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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 108-226-227【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:コホート研究 / 相対危険度 / リチウム製剤 / 妊婦 / 心奇形発生リスク
第108回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問226-227
一般問題(薬学実践問題)
【物理・化学・生物、衛生/実務】
■複合問題|問 108-226-227
Q. 精神神経科の医師から医薬品情報室に、妊婦がリチウム製剤とラモトリギン製剤を服用したときの胎児における心奇形の発生について質問があった。薬剤師が論文を検索し、各製剤の服用による胎児の心奇形発生に関するコホート研究報告を見つけた。論文には下表に示した結果が掲載されていた。
表 妊婦のリチウム製剤又はラモトリギン製剤の服用による胎児の心奇形の発生数
分類 | 心奇形なし | 心奇形あり | 合計|
薬剤非服用群 | 1,182,000 | 18,000 | 1,200,000|
リチウム製剤服用群 | 482 | 18 | 500|
ラモトリギン製剤服用群 | 1,950 | 50 | 2,000|
合計 | 1,184,432 | 18,068 | 1,202,500|
(参考:N Engl Jmed 2017; 376:2245-54.)
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衛生
問 108-226|衛生
Q. 心奇形発生に及ぼすリチウム製剤の服用の相対危険度はどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 0.9
2. 1.6
3. 2.4
4. 3.6
5. 4.2
Here:
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実務
問 108-227|実務
Q. 論文には、薬剤非服用群に対するリチウム製剤又はラモトリギン製剤服用群の相対危険度(傾向スコア分析により補正した値)を服用量別に示した図が載っていた。妊娠中の薬剤服用状況と胎児の心奇形発生に関し、下図を基に薬剤師が医師に説明する内容として誤っているのはどれか。1つ選べ。
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図 胎児の心奇形発生に対するリチウム製剤又はラモトリギン製剤の影響
(参考:N Engl Jmed 2017; 376:2245-54.)
■選択肢
1. リチウム製剤服用量が1日900mgを超える群では、出生100人あたり6.32人に心奇形が発生しています。
2. リチウム製剤服用量が1日900mgを超える場合、薬剤非服用群に比べ胎児の心奇形は約4.2倍発生しやすくなると考えられます。
3. リチウム製剤服用量の増加に伴い、胎児の心奇形が発生しやすくなる傾向が認められます。
4. ラモトリギン製剤は、リチウム製剤に比べ胎児の心奇形発生リスクを統計学的に有意に上昇させると考えられます。
5. ラモトリギン製剤服用群全体では、出生100人あたり2.5人に心奇形が発生しています。
Here:
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こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。
matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、【物理・化学・生物、衛生/実務】 の複合問題を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第108回薬剤師国家試験|薬学実践問題 / 問226-227、論点:コホート研究 / 相対危険度 / リチウム製剤 / 妊婦 / 心奇形発生リスクを徹底解説します。
薬剤師国家試験対策ノート NOTE ver.
