポソームの認識を逃れ、体内での滞留時間を延長させます。
PEG修飾により、リポソームは血中での循環を長時間維持し、ターゲットとする組織(特に腫瘍)への集積を高めます。これにより、副作用の軽減と治療効果の向上が期待されます。


■結論|
正しい選択肢は、2と4です。


■補足|


イリノテカンをポリエチレングリコール誘導体で可溶化した製剤である。(選択肢1)[誤り]


本製剤はPEGで修飾されたリポソームであり、単にPEG誘導体で可溶化したものではありません。


能動的ターゲティングにより腫瘍に集積する。(選択肢3)[誤り]


本製剤の腫瘍への集積は能動的ターゲティングではなく、PEG修飾による受動的ターゲティングによるものです。


製剤中に含まれる微粒子は150nm程度である。(選択肢5)[誤り]


リポソームの直径のサイズは通常10^2(nm)スケールです。


製造販売元の通知(2020/10)によれば、適合性データ(新薬承認申請時)に関しては既に本剤を発売した海外での試験において、孔径 0.2μm のインラインフィルターの使用で品質変化が起きないことを確認しており、インラインフィルターの薬剤透過性に問題ないとしたが、今回の調査結果において国内流通の各種輸液セットやインラインフィルターについて、薬剤透過性の確認し、3製品で目詰まりが認められた(社内資料)との報告があるので、150nmという記述が正しいとは言えない可能性が推察されます。


一方、目詰まりの原因が、個々の微粒子の直径に起因するとは一概に言えないので、この選択肢5の正誤は、判断できないです。
しかも、微粒子についてリポソームなのか不純物なのか、サイズは、半径なのか直径なのか、何の何径なのか説明がされていないので説明不足です。
論点のフォーカスがずれています。
しかも、「150nm程度」の「程度」の範囲がわからないので、薬剤師国家試験の問題の選択肢の数値に「程度」というタームを入れるのは科学的見地からは間違いです。
さらに、製造販売元の社内資料にしか掲載されていない数値を理解しているか問うことは、薬剤師国家試験の出題基準から逸脱しています。


■Lecture|

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-177, 109-178【薬剤】論点:イリノテカン塩酸塩水和物|matsunoya (note.com)


薬剤|問 109-178 


■■GPT4o


■論点|イリノテカンの活性代謝物


■解説1|
問177のLectureに書かれている通り、イリノテカンは、非特異的カルボキシルエステラーゼにより活性代謝物であるSN-38に変換され薬理作用を発揮したのち、グルクロン酸抱合を介して排泄されます。
また、グルクロン酸抱合には患者間で大きな薬理遺伝学的相違がみられることから、事前に薬理遺伝学的な検査が行われます。


■解説2|
詳しくは、SN-38は、UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)の一分子種であるUGT1A1によりグルクロン酸抱合され、SN-38のグルクロン酸抱合体(SN-38G)となり、主に胆汁中に排泄されます。
その他イリノテカン塩酸塩水和物は、CYP3A4により一部は無毒化され、また、一部は間接的にSN-38に変換されます。


■結論|
正解は選択肢3です。


活性代謝物であるSN-38は、Aです。

A. SN-38

SN-38のグルクロン酸抱合体はBです。

B. SN-38G

■補足|
グルクロン酸抱合の患者間での薬理遺伝学的相違について:
UGT1A1にはUGT1A1*6、UGT1A1*28等の遺伝子多型が存在し、UGT1A1*6、もしくはUGT1A1*28においては、これら遺伝子多型をもたない患者に比べてヘテロ接合体、ホモ接合体としてもつ患者の順にSN-38Gの生成能力が低下し、SN-38の代謝が遅延します。
日本人におけるUGT1A1*6、UGT1A1*28のアレル頻度は13.0~17.7%、8.6~13.0%との報告があります。


イリノテカン塩酸塩水和物の臨床試験結果:
各種癌患者(176例)におけるUGT1A1遺伝子多型とAUC比との関連性

  • UGT1A1*6とUGT1A1*28を持たない患者
    例数85、AUC比の中央値は5.55(95%信頼区間: 4.13-7.26)

  • UGT1A1*6またはUGT1A1*28のヘテロ接合体
    例数75、AUC比の中央値は3.62(95%信頼区間: 2.74-5.18)

  • UGT1A1*6またはUGT1A1*28のホモ接合体、または両方のヘテロ接合体
    例数16、AUC比の中央値は2.07(95%信頼区間: 1.45-3.62)

これらの結果から、UGT1A1遺伝子多型がイリノテカンの代謝に影響を与え、AUC比に差異を生じさせることが示されています。
AUC比については、SN-38GのAUCをSN-38のAUCで除した値を指します。


イリノテカン塩酸塩水和物の化学構造式

イリノテカン塩酸塩水和物の化学構造式

Ref.
イリノテカン塩酸塩水和物 PMDA
イリノテカン塩酸塩水和物 (pmda.go.jp)


薬剤|問 108-178 ■正答| 1 4
医薬品の水溶液中における安定性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 加水分解を受けやすい医薬品は、難溶性の塩として溶解度を低下させることで安定性が改善する。

  2. EDTAは、包接化により医薬品の安定性を改善する。

  3. 特殊酸触媒のみで分解する医薬品は、保存するpHを低くすることで安定性が改善する。

  4. 異符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、塩を添加することで溶液のイオン強度を増大させると安定性が改善する。

  5. 同符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、アルコールを添加することで溶媒の誘電率を低下させると安定性が低下する。


薬剤|問 108-178


■■GPT4o


■論点|医薬品の水溶液中における安定性
この問題の論点は、医薬品の水溶液中における安定性に関する具体的な対策や理論的背景を理解し、正しい記述を特定することです。


■解説1|


加水分解を受けやすい医薬品は、難溶性の塩として溶解度を低下させることで安定性が改善する。(選択肢1) [正しい]


