松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問108-099【物理】論点:液体クロマトグラフィー / 基礎的なパラメーター
第108回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問99
一般問題(薬学理論問題)【物理】
問108-099
Q. 下図は液体クロマトグラフィーにより得られた成分Aと成分Bのクロマトグラム(模式図)で、ピークAは成分A、ピークBは成分B由来である。この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢|
1. ピークAとピークBの分離係数をαとすると、成分Aの質量分布比kAは成分Bの質量分布比kBのα倍である。
2. このカラムの理論段数Nは、(tRB-tRA)/(WA+WB)で与えられる。
3. WAとWBがいずれも小さくなるほど分離係数αは大きくなる。
4. ピークAとピークBの分離度Rsは、Rs>1.5である。
5. Rsを大きくするには理論段高さHが小さいカラムを選択する。
こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。
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苦手意識がある人も、この機会に、薬学理論問題【物理】を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第108回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問99、液体クロマトグラフィー / 基礎的なパラメーター を徹底解説します。
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問108-099【物理】論点:液体クロマトグラフィー / 基礎的なパラメーター
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設問へのアプローチ|
第108回薬剤師国家試験の問99(問108-099)では、液体クロマトグラフィー / 基礎的なパラメーター に関する知識を問われました。
第18改正日本薬局方の一般試験法から下記の項目が出題範囲です。
2. 物理的試験法|クロマトグラフィー
2.01 液体クロマトグラフィー
液体クロマトグラフィー…分離係数α…質量分布比kA…kB?…理論段数N…理論段高さH…😭🤣⏱️
でも、ここで焦ってはいけません。
大丈夫です。
まず、基本的なところを復習しておきましょう。
実際には、日本薬局方の一般試験法の液体クロマトグラフィーの原文を読んで理解しておくのが薬剤師国家資格候補としては望ましいのですが、、
今回、Gemini 1.5 Proにお願いして、基本的な知識についてまとめてもらいました。
■■Gemini 1.5 Pro
液体クロマトグラフィー
パラメーターの定義
k(質量分布比):
k = 固定相に存在する量 / 移動相に存在する量tR(保持時間):
tR = (1 + k) t0t0: 移動相のカラム通過時間
(k=0 の物質の試料注入時からピークの頂点までの時間)
SN比:
S/N = 2H / hH: 対象物質のピークの基線 (バックグラウンドノイズの中央値) からのピーク高さ
h: 対象物質のピークの前後における試料溶液又は溶媒ブランクのクロマトグラムのバックグラウンドノイズの幅
シンメトリー係数 (S):
S = W0.05h / 2fW0.05h: ピークの基線からピーク高さの 1/20 の高さにおけるピーク幅
f: W0.05h のピーク幅をピークの頂点から記録紙の横軸へ下ろした垂線で二分したときのピークの立ち上がり側の距離
相対標準偏差 (RSD(%)):
RSD(%) = 100 / X × √Σn (i=1) (xi - X)^2 / (n - 1)xi: 測定値
X: 測定値の平均値
n: 測定回数
ピークバレー比 (p/v):
p/v = Hp / HvHp: マイナーピークのピークの基線からのピーク高さ
Hv: マイナーピークとメジャーピークの分離曲線の最下点 (ピークの谷) のピークの基線からの高さ
分離係数 (α):
α = (tR2 - t0) / (tR1 - t0)tR1, tR2: 分離度測定に用いる二つの物質の保持時間 (tR1 < tR2)
分離度 (RS):
RS = 1.18 × (tR2 - tR1) / (W0.5h1 + W0.5h2)W0.5h1, W0.5h2: それぞれのピークの高さの中点におけるピーク幅
理論段数 (N):
