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「このプロジェクトには物語がある」|スマイル山雅農業プロジェクトインタビュー vol.1 松本市農業委員会会長・小林弘也さん
2018年に立ち上がった、松本山雅FC(以下、山雅)のホームタウン活動「スマイル山雅農業プロジェクト」。
青大豆「あやみどり」の栽培を通じて「遊休農地の活用」・「地域住民の交流活性化」・「青少年の育成」に貢献できるよう取り組んでいます。
このプロジェクトに立ち上げ時から協力していただき、現在は中山地区の畑を管理していただいている、松本市農業委員会会長の小林弘也さんに、プロジェクト立ち上げ当初の思いや進行する中で感じたことなどをお聞きしました。
小林弘也会長 プロフィール
松本市農業委員会、松塩筑安農業委員会協議会会長 兼 (一社)長野県農業会議 副会長。高校卒業後農業に従事し、農業歴は50年以上。
松本市中山地区で、農事組合法人縄文の丘中山そば振興会、農事組合法人中山御牧の里を立ち上げる。以前は農事組合法人縄文の丘中山そば振興会で理事長を務め、現在は農事組合法人中山御牧の里で副理事長を務める。
ーー小林会長、よろしくお願いします!さっそく、小林会長が「スマイル山雅農業プロジェクト」に関わることになったきっかけを教えてください。
小林:よろしくお願いします。近年、中山地区では農地所有者の高齢化が進んで、農業の担い手が少なくなったことによる遊休農地の増加が進んでたんですよね。そのことを課題に感じていた私は、もともと関わりのあった当時の松本市農政課の担当者に「なにか地域が元気になる取り組みができないなぁ」と相談してたんですよ。松本市は山雅と元々繋がりがあったので、農政課の担当者が山雅の発信力に目をつけて、「地域にうまくアピールしながら課題を解決できないか」と山雅の渡邉はるかさんに打診し、スマイル山雅農業プロジェクトが誕生しました。
3人は、「松本市の農業課題を解決し活力あるような地域にしたい」という想いですぐに意気投合。小林会長は所有されている中山地区の畑を山雅に貸して、あやみどりの栽培に協力することになりました。
ーー会長は、具体的にはこのプロジェクトにおいてどのような関わり方をしてくださっているのでしょうか。
小林:山雅があやみどりを育てている中山地区の畑の管理を担当しています。具体的には種まき、除草剤の散布、草刈り、収穫手伝いが主な仕事かな。一番大変なのは草刈りで、8月には山雅の柄澤営業本部長、渡邉さんと3人で一気に刈ってきましたよ(笑)
(▼6月の種まきの様子)
ーー小林会長はこのプロジェクトを進めていく中で、どんな思いがありましたか?
小林:始めた当初は、ある程度大豆が収穫できたにもかかわらず、なかなか松本市の直売所以外に販路が見つからずに苦労しましたね。
農業において、作物を育てることよりも、育てた作物をいかに売るかが肝心だと思っています。収穫した作物に付加価値をつけて安定した販路を作ることが大切なんだけど、これが、育てることよりも難しい。ところが渡邉さんを中心にこのプロジェクトはどんどん成長し、新しい商品も開発され、関わる人の数や販路が増えてきています。畑も徐々に拡大していき、今年は3つ目の畑ができました。本当にすごいよね。渡邉さんにはいつも感心させられていますよ。
「地域の課題を解決し、子どもたちに還元したい」という思いのもと関係者たちをつなぎながら、あやみどりの畑の管理や商品開発、販路拡大などあらゆる業務を担当しプロジェクトを進めていく渡邉さんのパワーに、小林会長はいつも心を動かされているそうです。
ーー農業って、作物を育てるまでが一番大変なんだと思っていました・・。
小林:もちろん大変だけど、私たちは農業のプロですからね。逆に、いろいろな人を巻き込んで、売る先を見つけていく方が大変。でも、山雅は常に地域の人々に注目されてるし、人を集めるのが得意だから、互いに足りない部分を補完し合えているのかもしれません。
ーーちなみに、このプロジェクトに関わり始めて、Jクラブとしての山雅との関わり方は変わりましたか?
小林:実はサッカーにあまり興味がなかったんだけど、やっぱりプロジェクトに関わり始めてからは山雅の試合結果を気にするようになりました(笑)スタジアムに試合を観に行くようにもなりましたよ。渡邉さんがいる山雅だから、なおさら応援したくなるよね。
ーー小林会長がこのプロジェクトに関わっていて喜びを感じるのはどんなときですか?
小林:あやみどりの選別を担当してくださっている障がい福祉サービス事業所の利用者さんたちから「ありがとう」と直接お礼の言葉を言ってもらえるときですね。
「山雅に関わる仕事ができている」ことに誇りを持ってもらえて、このプロジェクトが障がいを持っている方々やそのご家族の役に立っているとわかったときはとっても嬉しかったですよ。
ーー事業所の所長さんも、「このプロジェクトをきっかけに地域の人々との交流が生まれて嬉しい」とおっしゃっていました!
小林:そうなんだ!それはこっちも嬉しいな。例えば障がいを持っている方々に選別をしてもらってそれが自信につながっていることもそうだけど、それぞれが地域の課題を解決したい、それぞれが誰かの役に立ちたいという思いを持って関わっているストーリーがあることや、こうやって新たな人と人とのつながりが生まれることが、このプロジェクトの魅力だと思っています。
ーー今後、このプロジェクトにどんなことを期待していますか?
小林:スマイル山雅農業プロジェクトで育てたあやみどりが全国に広まったら嬉しいですよね。私は、できると思っていますよ。この間も渡邉さんは「(年間の収穫総量である)大豆1トンを売り切ります!」と断言してくれました。とても嬉しかったですね。
もともと、採算が合わずあやみどりの栽培から撤退した自治体があることを知っていました。それもあって、あやみどりを育てて販売するサイクルを続けるのは大変なことなんだと思っていましたが、渡邉さんのおかげで今や様々な飲食店や企業から「山雅のあやみどりを仕入れたい」と声がかかり、大豆が足りないくらいになってきていますからね!
あらゆる人々の「地域の課題を解決したい」という思いが集まって誕生し、成長を続けている「スマイル山雅農業プロジェクト」。
次回は障がい福祉サービス事業所「ドリームワークス」の担当者インタビューを公開します!
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インタビュー・ライティング:宮本倫瑠
編集:柴田菜々