松本山雅 2021シーズン“裏”新体制発表会を開催しました|後編
松本山雅(以下、山雅)は1月11日(月・祝)、松本山雅 2021年シーズン“裏”新体制発表会を開催しました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を鑑み、公式YouTubeチャンネルでライブ配信。長野県内メディア関係者の方々のみ、会場である喫茶山雅(松本市)にお越しいただけるようご案内しました。
▼アーカイブ動画はこちら:
「前編」では、山雅にとって「地域」が重要なキーワードである理由や、山雅が目指す地域での役割についてお伝えしてきました。
▼目次
(前編)
■「地域と共に」
・松本山雅の歴史
・「地域がチームを強くする、チームが地域を良くする」
■山雅が目指す地域の役割
(後編)
■地域での取り組み
・「農業」
・「観光」
・「教育」
■事業、集客について
■地域プロジェクトのパートナー
■「二推しに山雅」企画
■おわりに
この「後編」記事では、「農業」「観光」「教育」の三軸について、山雅がこれまで地域で取り組んできた具体的な活動と今後の展望を紹介します。
地域での取り組み
「農業」
▼スマイル山雅農業プロジェクト
山雅で2018年から行っている「スマイル山雅農業プロジェクト」。まさに地域の方との関係から始まったプロジェクトで、松本市内の遊休農地を活用し、「あやみどり」という塩尻産の青大豆を栽培しています。
「スマイル山雅農業プロジェクト」まとめ記事はこちら:https://note.com/matsumotoyamaga/n/n230a79498702
他にも、プロジェクト発足の経緯や関係者へのインタビューなど、プロジェクトについての記事を連載中。公式noteをぜひご覧ください!
松本山雅のホームタウン活動としてスタートしたプロジェクトですが、山雅にとって農業は未経験のため、地域の方々の協力をいただいてスタートしました。
・株式会社松本山雅
・松本山雅ユースアカデミー/NPO法人松本山雅スポーツクラブ
・松本市農政課
・松本市中山地区の農業従事者の方々
・生産者直売所
・障がい福祉サービス事業所の方々
と共に、共同運営という形を取らせていただいています。
具体的には、
・日々の畑の管理
・大豆の在庫管理
・大豆の種まき・収穫・選別
・商品加工
・商品包装
など、あやみどりを植え、収穫し、選別し、サポーターや市民の皆さんの手元に豆や商品が行き渡るまでの工程をプロジェクトチームのメンバーで連携しながら行っています。
種まきや収穫などのタイミングでは、域内の子どもたちやユースアカデミーの子どもたち、
域内外のサポーター向けに、地域の方々との交流や、地元の食材・農業に触れることができる場として体験イベントなども実施しています。
収穫したあやみどりは、
・地域の保育園・小学校で給食として提供(松本市の協力)
・クラブのECサイトや喫茶山雅、スタジアムで枝豆・大豆として販売
・障がい福祉サービス事業所でお菓子に加工していただき、販売
など、多くの方々の力を借りて地域内外に巣立っていきます。
松本市の中山地区から始まった農地も、アルウィン近くの神林地区と安曇野市でもスタートすることになり、現在は3箇所の遊休農地を、スマイル山雅農業プロジェクトの畑として活用させていただいています。
このように、食材として、加工品として地域全体、ひいては全国の方々の手元にあやみどりが広がっていくプロジェクトは、山雅だけでは実現できなかったはずです。
▼「あやまる」誕生
そして2020年には、このプロジェクトをより拡げていくために、あやみどりを使った食品ブランドがスタートしました。その名も「あやまる」。
松本山雅のホームタウン(松本市、塩尻市、山形村、安曇野市、大町市、池田町、生坂村、箕輪町、朝日村)を中心とした地域の子どもたちに、地域の農産物をおいしく食べて食の大切さを学んでもらうことが目的です。地域でとれた食材で、子どもたちが笑顔になるような商品の開発を目指しています。
