さよならは早いです… 楳図かずお先生
時間ができたので書こうと思います
楳図かずお先生との出会いは
結構早かった私
保育園は行ってなかったから…
とにかく、幼稚園前でした
少し歳の離れた兄が
友達から借りてきたというその本は
猫が主人公と言っていいお話でした
本当は美少女が、なのですが、
活躍したのは猫でした
『黒いねこ面』だったと思います
(母は『へび少女』と言っていますが)
お話の始まりは戦国時代だったか
その時代に生きたお家騒動で亡くなった
主人の為に
死んでしまった猫までもが復讐するお話
私は読んで凄いと思いました
決して怖くはなかったのでした
復讐に生きた少女や家族、そして猫が
とても哀しくて、
本が大好きになりました
でも人の本、
『黒いねこ面』は
手元からなくなりました
小さい頃から
母の実家に毎日の様に行っていました
母の実家は、
母の兄夫婦が営んでいた八百屋で、
祖母はそこに住んでいました
広いお家で、母とのんびりさせて貰いました
そこに行くと、
目の前のお菓子屋さんも遠縁で良くしてくださり、また、自分の家よりお金持ちだったので、いろんなおもちゃがあって楽しかったのです
何なら本も沢山ありました
祖母は優しく、よく買い物に連れて行ってくれました
その中に本屋さんもあり、とても嬉しかったんです
何故って…
祖母に「何の本が欲しい?」と聞かれると、直ぐに「こわい本!」と言えるからでした
(祖母は母に驚き伝えたそうですが、)
私はあのこわかった本の絵を探して買って貰いました
その本を描かれたのが楳図かずお先生でした
美しい少女が、普段は美しいのに裏でおそろしい形相に変化する女性に虐められるのです…それは蛇であったり、猫であったりと、おそろしいのでした
でも、虐められる少女が頑張る姿が好きで、また変化してしまう女性も哀しくて、決して嫌なお話ではなかったのでした
周りには兎に角“おかしな子だ”と嫌がられましたが…
楳図かずお先生のお話と絵に魅了されて育った私は大人になってからもよく本を読みました
実は学生の頃は、お小遣いはなく、祖母の家にもしょっちゅう行けるわけではなかったので、兄が好んで読む本くらいしか読めなかったのです
小学生になっても「こわい本」が欲しかったのでしたが読めませんでした
それでもお小遣いを祖母にもらったりお年玉を貰うと、好きな本を読んでいました…が、その頃辺りから、半分は“乙女ちっく”と呼ばれる可愛い恋愛ものにも傾倒していたので、楳図かずお先生の作品とは少し離れてしまっていたのでした
それでも時々遊びに行っていた父方の従兄弟のお兄さんが読んでいた少年雑誌は、行ったらずっと部屋で連続読みしていました
そこでも、こわい本はありましたが、いろんな先生も描いておられたので、いろんな世界に嵌っておりましたし、勿論可愛かったり、ちょっと変わった路線も好きでした
それから就職したての頃は、ほぼ貯金させられていましたが、ノートパソコンを購入した頃からは、もう自由にできるお金が持てましたので、本はとことん読みたいものを買い、読みました
あの頃読めなかった本…
そう、楳図かずお先生の作品も沢山読みました
結構大人になるまで、楳図かずお先生の大人向けなこわい本を知らなかったのでそちらも読みました
子供では分からないであろう、精神的に上の話が沢山あり、また感嘆した事を覚えています
『漂流教室』は大泣きしましたね
『洗礼』の大どんでん返しの凄さ、良かったです
『14歳』近未来の予言でした
『のろいの館(赤んぼう少女)』はとてもとても哀しいお話でした
『神の左手悪魔の右手』黒い本の印象
『わたしは真悟』…やはり泣きました
『森の兄妹』は豆本で持ってたりして
『ママがこわい』…うちより優しい…と
そしてずっと持ち続けた『黒いねこ面』
沢山あって全部は書ききれませんが、
今もずっと持っています
ここで、楳図かずお先生について少し書きますね
こんな“こわい”を連発していると、どんな恐ろしい性格やこわい人相なのだろうと思わせてしまいますよね…
全然違いました
とてもチャーミングでお優しい語りで、いつも笑いが溢れる絵柄を思い出します
特に、中川翔子さんと一緒の時の、
楳図かずお先生は、本当に楽しくて、
しょこたんも楽しそうで、大好きでした
でも、ご自身の事を書かれた後書きやエッセイ文を読むと、楳図かずお先生はとても穏やかで、静かで、そして恐怖を本当に恐れておられる方だと分かりました
だから描けるんだ、そう思いました
本当にお会いできていたら一杯気持ちを伝えたかったかな
楳図かずお先生は、愛されるべき存在でした
お話だけ、その噂だけを聞いて変人扱いされるのは酷い事で、いつも私は抗っていました
本当に素晴らしい方でした
今、漸く書けます
心から
ご冥福をお祈りします
2024年(令和6年)11月5日
大好きな
楳図かずお先生へ
追記
『ねこ目の少女』…だったかも知れない