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 108-226-227【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:コホート研究 / 相対危険度 / リチウム製剤 / 妊婦 / 心奇形発生リスク|matsunoya
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このコンテンツの制作者|
滝沢 幸穂 Yukiho Takizawa, PhD
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設問へのアプローチ|
薬学実践問題は原本で解いてみることをおすすめします。
まずは、複合問題や実務の問題の構成に慣れることが必要だからです。
薬学実践問題は薬剤師国家試験2日目の①、②、③ の3部構成です。
今回の論点解説では2日目の①を取り上げています。
厚生労働省|過去の試験問題👇
第109回(令和6年2月17日、2月18日実施)
第108回(令和5年2月18日、2月19日実施)
第107回(令和4年2月19日、2月20日実施)
第106回(令和3年2月20日、2月21日実施)
第108回薬剤師国家試験 問226-227(問108-226-227)では、疫学研究(コホート研究)に関する知識を衛生および実務のそれぞれの科目の視点から複合問題として問われました。
複合問題は、各問題に共通の冒頭文とそれぞれの科目別の連問で構成されます。
冒頭文は、問題によっては必要がない情報の場合もあるため、最初に読まずに、連問すべてと選択肢に目を通してから、必要に応じて情報を取得するために読むようにすると、時間のロスが防げます。
1問、2分30秒で解答できればよいので、いつも通り落ち着いて一問ずつ別々に解けば大丈夫です。
出題範囲は、それぞれの科目別の出題範囲に準じています。
連問と言ってもめったに連動した問題は出ないので、平常心で取り組んでください。
💡ワンポイント
複合問題ですが、問108-224-225を解くうえで必要な情報は、黄色い線で示した部分です。
それ以外の情報取得は必要がないです。読んでいると時間のロスに繋がります。
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🫛豆知識 類題があります。
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート【衛生】論点:疫学研究 一覧|matsunoya
論点およびポイント
■■GPT4o
問 108-226|衛生
論点| コホート研究 / 相対危険度 / リチウム製剤 / 心奇形
ポイント|
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相対危険度(RR, Relative Risk) は、曝露群(リチウム服用群)の発生率を非曝露群(薬剤非服用群)の発生率で割った値で求める。
計算式:
RR = (リチウム製剤服用群の心奇形発生率) / (薬剤非服用群の心奇形発生率)RR = (18 / 500) / (18,000 / 1,200,000)
RR = 2.4 となる。
相対危険度が 1.0 より大きければ、曝露によりリスクが上昇することを意味する。
95%信頼区間の上限・下限を考慮し、統計的有意性を確認する必要がある。
問 108-227|実務
論点| 妊娠中の薬剤服用 / 心奇形発生リスク
ポイント|
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薬剤非服用群 に対する リチウム製剤・ラモトリギン製剤の影響 を比較。
リチウム製剤: 用量が増加すると、心奇形発生率が上昇。
≤ 600 mg/日: RR ≈ 1.5
601 - 900 mg/日: RR ≈ 2.5
900 mg/日: RR ≈ 4.2
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ラモトリギン製剤: 用量による明確な心奇形発生リスク増加は見られず、
RR ≈ 1.1~1.4 で 統計学的に有意ではない。ラモトリギンはリチウムに比べて心奇形発生リスクが 低い。
統計学的に有意な増加は認められない。
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薬剤師国家試験 出題基準
出典: 薬剤師国家試験のページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
出題基準 000573951.pdf (mhlw.go.jp)
論点を整理します。
■■GPT4o
総合的な論点
問 108-226(衛生)
1. 胎児の心奇形発生リスクと薬剤服用の関係
胎児の心奇形発生は、妊娠中の薬剤服用による影響を受ける可能性がある。特に、精神科領域で使用されるリチウム製剤やラモトリギン製剤は、双極性障害などの治療に不可欠である一方、胎児に対する影響が懸念されている。これらの薬剤の服用が心奇形発生率にどのように関与するのかを、疫学研究(コホート研究)に基づいて解析することが重要である。
2. 相対危険度(Relative Risk, RR)の概念と算出
相対危険度(RR)は、ある曝露(この場合は薬剤服用)によって疾患(心奇形)が発生するリスクを、非曝露群(薬剤非服用群)と比較して評価する指標である。
RRは以下の式で算出される:
RR = (曝露群の疾患発生数 / 曝露群の総数) / (非曝露群の疾患発生数 / 非曝露群の総数)
本問における計算では、リチウム製剤服用群のRRを求めることが求められている。
3. リチウム製剤とラモトリギン製剤の胎児への影響の違い
