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流し撮りの必需品 一脚の話

筆者は、一脚無しでは流し撮り出来ません

仕事として15年以上もサーキットで写真を撮っているとモータースポーツフォトグラファーの諸先輩方の体力というか腕力には感服することが多々あります。

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しつこいようですが、筆者はサーキットのメインカメラとしてEOS R7を使っていますが、大多数のモータースポーツフォトグラファーはCanonであればEOS R3、NikonであればZ9が主流。そこにCanonであればRF 100-500mm F4.5-7.1 L IS USMがついている場合が多く、次いでEF 100-400mm F4.5-5.6L IS II USMかSIGMA 50-600㎜、そして少数ですが巨匠的な先輩が使用するEF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4Xがあります。

EOS R3 + EF 100-400mm F4.5-5.6L IS II USM

EOS R3にEF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4Xをつけるとマウントアダプタ込みで4.8kgにも及びます。これを手持ちで振り回すこともある諸先輩の腕力たるや、かなりものすごい。
この先輩の屈強さは規格外としても望遠レンズは大体が大きくて重いのが相場です。軽いと言われるEF 100-400mm F4.5-5.6L IS II USMでも1.5kgあり、EOS R7と組み合わせると2.3kg。手持ちで1時間以上振り回していたら腕が筋肉痛でパンパンです。

EOS R7 レンズキットとベルボン製一脚

なので大多数のモータースポーツフォトグラファーはコースサイドでレーシングカーを撮影するときは一脚を使用します。
筆者の場合は一脚無しでは流し撮りが出来ないくらいの必需品となっています。

一脚のメリットは縦ブレ防止

一脚の最大のメリットは手ブレ、特に縦ブレの防止です。手振れ補正機能付きの超望遠レンズでは手振れモードが3段階に切り替えられるスイッチがついていることがあります。このスイッチの2番目のモードはほとんどのレンズで縦ブレのみ補正となっています。つまりは流し撮りのために横ブレは無視している状態。

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縦ブレのみ補正モードがあるくらいですから縦ブレはしない方がいい。そこで一脚を使えば縦ブレは物理的に抑えられます。しかしデメリットとして手持ちであれば自分自身が流し撮りの回転運動の中心になりますが、一脚を使うとカメラが回転運動の中心になります。そこで慣れが必要ですが、慣れてしまえばどうということもない程度の、誤差の範囲と言えるようになります。

一脚の選び方とパーツ

一脚の選び方ですが、使用する長さ、仕舞寸法、重さ、耐荷重、使用場所と5つの要素で検討します。

筆者のベルボン製カーボン一脚

使用する長さは伸ばした状態で自分の身長を5cmほど超える程度に伸びれば十分です。最近の一脚は伸ばした限界の長さで2m弱が多いので長さの問題はクリアできると思います。

仕舞寸法とは一番縮めた状態でケースやバックにしまえるかどうかという長さ。使用する長さが長くても段数が4段、5段ともなれば仕舞寸法は短くなります。

重さに関しては素材に大きく関係してきます。現在の主流はカーボンですが、これは軽さと強度のバランスが金属製に比べて飛躍的に向上しているのでカーボン製を選ぶことをお勧めします。今どきのアルミ製はカーボンに比べるとかなり重いと言わざるを得ません。

耐荷重は使用する長さに伸ばした状態で真上から思い切り体重をかけてみて長さが縮まないということが重要です。

ベルボン製カーボン一脚の蹄型石突

使用場所に関しては舗装してある場所かどうかということが大きく関係します。舗装路面であれば一脚の先端の石突と呼ばれる部分がゴムをまいてあるだけのもので充分ですが、未舗装や草むら、泥地などで使う場合は蹄型石突でないと振り回しているうちに一脚の先端が埋まってしまうこともあり得ます。

