
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 108-104【化学】論点:キラル炭素 / 両親媒性 / グリセロリン脂質 / CIP規則 / 絶対配置
第108回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問104
一般問題(薬学理論問題)【物理・化学・生物】
化学|問 108-104
Q. 多発性硬化症治療薬のフィンゴリモドは、体内でスフィンゴシンキナーゼによって立体選択的にリン酸化されて活性体となり、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体アゴニスト活性を発揮する。次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

■選択肢
1. S1Pの2位の絶対配置は、Sである。
2. フィンゴリモドは、キラル化合物である。
3. フィンゴリモドリン酸(活性体)は、R体である。
4. S1Pとフィンゴリモドリン酸は、両親媒性である。
5. S1Pは、グリセロリン脂質である。
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こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。
matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、薬学理論問題【化学】を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第108回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問104【化学】 、論点:キラル炭素 / 両親媒性 / グリセロリン脂質 / CIP規則 / 絶対配置を徹底解説します。
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 108-104【化学】論点:キラル炭素 / 両親媒性 / グリセロリン脂質 / CIP規則 / 絶対配置|matsunoya
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滝沢 幸穂 Yukiho Takizawa, PhD
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設問へのアプローチ|

第108回薬剤師国家試験の問104【化学】(問108-104)では、化学構造からキラル炭素 / 両親媒性 / グリセロリン脂質 / CIP規則 / 絶対配置などが問われました。
今回は、化学構造の特性からアプローチする問題なので、特に、化合物名を気にする必要はないです。
💭すふぃんご?しんきなーぜ?ふぃんごり?ふぃんごりもどりん?🤮🤢
👽(キィー、ヒヒッ)
ここで、焦ってはいけません。
まず、選択肢の最後まで読んでから、問題文に取り組めば大丈夫です。
問題を解くために必要がない部分(赤線と赤枠の範囲)は意識的に視野から消す必要がある問題設計👽です。
草稿の時点でビューワーが責任者に差し戻して、問題を解く上で必要のない無駄な文字と画像はあらかじめ消しておくように指導が必要です。
2分30秒以内に解く必要がある問題には不要な部分です。
利益相反関係に鑑みて厳にリスクコントロールが必要である点です。
論点は、キラル中心が主なので、官能基が立体的に4種類結合している炭素に着目すれば、集中して問題を解くことができるでしょう。

構造理解のためにIU PAC名を確認することは有用です。
IU PAC名を自分で書けるようになれば百万馬力です。
IU PAC名から構造を言語化して、記号(カタマリ)で覚えてアプローチするとよいです。

化学構造式:S1P
スフィンゴシン(Sphingosin)のプロパン骨格(octadec-4-ene 鎖の一部)の1位のOHがO-PO3Hに置換された化合物。
前駆体:スフィンゴシン CAS NR 10140-30-4
IU PAC 2-aminooctadec-4-ene-1,3-diol
化学構造式:フィンゴリモドリン酸(活性体)
フィンゴリモドのプロパン骨格の1位のOHがO-PO3Hに置換された化合物。
前駆体:フィンゴリモド CAS NR 162359-55-9
IU PAC 2-amino-2-[2-(4-octylphenyl)ethyl]propane-1,3-diol
絶対配置(R / S)
Rが時計回りで、Sが反時計回り。

ワタシは、このローマ字RとSの書き順でどちらに回るか覚えました。
薬学生の皆さんは、教育訓練を受けているので、そんなに難しくないと思いますが、生成AIにとっては、化学構造式の立体配置は、まだハルシネーションが避けられない領域です。
ヒトやAIに文字で伝える場合のわかりやすいやり方としては、下記のような方法で伝えると相互理解が進みます。
P > O > N > C > H
※結合している原子の原子番号の大きさで順位が決まる。
フィンゴリモドリン酸の場合:
官能基 |1番目の結合|2番目の結合|3番目の結合
-NH3+ |N |H |なし
-CH2OPO3H- |C |O |P
-CH2OH |C |O |H
-CH2CH2-Ph |C |C |C
順位が最下位の-CH2CH2-Phをキラル炭素の背後に置くと、順位が1位から3位の官能基は反時計回りの順番になるので絶対配置はS。

ちなみに、生成AIは、化学構造式で省略されている水素は、たいていは、無いものだと思っています。😄
周期表(抜粋)

