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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-120, 109-121, 109-122【衛生】論点:HIV感染者とAIDS患者

第109回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問120, 問121, 問122

一般問題(薬学理論問題) 
【物理・化学・生物/衛生/法規・制度・倫理】
問120-122
 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染と薬害エイズに関する以下の問いに答えよ。


問109-120
Q. 
(物理・化学・生物)
血友病の治療のために投与された非加熱血液製剤によりHIV感染が生じた事例 に関連する生物学的知識として、正しいのはどれか。2つ選べ。


選択肢|

  1. 遺伝性血友病はX連鎖潜性(劣性)遺伝により生じるため、男性に発症しやすい。

  2.  血漿中のHIVは加熱処理しなくても、孔径0.22μmのメンブレンろ過により
    除去できる。

  3. 血液製剤に混入したHIVは、治療を受ける患者のCD8陽性Tリンパ球に感染
    する。

  4. HIVはレトロウイルスであり、プロウイルス化により感染宿主細胞内で長期間潜伏できる。

  5.  HIV感染による症状として、花びらのように分かれた核を持つ特徴的な腫瘍化T細胞がみられるようになる。


問109-121
Q. 
(衛生)
図1は、国内のHIV感染者及びAIDS患者の年間新規報告数の推移を示したものであり、図2は、2021年における国内のHIV感染者の新規報告の感染経路別内訳である。HIV感染者の発生動向に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


選択肢|

1. 図1のAはHIV感染者で、BはAIDS患者を表している。
2. 2021年におけるHIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数に占めるAIDS患者の割合は、約80%と高い水準である。
3. HIV感染者年間新規報告数は、男性よりも女性の方が多い。
4. 図2の経路アは、母子感染によるものである。
5. 図2の経路イは、同性間の性的接触によるものである。


第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問121

問109-122
Q. 
(法規・制度・倫理)
血液製剤による感染被害の救済制度に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。


選択肢|
1. 適正な使用目的に従い適正に使用された場合の感染被害の救済を目的としている。
2. 給付金は、原因となった血液製剤の製造販売業者が全額負担する。
3. 医療費給付の対象は、入院を要する程度以上の感染被害である。
4. 葬祭料や遺族年金に関する給付項目は含まれていない。
5. 製造販売業者の過失が裁判によって証明された場合に救済の対象となる。


こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。

matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、薬学理論問題【衛生】を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第109回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問120、問121、問122、論点:HIV感染者とAIDS患者を徹底解説します。

薬剤師国家試験対策ノート NOTE ver.
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Here; https://note.com/matsunoya_note/n/n0474c21a6cf9

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-120, 109-121, 109-122【衛生】論点:HIV感染者とAIDS患者

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滝沢 幸穂  Yukiho Takizawa, PhD

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設問へのアプローチ|

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問120, 問122, 問123

第109回薬剤師国家試験の問120-問122(問109-120, 問109-121, 問109-122)では、HIV感染と血友病に関する生物学的知識、および、HIV感染者とAIDS患者の発生動向、ならびに、血液製剤による感染被害の救済制度に関する知識を問われました。
一般問題|薬学理論問題【物理・化学・生物】の生物の問題を解き終わって、【衛生】の第一問目、冒頭の問題のはずですが。。

一般問題(薬学理論問題) 
【物理・化学・生物👽/衛生👽/法規・制度・倫理👽】
って何?

A4 2ページにわたって見たことがない複合問題が3連で並んでいます。
しかも、1問目と3問目の間の真ん中の2問目には、例のABCDアイウエオ構文とおぼしきグラフ入り問題が、、
😱🥵🤪…


問120-122 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染と薬害エイズに関する以下の問いに答 えよ。


でも、ここで焦ってはいけません。

まず、論点を確認しましょう。


衛生|問 109-120 の論点


総合的な論点


  • 血友病に関する基礎知識: 血友病の種類、遺伝様式、治療法、合併症リスクなど、血友病に関する基本的な知識を理解しているかを問う。

  • HIV感染とAIDSに関する生物学的知識: HIVの構造、感染機序、潜伏期間、免疫系への影響、AIDS発症のメカニズムなど、HIV感染とAIDSに関する生物学的知識を問う。