N = 5.54 × tR^2 / W0.5h^2W0.5h: ピーク高さの中点におけるピーク幅
理論段高さ(H)
H = L / N
L: カラムの長さH = L * W0.5h^2 / (5.54 * tR^2)
理論段高さHは、カラムの長さL、ピーク高さの中点におけるピーク幅W0.5h、保持時間tRを用いて表すことができます。
論点を整理しておきましょう。
■■Gemini 1.5 Pro
総合的な論点
液体クロマトグラフィーにおける基礎的なパラメータの理解を問う。
質量分布比 (k)
分離係数 (α)
理論段数 (N)
分離度 (Rs)
理論段高さ (H)
各選択肢では、クロマトグラムから読み取れる情報と、上記パラメータの関係について正しい記述を選択する必要がある。
選択肢 1
ピークAとピークBの分離係数をαとすると、成分Aの質量分布比kAは成分Bの質量分布比kBのα倍である。
論点:
分離係数 (α) は、2つの成分の保持時間の比から計算され、固定相に対する親和性の差を反映する。
質量分布比 (k) も同様に、固定相と移動相に対する成分の分布のしやすさを表す。
αとkの間には、以下の関係式が成り立つ。
α = (tR2 - t0) / (tR1 - t0) = (1 + k2) / (1 + k1)
つまり、分離係数αは、質量分布比kの比と直接的な比例関係にはない。
解法へのアプローチ:
上記の式から、αとkの関係を理解する。
αがkの比と等しいかどうかを確認する。
選択肢 2
このカラムの理論段数Nは、(tRB-tRA)/(WA+WB)で与えられる。
論点:
理論段数 (N) はカラムの分離効率を表す指標であり、ピークの保持時間とピーク幅から計算される。
理論段数を算出する式として、一般的に以下の式が用いられる。
N = 5.54 * (tR / W0.5h)^2
tR: 保持時間
W0.5h: ピーク高さの半分の幅
選択肢 2 の式は、この定義とは異なる。
解法へのアプローチ:
理論段数の定義式と選択肢 2 の式を比較する。
各変数が何を表すかを理解し、式の妥当性を判断する。
選択肢 3
WAとWBがいずれも小さくなるほど分離係数αは大きくなる。
論点:
分離係数 (α) は、2 つの成分の保持時間の比で決まり、ピーク幅 (W) とは直接関係しない。
ピーク幅が小さくなるということは、各成分のバンドがよりシャープになることを意味し、これはカラムの分離効率が良いことを示唆する。
しかし、ピーク幅が変わっても、2つの成分の固定相への吸着の差(保持時間の差)が変わらなければ、分離係数αは変化しない。
解法へのアプローチ:
分離係数の定義とピーク幅の関係を理解する。
ピーク幅が小さくなる場合に何が起こるかを考察する。
選択肢 4
ピークAとピークBの分離度Rsは、Rs>1.5である。
論点:
分離度 (Rs) は、2つのピークの分離の程度を表す指標である。
Rs = 1.5 以上であれば、ベースライン分離が達成され、2つの成分が十分に分離されていると判断できる。
図を見ると、ピークAとピークBは完全に分離しており、ベースラインも明確である。
解法へのアプローチ:
ベースライン分離の定義と Rs > 1.5 の意味を理解する。
図からピークAとピークBの分離状態を観察する。
選択肢 5
Rsを大きくするには理論段高さHが小さいカラムを選択する。
論点:
理論段高さ (H) は、カラムの単位長さあたりの理論段数を表す。
H が小さいほど、カラムの理論段数 (N) が多くなり、分離効率が高いカラムとなる。
分離度 (Rs) は理論段数 (N) の平方根に比例するため、N が大きくなる、つまり H が小さくなるほど、Rs は大きくなる。
解法へのアプローチ:
理論段高さ (H)、理論段数 (N)、分離度 (Rs) の関係を理解する。
H が Rs に及ぼす影響について考察する。
どうですか?
じわじわ来てますか🖐️😎🖐️
🖐️😎🖐️
楽勝です!
はじめましょう。
薬剤師国家試験の薬学理論問題【物理】から液体クロマトグラフィー / 基礎的なパラメーター を論点とした問題です。
なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形でGPT4o & Copilot 、Gemini 1.5 Pro、またはGrok 2 (beta) が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。
生成AIの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。
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Here we go.