11月には、ブランド第一弾となる商品アイデアを公募しました。
審査会には「栞日」菊池徹さん、信州大学経法学部の遠藤幹夫教授とゼミ生にも参加していただき、12月、応募総数108件のなかから最優秀賞が決定。その名も「あやまるまん(仮)」です。あやみどりを練り込んだ甘みのある生地の中に、あやみどりを使用した中華風のあんを入れた、餃子のような味わいの大きいおまんじゅうをイメージしています。
「あやまるまん(仮)」は、企業の協力を得て、ただいま商品化に向けて準備中です。
「あやまる」プロジェクトについての記事はこちら:https://note.com/matsumotoyamaga/n/n7286c3afcf89
「スマイル山雅農業プロジェクト」今後の展望
2021シーズンは、以下の取り組みを進めていきます。
■地域の企業と協業し「あやまる」ブランドの商品開発
ー地域内での流通を広げていくとともに、お土産やギフトなど域外での流通も目指します。
■あやみどりで得た収益を活用し「食育えほん」を制作
ー食の大切さを伝える絵本を制作。
ホームタウン地域内の保育園や小学校で配布、教育にもつなげていくことを目指します。
■生産エリアの拡大とともに運営体制の整備
ー 今後さらに畑を拡大し収穫量を増やすこと、
また、拡大していっても持続可能な運営体制づくりを整えていきます。
「観光」
▼松本山雅ジャーニー
山雅では、2019年から「松本山雅ジャーニー」というオリジナルツアーを開催しています。
2020年の「松本山雅ジャーニー」についての記事はこちら:https://note.com/matsumotoyamaga/n/nc0392b8438fa
ホームゲームの際、県外からアウェイサポーターを含めた多くの観戦客が地域に訪れます。これは本来、プロスポーツチームがあることによって生み出される地域のメリットであり、可能性。
しかし実情は、県外の観戦客は試合観戦だけのために訪れ、駅前のホテルに宿泊し松本駅周辺を散策して帰るケースが多く見られました。実際に、試合のタイミングで相手チームのサポーターから山雅に直接どこに泊まったらよいかという問い合わせもいただきます。
地域とかかわりを持つ絶好のタイミングなのに、食、人、自然など、信州のあらゆる魅力を体験しきらずに帰ってしまうのはもったいない。
そこで、試合をきっかけに松本に足を運んでくれた方々に、もっと地域の魅力に触れてもらうため、地域全体で県外からの観戦客をおもてなしするオリジナルツアーとして企画しました。
初回は2019年9月のFC東京戦のタイミングで、相手サポーターをおもてなしする企画としてスタート。ホーム・アウェイ両サポーターが参加し、地元の食材を使った食事や景色をたっぷり楽しんで、夜はサッカー談義で盛り上がりながら交流しました。
2020年は、新型コロナウイルスの影響下だったため、域内のサポーターに向けて地域を知ってもらう企画として実施。
前年よりも多くのスポンサー様や地域の飲食店様にご協力いただき、屋外でコース料理の提供などを行いました。
こうしてこれまで実施してきた内容を踏まえて、松本山雅ジャーニーが地域にもたらすことができる効果として、以下の3つがあると考えます。
実際に、2019年・20年と実施してきた結果、現在は県内の他の地域からも、複数お問い合わせをいただいています。
今後、「松本山雅ジャーニー」企画を他の地域でも展開し、試合観戦にお越しいただく皆さんと地域が出会うきっかけづくりを行っていきます。
「松本山雅ジャーニー」今後の展望
2021シーズンは、以下の取り組みを進めていきます。
■ホームタウンとして提携する他の地域でも実施
ー2021年以降は松本以外の地域でも実施し、地域の特色を活かしたツアーを企画・発信していきます。
■地元企業の協力も呼びかけて体験コンテンツを充実
ー地域の魅力×地元企業の魅力を伝える仕組みに
■PRを強化
ー松本山雅ジャーニーを通して地域外の方々へ地域の魅力が伝わる仕組みづくり
