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「まつもと日和」ができるまで
こんにちは。「まつもとフィルムコモンズ」は現在、2作目の「地域映画」を完成させるため、鋭意制作スパート中です。
完成した映画は10月26日(土)、27日(日)に松本市内にて上映会が予定されています。
上映の詳細は追ってお知らせ予定なので、ぜひまつもとフィルムコモンズのSNSをフォローお願いします!
instagram(ストーリーズで、日々の出来事もこまめに発信中です)https://www.instagram.com/matsumoto8mm/
2作目に向けた活動の様子を、コモンズメンバーたちがnoteに綴ってくれるので、その予備知識として(?)松本の地域映画1作目『まつもと日和』(2023.2.25公開)ができるまでの流れを簡単にご紹介します。
フィルム募集
地域映画作りを始めるには、何はともあれ、8mmフィルムにおさめられた映像が必要です。
ですから、まずはじめに、一般の皆さんに「あなたのお家のお押入れに、8mmフィルムは眠っていませんか?」と尋ねることからはじまります。
8mmフィルムで撮影をしていた方は、ご高齢で記憶が曖昧になっていたり、すでに亡くなられていたりということもよくあります。
また、「子供の頃、お父さんが8mmで撮影していたよな~」という記憶はあっても、フィルムがどこに保管されているのかわからない、なんてこともしばしば起こります。
フィルムを探し出す、一番最初の部分からして大冒険であり、提供者さんの協力的な姿勢無くしては成り立たない活動なんです。
フィルム受付
さて、提供者さんの協力のもと、無事フィルムが見つかった場合、次は「フィルム受付」の工程です。
私たちの活動拠点である「松本 深呼吸」に、フィルムをご持参いただいて、一緒に内容を確認します。
いつのことなのか、そもそも松本市内なのか??(現在の行政区域の松本市内であることを条件にして募集していたため)内容を確認する必要があります。
提供者さんに「ビューワー」や「ライトボックス」でいくつかのコマを見せ、映っているのはどこだとか、誰だとか、大体何年くらいなのか、など情報を引き出し、記録します。
『まつもと日和』の場合、この工程は2022年7月から9月にかけ行われ、合計345本の8mmフィルムが発掘されました。
発掘されたフィルムを私たちが映画制作に使っていいか、許諾を取る必要もあります。
映っている映像がどんなに魅力的であっても、映っているご家族などの同意が取れず、涙をのみつつお蔵入り・・・なんてことも、時には起こります。
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クリーニングとデジタル化
ご提供いただいたフィルムは、長期間保管されていたフィルムですから、経年劣化していることもしばしば。クリーニングや簡易的な補修をして、デジタル化に備えます。
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8mmフィルムのデジタル化には、いくつかの方法がありますが、三好大輔監督が選んだのは「映写機で投影した映像を、隣に固定したカメラで撮影する」方法。
こうすることで家庭で襖などに投影して楽しんでいた当時の空気感を再現することができるそうです。
『まつもと日和』の場合、フルハイビジョンでマスターデータを作成し、地域映画の制作に活用するほか、ご提供いただいた方にはフィルムの返却と共にUSBに入れたデータお渡ししていました。
事前編集
データ化された映像は、取材前に学生メンバーが主体となり事前編集を進めます。
実は「地域映画」の制作過程において、これがとってもユニークな部分の仕込みとなるのです。
提供者さんやそのご家族に8mm映像を見せながら、大学生メンバーがインタビュアーとして言葉を引き出します。その言葉が映像を説明する要素になったり、映像をみた方のリアクションが映画全体のハイライトとなったりします。
お持ちいただいたフィルムの映像を全て見ると、冗長となってしまうこともあるため、「インタビュー」する学生自身が、どの場面を見ながらどんな質問をしてみようかとプランを立て、インタビューに向けた仕込みをします。
それがこの「事前編集」作業で、大体15~20分くらいになるよう厳選し、監督と共に編集します。
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インタビュー取材・撮影
いよいよインタビュー。
担当する学生にとってはもちろんドキドキの1日です。
インタビュー取材は、家族や地域の方々が集まっていただけるように、事務局が多くの方々のスケジュールを調整しながら実現します。インタビューで引き出される言葉によって映画に活力が吹き込まれる、とっても大切な工程です。
提供者様のご自宅に伺ったり、 松本深呼吸にお越しいただいたりと、ケースバイケースですが、何十年ぶりかの映像を観ながらの皆さんの反応が、なんとも楽しいのです。
映像を観ながら、すっかり忘れていたちょっとしたことを思い出して喜んでくださる方。
懐かしさに胸が一杯になる方。
あるいは、お孫さんがお父さんやおばあちゃんの昔の様子を見て笑い転げたり。
8mm映像なしには起こらなかった家族のコミュニケーションが生まれ、思いがけず喜んでいただくようなこともあるのが、この「インタビュー」です。
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学生との仮編集
インタビューを経て、8mmの映像や音声と共に、現在の映像や音声を組み合わせ、編集していく作業があります。
ここもインタビューを担当した学生メンバーと監督の2人で行います。
インタビュー映像と8mm映像を言葉を軸に組み立てていく仮編集を行います。
30分ほどのインタビューでも最終的には3分~5分程度にまとめなければなりません。
予め担当の学生が絞りこんだものを監督と共にブラッシュアップしていきます。
沢山の魅力ある素材から削って削っていく断腸の思い。しかし映画の魅力を磨いていくための作業です。
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3日満月さんによる、BGM制作も同時進行
これまで工程としては触れていませんでしたが、実は同時に走っていた、いくつかのことがあります。
その一つは、「BGM制作」です。
「まつもと日和」には松本市在住のデュオ「3日満月」さんが素晴らしい音楽を添えて下さいました。
オリジナルで作ってくれた曲の演奏のほか、松本市内の子どもや合唱団にも協力してもらい、音楽制作に多くの市民を巻き込んでいることが特徴です。
信州大学グリークラブの学生さんや、信大附属松本中学校2年B組の生徒さん、みみをすます音楽教室の子どもたちなど、松本で音楽を楽しんでいる沢山の方々にご協力いただきました。
まつもと市歌の再発見と録音
「まつもとフィルムコモンズ」で活動する大学生メンバーの中には、信州大学のゼミでの活動として「失われた松本市歌」を調査している学生がいました。
昭和15年につくられた松本市歌ではありましたが、時代の波にのまれ、幻の存在となっていました。
譜面や歌詞の発見、さらには市歌がうまれた当時に学校で習ったという方との出会いもあり、3日満月さん指導のもと、ゼミの皆さんで市歌を合唱し、その音源や映像が映画の中で使用されることになりました。
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ロトスコープの制作
清水中学校の美術部の皆さんにご協力いただき、グラフィックデザイナー・イラストレーターの太田真紀さん(なんと清水中出身の先輩!)の指導のもと、8ミリの映像をもとにロトスコープの制作を行いました。
ロトスコープとは、撮影された映像をトレースしてアニメーションを制作する手法です。8mmフィルムから切り出した静止画を一枚一枚なぞりながら、かつての風景に思いを馳せ、アニメーションを完成させていきました。
予告編やエンドクレジットの中でこのロトスコープが使われました。
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編集そして完成へ
インタビュー担当者と共に制作した仮編集素材やロトスコープ素材、音楽素材を組み合わせ、削ったり足したりの編集作業を繰り返し、色や音の調整を細部まで詰めていき、膨大なデータを73分の作品にまとめあげたのは、監督の三好大輔さんです。
完成上映会のギリギリ直前まで粘って編集し、出来立てホヤホヤをお披露目しました。
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