見出し画像

江の島へ

2019年、晩秋。
親友と江の島に出掛けた。

湘南モノレールに揺られて遠足気分。“人生100年時代”というフレーズがイヤだという話で盛り上がった。最近よく聞くようになったけどヤダよねぇ。ほんとあれ逆に不安な気持ちになるわー。適度なとこでいいのよ。でも100まで生きたいとは思わないけど、今でもないな。気分的には今でもいいくらいだけど、まだ親がいるし子も未成年だしねぇ。そう、まだ私たち途中だもんね。

湘南江ノ島駅に着いて、歩きながらも私たちはペチャクチャ喋り続けていた。親友は「あのね、心配しないで欲しいんだけど」と前置きして、検査を予約して、今日までが自由に食べられるんだと言った。明日からは消化の良い軽いものにして検査に備えるのだそうだ。前々から貧血と聞いていたし、病院できちんと検査を受けるようにすすめていた私はむしろホッとした。

今日まで自由なら肉々しいハンバーグ食べよう。私はハンバーグとワイン。親友はハンバーグのあとパンケーキまでペロリとたいらげた。
気持ち良く晴れた日だった。江の島大橋で横風に煽られながら、今日は時間が足りなくて頂上まで行けないから、また改めてゆっくり来ようと約束した。

その後の検査で親友の体に癌がみつかった。
手術入院は12月で、お見舞いに行きたいという私に親友は「元気になってから会いたいよ。お見舞いはやめて。来年にしよ、ね?」と言った。私も「じゃあ、そうしようか。来年ね!」と請け合った。だけど2020年にはコロナ禍が始まった。

いいなと思ったら応援しよう!