『市子』困惑の先
アマプラに載っていたので鑑賞
同居する恋人長谷川から
プロポーズを受けた翌日に失踪した市子
失踪届を出した事で、
“川辺市子”は無戸籍と知らされる長谷川
ここからは
過去と現在が交差しながら
最終的に曖昧且つ救いのない現在に戻る
母が離婚後すぐに生まれた為に
戸籍を有耶無耶にされた
子供の頃から貧しく、
物を盗む術を知っていた
その為に友達を少なからず無くした
妹月子が生まれたが、
重度の障害があったため市子が看護した
その妹の呼吸器を外し死に至らしめた
この時の市子はどう考えていたのか?
妹が可哀想と思っての事か?
それとも介護に疲れたのか?
戸籍のない健常者の自分と
戸籍のある障害者の妹、
その命を天秤にかけて決めたのか?
器具を外す時、後の市子は
冷めた印象があった
それから市子は月子として生きる
高校生になり彼氏ができたが、
キスやセックスに違和感があった
市子は義理の父に
性的にも虐待を受けていた
自分が汚いとおもう子達のそれだろう
ある日また義理の父と言い合いになり
虐待の果てに殺してしまう
この事は
同級生の北少年を巻き込むことになる
その後も
罪悪感を抱えているのかと思えば
市子として生活しており、
また北少年に対しては
友達ができて楽しいから忘れてくれと
突っぱねる
それは突拍子のない行動だ
殺人にもう罪悪感は薄れたのかと思う
しかし市子は長谷川から姿を消した後、
北の所に転がり込む
北は全力で守る気だったろう
しかし、
長谷川と後藤刑事の訪問で
市子はまた失踪する
市子がいなくなった後、
長谷川は市子を知りたくて
母親を徳島まで訪ねる
市子の全てを知って、探して、
幸せにしたい、その想いが溢れていた
全てを知り涙が止まらない長谷川
またその頃、
自殺志願の女の子を北に紹介
危険な海辺の崖を見てきた市子は
車の二人と落ち合う
徳島から戻った長谷川は
市子との出逢いを回想し、
幸せな暮らし、プロポーズを思い出し、
是が非でも探し出す気持ちを強くする
長谷川がいない間に家に戻った市子
二人の幸せな写真を見て回想し
また姿を眩ませる
翌日には崖から海に落ちた車に
男女二人の遺体があったと
ニュースが流れる
おそらくあの二人だろう
市子は
その女性の戸籍をも奪った事になる
幸せな日々を胸に
生き続ける気でいるのか?
私はその点が曖昧で
そのまま終わるのが残念だった
多分、市子は生きるのだろう
いや、違うのか?
確定ができなかった
でも、
重ねた殺人にも
後悔の顔色を出さなかった市子を思うと
…生きるんだろうなと思わざるを得ない
長谷川の事、もういいのか?
これがずっと心に残る
無戸籍でいる事、
母の代わりに介護をする日々
義理の父の性的虐待、
守ると言われると鬱陶しいと思う心
全てが彼女の人間を内部破壊したのか
そんな彼女にも
長谷川を愛する心があった
何故?
もう何もかも捨てたとしても
人は愛を求めるところがある
厄介な生き物だからか
人は理不尽だ
そして不可解だ
でなきゃ死んでいる
市子は生きるのだろうか?
本当に悩んだままの私がいる
市子が口ずさむ歌は
テレビドラマ『にじいろカルテ』で、
高畑充希、井浦新、北村匠海が歌った
『にじ』
にわのシャベルが 一日ぬれて
雨があがって くしゃみをひとつ
くもがながれて 光がさして
みあげてみれば
ラララ にじがにじが
空にかかって
きみのきみの 気分もはれて
きっと明日は いい天気
きっと明日は いい天気
せんたくものが 一日ぬれて
風にふかれて くしゃみをひとつ
くもがながれて 光がさして
みあげてみれば
ラララ にじがにじが
空にかかって
きみのきみの 気分もはれて
きっと明日は いい天気
きっと明日は いい天気
あの子のえんそく 一日のびて
なみだかわいて くしゃみをひとつ
くもがながれて 光がさして
みあげてみれば
ラララ にじがにじが
空にかかって
きみのきみの 気分もはれて
きっと明日は いい天気
きっと明日は いい天気
きっと明日は いい天気
やはり明日を夢見ている市子は
明日も生きるのだろう