  • 血液製剤とHIV感染リスク: 過去の非加熱血液製剤によるHIV感染事例を踏まえ、血液製剤の安全性確保の重要性と、HIV感染リスクを低減するための対策を理解しているかを問う。


各選択肢の論点とアプローチ方法


  1. 血友病の遺伝様式:

    • 血友病の種類: 血友病A、血友病Bなどの種類と、それぞれの原因となる凝固因子の欠乏について理解する。

    • X連鎖潜性遺伝: X染色体上の遺伝子が関与する潜性遺伝の仕組みを理解し、男性と女性で発症率が異なる理由を説明できるか。

  2. HIVの性状と除去方法:

    • HIVの大きさ: HIVのウイルス粒子の大きさを理解し、孔径0.22μmのメンブレンフィルターで除去できるかどうかを判断する。

    • ろ過滅菌: ろ過滅菌の原理と、対象となる微生物の大きさとの関係を理解する。

    • ウイルスの不活化: 加熱処理など、ウイルス不活化の方法に関する知識を応用する。

  3. HIVの標的細胞:

    • 免疫細胞の種類と機能: Tリンパ球などの免疫細胞の種類と、それぞれの役割(CD4陽性Tリンパ球のヘルパーT細胞としての機能など)について理解する。

    • HIVの感染機序: HIVが、宿主細胞の表面にある特定の受容体(CD4など)に結合することで感染することを理解する。

  4. HIVの増殖サイクル:

    • レトロウイルス: レトロウイルスの特徴(RNAをゲノムとして持ち、逆転写酵素を持つなど)を理解する。

    • プロウイルス: HIVが宿主細胞のDNAに組み込まれた状態であるプロウイルスについて理解し、潜伏感染との関連性を説明できるか。

  5. HIV感染とAIDSの症状:

    • 免疫不全: HIV感染によって免疫機能が低下し、日和見感染や悪性腫瘍のリスクが高まることを理解する。

    • AIDSの定義: AIDSを発症するための基準(CD4陽性Tリンパ球数の減少、特定の疾患の発症など)について理解する。

    • 腫瘍化T細胞: 特定の種類の腫瘍細胞と、HIV感染との関連性を考察する。


衛生|問 109-121 の論点


総合的な論点


  • HIV感染者とAIDS患者の発生動向の理解: 提示されたグラフから、HIV感染者とAIDS患者の新規報告数の経年変化、感染経路の割合を読み取り、日本のHIV/AIDSの現状と課題を把握する能力を問う。

  • 疫学データの読解と解釈: グラフの凡例や軸ラベルを正しく読み取り、データの変化や傾向を分析する能力を問う。

  • HIV感染経路に関する知識: 主なHIV感染経路(性的接触、血液感染、母子感染)について理解し、それぞれの経路の特徴や予防策を説明できるかを問う。


各選択肢の論点とアプローチ方法


  1. グラフからの情報抽出:

    • 凡例の確認: 図1の凡例に基づき、AとBがそれぞれHIV感染者とAIDS患者のどちらを表しているかを判断する。

    • データの解釈: グラフの形状や推移から、HIV感染者とAIDS患者の新規報告数の変化を把握する。

  2. 割合の算出と比較:

    • データの読み取り: 図1から、2021年におけるHIV感染者とAIDS患者の新規報告数をそれぞれ読み取る。

    • 割合の計算: 読み取ったデータから、AIDS患者の割合を計算する。

    • 基準値との比較: 計算した割合が、選択肢で提示された「約80%」と一致するかどうかを判断する。

  3. 男女別の発生状況の比較:

    • データの確認: 問題文または図1に、男女別のHIV感染者年間新規報告数が示されているかを確認する。

    • 外部知識の活用: 問題文に情報がない場合は、一般的なHIV感染者の男女比に関する知識を考慮する。

  4. 感染経路に関する知識:

    • 母子感染の定義:母子感染とは、妊娠中、出産時、または授乳期に、母親から子どもへHIVが感染することである。

    • データの解釈: 図2の経路アの割合と、母子感染の発生状況に関する知識を照らし合わせて、選択肢の妥当性を判断する。

  5. 感染経路に関する知識:

    • 性的接触による感染経路: 同性間、異性間などの性的接触によるHIV感染経路について理解する。

    • データの解釈: 図2の経路イの割合と、性的接触による感染経路の一般的傾向を照らし合わせて、選択肢の妥当性を判断する。


参考資料:
令和3年(2021年)における日本のHIV/AIDS発生動向の概要


厚生労働省エイズ動向委員会「令和3(2021)年 エイズ発生動向年報」概説


HIV感染者とAIDS患者の新規報告数

厚生労働省エイズ動向委員会「令和3(2021)年 エイズ発生動向年報」 図1

  • 2021年に報告されたHIV感染者は742件、AIDS患者は315件であり、合計は1,057件でした。

    • HIV感染者年間新規報告数は、近年減少傾向にあり、2020年は前年比153件減と大きく減少し、2021年は前年比8件減の742件となりました。

    • AIDS患者年間新規報告数は、2020年に4年ぶりに前年より増加しましたが、2021年は315件と再び減少に転じました。

  • HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数に占めるAIDS患者の割合は29.8%で、前年(31.5%)より減少したものの、2019年(26.9%)と比較すると依然として高い水準でした。


解釈:


  • HIV感染者年間新規報告数は減少傾向にありますが、AIDS患者年間新規報告数は2020年に増加した後、2021年に再び減少しました。これは、HIV感染の早期発見と治療の進歩により、AIDS発症が抑制されている可能性を示唆しています。

  • しかしながら、HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数に占めるAIDS患者の割合は依然として高く、HIV感染の早期発見と治療の開始、およびAIDS発症予防のための継続的な取り組みが重要であることを示しています。


今後の問題における活用:


  • 上記のデータと解釈は、問題文の選択肢2「2021年におけるHIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数に占めるAIDS患者の割合は、約80%と高い水準である。」の正誤判定に活用できます。

  • また、選択肢1「図1のAはHIV感染者で、BはAIDS患者を表している。」の判定にも、グラフの形状と合わせてこのデータを用いることができます。


令和3年(2021年)における
日本のHIV/AIDS新規報告
感染経路別内訳


厚生労働省エイズ動向委員会「令和3(2021)年 エイズ発生動向年報」 図6

2021年の新規報告における感染経路


感染経路別の内訳

  • 2021年の新規報告を感染経路別に見ると、HIV感染者、AIDS患者のいずれにおいても、同性間の性的接触が半数以上を占めています (図6-a, b)。

  • 母子感染は1件、静注薬物使用が1件(その他に含まれる他の感染経路と静注薬物使用の両方の可能性があるものを合わせると計4件)報告されました (図6-c)。


解釈:



  • 2021年の新規報告において、HIV感染者とAIDS患者の主な感染経路は、共に同性間の性的接触であることが分かります。

  • 一方、母子感染や静注薬物使用による感染は、件数としては非常に少ない状況です。


今後の問題における活用:


  • このデータと解釈は、問題文の選択肢4「図2の経路アは、母子感染によるものである。」、選択肢5「図2の経路イは、同性間の性的接触によるものである。」の正誤判定に活用できます。

  • 特に、母子感染と静注薬物使用による感染が、2021年の新規報告では非常に少ないという点は重要なポイントとなります。


令和3年(2021年)における
日本のHIV/AIDS新規報告
年齢階級別内訳


厚生労働省エイズ動向委員会「令和3(2021)年 エイズ発生動向年報」 図7

2021年の新規報告における年齢階級別内訳


年齢階級別の内訳


  • 2021年の新規報告を年齢階級別に見ると、HIV感染者では30-34歳が最も多く、次いで25-29歳が多かった。一方、AIDS患者では40-44歳が最も多く、次いで45-49歳が多かった (図7-a, b)。

  • 年齢の高い層およびAIDS患者では、若年層およびHIV感染者と比較して、同性間性的接触(男性)以外の感染経路の割合が高い傾向が見られた (図7-a, b)。


解釈:


  • HIV感染者の新規報告は、比較的若い年齢層に多い一方、AIDS患者の新規報告は、HIV感染からAIDS発症までの時間を考慮すると、ある程度高齢の層にピークがあることが示唆されます。

  • また、高齢層やAIDS患者では、同性間性的接触以外の感染経路の割合が高くなる傾向が見られます。これは、異性間の性的接触や過去の輸血など、若年層とは異なる感染リスクが存在することを示唆しています。


今後の問題における活用:


