「まつもとフィルムコモンズ」の自己紹介
はじめまして。私たち「まつもとフィルムコモンズ」は、2022年6月に発足しました。
「8mmフィルム」を収集しそれをもとに「地域映画」を作る活動や、「地域映画」の上映会などの活動を通して、世代や背景の異なる人々がお互いの言葉に耳を傾け、自由に語り合う場、という意味の「共有地(コモンズ)」として10代から80代まで30名以上の松本市民が参加しています。
2023年2月に松本の地域映画の第1作「まつもと日和」が完成。
いまは2作目を制作中。2024年10月の完成を目指しています。
大学生や社会人、リタイアした人、松本が地元の人、Iターンや進学のため松本に来た人、いろんな視点を持ったメンバーが思い思いに感想を述べ合う環境。なかなか得難い体験をしていると感じています。
このnoteでやっていくこと
このnoteアカウントでは、そんなメンバーたちが2作目の制作過程に関わるなかで気がついた「8mmフィルム」「地域映画」そして「まつもとフィルムコモンズ」について、それぞれの視点で自分のnoteに語ってくれたものを、「共同編集マガジン」という形で繋げる場にしていこうと考えています。
まつもとフィルムコモンズの日々の活動の報告や、1作目の「まつもと日和」の上映会の告知等はホームページを見ていただきたいです。
「オンライン配信」もしていますので、興味を持っていただいた方はぜひ、まずは「まつもと日和」をご覧ください。
8mmフィルムとは
さて、そんな私たちの活動をなるべく簡単に説明したいと思います。「そもそも8mmフィルムって何?」という方が大半だと思います。
8mmとはその名の通り、カメラで撮影するフィルムの幅が8mm、そして撮影されるのは映像です(静止画ではありません)。
1秒に18コマ撮影し、モノクロだけでなくカラーもあり、音声がついているものも付いていないものもあります。
8mmフィルムや8mmフィルムカメラは戦後、映像のプロではない人も気軽に撮影できるようにと、主にファミリー層に向け製造されたものでした。
昭和30年代から50年代(1955〜1975頃)に多く使用されましたが、ファミリー向けの映像記録媒体としてはビデオカメラが現れたことによって8mmカメラは姿を消していきました。
8mmフィルム ふたつの魅力
映像の撮影がプロだけのものではなく、市民の手に渡った最初の頃。
その頃に撮影された映像は、お茶の間や家庭内など「ごく日常」の風景を映した民俗資料映像であるということもできますし、同時に子の成長や結婚式など個人的な愛情にあふれた、感情に訴える映像でもあります。
8mmフィルムはいま
8mmフィルムカメラによって映像が記録された昭和30年代(西暦1955〜)カメラを回していた人たちはいま次々とこの世を去っています。
それと同時に、遺品整理などにより、保管されていたフィルムたちが内容を確認されることのないまま処分されてしまうこともしばしば起こっています。
フィルムの経年劣化も、保管状態により差はあるものの避けきれない部分があります。
今のうちにフィルムをご家庭の押し入れから発掘し、デジタル化するなどして残すことは、市井の歴史や小さな営み、風俗を次の世代に伝える大切な活動です。
2024年現在、メーカーによる8mmフィルムの製造および8mmフィルムカメラや映写機等の販売は行われていません。
ご家庭に映写機が無かったり、壊れていた場合に機械を修理するのもなかなか難しいため、8mmフィルムを使う文化や鑑賞の環境はどんどん失われていってしまう、その瀬戸際にいるということもできそうです。
地域映画だからできること
「地域映画」を監督の三好大輔さんが作り始めたのは2009年のこと。
地域の8mmフィルムを集めて、フィルムの提供者さんへのインタビューと交えたり、地域の人の協力を集めて音楽を制作し映像に重ねるなど、独自の工夫を凝らして8mm映像を再編集し、一つの映画に仕上げます。
映像が不鮮明だったり無音だったりと、第三者にとってはなかなか入り込みにくい8mmの映像を、大勢で見て楽しむことのできるコミュニケーションツールに生まれ変わらせる、三好さん独自の新しい手法ということができます。
多世代で地域映画を鑑賞することで、年配者の普段語ることのない思い出が触発され語り出したり、それを若者や孫が楽しく聞くことができる、コミュニケーションを誘う作用が地域映画にはあると感じています。
松本の地域映画第1作『まつもと日和』
では、そんな私たちがつくった地域映画『まつもと日和』とは、どのような作品なのか。それは次回、詳しくご紹介します。