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『僕は◻️◻️が書けない 朽無村の怪談会』阿泉来堂著・ホラーミステリ!…おや

こちら、
落語家の柳家権之助師匠のXで
紹介されていたPHP文芸文庫

PHPといえば心に響くお話の宝庫、
ほう、こっち系もあるんだと購入


では本の裏書から

通夜の晩に怪談話をすると
死者の魂が蘇るー
そんな言い伝えが残る朽無村の名士・
古柳哲郎氏が亡くなった。
小説のネタ集めに
通夜に参加することにした、ホラー作家
「僕」と担当編集者の壱子。
故人の遺言に則って集められた参加者と共に、曰くつきの会が始まる中、
「僕」は披露される怪談に
疑問を覚える…。
怪談に隠されていた真実とは。
驚愕必至のホラーミステリー!
文庫書き下ろし。


また、怪談会の参加者の説明はこちら

故人
古柳哲郎…古柳商事の社長。
          古柳家には婿養子で入った。
僕…ホラー作家だが、
         心霊現象は信じない。
         自称「ミステリ脳」
祭坂壱子…「僕」の編集担当。
         オカルトものに目がない。
第一の怪談、話し手 橘里恵
          …女子高生。二年前、部活で
             朽無村を訪れた。
第二の怪談、話し手 御崎円香
          …哲郎氏の実家・
             八夫家の家政婦
第三の怪談、話し手 星野幸次
          …哲郎氏の秘書。



いつも通りネタバレはなしで
サクッとした読書感想文になる


本格的ミステリでデビュー…したかった
「僕」だがなかなか目が出ず、
ちょっと書いてみたホラーで入賞し
デビュー、
その後シリーズも書き
食べていける様になるも、
ホラーはもう書けない、
やっぱりミステリが書きたい男だ

多分ネタ切れと編集の壱子に見破られ、
ホラー色の強い催しに
参加させられる事になる

そこでは三人から、怪談話が
一話ずつ百物語形式で語られる

しかし「僕」は
怪談という事に違和感を覚え、
家の管理をしているという神林に、
怪談ではなく、
殺人事件として読み解き解説する


さて、最後の話が終わった時、
「僕」の推理は正しい事が
明らかになるのか、それとも…?


サクッと掻い摘むとこんな感じだ

「僕」はミステリにかなり自信があり、
読んでいる私も
確かに怪談話に違和感を感じていた
読んでいくと、
「僕」が鼻が高くなる所を隠して
神林と壱子に推理を語り、
神林と一緒に「ほほう」と思った

殺人事件…だなと
ただ「僕」の推理があまりにも簡潔で、
重みのない本なのか?と思ったりした

二話、三話と進むと、
怪談話の共通性を感じながら
やはり違和感があり、でも
「僕」の推理が簡潔過ぎるので、
殺人事件だけれど何か足りない…何だ?
そういう思いが深まる一方だった


例えば
飛び散る血飛沫、
血溜まりは残っていたが
悍ましい女の影が、
跡形もなくなっている事がわからない
窓に音がする程掌を叩きつけたと
皆語るのに…何故だ?と

この女が犯人ではない方向で
「僕」は推理していたが、
殺人事件ならば
バケモノ話は何なのだ?要らんやろと


そんな思いを置いたまま
「僕」はどんどん自信が漲り、
壱子は不安ながら「僕」と居るのだ


わからん

ただ、神林が神林ではなく、
亡くなったと思われている哲郎氏だとは
初めの方に推測しており当たっていた
その上で“殺人事件”…理由は?
となってしまっていた


それがひっくり返るポイントに入る

ほほう!
帯にあった“予測不能の”はこれか、
そう思った


そう、これは
ホラーミステリではない、
ミステリホラーであったのだ


所々に私の嗜好を刺激するスプラッタ、
でも少なめかな…はホラーであり、
哲郎氏のからくりはホラーそのものだ


ここ数年人気のある呪物

呪い、呪をかけるには呪詛がいる
その手法を纏めた本は確かに存在する
しかし手法だけでは呪詛は完成しない
口伝(…間違ってるかも)が必要
口伝とは書き記してないもの
呪詛に更に必要な事で
通常口伝えの一子相伝であるが、
人なので呪書にメモの様に書き記す、
そんな事も無くはない
そしてそんな呪本が
古書店に出回る事が、あるー
そう、
都市ボーイズのはやせやすひろさんが
語られていた事がある

この文を残しておこう
まぁ、読んでみ


因みに「僕」とは著者、阿泉来堂氏だ


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