リチウム製剤:
過去の研究では、リチウムが胎児の心奇形(特にEbstein奇形)の発生リスクを増加させることが報告されている。
今回のデータでは、リチウム服用量が増加するほど、心奇形発生率が上昇する傾向が見られる。ラモトリギン製剤:
一方、ラモトリギンは抗てんかん薬の一種であり、妊娠中の安全性が比較的高いとされている。
しかし、今回の研究ではリスクが完全にゼロではない点が確認されている。
4. 臨床的意義と薬剤師の役割
薬剤師は、医師からの相談に対し、疫学データを基に適切な情報提供を行う必要がある。
特に、妊娠中の薬剤選択において、
胎児への影響と母体の病状管理のバランスを考慮する
エビデンスに基づき、医師へリスクベースの情報提供を行う
代替治療の可能性を検討する
ことが重要である。
この問題では、リチウム製剤の相対危険度を求めることと、胎児の心奇形発生に関するラモトリギンとの比較を正しく解釈することが問われている。
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法
問108-226(衛生) コホート研究報告
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リチウム製剤の服用による相対危険度の計算
相対危険度(Relative Risk, RR)は、以下の式で算出される:
RR=(曝露群の疾患発生数 / 曝露群の総数) / (非曝露群の疾患発生数 / 非曝露群の総数)
与えられたデータ:
リチウム製剤服用群:500人中18人が心奇形を発生
発生率:18 / 500 = 0.036
薬剤非服用群:1,200,000人中18,000人が心奇形を発生
発生率:18,000 / 1,200,000 = 0.015
相対危険度の計算:
RR = 0.036 / 0.015 = 2.4
正答: 選択肢 3.(2.4)
問 106-227(実務)
この問題では、胎児の心奇形発生に関する リチウム製剤とラモトリギン製剤の影響 を解釈することが求められている。
特に、図に示された 相対危険度(RR) や 出生100人あたりの心奇形発生率 を正しく読み取る必要がある。
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法
問108-227(実務) コホート研究報告
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選択肢|論点|アプローチ方法|判定
選択肢 1. リチウム製剤服用量が1日900mgを超える群では、出生100人あたり6.32人に心奇形が発生しています。
論点:
データの読み取り
患者群|投与量|妊婦数|心奇形発生数|出生100人あたりの心奇形発生数
リチウム 薬剤服用群|>900 mg/日|95|6|6.32
アプローチ方法:
図のデータと一致(6.32人)
判定: 正しい
選択肢 2. リチウム製剤服用量が1日900mgを超える場合、薬剤非服用群に比べ胎児の心奇形は約4.2倍発生しやすくなると考えられます。
論点:
相対危険度(RR)の確認
リチウム 薬剤服用群 >900 mg/日
相対危険度: 約4.2|95%信頼区間: 約1.9 - 約7.0
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アプローチ方法:
図のRR 4.2と一致
判定: 正しい
選択肢 3. リチウム製剤服用量の増加に伴い、胎児の心奇形が発生しやすくなる傾向が認められます。
論点:
データの傾向の解釈
相対危険度が1の場合と比較して用量依存性の増加傾向が認められる。
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アプローチ方法:
服用量増加に伴い心奇形発生率上昇
判定: 正しい
選択肢 4. ラモトリギン製剤は、リチウム製剤に比べ胎児の心奇形発生リスクを統計学的に有意に上昇させると考えられます。
論点:
統計学的有意差の確認
相対危険度=1の場合は、発生リスクが非投与群と変わらない。
相対危険度(●)の95%信頼区間(横棒 ー ● ー)がRR=1に重なっていない場合、有意に発生リスクを上昇させたと考える。
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アプローチ方法:
この結果の場合、有意な群は、リチウム投与群の > 900mg/日のみ
ラモトリギンの相対危険度は1.1〜1.4で、信頼区間が広く、統計学的有意ではない。
判定: 誤り
選択肢 5. ラモトリギン製剤服用群全体では、出生100人あたり2.5人に心奇形が発生しています。
論点:
データの読み取り
妊婦数 = 900 + 700 + 400 = 2000 人
奇形発生数 = 20 + 18 + 12 = 50
出生100人あたりの心奇形発生数 = 50 / 2000 * 100 = 5000 / 2000 = 2.5
患者群|投与量|妊婦数|心奇形発生数|出生100人あたりの心奇形発生数
ラモトリギン 薬剤服用群|≤100 mg/日|900|20|2.22
ラモトリギン 薬剤服用群|101-200 mg/日|700|18|2.57
ラモトリギン 薬剤服用群|>200 mg/日|400|12|3
アプローチ方法:
図のデータと一致(2.5人)
判定: 正しい
正答:選択肢 4
ラモトリギン製剤のリスクが統計学的に有意に上昇するという誤った記述
引用文献
Patorno E, et al. "Lithium Use in Pregnancy and the Risk of Cardiac Malformations." New England Journal of Medicine, 2017; 376(23): 2245-2254.
