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大好きな松本で、みんながワクワクすることを|「スマイル山雅農業プロジェクト」インタビュー vol.3 あさひ堂 田中俊介さん

2018年に立ち上がった、松本山雅FC(以下、山雅)のホームタウン活動「スマイル山雅農業プロジェクト」

青大豆「あやみどり」の栽培を通じて「遊休農地の活用」・「地域住民の交流活性化」・「青少年の育成」に貢献できるよう取り組んでいます。

地域の農家さんと山雅との架け橋となりプロジェクトに協力してくださっているのが、松本市のカフェダイニング「あさひ堂」オーナー・田中俊介さん。田中さんとプロジェクトメンバーとの会話のなかには、いつもアイデアの種があふれています。お店でおいしい野菜料理を振る舞う傍ら、山雅と農家さんとの輪を広げてくださっている田中さんにお話を聞きました。

田中俊介さんプロフィール

田中さん5

信州産の食材にこだわったお野菜居酒屋「あさひ堂」オーナー。松本市出身、現在は朝日村在住。23歳から飲食店で勤務し、2019年7月に高校の同級生とあさひ堂をオープン。


ーー田中さん、今日はよろしくお願いします。あさひ堂は野菜が美味しく食べられるお店として地元でも人気のお店だと思うのですが、田中さんがあさひ堂を開業されるまではどんな経緯があったんですか?

田中:ありがとうございます!(笑)僕は県内の大学を卒業したあと企業に就職したのですが、もっと直接「ありがとう」と言ってもらえる仕事がしたい!と思い、飲食の道に進みました。いくつかの飲食店で勤務したあと、長野県の一番の魅力だと思っている「野菜」の美味しさを伝えるお店にしたいということで、2019年に友人とあさひ堂をオープンしました。

きっかけは、朝日村で農家をしている妻の実家でとれたての野菜を食べた経験。
生まれも育ちも長野ですが、実家は松本市の中心部なのもあり、ほとんど農業に触れたことはありませんでした。結婚後、妻の実家で畑から自分で採った野菜をその場でいただいたとき、衝撃的に美味しくて。そのとき、野菜は鮮度が一番大切だということが身をもってわかり、飲食店として食材を扱うからには、地元産の新鮮な野菜にこだわりたいと思ったのが原体験です。それと朝日村のことを知ってもらえればという思いもこめて、「あさひ堂」という名前にしました。

最近は観光地としての松本の魅力も上がってきて、たくさんの観光客が訪れてくれるようになりました。観光スポットだけでなく「長野は野菜が美味しい」という体験をつくって、もう一度行きたい!と思ってくれたら嬉しいです。

ーー田中さんが山雅と関わることになったきっかけはどんなことだったんですか?

田中:飲食店としてあさひ堂が参加している物流サービス「やさいバス」の関係者さんが渡邉さんとお知り合いで、渡邉さんとスマイル山雅農業プロジェクトのことを紹介されました。やさいバスに参加している人たちの間でも、「山雅が農業を頑張っているらしい」という話は話題に上がっていましたね。

やさいバス:
地域で採れた農作物を冷蔵車に載せ、路線バスのように決まったルートで直売所や卸売店、飲食店などの「バス停」まで運ぶことで、新鮮な状態でその日のうちに買い手に届けるサービス。規格や出荷量の関係で農協に出荷することが難しい農作物を抱える新規就農者、小規模農家などの販路拡大や配送コスト削減にもつながっている。

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(「やさいバス」の写真。このバスにのって野菜が生産者さんから買い手に届けられる)

ーースマイル山雅農業プロジェクトで収穫した「あやみどり」を初めて仕入れた飲食店もあさひ堂だとお聞きしました。

田中:そうなんです。もともと子どもの頃からサッカーをやっていたので、山雅のことはクラブができた当初からよく知っていて、もちろん応援しています!山雅が頑張っているなら協力したいと思い、あやみどりを仕入れさせてもらうことになりました。
その後は、渡邉さんから地域での取り組みについて相談を受けたり、僕からも「こんなことをやったら面白そう!」と声をかけたりする仲になりました。プライベートであさひ堂に来てくれることもよくありますよ。


ーー田中さんとの会話の中からアイデアが生まれ、山雅と一緒につくった企画について、教えてください。

田中:一つは、「軽トラマルシェ」です。朝日村にある「朝日てらすファーム」という農家さんのグループから、「マルシェをやりたい」とお声かけがあったので、山雅にご紹介しました。

参考記事:https://www.yamaga-fc.com/match_news/20201010_event
2020年10月10日に行われたジュビロ磐田戦で、軽トラマルシェを行いました。

より多くの方に朝日村の野菜を食べてほしいということであさひ堂で開催しようとしていたのですが、渡邉さんと「山雅の試合の日にマルシェをやったら、4000人に伝えることができるよね」という話になり、ちょうどJリーグが再開したタイミングで、スタジアムでマルシェを開催しました。

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ーー2020年9月に行われた松本山雅ジャーニーでは、あやみどりを使った”親子で楽しめるランチ作り体験”を行い、あさひ堂さんからは「枝豆バーガー」のレシピを提供していただきました。どのような経緯でジャーニーに関わってくださったんでしょうか。枝豆バーガーのエピソードも知りたいです!