正直に言うと、こんなに生成AI親和性のない問題設計はありません。
👑👑👑
事前準備で、化学構造の図を渡したりして、Grok 2 (beta)が誠実に着実に頑張ってくれたので、清書のため、油断して問題文をそのまま渡しプロンプトを走らせたら、ちょっと気の毒な感じに、、Grok 2、壊れました🤖。。
いきなり知性が低下した状態になる。🫥
破壊力のある問題設計👽(キィー、ヒヒッ)です。
そのため、必要のない問題文を削除してリスク回避しつつ、GPT 4oでプロンプトを走らせて、ぎりぎりセーフな仕上がりにしたという作業を経て完成した論点解説です。
…どうしても無理な部分は、自分で修正します。🤣
GPT 4oは、壊れないのですけれど、最終手段として、部分的にプロンプトを無視して修正しないまま出力する🤖という手法で、メモリーの使用を拒否します。
ラオスの市場的な態度です。
まず基本的な知識について復習しておきましょう。
■■GPT4o
フィンゴリモド
選択肢2:フィンゴリモドは、キラル化合物である。

化学構造の確認
フィンゴリモド(CAS 162359-55-9)は、2-amino-2-[2-(4-octylphenyl)ethyl]propane-1,3-diolの化学名を持つ化合物です。
炭素(C2)には、以下の4つの置換基が結合しています:
−NH3+(アンモニウム基)
−CH2OH(ヒドロキシメチル基、プロパン1位)
−CH2OH(ヒドロキシメチル基、プロパン3位)
−CH2−CH2−(4−octylphenyl)(アルキル置換基)
キラリティの評価
キラル中心の条件:
炭素原子が4つの異なる基を持つ場合、それはキラル中心となります。
1. フィンゴリモドの中心炭素の置換基
NH3+
CH2OH(1位)
CH2OH(3位)
2-(4-octylphenyl)ethyl
中心炭素(C2)は、2つの同一基(−CH2OH-CH_2OH)を持っています。
そのため、4つの異なる基が結合していないことから、フィンゴリモドはキラル中心を持たず、キラル化合物ではありません。
参考文献
International Union of Pure and Applied Chemistry (IUPAC) nomenclature rules
化学構造解析に関する一般的な教科書・リソース
フィンゴリモドの特性に関する文献:
Chun, J., & Hartung, H.-P. (2010). Mechanism of Action of Oral Fingolimod (FTY720) in Multiple Sclerosis. Clinical Neuropharmacology.
S1Pとフィンゴリモドリン酸

選択肢4:S1Pとフィンゴリモドリン酸は、両親媒性である。
両親媒性の定義
両親媒性(amphiphilic)とは、分子が疎水性部分(親油性)と親水性部分を同時に持つ性質を指します。これは、界面活性剤や生体膜の構成分子(例:リン脂質)に特徴的です。
S1Pの構造
疎水性部分:スフィンゴシン由来の長鎖炭化水素部分(炭素数18のアルケン構造)。
親水性部分:1位のリン酸基(−OPO3H)および3位のヒドロキシ基(−OH)。
この組み合わせにより、S1Pは両親媒性を持つことが確認できます。
フィンゴリモドリン酸の構造
疎水性部分:4-オクチルフェニル基を含む炭化水素部分。
親水性部分:リン酸基(−OPO3H)およびヒドロキシ基(−OH)。
フィンゴリモドリン酸も、S1P同様に両親媒性です。

選択肢5:S1Pは、グリセロリン脂質である。
リン脂質は、大きく分けてグリセリンを骨格とするグリセロリン脂質と、スフィンゴシンを骨格とするスフィンゴリン脂質の2つが存在します。
グリセロリン脂質の定義

2つの脂肪酸(オレイン酸・パルミチン酸)・グリセリン・リン酸・コリン
が複合した構造をもつ。
出典:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3%E8%84%82%E8%B3%AA
グリセロリン脂質(glycerophospholipid)は、以下の特徴を持つ化合物群です:
グリセロール骨格:3つの炭素原子からなるグリセロール(プロパン-1,2,3-トリオール)を基盤とする。
脂肪酸エステル:グリセロールの1位および2位のヒドロキシ基が脂肪酸とエステル結合を形成。
リン酸基:グリセロールの3位にリン酸基が結合し、さらに他の極性基が結合する。
S1Pの構造確認
骨格:S1Pはスフィンゴシン骨格を持ち、グリセロール骨格ではありません。
脂肪酸エステル:S1Pには脂肪酸が結合していない。
リン酸基:1位にリン酸基が結合しているが、グリセロリン脂質特有のグリセロール骨格を持たない。
したがって、S1Pはグリセロリン脂質ではなく、スフィンゴリン脂質(スフィンゴシンを基盤とする脂質)に分類されます。

