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短編小説24-2「戦闘力ゼロの僕がゾンビ世界で生き抜く方法を考えたら、サバイバル知識が身に着いた」

《コメントを貰えるって楽しいね》

僕が2020年10月1日~10月31日に開催してる企画
《【クリエイター交流ハロウィン企画】戦闘力ゼロの僕がゾンビ世界で生き抜く方法を考えたら、サバイバル知識が身に着いた》
へ頂いたコメントへの返信作品です。

今回は《大島恭平@月とコンビニ》さんから頂いた以下のコメントからゾンビ世界を生き抜こうと思います。

人を襲い始める人間がいても面白いかと思います。
敵はゾンビだけでは無い的な。

過去にいろいろあって歪んでしまった元自衛官。今回のゾンビ騒動がきっかけに完全に頭のネジが外れてしまい、ゾンビよりも人間を虐殺し出す。ある拠点を圧倒的な身体能力とサバイバル能力で制圧した後に、何百人もの人間を虐殺。それを経て主人公達と出くわす。
さぁ大変!ゾンビも大変ですが人間も怖いです!
頑張って何とか生き延びてください!


短編小説24-1「戦闘力ゼロの僕がゾンビ世界で生き抜く方法を考えたら、サバイバル知識が身に着いた」の続き

駅のホームにたどり着いた僕たちは、少し休憩したのち場所を移動することにした。数時間が経っており、その間に人口密度の高い地域は壊滅に近い状態になっている。

僕らが辿り着いた新宿も壊滅都市の一つだ。途中で遭遇したサラリーマンと警察官も共に逃げることにしたが、彼らに聞くところ、まだ建物の中に多くの人間が生き残っているようだ。
しかし、地上は至る所にゾンビが徘徊する。こそこそと街を動き、おっさんが隠れながら言った。

「外は危険だ、どこかに入ろう」
「そんなこと言ったって、どこが安全かわからないよ」
「外よりはマシだ」

とりあえず近くにあるコンビニに逃げ込むことにした。コンビニなら食料も水もあると考えたからだ。まだ荒らされていないことを願って。

向かう最中、交差点で爆発が起こった。その音に反応してゾンビ共は爆発場所へ寄っていく。かなり大きい音だったから大量のゾンビがモゾモゾと歩いていく。
よく見ると音に反応しない《人間》も外には多く潜んでいるようだ。

『パチュゥンッ』と鋭い音が聞こえた。その直後「ぐべぇっ」と濁った声が聞こえた。僕は見た。《人間》が頭から血を拭いて倒れる様を。
まさか、嘘だろう?

「おっさん、早く中に。走ろう!」
「そんな急いだら音が出ちまうぞ」
「ここにいたら殺される」

おそらく、さっきの音は銃声だ。わざと《人間》を撃ったんだ。あの爆発もそのための準備だとしたら、糞みたいな奴が近くにいると思う。
そう考えながらコンビニに逃げ込む間にも二発、銃声が聞こえた。ここは日本だぞ、銃なんてどこで……。

「おっさん、たぶん人間を撃ってる奴がいる」
「なにぃ!? どういうことだ」
「さっき銃声が聞こえたんだ、そしたら生きてる人間が頭から血を拭いて倒れたのを見た」

おっさんは言葉が出ないようだった。無理もない。
一緒に逃げてきているサラリーマンと警察官は憤っていた。特に警察官の怒りはとてつもない。
彼はこんな状況でも正義を貫く生真面目な警官なんだろう。それが仇になるとは考えてもいなかった。

「許せねぇぜ」

とサラリーマンが言うと同時に

「許せませんね、どのあたりから撃たれたかわかりましたか?」

警察官は真剣なまなざしで聞いてきた。だが僕は銃声の方向なんてわかない。何となく上から聞こえたかなと思うくらいだ。

「なんとなく、上の方から……?」
「そうですか、じゃあ遠距離タイプのライフルを使ってるのかもしれません、困りましたね」
「走り回ってたら当たらないんじゃないのか?」

おっさんが提案してきた。警察官はそれについて考えたが

「動く先を読まれたらやられますね、まずはどこに潜んでいるかを確認しなくてはなりません」

警察官は頼りになる。もう任せていれば生き残れるんじゃないか?僕がそうやって人任せにしようとしているとサラリーマンが声を上げた。

「俺が囮になって、場所を割る」
「危険です、撃たれるかもしれないだけじゃない。ゾンビも大量にいるんです、ここは警察官である私に任せてください」
「じゃあ二人で行こうぜ、その方が何かあっても片方は生き残れる。場所もわかるかもしれないだろ?」