  • このデータと解釈は、問題文の選択肢3「HIV感染者年間新規報告数は、男性よりも女性の方が多い。」の正誤判定に活用できます。

  • 特に、HIV感染者とAIDS患者の年齢分布の違い、および高齢層における感染経路の多様性は重要なポイントとなります。


令和3年(2021年)における
保健所等でのHIV検査・相談件数の推移


厚生労働省エイズ動向委員会「令和3(2021)年 エイズ発生動向年報」 図3

保健所等におけるHIV検査・相談件数


HIV検査件数の推移


  • 2021年の保健所におけるHIV検査件数と自治体が実施する保健所以外のHIV検査件数の合計は 58,172件 でした。これは、2019年の142,260件、2020年の68,998件と比較すると、大幅に減少していることが分かります。

  • 具体的には、2020年は前年より73,262件減少し、2021年は前年から10,826件減少しました (図3)。


解釈:


  • HIV検査件数は、2020年、2021年と2年連続で大幅に減少しています。これは、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、保健所業務が逼迫し、HIV検査の実施体制が縮小されたことなどが要因として考えられます。

  • HIVの早期発見と治療開始のためには、検査へのアクセスを確保することが重要です。


今後の問題における活用:


  • このデータは、問題全体を通して、HIV感染の現状を理解する上で重要な背景情報となります。

  • 特に、HIV検査件数が減少しているという点は、HIV感染の潜在化のリスクを示唆しており、今後のHIV/AIDS対策を考える上で重要な論点となります。


Ref.


下記文献から一部抜粋。
令和3(2021)年 エイズ発生動向年報(厚生労働省エイズ動向委員会) 

https://api-net.jfap.or.jp/status/japan/data/2021/nenpo/r03gaiyo.pdf


衛生|問 109-122 の論点


総合的な論点


  • 血液製剤による感染被害の救済制度の目的:

    • 過去の血液製剤による感染被害の背景、救済制度の必要性、対象者、給付内容など、制度の基本的な理念と枠組みを理解しているかを問う。

  • 救済制度の内容:

    • 医療費給付の要件、給付金の負担者、その他の給付項目など、具体的な救済内容を理解しているかを問う。

  • 救済制度の法的根拠:

    • 製造物責任法や特定感染症予防法など、救済制度の法的根拠となる法律や、過失の有無と救済の関係について理解しているかを問う。


各選択肢の論点とアプローチ方法


1.救済制度の目的:

  • 血液製剤による感染被害の特徴: 治療目的で使用されたにもかかわらず感染する可能性がある点、潜伏期間が長く発症までに時間がかかる点など、血液製剤による感染被害の特徴を理解する。

  • 救済の対象: 過失の有無に関わらず、適正な使用による感染被害者に対して救済を行うという制度の趣旨を理解する。

2.給付金の負担者:

  • 救済制度の財源: 国と製薬企業による基金方式で給付が行われることを理解する。

  • 製造物責任法との関係: 製造物責任法に基づく損害賠償請求とは別に、救済制度による給付が行われることを理解する。

3.医療費給付の要件:

  • 救済制度における「感染被害」の定義: 入院治療が必要な程度の健康被害が生じていることを確認する。

  • 給付対象の範囲: 通院治療や服薬など、入院を要しない程度の感染被害に対する給付の有無を確認する。

4.給付項目:

  • 葬祭料や遺族年金の有無: 救済制度の対象となる具体的な給付項目を確認する。

  • 感染被害による死亡: 感染被害が原因で死亡した場合の遺族に対する支援の有無を確認する。

5.救済の要件:

  • 無過失責任: 血液製剤による感染被害の場合、製造販売業者の過失がなくても救済されるという原則(無過失責任)を理解する。

  • 立証責任の転換: 製造物責任法における立証責任の転換についても触れる。


はじめましょう。
薬剤師国家試験の薬学理論問題【衛生】からHIV感染者とAIDS患者を論点とした問題です。


なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形でGPT4o & Copilot または、Gemini 1.5 Pro が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。

GPT4oの製造元またはGemini 1.5 Proの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-120, 109-121, 109-122【衛生】論点:HIV感染者とAIDS患者|matsunoya (note.com)

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第109回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問120, 問121, 問122