2021年は、すでに2カ所ほど実施を準備中です。また、今後他の地域でも実施していく際、より魅力的な「ジャーニー」を作るため、地域の企業との協力・連携も図っていきたいと考えています。
ご興味のある企業の方がいらっしゃいましたら、ぜひお問い合わせください。
※記事下部に問い合わせ先を記載しております。
「教育」
▼バルシューレ教室
山雅のOB選手で、現在はNPO法人松本山雅スポーツクラブに所属する今井昌太さんが主体となり行っている取り組みが、地域の子どもたちに向けたドイツで生まれた運動プログラムバルシューレを用いた「ボールゲーム教室」です。
Ballschule(バルシューレ)とは:
ドイツで生まれたボール遊び教室。
子供たちが楽しくかかわりながらも、基礎運動能力・自発性・社会性を身につけられる教育研究を背景に持ったボール運動です。
今井さんは、現場で運動を教えていくうちに、様々な動き、色んなスポーツを体験することによって、子どもたちの運動能力が、明らかに上がっていくのを目の当たりにし、運動教育の大切さを肌で感じたそう。
そして、本年度より、フットサルのボアルース長野、バスケットボールの信州ブレイブウォリアーズ、バレーボールのVC長野トライデンツと、プロスポーツ4団体が連携してマルチスポーツ教室なども開催しています。
バルシューレが地域に提供できることは3つ。
白金准教授は、「ゆくゆくは、体育の授業を学校の先生が教えるのではなく、スポーツのプロに外部委託するようなモデルも生まれるのではないか」と語ります。
バルシューレ教室が、そのような教育モデルにつながる取り組みになるかもしれません。
「バルシューレ教室」今後の展望
まだまだ広げる余地が多くあるバルシューレ教室については、以下のことに取り組みたいと考えています。
■地域の教育機関と連携し、学校の授業として体験してもらう
ーより多くの子に体験してもらい、興味を持った子ども・父兄の方にさらに深めて頂く場として教室を提供、子どもたちの健康・スポーツ教育にとってより良い環境をつくっていく
■活動自体を地域に定着させ、自然・スポーツを地域の魅力として移住・定住者増加につなげる
ー「この地域で育つ子ども達は運動が好き、運動能力が高い」という
イメージがつくことが目標
■スポーツクラブの関係者がバルシューレについてより深く研究し、その価値をPRしていく
ー今後、子どもたちの運動能力向上を数値化し、より価値を深め長野県全体に広げていくためにPR方法が一番の課題
事業・集客について
2020シーズンは、何より新型コロナウイルスの影響によって、サポーターがスタジアムに足を運ぶ機会が減り、シーズンパスホルダーが大幅に減少してしまいました。複数の地域で緊急事態宣言が発令され、長野では医療非常事態宣言も発令されるなど、Jリーグ各クラブにとって依然として厳しい状況が続いています。
そのなかで私たちは2つのテーマを掲げて、山雅だからこそ、アルウィンだからこそできる楽しみ方を作っていき、退会された方にもまた戻ってきてほしいですし、新しい仲間も増やしていきたいと思っています。
まずは新型コロナウイルスの感染予防対策を強化し、安全に、安心してアルウィンに来てもらえる、サッカーを楽しんでもらえる環境をつくること。
そしてもうひとつはサッカー以外の部分でもサポーターの方に楽しんでもらえる場を用意し、クラブガンズとシーズンパスをひとつのコミュニティーとして成長させていくことです。
「安心・安全なアルウィン」
アルウィンでは、クラブとサポーターが連携しながら、以下のような感染予防対策を実施しています。
・入退場の分散
・席や待機列でのソーシャルディスタンス確保
・フェイスシールドやマスクの着用
・キャッシュレス決済
・検温・消毒の設置
・応援時は録音した音声を流す(歓声、歌声の代わり)
なかでも、キャッシュレスについて昨年から導入したのが「山雅pay by pring」です。
