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ミッション・ワイルド

なぜメアリー・ビー・カディは自ら命を絶ってしまったのか

小さな集落で独り暮らしをするメアリー(ヒラリー・スワンク)は
働き者で、強い結婚願望を持つ若き女性。
男友達を自宅に招いて告白するも、気の強さが災いしてかフラれてしまう。

そんなある日集落の教会の会合で、
遠い集落から嫁に来て精神病を発症させた三人の女性を、
元いた集落へ送り届ける、というミッションが持ち上がる。
集落のみんなは嫌がるが、
メアリーは持ち前の正義感からそのミッションを
たった独りでやり遂げると申し出る。

そうして馬車を引いての400マイル(650km)の長い旅が始まる。
時は 19世紀半ばの西部開拓時代、
凶暴な先住民や盗賊などに襲われるかもしれない
危険をはらんだ過酷な荒野の旅である。
その旅の途中、
吊るし首にされようとしている初老の男ブリッグスと出会う。
ブリッグス(トミー・リー・ジョーンズ)はメアリーに助けを乞う。
メアリーはボディーガードとして旅に同行することを条件に男を助ける。
メアリーと小悪党ブリッグスと気の狂った三人の女性たちとの奇っ怪な旅。
そんな旅のある夜、メアリーはブリッグスに告白し、、、結ばれる。
のだが、、、。
【以下ネタバレと考察】

翌朝メアリーは首を吊って自殺する。
なぜメアリー・ビー・カディは自ら命を絶ってしまったのか。
彼女は常に凜々しく希望にあふれ勤勉で真面目で正義感が強く
誰にでも優しく接することができる敬虔なクリスチャン。
そんな彼女を主人公として物語を追っていたので、
彼女の自殺はあまりに唐突であり、なぜ?
と残念で信じられない気持ちになった。
説明を極力はぶいた作品なので、その理由が分かりにくい。
その後、物語はブリッグスを主人公にして続いていくわけだが、
この物語の最大の謎はメアリーの自殺である。
作品を見終えていろいろ考えた結果、
思い至ったのが、羞恥心だ。

最初、親子差以上の初老の男性に女性から告白したのに断られる。
引っ込みがつかなくなったのか、性的欲求が爆発したのか、
その後に寝ているブリッグスの横に全裸で立って性交渉を求める。
それでも拒絶されるが、めげずに寝床に潜り込んで懇願する。
ブリッグスもついに根負けして仕方なく性行為に至る。
その一部始終は三人の狂った女たちの面前でおこなわれた。

翌朝、欲求が解消され目覚めたメアリーは何を思うか。
本来メアリーは敬虔なクリスチャンである真面目な女性だ。
羞恥心で死にたくなるだろう。
もうまともにブリッグスや三人の女たちの顔を見ることは出来ない。
死ぬしかなかったんだろうな。可哀相に。。。
三人の女たちは全員精神がイカレてるし、ブリッグスも常識外れの犯罪者、
気にすることなんか何もなかったのに。。。

それにしても、
汚い身なりのトミー・リー・ジョーンズが高級ホテルで門前払いを食らって
その腹いせにホテルに火を放ち油をぶちまけ丸焼きにして
厨房から豚の丸焼きをかっぱらってくるシーンは笑った。痛快。傑作。

あと、全てのシーンが「絵」になっていた。
ラストの歌と踊りも良かった。
なんか訳のわからん映画ではあったけれども。。。

2014年のアメリカ合衆国・フランスの西部劇映画
製作 : リュック・ベッソン / ピーター・ブラント / ブライアン・ケネディ
原作 : グレンドン・スウォーサウト『The Homesman』
監督 : トミー・リー・ジョーンズ
脚本 : トミー・リー・ジョーンズ / キーラン・フィッツジェラルド /
   ウェズリー・A・オリヴァー
撮影 : ロドリゴ・プリエト
出演 : トミー・リー・ジョーンズ / ヒラリー・スワンク /
   メリル・ストリープ


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