本問題のデータ元となったコホート研究。妊婦におけるリチウムおよびラモトリギンの服用が胎児の心奇形リスクに及ぼす影響を評価。
Briggs GG, Freeman RK, Towers CV, Forinash AB. "Drugs in Pregnancy and Lactation: A Reference Guide to Fetal and Neonatal Risk." 12th ed. Wolters Kluwer Health, 2021.
妊娠中の薬物使用と胎児への影響について広範なデータを提供。リチウムおよびラモトリギンの胎児毒性についての記述を含む。
Tomson T, Battino D. "Teratogenic effects of antiepileptic medications." Lancet Neurology, 2012; 11(9): 803-813.
抗てんかん薬(ラモトリギンを含む)の胎児奇形リスクに関する包括的レビュー。
National Center for Biotechnology Information (NCBI). "Drugs and Lactation Database (LactMed)." U.S. National Library of Medicine, 2023.
妊娠および授乳中の薬剤使用に関する最新のデータベース。
以上で、論点整理を終わります。
理解できたでしょうか?
大丈夫です。
完全攻略を目指せ!
はじめましょう。
薬剤師国家試験の薬学実践問題【複合問題】からコホート研究 / 相対危険度 / リチウム製剤 / 妊婦 / 心奇形発生リスクを論点とした問題です。
なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形で GPT4o & Copilot 、Gemini 2、または Grok 2 が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。
生成AIの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。
Here we go.
第108回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問226-227
一般問題(薬学実践問題)
【物理・化学・生物、衛生/実務】
■複合問題|問 108-226-227
Q. 精神神経科の医師から医薬品情報室に、妊婦がリチウム製剤とラモトリギン製剤を服用したときの胎児における心奇形の発生について質問があった。薬剤師が論文を検索し、各製剤の服用による胎児の心奇形発生に関するコホート研究報告を見つけた。論文には下表に示した結果が掲載されていた。
表 妊婦のリチウム製剤又はラモトリギン製剤の服用による胎児の心奇形の発生数
分類 | 心奇形なし | 心奇形あり | 合計|
薬剤非服用群 | 1,182,000 | 18,000 | 1,200,000|
リチウム製剤服用群 | 482 | 18 | 500|
ラモトリギン製剤服用群 | 1,950 | 50 | 2,000|
合計 | 1,184,432 | 18,068 | 1,202,500|
(参考:N Engl Jmed 2017; 376:2245-54.)
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衛生
問 108-226|衛生
Q. 心奇形発生に及ぼすリチウム製剤の服用の相対危険度はどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 0.9
2. 1.6
3. 2.4
4. 3.6
5. 4.2
Here:
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 108-226-227【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:コホート研究 / 相対危険度 / リチウム製剤 / 妊婦 / 心奇形発生リスク|matsunoya
実務
問 108-227|実務
Q. 論文には、薬剤非服用群に対するリチウム製剤又はラモトリギン製剤服用群の相対危険度(傾向スコア分析により補正した値)を服用量別に示した図が載っていた。妊娠中の薬剤服用状況と胎児の心奇形発生に関し、下図を基に薬剤師が医師に説明する内容として誤っているのはどれか。1つ選べ。

図 胎児の心奇形発生に対するリチウム製剤又はラモトリギン製剤の影響
(参考:N Engl Jmed 2017; 376:2245-54.)