加水分解は、薬物が水中で分解される現象です。難溶性の塩として存在することで、薬物の溶解度が低下し、加水分解が抑制されます。溶解度が低いほど、薬物が水中に存在する時間が短くなり、加水分解が進みにくくなります。


異符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、塩を添加することで溶液のイオン強度を増大させると安定性が改善する。(選択肢4) [正しい]


イオン強度の増大により、異符号のイオン間の反応が抑制されることがあります。塩を添加することで、反応性のあるイオンが他のイオンと競合するため、目的とするイオン間の反応が減少し、安定性が向上します。


■解説2|


EDTAは、包接化により医薬品の安定性を改善する。(選択肢2) [誤り]


EDTAはキレート剤として金属イオンを捕捉することで安定性を向上させることが主な役割です。
包接化はシクロデキストリンなどによる現象で、EDTAの効果ではありません。


特殊酸触媒のみで分解する医薬品は、保存するpHを低くすることで安定性が改善する。(選択肢3) [誤り]


特殊酸触媒による分解が進行する場合、pHを低くすることは一般に逆効果です。
酸性環境では、酸触媒による反応速度が上がる可能性があります。


同符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、アルコールを添加することで溶媒の誘電率を低下させると安定性が低下する。(選択肢5) [誤り]


同符号のイオン間の反応は、誘電率の低下により促進されることがありますが、安定性の改善・低下については明確な根拠がありません。アルコール添加による影響は、薬物の性質によって異なるため、一概には言えません。


■結論|
正しい選択肢は、1と4です。


■補足|


選択肢2:
EDTAは金属イオンをキレート化して安定性を向上させるが、包接化は別のメカニズムによる安定化方法です。
選択肢3:
酸性条件での保存は、酸触媒による分解を促進する可能性があるため、pHを低くすることが一般に安定性を改善する方法とは言えません。
選択肢5:
アルコールの添加による誘電率の低下が直接的に安定性を低下させるかどうかは薬物の特性に依存し、一般的な原則とは異なります。


薬剤|問 108-179 ■正答| 3 4
日本薬局方における経口投与する製剤に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 別に規定するもののほか、冷所に保存する。

  2. 微生物による汚染に関する規定はない。

  3. 即放性製剤は、通例、有効成分の溶解性に応じた溶出挙動を示す。

  4. 懸濁剤は、別に規定するもののほか、溶出試験法に適合する。

  5. 崩壊試験法は、製剤中の有効成分が完全に溶解するかを確認する試験である。


薬剤|問 108-179


■■GPT4o


■論点|経口投与製剤の安定性と規格
この問題の論点は、日本薬局方に基づく経口投与製剤の安定性や規格に関する正確な記述を特定することです。


■解説1|


即放性製剤は、通例、有効成分の溶解性に応じた溶出挙動を示す。(選択肢3) [正しい]


即放性製剤は、経口投与後に速やかに有効成分を放出する製剤です。日本薬局方では、即放性製剤の溶出試験を行い、有効成分の溶解性に応じた適切な溶出挙動を示すことを求めています。溶解性は、製剤の効果発現に重要な要素であり、製剤設計において考慮されるべきポイントです。


懸濁剤は、別に規定するもののほか、溶出試験法に適合する。(選択肢4) [正しい]


懸濁剤は、固形の有効成分を液中に分散させた製剤です。日本薬局方では、懸濁剤についても溶出試験法の適用を求めています。溶出試験法に適合することで、有効成分の放出特性が適切に評価されます。


■解説2|


別に規定するもののほか、冷所に保存する。(選択肢1) [誤り]


日本薬局方では、特に規定がない場合、製剤は室温で保存するとされています。冷所保存は、特定の製剤に対してのみ適用される保存条件です。


微生物による汚染に関する規定はない。(選択肢2) [誤り]


日本薬局方では、非無菌製剤であっても、微生物汚染を避けるための規定があります。必要に応じて、微生物限度試験法を適用することが求められています。


崩壊試験法は、製剤中の有効成分が完全に溶解するかを確認する試験である。(選択肢5) [誤り]


崩壊試験法は、製剤が一定時間内に崩壊するかどうかを確認する試験です。有効成分が完全に溶解するかを確認するのは、溶出試験法の役割です。


■結論|
正しい選択肢は、3と4です。


■補足|


選択肢1:
日本薬局方の製剤通則によれば、特別な規定がない限り、製剤は室温で保存することが求められています。冷所保存は例外的な条件です。
選択肢2:
非無菌製剤でも微生物限度試験を行い、微生物による汚染を防止する規定が存在します。
選択肢5:
崩壊試験は製剤が所定の時間内に崩壊するかを評価するものであり、有効成分の完全な溶解を確認するものではありません。


薬剤|問 106-180 ■正答| 1 5
乳剤及び懸濁剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. バンクロフト(Bancroft)の経験則によると、親油性の乳化剤を添加するとw/o 型乳剤が形成されやすい。

  2. 一般に、分散相が凝集した乳剤は、振り混ぜると容易に再分散される。

  3. 懸濁剤において、粒子が凝集沈降を起こし、再分散が困難な強固な凝集体を形成することをケーキングという。

  4. 一般に、乳剤の外相に内相を加えて両相の容積が等しくなったとき、外相と内相が逆転する転相を起こす。

  5. 乳剤のクリーミングは、内相が浮上又は沈降する現象であり、可逆的である。


薬剤|問 106-180


■■GPT4o


■論点|乳剤と懸濁剤の物理化学的特性
この問題の論点は、乳剤および懸濁剤に関する物理化学的特性や挙動についての正確な記述を特定することです。


■解説1|


バンクロフト(Bancroft)の経験則によると、親油性の乳化剤を添加するとw/o型乳剤が形成されやすい。(選択肢1) [正しい]


