RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMとEF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM
RF-SとEF-M、この違いはマウントだけ?
Canonのレンズ交換式ミラーレスカメラは、EOS Rシステムが発売される以前にEOS Mシステムというものがありました。
ミラーレスカメラでは最後発だったCanonがAPS-Cサイズに特化したコンパクトなボディとレンズでミラーレス市場に参入したシリーズでしたが、2012年のEOS Mから2020年のEOS Kiss M2まで、8年間しか新製品が投入されず、RF-S対応のEOS R7、R10が2022年に登場すると、最後のEOS MシリーズであるEOS Kiss M2が2023年にはディスコンされてしまうという短命なシリーズでした。
EOS Kiss M2に匹敵するモデルとしてEOS R50やR100が登場すると、EOS Mシリーズは存在意義を失うこととなりますが、ここでRF-Sシリーズのレンズに注目してみると、EF-Mの資産を継承したのではないか?というようなレンズがあることが解ります。
このnoteで激推ししているRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMとEOS MシリーズのEF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STMがとんでもなく似通っているのです。
Canonカメラミュージアムのサイトでこの2本のレンズを比較してみると、レンズ構成や最小絞り、フィルター系などは全く同じと言え、重量はRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMが10g重いとなっています。これはマウントが大きくなったことや外装が大きく変更されたことによるものでしょう。
もともとEF-Mシリーズのレンズは描写力が高く、これをEFマウントで使いたいと思わせる存在のレンズもありました。特に標準ズームのEF-M18-45mm F4.5-6.3 IS STMと高倍率ズームのEF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STMはその筆頭ともいえるレンズでした。どちらもEOS M6 Mark2の3250万画素に対応できる光学性能を備えていました。
お気づきとは思いますが、EOS R7の撮像素子はEOS M6 Mark2やEOS 90DのCMOS撮像素子を改良したもので、ESO R3などの新規開発のものとは違います。そう考えるとEF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STMのマウント違いがRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMなのでは?という邪推が入ることも否めません。
そんな邪推を検証している記事がありました。Digital Camera Life | デジカメライフの記事によると、レンズ構成やレンズの光学性能を表すMTFというチャートを両方のレンズで参照しほぼ同一であるとしています。しかし、最短撮影距離や手振れ補正がRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMで向上している旨も記載されています。
価格面で言えば、Canonオンラインショップでの価格差は500円なので、コストダウンのためにも設計を流用できるところは流用した、と考えるのが妥当だろうと思います。
しかしRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMはやはりEOS Rシステムなので、EOS R7と組み合わせると7段分の手振れ補正やDIGIC Xの出力結果の最適化など、マッチングの良好性を見せていることも確かです。また、細かいことを言えばモーターの進化などでフォーカススピードとフォーカス時の静粛性は大きく向上しており、光学性能以外の進化も見過ごせません。
EOS Rシステムの場合、既存のEOSやEOS Mシステムよりも動画性能がかなり向上していることから、モーターの性能向上による静粛性は必要不可欠で、LレンズならUSM、どんなに安価なレンズでもSTMを採用しています。STMもほぼ無音というレベルにまで静粛性が向上しており、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMも過去の設計資産と最新技術をうまく融合させているものだと言えるでしょう。
ちなみにレンズフード純正品「レンズフード EW-60F」はEF-Mレンズと共用のフードとなります。レンズ単体で購入してもレンズキットで購入してもどちらも純正フードは付属していません。「レンズフード EW-60F」は社外の互換品が数多く出ており、RF系レンズとしては珍しく社外品のフードが使えるRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM。フードを購入する場合は社外品を検討するのもありだと思います。