一般問題(薬学理論問題) 
【物理・化学・生物/衛生/法規・制度・倫理】
問120-122
 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染と薬害エイズに関する以下の問いに答えよ。


問109-120
Q. 
(物理・化学・生物)
血友病の治療のために投与された非加熱血液製剤によりHIV感染が生じた事例 に関連する生物学的知識として、正しいのはどれか。2つ選べ。


選択肢|

  1. 遺伝性血友病はX連鎖潜性(劣性)遺伝により生じるため、男性に発症しやすい。

  2.  血漿中のHIVは加熱処理しなくても、孔径0.22μmのメンブレンろ過により
    除去できる。

  3. 血液製剤に混入したHIVは、治療を受ける患者のCD8陽性Tリンパ球に感染
    する。

  4. HIVはレトロウイルスであり、プロウイルス化により感染宿主細胞内で長期間潜伏できる。

  5.  HIV感染による症状として、花びらのように分かれた核を持つ特徴的な腫瘍化T細胞がみられるようになる。


問109-121
Q. 
(衛生)
図1は、国内のHIV感染者及びAIDS患者の年間新規報告数の推移を示したものであり、図2は、2021年における国内のHIV感染者の新規報告の感染経路別内訳である。HIV感染者の発生動向に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


選択肢|

1. 図1のAはHIV感染者で、BはAIDS患者を表している。
2. 2021年におけるHIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数に占めるAIDS患者の割合は、約80%と高い水準である。
3. HIV感染者年間新規報告数は、男性よりも女性の方が多い。
4. 図2の経路アは、母子感染によるものである。
5. 図2の経路イは、同性間の性的接触によるものである。


第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問121

問109-122
Q. 
(法規・制度・倫理)
血液製剤による感染被害の救済制度に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。


選択肢|
1. 適正な使用目的に従い適正に使用された場合の感染被害の救済を目的としている。
2. 給付金は、原因となった血液製剤の製造販売業者が全額負担する。
3. 医療費給付の対象は、入院を要する程度以上の感染被害である。
4. 葬祭料や遺族年金に関する給付項目は含まれていない。
5. 製造販売業者の過失が裁判によって証明された場合に救済の対象となる。


■科目| 生物|問 109-120 


■■Gemini 1.5 Pro


■論点|HIV感染と血友病に関する生物学的知識


この問題の論点は、過去の非加熱血液製剤によるHIV感染事例を踏まえ、血友病とHIV感染に関する生物学的知識を結びつけ、適切な選択肢を選べるかどうかを問うものです。


■解説1|


遺伝性血友病はX連鎖潜性(劣性)遺伝により生じるため、男性に発症しやすい。(選択肢1) [正しい]


血友病A、血友病Bは、それぞれ血液凝固因子である第VIII因子、第IX因子の欠乏が原因で起こり、その遺伝子はX染色体上に存在します。


男性はX染色体を1本しかもたないため、母親から血友病の遺伝子を受け継ぐと発症します。一方、女性は2本のX染色体を持つため、仮に一方のX染色体に異常があっても、もう一方の正常なX染色体で補完される場合が多く、発症は男性に比べて稀です。


HIVはレトロウイルスであり、プロウイルス化により感染宿主細胞内で長期間潜伏できる。(選択肢4) [正しい]


HIVはレトロウイルスに分類され、RNAを遺伝物質として持ちます。
HIVは感染細胞内で逆転写酵素を用いて、自身のRNAからDNAを合成し、宿主細胞のDNAに組み込まれます。この状態をプロウイルス化といい、プロウイルスは宿主細胞のDNA複製 machinery を利用して複製されます。
プロウイルス化により、HIVは感染細胞内で長期間潜伏し、免疫システムから逃れ続けることが可能となります。


■解説2|


血友病は、血液凝固因子の欠乏により、出血が止まりにくくなる遺伝性疾患です。
過去には、治療に用いられていた非加熱の血液製剤を介してHIVが感染する事例が問題となりました。HIVは免疫細胞に感染し、免疫不全を引き起こすことで、日和見感染などを発症しやすくなります。


■結論|


正しい選択肢は、1と4です。


■補足|


血漿中のHIVは加熱処理しなくても、孔径0.22μmのメンブレンろ過により除去できる。(選択肢2) [誤り]