以前よりDAZNサブチャンネル配信や毎試合のギフティング(投げ銭)アプリとして利用していた送金アプリ「pring(プリン)」を山雅仕様にバージョンアップし、地域通貨「山雅pay」の運用を開始しました。12月下旬、「喫茶山雅(スタジアム内店舗含む)」にて利用をスタート。
スタジアム周辺や地域内でのキャッシュレス化を後押しし、松本山雅FC関連のお店や地域のお店にて決済可能に。決済額の一部を「松本山雅FC強化費」として支援できる仕組みを構築していきます。
ゆくゆくは、日々のお買い物から山雅FCを応援いただけるような仕組みにしたいと考えています。
「サッカーだけではない関わり」
アルウィンには、サッカーのフィールド以外にも楽しめるスペースが存在します。サッカーだけではないエンタメを提供していく。その軸となるのが「YamaGarden Fun Park」(通称:ファンパーク)です。
ファンパークでは、昨年の「まぐろ解体ショー」や「巨大ふわふわ」の設置など、試合に来て頂いた方にサッカー以外の企画を楽しんでらえるようなイベントを実施してきました。
その他にも、ホームタウンのブースで各地域の飲食店の出店や、地域農家の野菜販売などを行っています。
このように、山雅らしく地域と連携しながらイベントを企画していくことで「アルウィンに来たら、一日中楽しい!」と思ってもらえるようなスタジアムづくりを目指します。
(マグロ解体ショーの様子)
地域プロジェクトのパートナー
今シーズンの山雅は、地域活動のために協力していただける企業とのパートナーシップ締結にもチャレンジしていきたいと考えています。
松本山雅とパートナー企業のリソースを活用して、地域の課題解決に取り組んでいくというものです。
この取り組みは、単にサポートして頂くだけでなく、パートナー企業の事業にもプラスになる形を目指していきたいと考えています。
取り組みの形としては、
・既存のプロジェクトに協力していただくもの
・新しく取り組みをつくる
2つの形を考えています。新たな取り組みになるので、実現出来るものは限られるかもしれませんが、チャレンジしていきます。
興味を持ってくださった企業の方がいらっしゃいましたら、ぜひお声掛けください!
「二推しに山雅」企画
最後に、今シーズンから行う新しいプロジェクト「二推しに山雅」をご紹介します。
例えば、アイドルを応援している人のなかには一番好きな「推し」タレントはただひとりに定まっていたとしても、「地元がいっしょだから応援してる」「頑張ってるから応援したい」と思う「二推し」が存在するという人がいるそうです。
そんなふうに、例えサポーターとして支持しているチームが他にあったとしても、二番目に応援してもらえるチームを目指すという取り組みです。
人口が減少し続ける日本において、地域の未来を考える上で重要なキーワードになるのが、「関係人口」。
地域に住んでいる人だけでなく地元出身者をはじめ、いかに地域外の方々と特別な関係性をつくっていけるかが地域にとって大切だと考えています。
地域として関係人口をつくっていくのはとても難しいことではありますが、
松本山雅があることで、松本を中心としたこの地域を特別に感じてくれる人を増やしていくことを、山雅として目指したいと思っています。
この「二推しに山雅」プロジェクトについても、今後このnoteを中心に発信していきますので、ご期待いただければ幸いです。
おわりに
サッカークラブとしてではない、また違った山雅の「新体制」。長くなってしまいましたが、この記事によって皆さんに想いや考えが伝わっていれば幸いです。
今シーズンは、このnoteをはじめとした情報発信も「農業」「観光」「教育」の3軸を中心に行っていく予定です。
他にも「こんなこと知りたい」「こんなことやって欲しい」など、皆さまからのお声も是非是非お待ちしています!
山雅がめざす地域との取り組みに関するお問い合わせ先
matsumoto-yamaga@cfquod.jp
ライティング:quod,LLC 宮本倫瑠
編集:quod,LLC 柴田菜々
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