■選択肢
1. リチウム製剤服用量が1日900mgを超える群では、出生100人あたり6.32人に心奇形が発生しています。
2. リチウム製剤服用量が1日900mgを超える場合、薬剤非服用群に比べ胎児の心奇形は約4.2倍発生しやすくなると考えられます。
3. リチウム製剤服用量の増加に伴い、胎児の心奇形が発生しやすくなる傾向が認められます。
4. ラモトリギン製剤は、リチウム製剤に比べ胎児の心奇形発生リスクを統計学的に有意に上昇させると考えられます。
5. ラモトリギン製剤服用群全体では、出生100人あたり2.5人に心奇形が発生しています。
Here:
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 108-226-227【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:コホート研究 / 相対危険度 / リチウム製剤 / 妊婦 / 心奇形発生リスク|matsunoya
■■GPT4o
■問 108-226|衛生
■論点|
この問題の論点は、リチウム製剤服用による胎児の心奇形発生リスクの相対危険度(Relative Risk, RR)を正しく算出することです。
■解説1|
相対危険度(RR)の計算方法
相対危険度は以下の式で求められます:
RR = 暴露群(リチウム服用群)の発生率 / 非暴露群(薬剤非服用群)の発生率

それぞれの発生率を計算する:
薬剤非服用群の発生率: 18,000 / 1,200,000 = 0.015
リチウム製剤服用群の発生率: 18 / 500 = 0.036
したがって、相対危険度は: RR = 0.036 / 0.015 = 2.4
■解説2|
相対危険度(Relative Risk)の解釈
RR = 1 の場合:暴露群と非暴露群でリスクに差がない
RR > 1 の場合:暴露群のリスクが高い
RR < 1 の場合:暴露群のリスクが低い
本問では RR = 2.4 となり、リチウム製剤を服用した妊婦では、服用していない妊婦に比べ 2.4倍 心奇形が発生しやすいことが示唆されます。
■結論|
正解
3. 2.4
■問 108-227|実務
■論点|
この問題の論点は、リチウム製剤およびラモトリギン製剤の服用による胎児の心奇形発生リスクを正しく解釈することです。
■解説1|
ラモトリギン製剤は、リチウム製剤に比べ胎児の心奇形発生リスクを統計学的に有意に上昇させると考えられます。(選択肢4)[誤り]

相対危険度(RR)の比較
リチウム製剤(>900 mg/日):RR ≈ 4.2(95%CI: 1.9 - 7.0)
ラモトリギン製剤(>200 mg/日):RR ≈ 1.4(95%CI: 0.7 - 2.7)
リチウム製剤の方が心奇形リスクが高いことが示唆される。
統計的有意性
リチウム製剤のRRの95%信頼区間(1.9 - 7.0)は 1を超えている ため、有意に心奇形リスクを上昇させると考えられる。
一方、ラモトリギン製剤のRRの95%信頼区間(0.7 - 2.7)には 1を含む ため、有意なリスク上昇とはいえない。
よって、「ラモトリギン製剤がリチウム製剤より心奇形リスクを有意に上昇させる」という記述は 誤り である。
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■解説2|
リチウム製剤とラモトリギン製剤の影響の違い
リチウム製剤のリスク増加
用量依存的に心奇形リスクが増加する傾向がある。
900mg/日を超えると、リスクは非服用群の 約4.2倍 となる。
ラモトリギン製剤のリスク
低用量・高用量のいずれにおいても相対危険度は 1.1~1.4 程度で、大きなリスク上昇は示されていない。
95%信頼区間が 1 を含むため、統計学的に有意なリスク上昇とはいえない。
■結論|
正解は「4. ラモトリギン製剤は、リチウム製剤に比べ胎児の心奇形発生リスクを統計学的に有意に上昇させると考えられます。」[誤り]
→ ラモトリギン製剤の心奇形リスク上昇は統計的に有意ではなく、リチウム製剤の方が明らかにリスクが高い。
■補足|
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リチウム製剤服用量が1日900mgを超える群では、出生100人あたり6.32人に心奇形が発生しています。(選択肢1)[正しい]
リチウム製剤 >900 mg/日で出生100人あたり6.32人に心奇形が発生
→ 表のデータ(95人中6人発生、出生100人あたり6.32人発生)と一致する。
リチウム製剤服用量が1日900mgを超える場合、薬剤非服用群に比べ胎児の心奇形は約4.2倍発生しやすくなると考えられます。(選択肢2)[正しい]
リチウム製剤 >900 mg/日で相対危険度4.2
→ グラフのデータと一致する。
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リチウム製剤服用量の増加に伴い、胎児の心奇形が発生しやすくなる傾向が認められます。(選択肢3)[正しい]