参考文献
Vance, D. E., & Vance, J. E. (2008). Biochemistry of Lipids, Lipoproteins and Membranes. Elsevier.
Chun, J., & Hartung, H.-P. (2010). Mechanism of Action of Sphingosine 1-Phosphate Receptor Modulators in Multiple Sclerosis. Clinical Neuropharmacology.
Alberts, B. et al. (2015). Molecular Biology of the Cell. Garland Science.
選択肢1:S1Pの2位の絶対配置は、Sである

カーン・インゴルド・プレログ(CIP)規則の適用
手順1:キラル炭素に結合した4つの置換基を特定
S1P(スフィンゴシン-1-リン酸)の2位炭素(C2)には以下の4つの基が結合しています:
−NH3+(アンモニウム基)
最初の結合原子が窒素(N, 原子番号 7)。-CH(OH)-CH-...(長鎖部分)
最初の結合原子が炭素(C, 原子番号 6)。次の結合原子が酸素(O, 原子番号 8)と炭素(C, 原子番号 6)。−CH2−OPO3H(リン酸エステル基)
最初の結合原子が炭素(C, 原子番号 6)。次の結合原子が酸素(O, 原子番号 8)と水素(H)。−H(水素原子)
最初の結合原子が水素(H, 原子番号 1)。
手順2:置換基の順位付け
−NH3+(窒素):1位(最優先、N > C > H)。
−CH(OH)−CH−…(長鎖):2位(最初の炭素が酸素結合を持つため)。
−CH2−OPO3H(リン酸エステル):3位(最初の炭素が酸素を持つが、2位より低い)。
−H(水素):4位(最下位)。
手順3:キラル炭素の後方に最下位の置換基を配置
水素原子(−H)をキラル炭素(C)の背後に配置します。
手順4:1位 → 2位 → 3位の順に確認
1位(−NH3)、2位(長鎖基)、3位(リン酸エステル基)の順に矢印を描きます。
Hをキラル炭素の後ろに配置した時、反時計回りに、1(N-H)、2(C-O, H, C)、3(C-O, H, H)に配置されている。

1 → 2 → 3の方向が反時計回りであることが確認できます。
手順5:反時計回りはS体
CIP規則では、1 → 2 → 3の回転方向が反時計回りの場合、そのキラル中心はS体であると判断されます。
参考文献
Cahn, R. S., Ingold, C. K., & Prelog, V. (1966). Specification of Molecular Chirality. Angewandte Chemie International Edition in English.
Chun, J., & Hartung, H.-P. (2010). Mechanism of Action of Sphingosine 1-Phosphate Receptor Modulators in Multiple Sclerosis. Clinical Neuropharmacology.
Alberts, B. et al. (2015). Molecular Biology of the Cell. Garland Science.
選択肢3:フィンゴリモドリン酸(活性体)は、R体である。

カーン・インゴルド・プレログ規則の適用
手順1:キラル炭素に結合した4つの置換基を特定
フィンゴリモドリン酸の2位炭素(C2)には以下の4つの基が結合しています:
−NH3+(アンモニウム基)
−CH2−OPO3H(リン酸エステル基)
−CH2−OH(ヒドロキシメチル基)
−CH2−CH2−(4-octylphenyl)(芳香族アルキル基)
手順2:置換基の順位付け
CIP規則に基づき、炭素原子(C2)に直接結合した原子の原子番号を比較します。
−NH3+
最初に窒素(N, 原子番号 7)が結合しているため、1位。−CH2−OPO3H
最初の結合は炭素(C, 原子番号 6)。次に酸素(O, 原子番号 8)。次にリン(P, 原子番号 15)を含むため、2位。−CH2−OH
最初の結合は炭素(C, 原子番号 6)。次に酸素(O, 原子番号 8)。次に水素(H)が続くため、3位。−CH2−CH2−(4-octylphenyl)
最初の結合は炭素(C, 原子番号 6)。次に炭素が続くため、4位。
手順3:キラル炭素の後方に最下位の置換基を配置
4位の置換基(−CH2−CH2−(4-octylphenyl))をキラル炭素原子(C)の背後に配置します。
手順4:他の3つの置換基を順位に従い確認
キラル炭素(C)における1位、2位、3位の置換基を時計回りか反時計回りに確認します:
1位:−NH3+
2位:−CH2−OPO3H
3位:−CH2−OH
1 → 2 → 3 が反時計回りで並んでいます。