第108回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問99
一般問題(薬学理論問題)【物理】
問108-099
Q. 下図は液体クロマトグラフィーにより得られた成分Aと成分Bのクロマトグラム(模式図)で、ピークAは成分A、ピークBは成分B由来である。この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢|
1. ピークAとピークBの分離係数をαとすると、成分Aの質量分布比kAは成分Bの質量分布比kBのα倍である。
2. このカラムの理論段数Nは、(tRB-tRA)/(WA+WB)で与えられる。
3. WAとWBがいずれも小さくなるほど分離係数αは大きくなる。
4. ピークAとピークBの分離度Rsは、Rs>1.5である。
5. Rsを大きくするには理論段高さHが小さいカラムを選択する。
■■Gemini 1.5 Pro
物理|問 108-099
■論点|液体クロマトグラフィー / 基礎的なパラメーター
この問題の論点は、液体クロマトグラフィーにおける基礎的なパラメータである、質量分布比(k)、分離係数(α)、理論段数(N)、分離度(Rs)、理論段高さ(H)とクロマトグラムの関係を理解しているかどうかを問う問題です。
■解説1|
ピークAとピークBの分離度Rsは、Rs>1.5である。(選択肢4)[正しい]
クロマトグラムから、ピークAとピークBは完全にベースライン分離しています。ベースライン分離しているピークの分離度は1.5以上であるため、選択肢4は正しいです。
Rsを大きくするには理論段高さHが小さいカラムを選択する。(選択肢5)[正しい]
理論段高さHは、カラムの単位長さあたりの理論段数を表します。Hが小さいほどカラムの理論段数Nは多くなります。
分離度Rsは理論段数Nの平方根に比例するため、理論段高さHが小さいカラムほどRsは大きくなります。
■解説2|
分離度は、クロマトグラフィーにおいて、2つのピークがどれだけ良好に分離されているかを表す尺度です。
分離度1.5は、多くの場合、分析において2つのピークが「ベースライン分離」している、つまり完全に分離しているとみなされる一般的な閾値です。
ベースライン分離とは、2つのピークの間の谷線がベースラインに到達している状態を指します。
理論段数は、カラムの分離効率の尺度であり、理論段数が大きいほど、カラムは効率的になり、より良好な分離が実現します。
理論段高さは、1つの理論段に対応するカラムの長さを表します。
■結論|
選択肢4と選択肢5が正しいです。
■補足|
ピークAとピークBの分離係数をαとすると、成分Aの質量分布比kAは成分Bの質量分布比kBのα倍である。(選択肢1)[誤り]
分離係数αは、固定相に対する2つの成分の異なる保持時間を表す値であり、質量分布比kの比と等しくありません。
αは、(tR2 - t0) / (tR1 - t0)で表され、kの関数として表現すると(1 + k2) / (1 + k1)となります。
このカラムの理論段数Nは、(tRB-tRA)/(WA+WB)で与えられる。(選択肢2)[誤り]
理論段数Nは、一般的に、N = 5.54 * (tR / W0.5h)^2という式で算出されます。
tRは保持時間、W0.5hはピーク高さの半分の幅を表します。
選択肢2の式は、理論段数を算出する式として適切ではありません。
WAとWBがいずれも小さくなるほど分離係数aは大きくなる。(選択肢3)[誤り]
ピーク幅Wは分離係数αに直接影響しません。
分離係数αは、2つの成分の固定相への相対的な親和性の差を反映しており、保持時間の比によって決まります。
ピーク幅Wが変化しても、2つの成分の保持時間の差が変化しない限り、分離係数αは変化しません。
ポイント
論点:
液体クロマトグラフィーにおける基礎パラメータ(質量分布比、分離係数、理論段数、分離度、理論段高さ)とクロマトグラムの関係を理解しているか問う。正答:
選択肢4:クロマトグラムからピークAとピークBはベースライン分離していることが読み取れるため、分離度は1.5以上と判断できる。
選択肢5:理論段高さHが小さいほど理論段数Nは大きくなり、分離度Rsは大きくなる。
誤答:
選択肢1:分離係数αと質量分布比kは異なる概念であり、αはkの比と等しいわけではない。