参考:「松本山雅ジャーニー2020」開催。今年は域内への魅力を発信
9/23(日)に行われた松本山雅ジャーニーで、農業プロジェクトで収穫した「あやみどり」を使った枝豆バーガー作り体験のためにレシピを考案していただきました。

田中:それも、渡邉さんが頑張ってたから一緒にやろうという思いがベースになっています。やっと外出自粛のムードが少し落ち着いてきたころで、なべちゃん(渡邉さん)も何か地域のための取り組みをしたい、と悶々としていたのが伺えました。


枝豆バーガーは、お店で作り始めていたサンドイッチのレシピを応用しつつ、喫茶山雅のメニューにまだないものにしようという流れで思いつきました。今回好評だったら喫茶山雅やスタジアムグルメとして提供できたら面白そうだなって!

山雅のイベントだから、緑色のオリジナルパン生地を作って、ガンズくんにちなんで(笑)つくねを挟んだら、サポーターの人にも喜んでもらえそうだなと思って考えました。

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(開発中の枝豆バーガー。バンズの生地にはほうれん草を練り込んで、緑色に。)

ーー田中さんが、「渡邉さんと一緒に頑張ろう」「アイデアを思いついたらまず渡邉さんに言ってみよう」と思えるのはなぜなんでしょう。

田中:渡邉さんの熱量、バイタリティがすごいんです。地域のことを話してるとき、渡邉さんの目はいつもキラキラしてるし。そんな人が身近にいたら、力になりたいですよね。いつもあらゆる人を巻き込みながら想いをかたちにしてくれるから、渡邉さんに言ったら面白くなりそうだな、と思いながら話してます。
あとは、山雅が、サッカーだけでなくて地域のことも考えてるクラブだということを知ってもらえたら、スタジアムに足を運ぶ人ももっと増えると思うんです。山雅にとっても魅力的に思えることは積極的に渡邉さんに話すようにしています。

渡邉さんのインタビュー記事はこちら

ーー今年度も、田中さんのアイデアからうまれた企画が実現します。

田中:「やさいボックス」ですね!コロナの影響でお店を営業できないなかで、お店を存続させるため、農家さんのために何か自分にできることはなんだろうと考えていました。そこで、いつかお店の経営にプラスして、観光客に向けた企画としてやってみたいとあたためていたアイデアを、自分たちでもこのタイミングで実施することになりました。

「やさいボックス」こそいつか山雅でできたらいいねと、渡邉さんと話しています。スタジアムは何千人もの人たちが一気に集まる場だし、他県からくるサポーターやアウェイサポーターなど、スタジアムから野菜を持ち帰るのが大変な人にも地元野菜を体験してもらえる可能性が広がる。畑や道の駅に足を運べなくても、地域とつながるツールとして活用できそうだなと考えていました。野菜を買って帰った経験をきっかけにまた地域に足を運んでくれる人がいたり、長野県の野菜を見かけたら買ってもらえたりしたら嬉しいなと。ガンズくんがプリントしてあるオリジナルボックスを作ったらサポーターにも喜んでもらえそうだし、野菜を使った地元飲食店のレシピを入れても良いですよね。
そんな話をしていたら渡邉さんが他の町の農家さんにも声をかけてくれて、よりパワーアップした「やさいボックス」企画が進行中です。


ーー田中さんはとても積極的に農家さんとの取り組みや地域に関わる企画、山雅のプロジェクトに関わってくださっていますよね。渡邉さんも、「地域に対する田中さんの熱意を尊敬している」とおっしゃっていました。

田中:昔から、“自分だけのメリット”についてはこだわらない性格なんですよね。自分だけが嬉しいことよりも、関わってくれる人が喜んでいる方が嬉しい。
農業プロジェクトでは、山雅にとって嬉しいこと、渡邉さんにとって嬉しいことはどんなことだろう?といつも考えています。たとえばこの先お店がなくなったとしても、アイデアや人とのつながりはずっと残るから、そっちをより大切にしたいんです。今思うと、小さい頃から続けていたサッカーがこういう考え方に影響を与えたのかもしれませんね。自分でシュートを決めるより、自分のパスで誰かがシュートを決めたときの方が嬉しかったです。

田中さん1

ーー松本には、地元の方も移住の方も含めて、田中さんのような街を盛り上げようとしている若い人が多いように感じます。その理由ってなんだと思いますか?

田中:きっと、みんな松本が好きなんですよ!「この街でビッグになりたい」ではなくて、「この街が好きだから何かやりたい」という気持ちの方が大きい。それぞれ何かやりたいことをやっていて、どんどんその輪が広がっているんじゃないかな。

僕も、飲食店でおいしいものを提供していくルーティーンの中に、地域外の方々に地元を知ってもらうためにプラスアルファで何かやっていきたいという気持ちがあります。自分が「地域貢献をしたい」と言うのはおこがましいなと感じている部分もあるのですが、こつこつ続けていけば、いつか変わるんじゃないかと思っています。特に今はコロナ禍で、長野に行きたいと思ってくれている人たちがなかなか来られない状況でもありますが、外に向けて地域の魅力を発信することや、地域の元気につながることで自分にできることは、どんどんチャレンジしていきたいです。

新たな企画が進行中!

田中さんのアイデアからうまれた「やさいボックス」をはじめ、スマイル山雅農業プロジェクトでは今年度も新たな取り組みを企画しています。
noteでもプロジェクトの活動を随時発信していきます。

ライティング:quod,LLC 宮本倫瑠
編集:quod,LLC 柴田菜々


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