手順5:最終判定
反時計回りの場合はS体となります。
したがって、フィンゴリモドリン酸(活性体)はS体です。
参考文献
Cahn, R. S., Ingold, C. K., & Prelog, V. (1966). Specification of Molecular Chirality. Angewandte Chemie International Edition in English.
Alberts, B. et al. (2015). Molecular Biology of the Cell. Garland Science.
フィンゴリモドの物理化学的特性に関する研究論文および薬学参考書。
論点およびポイント
■■Grok 2 (beta)
化学|問 108-104
論点|キラル炭素 / 両親媒性 / グリセロリン脂質 / CIP規則 / 絶対配置
ポイント|
キラル炭素の絶対配置判定(CIP規則):
S1Pとフィンゴリモドリン酸(活性体)の両方に存在するキラル炭素の順位付けにはCIP規則を適用。
官能基順位に基づき、S1Pの2位炭素はS体、フィンゴリモドリン酸の2位炭素もS体と判定される。両親媒性:
S1Pとフィンゴリモドリン酸は共に極性基(リン酸基やアミノ基)と疎水性長鎖構造を持つため、両親媒性を示す。脂質分類:
S1Pはスフィンゴリン脂質に分類され、グリセロリン脂質ではない。
スフィンゴリン脂質はスフィンゴシン骨格を基盤としており、グリセロール骨格を含まない。フィンゴリモドのリン酸化:
フィンゴリモドのプロパン1位のOHがリン酸化されることで、リン酸誘導体として活性体(フィンゴリモドリン酸)が生成される。CIPルールの原理:
置換基順位は原子番号、次に結合する原子の原子番号、さらには多重結合の寄与を含む分子全体の空間的配置に基づいて判定する。
薬剤師国家試験 出題基準
出典: 薬剤師国家試験のページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
出題基準 000573951.pdf (mhlw.go.jp)
論点を整理します。
■■GPT4o
総合的な論点
この問題は、化学構造に基づいた立体化学、化学分類、官能基の性質についての理解を問うものです。総合的な論点は以下の通りです。
1. キラル中心の絶対配置(選択肢1, 3)
キラル中心は4つの異なる置換基が結合した炭素原子で、カーン・インゴルド・プレログ(CIP)規則に従って絶対配置(RまたはS)を決定します。
2位炭素がキラル中心であり、結合する置換基(NH3+、長鎖基、リン酸エステル基、水素など)の順位付けに基づき、絶対配置が議論されます。

2. 化学的特性の分類(選択肢2, 5)