バンクロフトの経験則によれば、乳化剤の親油性(HLB値が低い)と親水性(HLB値が高い)は乳剤のタイプを決定する要因となります。
親油性の乳化剤は油中水滴型(w/o)乳剤を形成しやすく、親水性の乳化剤は水中油滴型(o/w)乳剤を形成しやすい。


乳剤のクリーミングは、内相が浮上又は沈降する現象であり、可逆的である。(選択肢5) [正しい]


乳剤のクリーミングは、分散相の液滴が浮上または沈降して、濃縮層を形成する現象です。
この現象は可逆的であり、適切な振とうや攪拌により元の均一な乳剤に戻すことが可能です。


■解説2|


乳剤の形成は、乳化剤の親水親油バランス(HLB値)によって大きく影響されます。
バンクロフトの経験則は、このバランスが乳剤の種類(w/oまたはo/w)を決定する基本的なガイドラインとして利用されます。
乳剤のクリーミングは、重力や密度差による物理現象であり、適切な処理によって元の状態に戻すことができますが、製剤の安定性に重要な要素です。
クリーミング自体は製剤の劣化を意味しませんが、長期的な安定性を確保するためには抑制する必要があります。


■結論|
正しい選択肢は、1と5です。


■補足|


分散相が凝集した乳剤は、振り混ぜると容易に再分散される。(選択肢2) [誤り]


凝集が進行すると、分散相の再分散が難しくなり、安定性が低下します。特に長時間放置された場合、振り混ぜても完全に元の状態に戻らないことがあります。


懸濁剤において、粒子が凝集沈降を起こし、再分散が困難な強固な凝集体を形成することをケーキングという。(選択肢3) [誤り]


懸濁剤において、粒子が凝集沈降を起こし、再分散が困難な強固な凝集体を形成する現象は、コアグラマーション(coagulation)またはフロック形成(flocculation)と呼ばれます。
懸濁剤におけるケーキング(caking)は、粒子が沈降して堆積し、時間とともに再分散が困難な固体層(ケーキ)を形成する現象です。


乳剤の外相に内相を加えて両相の容積が等しくなったとき、外相と内相が逆転する転相を起こす。(選択肢4) [誤り]


転相は乳剤の容積比や乳化剤の特性に依存するが、外相と内相が必ずしも等しくなることで転相が起こるわけではなく、その他の条件(温度、撹拌条件など)も影響します。


■Lecture|


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問106-180【薬剤】論点:乳剤と懸濁剤の物理化学的特性|matsunoya (note.com)


薬剤|問 108-180 ■正答| 1 5
日本薬局方における注射剤に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 非水性溶剤として、ダイズ油を用いることができる。

  2. 水性溶剤は、エンドトキシン試験法と発熱性物質試験法の両方に適合する。

  3. 等張化剤として、ホウ酸を加えることができる。

  4. 乳濁性注射剤は、製剤均一性試験法に適合する。

  5. 埋め込み注射剤には、通例、生分解性高分子化合物を用いる。


薬剤|問 108-180


■■GPT4o


■論点|注射剤の製剤特性と規定
この問題の論点は、日本薬局方における注射剤の特性と規定についての正確な記述を特定することです。


■解説1|


非水性溶剤として、ダイズ油を用いることができる。(選択肢1) [正しい]


日本薬局方に基づき、非水性溶剤としてダイズ油は使用可能です。ダイズ油は、主に脂溶性薬物の溶媒として利用され、非水性の注射剤において安定性と生体適合性を確保するために用いられます。


埋め込み注射剤には、通例、生分解性高分子化合物を用いる。(選択肢5) [正しい]


埋め込み注射剤は、持続的に薬物を放出するために設計されており、生分解性高分子化合物が一般的に使用されます。これらの高分子化合物は体内で徐々に分解され、長期間にわたって薬物を放出することができます。


■解説2|


非水性溶剤は、主に水に溶けにくい薬物の溶解を目的として使用されます。ダイズ油は、生体適合性が高く、安全性が確認されているため、注射剤の溶媒として適しています。
生分解性高分子化合物は、注射剤が体内で適切に分解されることを保証し、長期的な薬物放出を可能にします。この特性は、埋め込み型の薬物送達システムにおいて非常に重要です。


■結論|
正しい選択肢は、1と5です。


■補足|


水性溶剤は、エンドトキシン試験法と発熱性物質試験法の両方に適合する。(選択肢2) [誤り]


水性溶剤は、エンドトキシン試験法または発熱性物質試験法のいずれかに適合すればよく、両方に適合する必要はありません。


等張化剤として、ホウ酸を加えることができる。(選択肢3) [誤り]


ホウ酸は毒性があるため、注射剤の等張化剤として使用することはできません。等張化剤には、一般に生理食塩水やグルコースなどの安全な物質が使用されます。


乳濁性注射剤は、製剤均一性試験法に適合する。(選択肢4) [誤り]


注射剤のうち、用時溶解又は用時懸濁して用いるものは、別に規定するもののほか、製剤均一性試験法〈6.02〉に適合する必要があります。


第18改正日本薬局方 製剤総則 [3] 製剤各条には以下の記載があります。
読んでまとめましょう。


(16) 本剤(※注射剤:皮下,筋肉内又は血管などの体内組織・器官に直接投与する,通例,溶液,懸濁液若しくは乳濁液,又は用時溶解若しくは用時懸濁して用いる固形の無菌製剤。輸液剤,埋め込み注射剤,持続性注射剤及びリポソーム注射剤)で用時溶解又は用時懸濁して用いるものは,別に規定するもののほか,製剤均一性試験法〈6.02〉に適合する。
(17) 本剤で個別容器に入った懸濁性注射剤のうち,静置により均一な分散系が損なわれるおそれがある製剤は,適切な製剤均一性を有する。
(18) 通例,懸濁性注射剤は血管内又は脊髄腔内投与に,また,乳濁性注射剤は脊髄腔内投与に用いない。
(19) 懸濁性注射剤中の粒子の最大粒子径は,通例,150 μm以下であり,乳濁性注射剤中の粒子の最大粒子径は,通例,7 μm以下である。