選択肢2:理論段数Nは、保持時間とピーク幅から計算される。
選択肢3:ピーク幅Wは分離係数αに直接影響せず、αは2つの成分の保持時間の比で決まる。
選択肢 1 ピークAとピークBの分離係数をαとすると、成分Aの質量分布比kAは成分Bの質量分布比kBのα倍である。
選択肢 1 は、分離係数 (α) と質量分布比 (k) を混同しているため誤りです。
分離係数 (α) は、2つの成分の保持時間の比から計算され、固定相に対する親和性の差を表す指標です。α が大きいほど、2つの成分は異なる時間に溶出してくるため、分離が良いと言えます。
質量分布比 (k) は、ある成分が固定相と移動相にどのように分配されているかを表す指標です。k が大きいほど、その成分は固定相に強く保持され、溶出に時間がかかります。
α と k はどちらも固定相と移動相に対する成分の親和性に関係していますが、α は2つの成分間の相対的な親和性の差を表すのに対し、k は1つの成分の固定相への親和性の強さを表す点が異なります。
選択肢 2 このカラムの理論段数Nは、(tRB-tRA)/(WA+WB)で与えられる。
選択肢 2 の式は、理論段数 (N) を計算する式として適切ではありません。
理論段数 (N) は、カラムの分離効率を表す指標であり、ピークの保持時間とピーク幅から計算されます。
理論段数を算出する式として、一般的に以下の式が用いられます。
N = 5.54 * (tR / W0.5h)^2
tR: 保持時間
W0.5h: ピーク高さの半分の幅
選択肢 2 の式は、保持時間の差 (tRB - tRA) をピーク幅の和 (WA + WB) で割っていますが、この式は理論段数 N を正しく反映していません。
選択肢 3 WAとWBがいずれも小さくなるほど分離係数aは大きくなる。
選択肢 3 は、ピーク幅 (W) と分離係数 (α) の関係を誤解しているため誤りです。
ピーク幅 (W) は、カラム内での成分バンドの広がりを表す指標です。ピーク幅が小さいほど、成分バンドはシャープになり、分離が良くなります。
分離係数 (α) は、2つの成分の保持時間の比で決まり、ピーク幅 (W) とは直接関係しません。
ピーク幅が小さくなる要因としては、カラムの性能 (理論段数 N が大きいなど) や分析条件 (流量が適切など) が挙げられます。しかし、ピーク幅が変化しても、2 つの成分の固定相への吸着の差(保持時間の差)が変わらなければ、分離係数 α は変化しません。
■Lecture
■■Gemini 1.5 Pro
論点解説 液体クロマトグラフィー 概論
出典: 第18改正日本薬局方 一般試験法 2. 物理的試験法
クロマトグラフィー 2.01 液体クロマトグラフィー
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000788359.pdf
※原本からエッセンシャルな部分を読みやすくまとめてもらいました。
💡 一通り読んで理解できたら、原本にチャレンジしてみよう。
目次
液体クロマトグラフィーの概要
液体クロマトグラフィー装置
システム適合性
検出の確認
システムの性能
システムの再現性
用語
SN比
シンメトリー係数
相対標準偏差
ピークの完全分離
ピークバレー比
分離係数
分離度
理論段数
1. 液体クロマトグラフィーの概要
液体クロマトグラフィーは、固定相と移動相を用いて、混合物中の成分を分離・分析する方法である。
固定相に対して、各成分が持つ保持力の差を利用して分離する。
液体試料や溶液にできる試料に適用可能。
物質の確認、純度の試験、定量などに用いられる。
与えられたカラムに注入された混合物は、各成分に固有の比率kで、移動相と固定相に分布する。
k=固定相に存在する量 / 移動相に存在する量
この比率kは、液体クロマトグラフィーでは質量分布比とよばれる。
この比率kと移動相のカラム通過時間t0 (k=0の物質の試料注入時からピークの頂点までの時間)及び保持時間tR (測定試料の注入時からピークの頂点までの時間)との間には次の関係があるので、同一条件では、保持時間は物質に固有の値となる。
tR=(1 + k) t0
2. 液体クロマトグラフィー装置
液体クロマトグラフィー装置は、通例、以下の構成要素から成る。