キラル化合物か否か(選択肢2)や、化学構造が特定の分類(例:グリセロリン脂質、選択肢5)に該当するかの判断が求められます。
フィンゴリモドの分子構造にはキラル中心が存在せず非キラルです。
S1Pはグリセロリン脂質とは分類が異なるスフィンゴリン脂質です。
3. 両親媒性分子の特性(選択肢4)
両親媒性分子は親水性基と疎水性基を持ち、水と油の両方に溶解性を示します。
S1Pとフィンゴリモドリン酸(活性体)は、親水性(リン酸基やヒドロキシ基)と疎水性(炭化水素鎖)を持つため両親媒性と分類されます。
ポイント
この問題は、構造式の理解、官能基の化学的役割、立体化学の判断を組み合わせたマルチアプローチを必要とするものです。
回答を導くには以下の科学的原則が利用されます:
CIP規則: キラル中心の絶対配置(選択肢1, 3)。
構造分類: フィンゴリモドやS1Pの特性や分類(選択肢2, 4, 5)。
化学構造の特性: 両親媒性(選択肢4)。
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法
選択肢1: S1Pの2位の絶対配置は、Sである
論点:
S1P(スフィンゴシン-1-リン酸)の2位炭素がキラル中心であり、絶対配置(RまたはS)が問われています。アプローチ方法:
化学構造式を参照し、2位炭素に結合する4つの置換基を特定します。
置換基の順位付けは、CIP規則に基づき以下の通りです:
−NH3+(窒素)
長鎖基 −CH(OH)−CH−…(酸素結合を持つ炭素)
リン酸エステル基 −CH2OPO3H
水素 −H-H(最下位)
回転方向を確認し、反時計回りならS、時計回りならRと判断します。
→ 正しい
選択肢2: フィンゴリモドは、キラル化合物である
論点:
フィンゴリモドの中心炭素(2位)は4つの置換基を持っていますが、そのうち2つが同一(ヒドロキシ基 −CH2OH)であるため、キラル中心を持たない非キラル化合物です。アプローチ方法:
化学構造式を解析し、中心炭素に結合する置換基を確認します。
同一の置換基が存在する場合、キラルではないことを明確にします。
→ 誤り
選択肢3: フィンゴリモドリン酸(活性体)は、R体である
論点:
フィンゴリモドリン酸の1位のヒドロキシ基がリン酸エステル基に置換されています。2位炭素はキラル中心です。アプローチ方法:
CIP規則に基づく順位付け
プロパンの2位のキラル炭素に結合する4つの置換基(NH₃⁺、CH₂OPO₃H、CH₂OH、CH₂CH₂-(4-octylphenyl))を比較します。1位: NH₃⁺(窒素が最も高順位)
2位: CH₂OPO₃H(炭素と酸素原子を含む)
3位: CH₂OH(炭素が酸素2つと結合)
4位: CH₂CH₂-(4-octylphenyl)(芳香族アルキル基)
3次元配置の確認
最下位の置換基を背後に置きます。
置換基1 → 2 → 3が反時計回りに並んでいることを確認します。
最終判定
反時計回りの場合はS体となるため、フィンゴリモドリン酸の2位炭素はS体です。
→ 誤り
選択肢4: S1Pとフィンゴリモドリン酸は、両親媒性である
論点:
両分子ともに疎水性部分(炭化水素鎖)と親水性部分(リン酸基やヒドロキシ基)を持つため、両親媒性分子として分類されます。
これらの特性は、細胞膜への挙動や受容体結合に寄与します。アプローチ方法:
構造式を参照し、疎水性部分(炭化水素鎖)と親水性部分(極性基)を特定します。
両親媒性分子の定義と照らし合わせ、該当性を判断します。
→ 正しい
選択肢5: 「S1Pは、グリセロリン脂質である」
論点:
グリセロリン脂質は、グリセロールを骨格とし、2つの脂肪酸とリン酸基を持つ分子です。
一方、S1Pはスフィンゴシン(スフィンゴイド)を骨格とするため、グリセロリン脂質ではないです。アプローチ方法:
グリセロリン脂質の定義を確認します。
S1Pの骨格構造がスフィンゴシンであることを構造的に確認します。
→ 誤り
結論|正しい選択肢:
選択肢1: S1Pの2位の絶対配置はS体である。
選択肢4: S1Pとフィンゴリモドリン酸は両親媒性である。
Ref.
Cahn-Ingold-Prelog (CIP) 順位規則
Cahn R.S., Ingold C., Prelog V. "Specification of Molecular Chirality." Angewandte Chemie International Edition, 1966.
CIPルールに基づく置換基順位付けの詳細。
スフィンゴシンとそのリン酸誘導体の化学構造
Merrill A.H. Jr. et al. "Sphingolipids: metabolism and cell signaling." Biochemistry, 2002.
S1P(スフィンゴシン-1-リン酸)の構造と特性の解説。
フィンゴリモドおよびリン酸誘導体の両親媒性
Brinkmann V. et al. "Fingolimod (FTY720): discovery and development of an oral drug to treat multiple sclerosis." Nature Reviews Drug Discovery, 2010.
フィンゴリモドおよびその活性代謝物(フィンゴリモドリン酸)の両親媒性と生物学的効果。
脂質分類とグリセロリン脂質の定義
Vance D.E., Vance J.E. "Biochemistry of Lipids, Lipoproteins, and Membranes." Elsevier, 5th Edition, 2008.
グリセロリン脂質およびスフィンゴリン脂質の分類。
その他の参照資料
IUPAC命名法に基づく構造解析および官能基特定方法。
スフィンゴイド骨格を持つ分子の特性に関する教科書資料。
以上で、論点整理を終わります。
理解できたでしょうか?
大丈夫です。
完全攻略を目指せ!
はじめましょう。
薬剤師国家試験の薬学理論問題【化学】からキラル炭素 / 両親媒性 / グリセロリン脂質 / CIP規則 / 絶対配置を論点とした問題です。
なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形でGPT4o & Copilot 、Gemini 1.5 Pro、またはGrok 2 (beta) が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。
生成AIの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。
Here we go.
第108回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問104
一般問題(薬学理論問題)【物理・化学・生物】
化学|問 108-104
Q. 多発性硬化症治療薬のフィンゴリモドは、体内でスフィンゴシンキナーゼによって立体選択的にリン酸化されて活性体となり、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体アゴニスト活性を発揮する。次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