リチウム製剤服用量増加に伴い心奇形リスク増加
→ 表とグラフのデータから、リチウム服用量とリスク増加の傾向が確認できる。
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ラモトリギン製剤服用群全体では、出生100人あたり2.5人に心奇形が発生しています。(選択肢5)[正しい]
ラモトリギン製剤服用群全体で出生100人あたり2.5人に心奇形が発生
→ 表のデータ(2000人中50人発生)と一致する。
妊婦数 = 900 + 700 + 400 = 2000 人
奇形発生数 = 20 + 18 + 12 = 50
出生100人あたりの心奇形発生数 = 50 / 2000 * 100 = 5000 / 2000 = 2.5
患者群|投与量|妊婦数|心奇形発生数|出生100人あたりの心奇形発生数
ラモトリギン 薬剤服用群|≤100 mg/日|900|20|2.22
ラモトリギン 薬剤服用群|101-200 mg/日|700|18|2.57
ラモトリギン 薬剤服用群|>200 mg/日|400|12|3
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では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第108回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問226-227
一般問題(薬学実践問題)
【物理・化学・生物、衛生/実務】
■複合問題|問 108-226-227
Q. 精神神経科の医師から医薬品情報室に、妊婦がリチウム製剤とラモトリギン製剤を服用したときの胎児における心奇形の発生について質問があった。薬剤師が論文を検索し、各製剤の服用による胎児の心奇形発生に関するコホート研究報告を見つけた。論文には下表に示した結果が掲載されていた。
表 妊婦のリチウム製剤又はラモトリギン製剤の服用による胎児の心奇形の発生数
分類 | 心奇形なし | 心奇形あり | 合計|
薬剤非服用群 | 1,182,000 | 18,000 | 1,200,000|
リチウム製剤服用群 | 482 | 18 | 500|
ラモトリギン製剤服用群 | 1,950 | 50 | 2,000|
合計 | 1,184,432 | 18,068 | 1,202,500|
(参考:N Engl Jmed 2017; 376:2245-54.)
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衛生
問 108-226|衛生
Q. 心奇形発生に及ぼすリチウム製剤の服用の相対危険度はどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 0.9
2. 1.6
3. 2.4
4. 3.6
5. 4.2
Here:
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 108-226-227【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:コホート研究 / 相対危険度 / リチウム製剤 / 妊婦 / 心奇形発生リスク|matsunoya
実務
問 108-227|実務
Q. 論文には、薬剤非服用群に対するリチウム製剤又はラモトリギン製剤服用群の相対危険度(傾向スコア分析により補正した値)を服用量別に示した図が載っていた。妊娠中の薬剤服用状況と胎児の心奇形発生に関し、下図を基に薬剤師が医師に説明する内容として誤っているのはどれか。1つ選べ。
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図 胎児の心奇形発生に対するリチウム製剤又はラモトリギン製剤の影響
(参考:N Engl Jmed 2017; 376:2245-54.)
■選択肢
1. リチウム製剤服用量が1日900mgを超える群では、出生100人あたり6.32人に心奇形が発生しています。
2. リチウム製剤服用量が1日900mgを超える場合、薬剤非服用群に比べ胎児の心奇形は約4.2倍発生しやすくなると考えられます。
3. リチウム製剤服用量の増加に伴い、胎児の心奇形が発生しやすくなる傾向が認められます。
4. ラモトリギン製剤は、リチウム製剤に比べ胎児の心奇形発生リスクを統計学的に有意に上昇させると考えられます。
5. ラモトリギン製剤服用群全体では、出生100人あたり2.5人に心奇形が発生しています。
Here:
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 108-226-227【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:コホート研究 / 相対危険度 / リチウム製剤 / 妊婦 / 心奇形発生リスク|matsunoya
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