母の面影という錘
父は定年まで後数年で亡くなった
兄は実家を出て他県で働いていた為、
私は母と二人で実家で暮らしていた
両親がいた頃以上の依存を感じ、一時家を出て一人暮らした
母は父を愛していたらしかったので、再婚はなさそうだったが、あったらあったで別に私は気にしない思いでいた
とにかく、私からは離れていて欲しかった
それからまた一年は実家で暮らしたが、あまりの息苦しさに家を出た
それからよく夢を見る様になった
母の夢だ
母が訳のわからない男とベタベタしており、気持ち悪いだけだった
だから夢の中では付き合いに大反対していた
そんな母も、兄のいる県に移り住まわせ、取り敢えず気持ちを楽にした
何かしらあればそこから新幹線でやって来てくれたが、とうとう認知症になり、病院暮らしから介護施設に移った
その頃兄と折り合いが悪くなり絶縁された様だ(私が)
母にも会えないでいる
普通そんなになれば人恋しい夢でも見るのかと思ったが相変わらずあの夢を見る
若い男や、素性のわからない男と暮らす母の夢
気持ち悪い
もう好きにしてくれて良いとあれ程思ったのに、どうして夢の中ではそう思えないのだろうか
ある種の呪いなのか
父の?あるいは兄の?
そんな夢を見る頻度がここ最近上がっており、朝過呼吸になる始末だ
もうやめてくれ
好きにしてくれて良いから
解放してくれ
心から願う毎日
そして自分自身がわからない毎日
母に何かを望んでいるのか?
そんなはずはないのに
また夜だ
私はまた眠りたいのに何度も目を覚まし
スマホを弄ってはまた眠ろうと努力する事になる
夜はますます長くなった
眠れれば
こんなに疲れは残らないのに
頭がずっと回転している
朝起きると目も疲れている
体も軋む
夜を嫌いになりそうだ
やめてくれ
やめてくれ
今夜もサイレントで叫ぶのか
やめてくれ
やめてくれ
呪いの錘が首に食い込んでも
やめてくれ
やめてくれ
ただ叫ぶのみ