薬剤|問 107-181 ■正答| 1 5
皮膚に使用する製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 油脂性基剤である単軟膏や白色軟膏は、乾燥型及び湿潤型いずれの皮膚疾患にも使用できる。

  2. 水溶性基剤であるマクロゴールは、分子量が大きくなると水に不溶になる。

  3. 水溶性ゲル基剤は、損傷皮膚を含めた様々な状態の皮膚に安全に使用できる。

  4. 吸水クリームと親水クリームは、いずれもサラシミツロウを含んでいる。

  5. マトリックス型のテープ剤は、日本薬局方の粘着力試験法により評価される。


薬剤|問 107-181


■■GPT4o


■論点|皮膚用製剤の基剤特性と評価方法
この問題の論点は、皮膚に使用する製剤の基剤特性および評価方法についての正確な記述を特定することです。


■解説1|


油脂性基剤である単軟膏や白色軟膏は、乾燥型及び湿潤型いずれの皮膚疾患にも使用できる。(選択肢1) [正しい]


単軟膏や白色軟膏は、皮膚を保護し、湿潤環境を維持するために使用されます。そのため、乾燥型皮膚疾患の保湿や湿潤型皮膚疾患の滲出液の吸収に有効です。


マトリックス型のテープ剤は、日本薬局方の粘着力試験法により評価される。(選択肢5) [正しい]


日本薬局方では、マトリックス型のテープ剤の粘着力を評価するために粘着力試験法が規定されています。これは、皮膚に適切に貼付できることを確認するための重要な試験です。


■解説2|


油脂性基剤は、水分をほとんど含まず、皮膚に塗布すると保湿効果を発揮します。これにより、皮膚の乾燥を防ぐだけでなく、湿潤状態も適切に管理することができます。
マトリックス型テープ剤の粘着力試験法は、テープが適切に皮膚に付着し、薬物の持続的な放出を確保するための基準を満たしているかを評価します。これは、テープ剤の性能評価において重要な要素です。


■結論|
正しい選択肢は、1と5です。


■補足|


水溶性基剤であるマクロゴールは、分子量が大きくなると水に不溶になる。(選択肢2) [誤り]


マクロゴール(ポリエチレングリコール|PEG)は、分子量が大きくなると水への溶解性が低下します。
高分子量(PEG 3350〜8000)では固体であり、水に溶けるが溶解速度がさらに遅くなります。
分子量が約20,000を超えると、PEGは水への溶解性が大幅に低下し、不溶性となることもあります。


※この記述は、PEGの分子量の範囲を明記していないため、必ずしも誤りとは言えないです。したがって、選択肢2は正しいです。
でも、テクニカルタームとしては「溶解性が著しく低下する」「析出し始める」「ほとんど溶けない」などの概念が定義されていて相対的で連続的な表現が科学的には適切です。
水に不溶になる」というテクニカルタームは科学的に適当ではありません。薬学生の皆さんなら普通にその言語センスに納得すると思います。
設問の正誤を判断すべき選択肢の文章が拙いと、正しいのか誤りなのかワカラナイです。
レビューで校閲し修正されてからプリントに出されるべき、アリエナイ見逃しです。(やや言い過ぎ😎)


水溶性ゲル基剤は、損傷皮膚を含めた様々な状態の皮膚に安全に使用できる。(選択肢3) [誤り]


水溶性ゲル基剤は、通常安全に使用できますが、すべての損傷皮膚に適用できるわけではありません。特に感染症や重度の損傷には注意が必要です。


※出題意図が読み取れない問題設計です。
エビデンスベースで論点の安全性にフォーカスしていない。科学的な根拠が明確ではないです。


吸水クリームと親水クリームは、いずれもサラシミツロウを含んでいる。(選択肢4) [誤り]


日本薬局方「吸水クリーム」には、サラシミツロウが含まれます。
日本薬局方「親水クリーム」には、サラシミツロウは含まれません。


■Lecture|


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-181【薬剤】論点:皮膚用製剤の基剤特性と評価方法|matsunoya (note.com)


薬剤|問 108-181 ■正答| 2 4
日本薬局方一般試験法に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. 吸入剤の空気力学的粒度測定法では、吸入剤から噴霧、放出される薬物量の均一性を定量的に評価する。

  2. 展延性試験法では、スプレッドメーター(平行板粘度計)を用いて、半固形製剤の流動性(流れやすさ)を測定する。

  3. ローリングボールタック試験法では、皮膚に適用する製剤からの薬物の放出性を評価する。

  4. 溶出試験法は、経口製剤の溶出試験規格への適合を判定するとともに、著しい生物学的非同等性を防ぐことを目的とする。

  5. 点眼剤の不溶性異物検査法では、点眼剤中の不溶性異物の大きさと数を測定する。


薬剤|問 108-181


■■GPT4o


■論点|日本薬局方一般試験法に関する記述の正誤判断
この問題の論点は、日本薬局方に定められた一般試験法についての正確な記述を特定することです。


■解説1|


展延性試験法では、スプレッドメーター(平行板粘度計)を用いて、半固形製剤の流動性(流れやすさ)を測定する。(選択肢2) [正しい]


展延性試験法はスプレッドメーターを使用して、半固形製剤の流動性を測定する試験法です。
半固形製剤の流動学的測定法は,口腔用半固形剤,眼軟膏剤,軟膏剤,クリーム剤,ゲル剤等の半固形製剤に対し,力を加えることで流動性と変形を測定します。


溶出試験法は、経口製剤の溶出試験規格への適合を判定するとともに、著しい生物学的非同等性を防ぐことを目的とする。(選択肢4) [正しい]