■選択肢
1. S1Pの2位の絶対配置は、Sである。
2. フィンゴリモドは、キラル化合物である。
3. フィンゴリモドリン酸(活性体)は、R体である。
4. S1Pとフィンゴリモドリン酸は、両親媒性である。
5. S1Pは、グリセロリン脂質である。
■■GPT4o
化学|問 108-104
■論点|キラル炭素 / 両親媒性 / グリセロリン脂質 / CIP規則 / 絶対配置
この問題の論点は、キラル炭素の絶対配置(R/S)および脂質構造の分類を判定することです。
■解説1|

S1Pの2位の絶対配置は、Sである。(選択肢1)[正しい]
CIP規則に基づく順位付け:
S1Pの2位炭素の置換基を比較すると、以下の順位となります。1位: NH₃⁺(窒素を含む)
2位: 長鎖炭化水素(CH(OH)-C)
3位: CH₂OPO₃H(酸素を含む)
4位: H(原子番号最小)
配置の判定:
Hを背面に置いた際、1 → 2 → 3の順に反時計回りで並ぶため、絶対配置はS体となります。
フィンゴリモドリン酸(活性体)は、R体である。(選択肢3)[誤り]
CIP規則に基づく順位付け:
フィンゴリモドリン酸の2位炭素の置換基を比較すると以下の順位となります。1位: NH₃⁺(窒素が最も高順位)
2位: CH₂OPO₃H(炭素と酸素原子を含む)
3位: CH₂OH(炭素が酸素2つと結合)
4位: CH₂CH₂-(4-octylphenyl)(芳香族アルキル基)
配置の判定:
4位の官能基を背面に置いた際、1 → 2 → 3の順に反時計回りで並ぶため、絶対配置はS体となります。
選択肢の記述は誤りです。
■解説2|
S1Pとフィンゴリモドリン酸は、両親媒性である。(選択肢4)[正しい]
極性の高いリン酸基が付加されるため、疎水性に限定されるわけではなく、両親媒性を持ちます。

脂質の分類について(選択肢2、5):
S1Pはスフィンゴシンを基盤とするスフィンゴリン脂質であり、グリセロリン脂質ではありません(選択肢2: 誤り)。
フィンゴリモドリン酸は両親媒性の性質を持つため、細胞膜中で独特の役割を果たします(選択肢5: 正しい)。
■結論|
正しい選択肢: 1、5
S1Pの2位炭素はS体である。
フィンゴリモドリン酸は両親媒性である。
誤った選択肢: 2、3、4
フィンゴリモドはキラル中心を持たない。
グリセロリン脂質に分類されない。スフィンゴリン脂質に分類される。
フィンゴリモドリン酸はR体ではなくS体。
■補足|
フィンゴリモドは、キラル化合物である。(選択肢2)[誤り]
フィンゴリモドはキラル中心を持たず、キラル化合物ではありません。

S1Pは、グリセロリン脂質である。(選択肢5)[誤り]
グリセロリン脂質はグリセロールを基盤とする脂質を指しますが、S1Pはスフィンゴシン骨格を基盤とするため、分類が異なり、スフィンゴリン脂質に分類されます。

必須問題の解説は、こちらからどうぞ。
薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 必須問題 第106回-第109回 一覧 powered by Gemini 1.5 Pro, Google AI Studio & GPT4, Copilot|matsunoya (note.com)
薬学理論問題の解説は、こちらからどうぞ。
薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 薬学理論問題 第106回-第109回 一覧 powered by Gemini 1.5 Pro, GPT4o, Copilot, and Grok 2|matsunoya
お疲れ様でした。
🍰☕🍊
では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第108回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問104
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化学|問 108-104
Q. 多発性硬化症治療薬のフィンゴリモドは、体内でスフィンゴシンキナーゼによって立体選択的にリン酸化されて活性体となり、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体アゴニスト活性を発揮する。次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

■選択肢
1. S1Pの2位の絶対配置は、Sである。
2. フィンゴリモドは、キラル化合物である。
3. フィンゴリモドリン酸(活性体)は、R体である。
4. S1Pとフィンゴリモドリン酸は、両親媒性である。
5. S1Pは、グリセロリン脂質である。
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