移動相送液用ポンプ: カラムや連結チューブなどに移動相や反応試薬を一定流量で送る。
試料導入装置: 一定量の試料を再現性よく装置に導入する。
カラム: 液体クロマトグラフィー用充填剤を内面が平滑で不活性な金属などの管に均一に充填したもの。充填剤の代わりに固定相を管壁に保持させたものも使用可能。
検出器: 試料の移動相とは異なる性質を検出するもの。
紫外又は可視吸光光度計、蛍光光度計、示差屈折計、電気化学検出器、化学発光検出器、電気伝導度検出器(導電率検出器)及び質量分析計などがある。
通例、数μg以下の試料に対して濃度に比例した信号を出す。
記録装置: 検出器により得られる信号の強さを記録する。
必要に応じてデータ処理装置を用いてクロマトグラム、保持時間、成分定量値などを記録あるいは出力させることができる。
必要に応じて、以下の装置も用いられる。
移動相組成制御装置: 段階的制御(ステップワイズ方式)と濃度勾配制御(グラジエント方式)があり、移動相組成を制御できる。
カラム恒温槽
反応試薬送液用ポンプ
化学反応槽
3. システム適合性
システム適合性は、クロマトグラフィーを用いた試験法に不可欠な項目。
医薬品の試験に使用するシステムが、当該試験を行うのに適切な性能で稼働していることを、一連の品質試験ごとに確かめることを目的とする。
システム適合性の試験方法と適合要件は、医薬品の品質規格に設定した試験法の中に規定されている必要がある。
規定された適合要件を満たさない場合には、そのシステムを用いて行った品質試験の結果を採用してはならない。
システム適合性は、基本的に「システムの性能」及び「システムの再現性」で評価される。
純度試験においては上記に加えて「検出の確認」が求められる場合がある。
3.1. 検出の確認
純度試験において、対象とする不純物等のピークがその規格限度値レベルの濃度で確実に検出されることを確認すること。
これによって、使用するシステムが試験の目的を達成するために必要な性能を備えていることを検証する。
定量的試験では、通常、「検出の確認」の項を設け、規格限度値レベルの溶液を注入したときのレスポンスの幅を規定して、限度値付近でレスポンスが直線性を持つことを示す。
限度試験のように、規格限度値と同じ濃度の標準溶液を用いて、それとの比較で試験を行う場合や、限度値レベルでの検出が「システムの再現性」などで確認できる場合には「検出の確認」の項は設けなくてもよい。
3.2. システムの性能
被検成分に対する特異性が担保されていることを確認すること。
これによって、使用するシステムが試験の目的を達成するために必要な性能を備えていることを検証する。
定量法では、原則として、被検成分と分離確認用物質(基本的には,隣接するピークが望ましい)との分離度、及び必要な場合には、溶出順で規定する。
純度試験では、原則として、被検成分と分離確認用物質(基本的には,隣接するピークが望ましい)との分離度及び溶出順で規定する。
また、必要な場合には、シンメトリー係数を併せて規定する。
ただし、適当な分離確認用物質がない場合には、被検成分の理論段数やシンメトリー係数で規定しても差し支えない。
3.3. システムの再現性
標準溶液あるいはシステム適合性試験用溶液を繰返し注入したときの被検成分のレスポンスのばらつきの程度(精度)が試験の目的にかなうレベルにあることを確認すること。
これによって、使用するシステムが試験の目的を達成するために必要な性能を備えていることを検証する。
システムの再現性の許容限度値は、通常、繰返し注入における被検成分のレスポンスの相対標準偏差(RSD)として規定する。
試料溶液の注入を始める前に標準溶液の注入を繰り返す形だけでなく、標準溶液の注入を試料溶液の注入の前後に分けて行う形や試料溶液の注入の間に組み込んだ形でシステムの再現性を確認してもよい。
繰返し注入の回数は6回を原則とする。
グラジエント法を用いる場合や試料中に溶出が遅い成分が混在する場合など、1回の分析に時間がかかる場合には、6回注入時とほぼ同等のシステムの再現性が担保されるように、達成すべきばらつきの許容限度値を厳しく規定することにより、繰返し注入の回数を減らしてもよい。
システムの再現性の許容限度値は、当該試験法の適用を検討した際のデータと試験に必要とされる精度を考慮して、適切なレベルに設定する。
4. 用語
(ⅰ) SN比
次の式で定義する.