溶出試験法は、経口製剤が溶出試験規格に適合しているかどうかを判定するために行われます。また、著しい生物学的非同等性を防ぐことも目的の一つです。


■解説2|


溶出試験法は、経口製剤が適切に溶解し、体内で効果を発揮するかを確認するための試験法です。この試験法により、製剤間での生物学的同等性を確保し、患者への投与が安定していることを確認します。


■結論|
正しい選択肢は、2と4です。


■補足|


吸入剤の空気力学的粒度測定法では、吸入剤から噴霧、放出される薬物量の均一性を定量的に評価する。(選択肢1) [誤り]


吸入剤の空気力学的粒度測定法は、吸入剤のエアロゾル粒子の粒度を評価するものであり、薬物量の均一性を評価する試験法ではありません。
吸入剤の送達量均一性試験法が吸入エアゾール剤や吸入粉末剤から噴霧・放出される薬物量の均一性を定量的に評価する試験法です。患者に投与される薬物量が均一であることを確認するために行われます。


ローリングボールタック試験法では、皮膚に適用する製剤からの薬物の放出性を評価する。(選択肢3) [誤り]


ローリングボールタック試験法は、粘着力を測定する試験法であり、薬物の放出性を評価する試験法ではありません。


点眼剤の不溶性異物検査法では、点眼剤中の不溶性異物の大きさと数を測定する。(選択肢5) [誤り]


点眼剤の不溶性異物検査法は、異物の有無を目視で確認することに主眼が置かれており、定量的な大きさや数の測定を行う試験ではありません。この方法によって、点眼剤中の不溶性異物が視覚的に検出され、その有無が確認されますが、異物の大きさや数を厳密に測定することは試験法の目的ではありません。


■Lecture|
論点解説 日本薬局方一般試験法


日本薬局方 粘着力試験法について (論点解説|選択肢3)


粘着力試験法は貼付剤の粘着力を測定する試験法です。
ピール粘着力試験法、傾斜式ボールタック試験法、ローリングボールタック試験法、プローブタック試験法があります。試験は24±2℃で行います。


日本薬局方 点眼剤の不溶性異物検査法について (論点解説|選択肢5)


点眼剤の不溶性異物検査法では、主に以下の手順に従って不溶性異物の有無を確認します。
清浄な容器外部での観察:
点眼剤の容器の外部を清浄にし、その上で作業を行います。これにより、外部からの汚染を最小限に抑えます。
白色光源下での肉眼観察:
不溶性異物の検出を行う際には、明るさが3000~5000 lxの白色光源下で観察します。これにより、異物が見落とされる可能性を低減します。


Ref. 第18改正日本薬局方 一般試験法


6.11 点眼剤の不溶性異物検査法
点眼剤の不溶性異物検査法は,点眼剤中の不溶性異物の有無を調べる検査法である. 容器の外部を清浄にし,白色光源を用い,3000 ~ 5000 lxの明るさの位置で,肉眼で観察するとき,澄明で,たやすく検出される不溶性異物を認めない.
6.12 粘着力試験法
本試験法は,貼付剤の粘着力を測定する方法である.貼付剤の粘着力を測定する粘着力試験法には,ピール粘着力試験法,傾斜式ボールタック試験法,ローリングボールタック試験法及びプローブタック試験法がある. 試験は,別に規定するもののほか24±2℃で行う.ただし,温度が24±2℃の許容範囲を維持できない場合は,できるだけ近い許容範囲を設定する.
第18改正日本薬局方 一般試験法について (論点解説|まとめ)
6.10 溶出試験法
経口製剤が溶出試験規格に適合しているかを判定する試験法で、著しい生物学的非同等性を防ぐことも目的としています。三薬局方での調和合意に基づいて規定されており、錠剤やカプセルなどの最小投与量に相当する試料で試験を行います。
6.11 点眼剤の不溶性異物検査法
点眼剤中に不溶性異物が含まれていないかを調べる試験法です。容器の外部を清浄にし、白色光源下で肉眼観察し、不溶性異物がないことを確認します。
6.12 粘着力試験法
貼付剤の粘着力を測定する試験法で、ピール粘着力試験法、傾斜式ボールタック試験法、ローリングボールタック試験法、プローブタック試験法があります。試験は24±2℃で行います。
6.14 吸入剤の送達量均一性試験法
吸入エアゾール剤や吸入粉末剤から噴霧・放出される薬物量の均一性を定量的に評価する試験法です。患者に投与される薬物量が均一であることを確認するために行われます。
6.15 吸入剤の空気力学的粒度測定法
吸入剤から生成するエアロゾールの微粒子特性を評価する試験法です。
6.16 半固形製剤の流動学的測定法
口腔用半固形剤や眼軟膏剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤などに対し、力を加えて流動性と変形を測定する試験法です。展延性試験法と稠度試験法があります。展延性試験法では、スプレッドメーターを用いて半固形製剤の流動性を測定します。


薬剤|問 106-182 ■正答| 1 4
単位操作と製剤機械に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. ジェットミルは、ジュール・トムソン効果により粉砕時の温度の上昇を抑えられるので、熱に不安定な化合物や低融点化合物の粉砕に適している。

  2. 旋回スクリュー型混合機は、本体容器が回転することにより、粉粒体の集合と分割を交互に繰り返すことで混合が進行する。

  3. 流動層造粒装置は、熱風気流中に吹き上げた粉末に結合剤を噴霧するので、装置内で圧密化を受けて重質な造粒物が得られる。

  4. ロータリー型打錠機は、複数組の上下杵と臼を組み込むことができるので、大量生産に適している。

  5. オーガ式のカプセル充てん装置は、瞬間的に薬物溶液をゼラチンで包み込めるので、シームレスカプセルを製することができる


薬剤|問 106-182 


■■GPT4o


■論点|製剤機械の特性および適用例
この問題の論点は、単位操作と製剤機械の特性および適用例についての知識を特定することです。


■解説1|


ジェットミルは、ジュール・トムソン効果により粉砕時の温度の上昇を抑えられるので、熱に不安定な化合物や低融点化合物の粉砕に適している。(選択肢1) [正しい]