大好き過ぎるアルカスイスプレート

カメラと一脚の固定ではカメラボディ底面のねじ穴に一脚のねじを回し入れればいいのですが、これがわりと面倒で時間がかかる作業となります。

クイックリリースクランプ

そのため筆者は手持ちのカメラボディと三脚座の付いたレンズには全てアルカスイスプレートを装着し、一脚と三脚にはこれに対応したクイックリリースクランプを取り付けています。

カメラボディ底面に取り付けたアルカスイスプレート

プレートとクランプを合わせてレバーかローレットネジで締めるだけという簡単さでカメラと一脚をガッチリ固定できます。

クイックリリースクランプを取り付けたところ。

アルカスイスプレートというのは規格サイズが決まっているのでどのメーカーのプレートとクランプの組み合わせでも取り付けが可能というところも重宝です。

EF 100mm F2.8 L MACROにアルカスイス対応の三脚座を取り付けたところ

筆者の場合、EF 100mm F2.8 L MACROにつけていたCanon純正三脚座をアルカスイス対応の三脚座に変えてしまいました。これは台座部分の両サイドにアルカスイス対応の溝が掘ってあるので、プレートをつけなくてもこのままクイックリリースクランプに取り付け可能という優れモノ。なおかつ純正より価格が安い!

その他の一脚用パーツとしてはストラップがつけられる一脚用ジャケットなども使っています。

EOS R7のレンズキットですら一脚を使う筆者

一脚のお勧めブランド

今現在は紹介しているベルボン製カーボン一脚を使っていますが、実はスリックという三脚メーカーの方が好みです。伸縮にレバーロックを使うベルボンに比べてネジロックを使うスリックの方がガッチリ感が強いのです。
しかし、今使っているベルボン製は蹄型石突が標準装着なのに1万円を切る価格でヨドバシカメラで販売されていました。本来の希望小売価格は2万円台ですので超特価!思わず2本も買ってしまったためにここ数年ずっと使い続けています。
後でわかったことですが、ベルボンの経営が傾いた時にハクバという会社が経営を引き継ぐまでの隙間期間に倉庫在庫を一掃するためにベルボン製品が投げ売りされた時期があったとのこと。その時期にこの一脚と遭遇してしまった、ということのようです。

ベルボンもスリックもともに国産ですので品質的にも問題ありませんし、パーツの修理などもすぐに対応してくれます。
特に東京都内にお住まいの方でしたらスリックを取り扱っているケンコー・トキナー株式会社の本社ショウルームが中野のブロードウェイというショッピングビルのそばにあり、定休日の火曜日以外なら修理の受付やアウトレットの販売も行っているので、スリック製の方が利便性が高いと思います。

海外製でしたらフランス製のジッツォやイタリア製のマンフロットも有名です。マンフロットはデザインが洗練されている割に国産のベルボンやスリックと価格帯が変わらないお買い得感があります。
ジッツォはアルミ製の時代であれば独特の表面塗装で優越感があったかもしれませんがカーボンの時代になると国産などと見た目の差別化がしづらく、それでも価格はかなりお高いのでお勧めしにくい。三脚については重量級の中判カメラを載せても揺れにくいなどの性能差が如実なので高くてもお勧めします。さすが機関銃の台座を作っているメーカーという信頼感。しかし一脚については国産とあまり変わらない剛性感というところが、金額を考慮すると残念かもしれません。(申し訳ございませんがエビデンスは個人の経験のみです)

CP+などの展示会などを見てみると中国製というのも視野に入ってくるかもしれません。特にSIRUIというメーカーはスリックの完コピ品を2/3程度の価格で出してくる上に、剛性感や重量バランスが絶妙で、アルカスイス対応のクイックリリースクランプ付きのものまでラインナップしています。SIRUIは元々OEMの三脚メーカーとして技術を蓄積していたのでスリックも発注していたのかもしれませんね。
Amazonなどで並行輸入品も買えますが銀一という写真用品商社が扱う正規品を買った方が安心できます。

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