HIVウイルス粒子の大きさは約0.1μmであり、孔径0.22μmのフィルターでは除去できません。
血液製剤からのHIV除去には、ウイルスを不活化する加熱処理が有効です。


血液製剤に混入したHIVは、治療を受ける患者のCD8陽性Tリンパ球に感染する。(選択肢3) [誤り]


HIVは、細胞表面にCD4受容体を持つ細胞に感染します。
CD8陽性Tリンパ球は細胞傷害性T細胞であり、HIVの標的細胞ではありません。
HIVの主な標的細胞は、CD4陽性Tリンパ球です。


HIV感染による症状として、花びらのように分かれた核を持つ特徴的な腫瘍化T細胞がみられるようになる。(選択肢5) [誤り]


花びらのように分かれた核を持つ細胞は、成人T細胞白血病(ATL)で見られる腫瘍細胞であり、HIV感染とは直接的な関係はありません。
ATLは、HTLV-1という別のレトロウイルスによって引き起こされます。


血友病治療におけるHIV感染は、医療現場における感染管理の重要性を示す事例です。
現在では、血液製剤の安全性確保のための対策が進み、HIV感染リスクは大幅に減少しています。


■科目| 衛生|問 109-121


■■Gemini 1.5 Pro


■論点|HIV感染者とAIDS患者の発生動向


この問題の論点は、HIV感染者とAIDS患者の発生動向に関するデータとグラフを正しく解釈し、日本の現状を適切に記述した選択肢を選択できるかどうかを問うものです。

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問121

■解説1|


図1のAはHIV感染者で、BはAIDS患者を表している。(選択肢1) [正しい]


「令和3(2021)年 エイズ発生動向年報(厚生労働省エイズ動向委員会)」の記載より、図1中の-〇-はHIV感染者、-●-はAIDS患者を表しています。


図2の経路イは、同性間の性的接触によるものである。(選択肢5) [正しい]


「令和3(2021)年 エイズ発生動向年報(厚生労働省エイズ動向委員会)」の記載より、2021年のHIV感染者、AIDS患者のいずれにおいても、同性間の性的接触が半数以上を占めていることが明記されています。
図2は2021年のHIV感染者の新規報告の感染経路別内訳を示しており、経路イが71.6%と最も多くなっています。


■解説2|


HIV感染者とAIDS患者は、いずれもHIVウイルスへの感染によって引き起こされます。AIDSは、HIV感染が進行し、免疫機能が著しく低下した状態です。そのため、HIV感染者の増加は、AIDS患者数の増加に繋がることが懸念されます。
日本では、HIV/AIDSの感染拡大防止対策として、検査の受診勧奨や早期治療の開始、感染経路に応じた予防啓発活動などが行われています。特に、近年増加傾向にある同性間性的接触による感染への対策が重要視されています。


■結論|


正しい選択肢は、1と5です。


■補足|


2021年におけるHIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数に占めるAIDS患者の割合は、約80%と高い水準である。(選択肢2) [誤り]


「令和3(2021)年 エイズ発生動向年報(厚生労働省エイズ動向委員会)」の記載より、2021年のHIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数に占めるAIDS患者の割合は29.8%です。


HIV感染者年間新規報告数は、男性よりも女性の方が多い。(選択肢3) [誤り]


「令和3(2021)年 エイズ発生動向年報(厚生労働省エイズ動向委員会)」の図7より、2021年の新規HIV感染者の報告数は、男性が女性を上回っています。


図2の経路アは、母子感染によるものである。(選択肢4) [誤り]


「令和3(2021)年 エイズ発生動向年報(厚生労働省エイズ動向委員会)」の記載より、2021年に報告された母子感染は1件のみです。
図2において、経路アは12.3%であり、母子感染以外の感染経路が含まれていると考えられます。


■科目| 法規|問 109-122


■■Gemini 1.5 Pro


■論点|血液製剤による感染被害の救済制度


この問題の論点は、血液製剤による感染被害の救済制度に関して、その目的、給付金の負担主体、医療費給付の対象範囲、給付項目などを正しく理解しているかを問うものです。


■解説1|


適正な使用目的に従い適正に使用された場合の感染被害の救済を目的としている。(選択肢1) [正しい]