ジェットミルは気流を利用して粉砕するため、摩擦熱が少なく、熱に弱い化合物の粉砕に適しています。ジュール・トムソン効果により、気体の急膨張が温度の低下をもたらし、粉砕時の温度上昇を抑えます。


ロータリー型打錠機は、複数組の上下杵と臼を組み込むことができるので、大量生産に適している。(選択肢4) [正しい]


ロータリー型打錠機は、多くの打錠ステーションを持つため、同時に複数の錠剤を製造することができます。そのため、高効率で大量の錠剤を生産するのに適しています。


■解説2|


ジェットミルは粉砕機構として、粒子間の衝突や摩擦を利用しており、コンタミネーションを最小限に抑えつつ、細かい粒度の粉砕を実現します。温度の上昇が少ないため、熱に敏感な医薬品や低融点の物質の粉砕においても、品質を維持できます。
ロータリー型打錠機は、連続して錠剤を製造するために設計されており、一定の速度で錠剤を生産できます。これにより、製造ラインの効率を向上させ、大量の需要に応えることができます。また、異なるサイズや形状の錠剤も製造できる柔軟性があります。


■結論|
正しい選択肢は、1と4です。


■補足|


旋回スクリュー型混合機は、本体容器が回転することにより、粉粒体の集合と分割を交互に繰り返すことで混合が進行する。(選択肢2) [誤り]


旋回スクリュー型混合機は、スクリューが自転と公転を行うことで効率的に混合を進行させます。
本体容器自体は回転しません。
本体容器が回転するのはV型混合機です。V型混合機は二つの円筒容器がV型に組み合わせられており、原料の三次元的な混合を促進します。


流動層造粒装置は、熱風気流中に吹き上げた粉末に結合剤を噴霧するので、装置内で圧密化を受けて重質な造粒物が得られる。(選択肢3) [誤り]


流動層造粒装置では、粉末を浮遊させながら結合剤を噴霧して粒子を成長させますが、圧密化による重質な造粒物ではなく、均一で軽い造粒物が得られます。


オーガ式のカプセル充てん装置は、瞬間的に薬物溶液をゼラチンで包み込めるので、シームレスカプセルを製することができる。(選択肢5) [誤り]


オーガー式カプセル充てん装置は、粉末および顆粒をカプセルに充填する機械です。
薬物溶液をゼラチンで包み込むシームレスカプセルの製造にはシームレスカプセル法(滴下法)があります。
軟カプセル剤(ソフトカプセル)の製造には、ロータリーダイ法(打ち抜き法)とシームレスカプセル法(滴下法)があります。
軟カプセル剤は、難溶性の有効成分の吸収を改善するための選択肢として活用されます。
また、有効成分が低融点で打錠圧縮が難しい場合や酸化分解されやすい場合にも選択されます。


■Lecture|


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問106-182【薬剤】論点:製剤機械の特性および適用例|matsunoya (note.com)


薬剤|問 107-182 ■正答| 1 4
フルチカゾンプロピオン酸エステルを有効成分とする懸濁性点鼻液に含まれる添加物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
〔添加物〕カルボキシビニルポリマー、L-アルギニン、ベンザルコニウム塩化物、エデト酸ナトリウム水和物、ポリソルベート80、濃グリセリン、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、精製水
■選択肢

  1. ポリソルベート80は、懸濁化剤として添加されている。

  2. ベンザルコニウム塩化物は、有効成分を可溶化するために添加されている。

  3. 塩化ナトリウムは、微生物の増殖を抑制するために添加されている。

  4. カルボキシビニルポリマーは、有効成分の鼻腔内滞留性を高めるために添加されている。

  5. エデト酸ナトリウム水和物は、無痛化剤として添加されている。


薬剤|問 107-182


■■GPT4o


■論点|懸濁性点鼻液の添加物の機能
この問題の論点は、懸濁性点鼻液に含まれる各添加物の機能を特定することです。


■解説1|


ポリソルベート80は、懸濁化剤として添加されている。(選択肢1) [正しい]


ポリソルベート80は界面活性剤として広く使用され、薬液中の微粒子を安定に保ち、懸濁化剤としての役割を果たします。


カルボキシビニルポリマーは、有効成分の鼻腔内滞留性を高めるために添加されている。(選択肢4) [正しい]


カルボキシビニルポリマーは増粘剤として機能し、薬剤の粘度を高め、鼻腔内での滞留時間を延ばすことで有効成分の効果を持続させます。


■解説2|


ポリソルベート80は、親水性および疎水性の両方の部分を持つ界面活性剤で、液中の粒子を安定させることで懸濁液を形成します。これにより、有効成分が均一に分散し、投与時に一貫した薬効を発揮します。
カルボキシビニルポリマー(カルボポール)は、非常に高い粘度を持つため、点鼻液の粘度を調整し、鼻腔内での滞留性を向上させます。これにより、有効成分の吸収が促進され、効果の持続時間が延長されます。


■結論|
正しい選択肢は、1と4です。


■補足|


ベンザルコニウム塩化物は、有効成分を可溶化するために添加されている。(選択肢2) [誤り]


ベンザルコニウム塩化物は防腐剤として使用され、微生物の増殖を抑制するために添加されます。


塩化ナトリウムは、微生物の増殖を抑制するために添加されている。(選択肢3) [誤り]


塩化ナトリウムは、主に製剤の浸透圧を調整するために添加されます。


エデト酸ナトリウム水和物は、無痛化剤として添加されている。(選択肢5) [誤り]


