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日本は本当にペット後進国なのか? Part.1
現役の動物病院の院長が表題に対してコメントするのは、いかがなものなのか?と同じ業界に先生方やペットの飼い主の皆さまからツッコミをもらうかもしれないが、気になったのでいろいろと調べてみたことをここでシェアしたいと思った。
備忘録的な記事にもなると思うが、日本をダメ出しするような内容にはしたくないと思っているし、日本の法律や国の取り組みに関して、感情移入は一切するつもりもない。今回Part.1では、「なぜ日本がペット後進国と言われてしまうのか?」という現状の把握と、シンプルに諸外国との違いだけを、紹介していく。※ここで紹介されている国は一部であり、スイスや北欧などの情報も取り上げたいが、今回は経済先進国に絞らせてもらった。
また法律的な内容も多く出るが、私は法の専門家ではないので情報が古いなどもあるかもしれないが、そこはご了承ください。
「なぜ日本がペット後進国と言われてしまうのか?」
▷ 動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)が緩い?
日本の動物愛護管理法の詳細については環境省HPを参照してほしい。
動物虐待の罰則について(以下、主要国一覧)
イギリス懲役 5年、無制限の罰金
ドイツ懲役 3年、2.5万ユーロ(約375万円)の罰金
アメリカ(州による)最長10年(カリフォルニア州など)
日本懲役 3年以下、300万円以下の罰金 ※実刑判決ほぼなし
▷ ペットショップ・ブリーダーの規制が緩い?
イギリス
ペットショップ販売 禁止(2019年ルーシー法)
ブリーダー規制 繁殖施設の厳格なライセンス制度
ドイツ
ペットショップ販売 禁止
ブリーダー規制 繁殖回数や環境基準を厳格に規制
フランス
ペットショップ販売 2024年から禁止
ブリーダー規制 ブリーダーの登録制度を強化
アメリカ
ペットショップ販売 州による(カリフォルニア・NY州などは禁止)
ブリーダー規制 州ごとにライセンス制
日本
ペットショップ販売 販売可能
ブリーダー規制 2022年法改正で「1回の繁殖頭数」制限したが、監視体制が不十分
上記以外にもスペインもペットショップ販売は禁止。イタリアでは販売されているが、規制が厳しく種類も限定されている。ドイツでは小動物(ウサギ、ハムスター、鳥など)はペットショップで販売されている。
▷ 殺処分制度の問題
ドイツ 殺処分ゼロ(ティアハイム制度)※1
オランダ 殺処分ゼロ(保護施設強化)
アメリカ 一部州で殺処分ゼロ(カリフォルニアなど)※2
日本 殺処分あり
※1 行政主導ではゼロ(Part.4で紹介予定)
※2 政府・民間保護施設ともに殺処分はゼロではない(Part.4にて)
▷ ペットの法的地位
フランス 「感情を持つ生き物」として法的に認められる(2015年改正)
ドイツ 動物保護法により「特別な存在」として規定
アメリカ 一部の州では「家族の一員」として扱われる
日本 「物」としての扱い(民法上の動産)
▷ ペット医療の法整備
アメリカ 獣医学専門医(外科・腫瘍・循環器など)制度あり
イギリス 専門医制度が確立
日本 獣医の専門資格が未整備
獣医療の専門医制度が法律的に確立されているのはアメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、ヨーロッパ諸国。アメリカは、アメリカ獣医皮膚科学会(ACVD)やアメリカ獣医内科学会(ACVIM)などが専門医の認定を。イギリスは、英国獣医専門医協会(BSAVA)が専門医の認定を。オーストラリアは、オーストラリア・ニュージーランド獣医専門医協会(ANZCVS)が専門医の認定を。ヨーロッパでは、欧州獣医専門医協会(EBVS)が各専門分野の専門医を認定を。
終わり(Part.2の予告)
今回Part.1では、日本と諸外国との違いについて情報だけを羅列した。日本の取組みや法整備などについて感情的には話をしていくつもりは毛頭ない。あえてそれを私が繰り返し言うのは、一部の人間が行政や法律を叩けば叩くだけ一部の人間から賞賛されたり、また何も知らないのに盲目的に海外(特に欧米欧州)の取り組みに対する礼賛思想や感情労働的なものに流されまくる風潮が嫌いだ、からだ。そろそろ冷静になってくれないかい?と声を大にして言いたい。そして、いっしょに正しく学びましょう!ともお伝えしたいのだ。
次回はビジネス的な話をする。ペットショップでの販売を禁止された諸外国の企業はそのまま倒産してしまったのか?今はどうマネタイズしているのか?などの収益構造について解説する。
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