血液製剤による感染被害の救済制度は、薬害HIV感染者、薬害肝炎感染者など、血液製剤の投与が原因でHIVや肝炎ウイルスに感染した人々に対して、その感染経路や責任の所在にかかわらず、医療費や生活費などの給付を行うことを目的としています。


医療費給付の対象は、入院を要する程度以上の感染被害である。(選択肢3) [正しい]


医療費給付の対象となるのは、「HIV感染症による免疫の機能又は肝機能の障害の程度が、厚生労働大臣が定める程度であるもの」とされており、具体的な内容は、症状や検査値に基づいて定められています。


※薬剤師国家試験の出題基準からは不適切な選択肢の記述です。


■解説2|


血液製剤による感染被害の救済制度は、1980年代から1990年代にかけて、HIVや肝炎ウイルスに汚染された血液製剤の投与により、多くの患者が感染したという悲劇を背景に創設されました。
この制度は、感染被害者の苦痛を少しでも和らげ、生活の質の向上を図ることを目的としており、医療費給付の他にも、障害年金や療養手当などの給付も行われています。


■結論|


正しい選択肢は、1と3です。


■補足|


給付金は、原因となった血液製剤の製造販売業者が全額負担する。(選択肢2) [誤り]


給付金の財源は、国と血液製剤の製造販売業者である製薬会社が共同で負担する仕組みとなっています。


葬祭料や遺族年金に関する給付項目は含まれていない。(選択肢4) [誤り]


葬祭料や遺族年金についても、一定の要件を満たせば支給の対象となります。


※薬剤師国家試験の出題基準からは不適切な選択肢の記述です。


製造販売業者の過失が裁判によって証明された場合に救済の対象となる。(選択肢5) [誤り]


血液製剤による感染被害の救済制度は、製造販売業者の過失の有無にかかわらず、適正に使用された場合でも感染被害が生じた場合に、救済の対象となります。


過去問に類題(論点:感染症)があります。解説しています。
こちらにも挑戦して実力アップを目指しましょう。

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート【衛生】論点:感染症 一覧|matsunoya (note.com)


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では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。


第109回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問120, 問121, 問122

一般問題(薬学理論問題) 
【物理・化学・生物/衛生/法規・制度・倫理】
問120-122
 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染と薬害エイズに関する以下の問いに答えよ。


問109-120
Q. 
(物理・化学・生物)
血友病の治療のために投与された非加熱血液製剤によりHIV感染が生じた事例 に関連する生物学的知識として、正しいのはどれか。2つ選べ。


選択肢|

  1. 遺伝性血友病はX連鎖潜性(劣性)遺伝により生じるため、男性に発症しやすい。

  2.  血漿中のHIVは加熱処理しなくても、孔径0.22μmのメンブレンろ過により
    除去できる。

  3. 血液製剤に混入したHIVは、治療を受ける患者のCD8陽性Tリンパ球に感染
    する。

  4. HIVはレトロウイルスであり、プロウイルス化により感染宿主細胞内で長期間潜伏できる。

  5.  HIV感染による症状として、花びらのように分かれた核を持つ特徴的な腫瘍化T細胞がみられるようになる。


問109-121
Q. 
(衛生)
図1は、国内のHIV感染者及びAIDS患者の年間新規報告数の推移を示したものであり、図2は、2021年における国内のHIV感染者の新規報告の感染経路別内訳である。HIV感染者の発生動向に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


選択肢|

1. 図1のAはHIV感染者で、BはAIDS患者を表している。
2. 2021年におけるHIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数に占めるAIDS患者の割合は、約80%と高い水準である。
3. HIV感染者年間新規報告数は、男性よりも女性の方が多い。
4. 図2の経路アは、母子感染によるものである。
5. 図2の経路イは、同性間の性的接触によるものである。


第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問121

問109-122
Q. 
(法規・制度・倫理)
血液製剤による感染被害の救済制度に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。


選択肢|
1. 適正な使用目的に従い適正に使用された場合の感染被害の救済を目的としている。
2. 給付金は、原因となった血液製剤の製造販売業者が全額負担する。
3. 医療費給付の対象は、入院を要する程度以上の感染被害である。
4. 葬祭料や遺族年金に関する給付項目は含まれていない。
5. 製造販売業者の過失が裁判によって証明された場合に救済の対象となる。


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