エデト酸ナトリウム水和物はキレート剤として使用され、金属イオンを捕捉し、安定性を向上させる目的で添加されます。


薬剤|問 107-183 ■正答| 2 5
薬物とターゲティング技術に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. レボドパは、主にP-糖タンパク質により選択的に脳内に取り込まれる。

  2. サラゾスルファピリジンは、腸内細菌により5-アミノサリチル酸に変換される。

  3. フルシトシンは、腫瘍細胞内の酵素により5-フルオロウラシルに変換される。

  4. アルプロスタジルは、乳酸・グリコール酸共重合体マイクロスフェアを担体として病変部位にターゲティングされる。

  5. ガラクトシル人血清アルブミンジエチレントリアミン五酢酸テクネチウムは、肝細胞膜上のアシアロ糖タンパク質受容体に強く結合する。


薬剤|問 107-183


■■GPT4o


■論点|薬物とターゲティング技術
この問題の論点は、特定の薬物がどのようにしてターゲティング技術を用いてその効果を発揮するかを理解することです。


■解説1|


サラゾスルファピリジンは、腸内細菌により5-アミノサリチル酸に変換される。(選択肢2) [正しい]


サラゾスルファピリジンは、腸内細菌によって5-アミノサリチル酸(5-ASA)とスルファピリジンに分解されます。5-ASAは抗炎症作用を持ち、主に潰瘍性大腸炎やクローン病の治療に使用されます。


ガラクトシル人血清アルブミンジエチレントリアミン五酢酸テクネチウムは、肝細胞膜上のアシアロ糖タンパク質受容体に強く結合する。(選択肢5) [正しい]


ガラクトシル人血清アルブミンジエチレントリアミン五酢酸テクネチウム(ガラクトシルアルブミンテクネチウム)は、肝臓のスキャンに使用されます。肝細胞膜上のアシアロ糖タンパク質受容体に強く結合し、肝臓に選択的に取り込まれます。


■解説2|


サラゾスルファピリジンはプロドラッグであり、腸内のアゾ還元酵素によって5-アミノサリチル酸(5-ASA)とスルファピリジンに分解されます。これにより、5-ASAは腸内で直接作用し、炎症を抑える効果を発揮します。
ガラクトシル人血清アルブミンジエチレントリアミン五酢酸テクネチウムは、肝細胞のアシアロ糖タンパク質受容体に高い親和性を持ち、これを利用して肝臓にターゲティングされます。これにより、肝臓の機能や病変部位の診断が可能となります。


■結論|
正しい選択肢は、2と5です。


■補足|


レボドパは、主にP-糖タンパク質により選択的に脳内に取り込まれる。(選択肢1) [誤り]


レボドパは血液脳関門を通過するためにアミノ酸トランスポーター(特にLAT1: L-type amino acid transporter 1)を利用します。P-糖タンパク質(P-gp)は主に血液脳関門(BBB)のエンドセリウム細胞の頂端(アピカル)膜に発現しており、P-gpの主要な機能は、細胞内に入った薬物を再び血管内に排出することです。


フルシトシンは、腫瘍細胞内の酵素により5-フルオロウラシルに変換される。(選択肢3) [誤り]


フルシトシンは抗真菌薬であり、腫瘍細胞ではなく真菌細胞内で5-フルオロウラシルに変換されます。


アルプロスタジルは、乳酸・グリコール酸共重合体マイクロスフェアを担体として病変部位にターゲティングされる。(選択肢4) [誤り]


アルプロスタジル注射液は、既存のプロスタグランジンE1(PGE1)製剤の問題点を改良し、PGE1の治療有用性を高めるために、微細な脂肪乳剤粒子中にPGE1を溶解したもので、脂肪粒子をPGE1の担体として利用することによって効果の持続性や局所刺激性の低減などを実現した製剤です。


■Lecture|


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-183【薬剤】論点:薬物とターゲティング技術(その1)|matsunoya (note.com)


薬剤|問 109-183 ■正答| 3
下図は湿式顆粒圧縮法の製造工程である。A、Bの単位操作で使用する装置の組合せのうち、正しいのはどれか。1つ選べ。A|B
■選択肢
1ア|イ
2オ|エ
3イ|ウ
4エ|オ
5ウ|ア

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【薬剤】 問183

■科目| 薬剤|問 109-183 


■■GPT4o
(無理ー。。ほぼ著者の文章です。)


■論点|製剤機械の特性および適用例
この問題の論点は、単位操作と製剤機械の特性および適用例についての知識を特定することです。


■Lecture|
論点解説 製剤機械の特性および適用例


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-183【薬剤】論点:製剤機械の特性および適用例|matsunoya (note.com)


薬剤|問 106-184 ■正答| 1 3
我が国で実用化されている薬物送達システム(DDS)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢

  1. ニトログリセリンのテープ剤は、投与薬物の肝初回通過効果を回避して、薬効の持続を期待できる経皮吸収型製剤である。

  2. ファモチジンの口腔内崩壊錠は、薬物の苦味を抑えるため、水溶性高分子を担体とする固体分散体を利用して薬物溶出が抑えられている。

  3. 直腸粘膜からのセフチゾキシムナトリウムの吸収を高めるため、カプリン酸ナトリウムを添加した坐剤が実用化されている。

  4. 鼻粘膜からの薬物吸収を高めるため、付着性を有する高分子を添加したトリアムシノロンアセトニドの製剤がある。

  5. プロポフォールの注射剤は、薬物が脂質二重膜に包まれることで、血中での滞留性が高まり、治療効果を発揮する。


薬剤|問 106-184


■■GPT4o


■論点|薬物送達システム(DDS)
この問題の論点は、我が国で実用化されている薬物送達システム(DDS: Drug Delivery System)に関する知識です。


■解説1|


ニトログリセリンのテープ剤は、投与薬物の肝初回通過効果を回避して、薬効の持続を期待できる経皮吸収型製剤である。(選択肢1) [正しい]