サラリーマンと警察官は二人で計画を練っている。そんなすべてを任せてもいいのか? 僕は何もしていないぞ。
そう悩んでいたら、おっさんも名乗り出た。

「私も囮になろう。三人いれば更に見つけやすくなる」

おっさん……そんなことされたら僕一人が隠れているだけになるじゃないか。くそう、一人でいる時に襲われても生き残れる気がしないし……。

「……僕も、僕も行くよ、仕方ない、皆行くなら僕もやらなきゃ!」
「撃たれるかもしれないぞ」
「ここに一人でいるよりマシです」

サラリーマンに少し心配されたが、僕はもうやるしかないんだ。

「じゃあ、行くか。まずバラバラになるぞ」

僕を含めた四人はコンビニを出た。そしてすぐに走り回る。
『カチュゥンッ』僕のすぐ目の前に銃弾が飛んできた。もう真っ白になってまっすぐダッシュする。

「まっすぐ走るな!動きを読まれるぞ!」
「は、はいぃぃ」

サラリーマンが大声で注意してくれた。しかし、そこにゾンビが現れた。大声に反応してしまったらしい。

「逃げて!!!」

僕もとっさに叫んでしまった。

「ぎゃあああ!!」

サラリーマンが噛まれた。ああ、もうだめだ『パチュウゥン』おっさんが足を撃たれて転がった。

「場所が分かった!!あのビルの上だ!」

警察官が銃を撃ってる奴を見つけたようだ。届くはずもないが、警察官はその場所に向かって拳銃を撃つ。僕はおっさんを引きずり建物の中へ向かう。

『パァンッ』警察官はまだ撃っている。おそらく僕らが逃げる時間を稼いでくれているのだろう。サラリーマンはもうダメだ、ビクビクしている。そのうちゾンビになってしまうことだ。

『パチュンッ』『ごしゃ』銃声の後、鈍い音がした。振り向くと警察官が頭を撃ち抜かれていた。
おっさんは、もう走れない程に出血している。
僕に戦闘手段は何もない。唯一、警察官の持っている拳銃を拾えば、なんとか。しかし、そこに行く勇気なんて出てこない。

僕はしばらく雑居ビルの一室に身を隠すことにした。おっさんも連れてきたが、血が止まらない。

『コンコン』扉がノックされた。……ゾンビがノックなんてするか? 生存者が来たのか? ゆっくりとドアに近づき、『コン』と軽くノックする。

「ここにいたかぁい」

ドアの外から人間の声がした。誰だ、僕らを探していた?まさかさっき屋上から銃を撃っていた奴?

「開けてくれよぉ、なぁ、ほらぁ」

呂律が回っていないような喋り方だ。ヤバい人間がいる、そう予感した。

「開けちゃダメだ」

おっさんが息も絶え絶えに言う。僕もそう思う。でもこの部屋から出るには窓しかない。ここは三階だ、飛び降りたらケガじゃすまないかもしれない。
どうしたらいい。どうしたらいい。開けちゃダメだ。ここにいてもダメだ。じゃあ飛び降りるしかないじゃないか。

「おっさん、飛び降りるけど、足は大丈夫?」
「ああ、先に行ってくれ。私は後から行く」
「それは後から来ない人の言い方だ、わかってる。おっさんここでドアの外の奴を足止めする気だろ」
「そういうのはな、わかってても言わないもんだ。おっさんにもかっこつけさせてくれや」

おっさんは僕の肩に手をかけて立ち上がった。ぎゅうと肩に掴まるが、力がそんなに入らないのだろう、弱弱しい。

「家族に、かっこいいって、思われたことはねぇんだ。……あんただけは私のことをかっこいいと思ってくれよ」
「おっさん……」
「さぁ、ここは私が時間を稼ぐ。行きなさい」

僕は唇を噛みしめた。涙声になりそうだったのを抑えて、窓に手をかける。

「おっさん、かっこよすぎだよ」

僕は三階から飛び降りた。
下にはゾンビの死骸が倒れていて運よくクッションになったみたいだ。
もう仲間は居ない。

僕はここから一人で生き残れるだろうか。

survive

◆まとめ
 24-1「戦闘力ゼロの僕がゾンビ世界で生き抜く方法を考えたら、サバイバル知識が身に着いた」
 24-2「戦闘力ゼロの僕がゾンビ世界で生き抜く方法を考えたら、サバイバル知識が身に着いた」
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