S/N=2H / h
H:対象物質のピークの基線(バックグラウンドノイズの中央値)からのピーク高さ
h:対象物質のピークの前後における試料溶液又は溶媒ブランクのクロマトグラムのバックグラウンドノイズの幅
なお,基線及びバックグラウンドノイズは対象物質のピーク高さの中点におけるピーク幅の20倍に相当する範囲で測定する.また,溶媒ブランクを用いる場合,対象物質が溶出する位置付近で,上記とほぼ同様の範囲で測定する.
(ⅱ) シンメトリー係数
クロマトグラム上のピークの対称性の度合いを示すもので,シンメトリー係数Sとして次の式で定義する.
S=W0.05h / 2f
W0.05h:ピークの基線からピーク高さの1/20の高さにおけるピーク幅
f:W0.05hのピーク幅をピークの頂点から記録紙の横軸へ下ろした垂線で二分したときのピークの立ち上がり側の距離 ただし,W0.05h,f は同じ単位を用いる.
(ⅲ) 相対標準偏差
通例,次の式により定義される相対標準偏差(RSD) (%)で規定する.
RSD(%)=100 / X × √Σn (i=1) (xi - X )^2 / (n - 1)
xi=測定値
X:測定値の平均値
n:測定回数
(ⅳ) ピークの完全分離
ピークが完全に分離するとは,分離度1.5以上を意味する.ベースライン分離ともいう.
(ⅴ) ピークバレー比
クロマトグラム上の二つのピークの間でベースライン分離が達成できないときに,それらのピークの間の分離の程度を示す指標となるもので,ピークバレー比p/vとして次の式で定義する.
p/v=Hp / Hv
Hp:マイナーピークのピークの基線からのピーク高さ
Hv:マイナーピークとメジャーピークの分離曲線の最下点(ピークの谷)のピークの基線からの高さ
(ⅵ) 分離係数
クロマトグラム上のピーク相互の保持時間の関係を示すもので,分離係数αとして次の式で定義する.
分離係数αは,二つの物質の分配の熱力学的な差違の指標で,基本的には,二つの物質の分配平衡係数の比又は二つの物質の質量分布比の比であるが,二つの物質の保持時間の比としてクロマトグラムから求める.
α=(tR2 - t0) / (tR1 - t0)
tR1,tR2:分離度測定に用いる二つの物質の保持時間 ただし,tR1<tR2
t0:移動相のカラム通過時間(k=0の物質の試料注入時からピークの頂点までの時間)
(ⅶ) 分離度
クロマトグラム上のピーク相互の保持時間とそれぞれのピーク幅との関係を示すもので,分離度RSとして次の式で定義する.
RS=
1.18 × (tR2 - tR1) / (W0.5h1 + W0.5h2)
tR1,tR2:分離度測定に用いる二つの物質の保持時間
ただし,tR1<tR2
W0.5h1,W0.5h2:それぞれのピークの高さの中点におけるピーク幅
ただし,tR1,tR2,W0.5h1,W0.5h2は同じ単位を用いる.
(ⅷ) 理論段数
カラム中における物質のバンドの広がりの度合いを示すもので,通例,理論段数Nとして次の式で定義する.
N=5.54 × tR^2 / W0.5h^2
tR:物質の保持時間
W0.5h:ピーク高さの中点におけるピーク幅 ただし,tR,W0.5hは同じ単位を用いる.
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問108-099
Q. 下図は液体クロマトグラフィーにより得られた成分Aと成分Bのクロマトグラム(模式図)で、ピークAは成分A、ピークBは成分B由来である。この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢|
1. ピークAとピークBの分離係数をαとすると、成分Aの質量分布比kAは成分Bの質量分布比kBのα倍である。
2. このカラムの理論段数Nは、(tRB-tRA)/(WA+WB)で与えられる。
3. WAとWBがいずれも小さくなるほど分離係数αは大きくなる。
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問108-099【物理】論点:液体クロマトグラフィー / 基礎的なパラメーター|matsunoya (note.com)
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