ニトログリセリンのテープ剤は、皮膚を通じて薬物を徐々に吸収させることができ、肝初回通過効果を避けることで、持続的な薬効が期待できる経皮吸収型製剤です。


直腸粘膜からのセフチゾキシムナトリウムの吸収を高めるため、カプリン酸ナトリウムを添加した坐剤が実用化されている。(選択肢3) [正しい]


カプリン酸ナトリウムは、直腸粘膜からの薬物吸収を促進するための吸収促進剤として利用されており、これを添加したセフチゾキシムナトリウムの坐剤が実用化されています。


■解説2|


ニトログリセリンのテープ剤は、心絞痛の治療に用いられ、経皮吸収により持続的な血中濃度を維持し、肝初回通過効果を避けて安定した効果を発揮します。
セフチゾキシムナトリウムの坐剤にカプリン酸ナトリウムを添加することで、直腸からの吸収が促進され、迅速かつ効果的な薬物作用が得られます。


■結論|
正しい選択肢は、1と3です。


■補足|


ファモチジンの口腔内崩壊錠は、薬物の苦味を抑えるため、水溶性高分子を担体とする固体分散体を利用して薬物溶出が抑えられている。(選択肢2) [誤り]


ファモチジンの口腔内崩壊錠は、速やかに崩壊することで胃酸分泌抑制効果を早く発現させるために開発されており、薬物の苦味を抑えるために固体分散体を利用しているわけではありません。


鼻粘膜からの薬物吸収を高めるため、付着性を有する高分子を添加したトリアムシノロンアセトニドの製剤がある。(選択肢4) [誤り]


鼻粘膜からの薬物吸収を高めるために高分子を添加する方法はありますが、具体的にトリアムシノロンアセトニド製剤に使用されているわけではありません。


プロポフォールの注射剤は、薬物が脂質二重膜に包まれることで、血中での滞留性が高まり、治療効果を発揮する。(選択肢5) [誤り]


医療用医薬品として製造販売位されているプロポフォールの注射剤は、脂質エマルジョンに溶解させた乳濁性注射液です。
脂質二重膜に包まれているのは Liposomal 製剤で、プロポフォールのDDSとしての研究はありますが、日本において製造販売承認を受けているプロポフォールのLiposomal 製剤は今のところ存在しないです。
※ただし、薬剤師国家試験の出題範囲で特定の薬物の注射剤の剤型について、実際にDDS研究データはあるが製造販売承認までに至っていないかどうかの知識を問うことは、出題基準から逸脱している可能性があります。


■Lecture|


松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問106-184【薬剤】論点:薬物送達システム(DDS)|matsunoya (note.com)


😊 お疲れ様でした。次は、徹底解説です。
がんばろう!絶対、完全攻略できます。


4. 徹底解説 15問 薬学理論問題【薬剤】

各問題の徹底解説へのリンクは、論点解説のLectureパートにまとめました。復習しましょう。

薬剤師国家試験問題 薬学理論問題【薬剤】第106回 - 第109回

Creator: Yukiho Takizawa, PhD
Tool: Chat GPT powered by GPT4o
Date: 2024/ 07/12

Matsunoya|薬剤師国家試験対策ノート
4. 徹底解説 15問 薬学理論問題【薬剤】

Here; https://note.com/matsunoya_note/n/n304c6f6026f4


■ 徹底解説編


こちらをご覧ください。日々更新中です。

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート【薬剤】薬学理論問題|徹底解説編🧵|matsunoya (note.com)


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薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 薬学理論問題 薬剤(1) 第106回-第109回 31問 powered by GPT4o, Chat GPT|matsunoya (note.com)

参考資料|

厚生労働省ホームページ / 薬剤師国家試験のページ
薬剤師国家試験のページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

過去の試験問題及び解答|

第109回(令和6年2月17日、2月18日実施)
第108回(令和5年2月18日、2月19日実施)
第107回(令和4年2月19日、2月20日実施)
第106回(令和3年2月20日、2月21日実施)
第105回(令和2年2月22日、23日実施)
第104回(平成31年2月23、2月24日実施)
第103回(平成30年2月24、2月25日実施)
第102回(平成29年2月25、2月26日実施)
第101回(平成28年2月27、2月28日実施)
第100回(平成27年2月28、3月1日実施)
第99回(平成26年3月1、2日実施)
第98回(平成25年3月2、3日実施)
第97回(平成24年3月3、4日実施)

過去の薬剤師国家試験の結果|

第109回(令和6年2月17日、18日実施)[PDF形式:2,589KB][2.6MB]
第108回(令和5年2月18日、19日実施)[PDF形式:471KB][471KB]
第107回(令和4年2月19日、20日実施)[PDF形式:803KB][803KB]
第106回(令和3年2月20日、21日実施)[PDF形式:871KB][871KB]
第105回(令和2年2月22日、23日実施)[PDF形式:371KB][371KB]
第104回(平成31年2月23、2月24日実施)[PDF形式:620KB][620KB]
第103回(平成30年2月24、2月25日実施)[PDF形式:457KB]
第102回(平成29年2月25、2月26日実施)[PDF形式:564KB]
第101回(平成28年2月27、2月28日実施)[PDF形式:796KB]
第100回(平成27年2月28、3月1日実施)[PDF形式:2,005KB]
第99回(平成26年3月1、2日実施)[PDF形式:1,116KB]
第98回(平成25年3月2、3日実施)[PDF形式:634KB]
第97回(平成24年3月3、4日実施)[PDF形式:285KB]

いかがでしたか?前回の4年前の集計と比較して、文章での解説を省略して、グラフだけで見せるアプローチにしてみました。
薬学生の皆さんは、ぜひ、グラフから分析と考察に挑戦してみてください。

今日はこの辺で、
それではまた
お会いしましょう。

Your best friend
Mats & BLNt

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