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マーケティング観察 #004 ソーシャル経済メディア「NewsPicks」
こんにちは。matsumotoo(@matsumotoo988)です。
今回はソーシャル経済メディア「NewsPicks」について、観察していきたいと思います。
まずはNewsPicksのサービス概要についてです。
◾️サービスのタグライン
経済を、もっとおもしろく。
◾NewsPicksの目指す存在
興味のあるニュースに出会いたいという「発見の欲求」と、ニュースに対して自分なりの理解を深めたいという「理解の欲求」。この2つの欲求を満たす事で、ビジネスパーソンの創発を促し日々の意思決定を支える存在でありたいと思っています。
ー代表・梅田さんの言葉(引用元はこちら)
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続いて、会員情報です。
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有料会員率 = 有料会員 / 会員全体
上記を計算すると、約2.1%ぐらいになります。
紙の影響もあるので参考になりにくいですが、日経電子版だと、約15%(登録会員400万人、有料会員60万人 2018年6月時点)になります(日経電子版のデータ:2019. 1 - 3の広告ガイドより)
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続いて、創業時からのトピックスと会員の表です。
大きな流れてみると、順調に会員数が上昇しています。
個人的には以下などが気になりました。また表に掲載されてませんが、アプリリニューアルや機能追加などの磨き込みはしているです。
◾️気になったこと
2013年9月〜2014年3月:大きな会員数増加なし
2014年6月〜2014年9月:初期フェーズ初のユーザー会員大幅増 ★
2015年3月:プロピッカー開始
2015年12月:100万ユーザー突破。
2017年1月:200万ユーザー突破。有料課金ユーザー数も3万人へ
2017年11月:「米国版NewsPicks / NewsPicksアカデミア」アプリリリース
★のタイミングでは、編集部発足・オリジナルコンテンツ配信の時期と重なるのため、ブーストのきっかけとなった可能性が高いと思われます。
◾️セグメント分析
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概ね公開されているものと同じですが、対競合比較だとニュースメディアでの一部でのみ使われている状態だとわかります。
(各メディアで同一単位での比較ができませんでしたが、そこまで間違っていないと思います)
◾️ポジショニング
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ニュースアプリだと各社同列にならびますが、区分けをすると以下のようになります。
日経電子版
経済ニュース専門で領域が被るが、ニュースとの出会い方やコメントなどの機能面でサービス思想が異なる
SmartNews、Gunosy
ニュースも配信しているが、マス(総合)向けコンテンツを提供
そのため、各社で差別化されている状態である。NewsPicksと日経電子版だと以下のようにMISSIONが異なっているため、サービスにも影響が反映されていると推測できます。
◾️NewsPicks
発見と理解の欲求に応えたい
◾️日経電子版(日経)
時代の変化を先取りしながら
経済的・文化的それぞれに豊かさを求める人々のため、
徹底した実証主義に基づいた価値ある情報を提供し続ける。
◾️ターゲッティング
まずは基本情報ですが、性別・年齢が特徴的でした。
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続いて、NewsPicksを読む理由のアンケート結果です。
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特に意識特性のあたりですが、PICKER制度やコメント機能に対する評価に対する可能性が高そうです。またこのあたりの内容が評価されていることは、日経電子版とは違う方向性でも支持されることの証拠にもなり得ると思います。
3C分析→4P分析でNewsPicksの戦略を考える
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現在の状況をみると、日経電子版は高い信頼性と支持があるので、短期間で日経電子版からシェアを取るのはかなり現実的に難しいそうです。
そのため以下のような戦略を取るのでは?と考えました。
◾️検討した戦略
(1)顧客提供価値を日経電子版以上に引き上げ、シェアを獲得していく
(2)現在とは異なる顧客も開拓していく(新規ユーザー開拓)
(3)日本の成功モデルを海外に転用させ、海外シェアを作っていく
調べてみたところ、(2)(3)については面白そうな取り組みが見受けられたので、書いていきます。
(2)現在とは異なる顧客も開拓していく
参考となりそうな2つのプレスリリースを見つけました。
2017年7月:社内版NewsPicksを提供開始。第1弾として丸紅が導入(詳細)
サービス詳細はプレスリリースをみていただきたいのですが、通常サービスに加えて、社内専用の情報共有などがあるようです。今まで個人向けだったものを企業向けに提供していくため、提供できる価値やその規模も今までより大きくなっていきそうです。
2017年11月:NewsPicks学割プラン(月額500円)をスタート(詳細)
通常なら月額1,500円のサービスを学生のうちだけ、月額500円で提供するものになります。NewsPicksでは、2016年/2017年の2月ごろに「就活生応援キャンペーン」を実施し、期間限定で学生に無料でサービスの解放や特別コンテンツを提供してきました。おそらくこの施策で学生でもニーズを感じ取れたり、社会人になっても利用してくれる割合が一定以上あったと思われます。
(参考)NewsPicks収益モデルはどのようなものか?
こちらの記事でNewpicks編集長が会話されているのですが、通常の広告モデルであれば、対象ユーザー数が限られる経済領域では広告モデルではすぐに限界が来ると考えており、以下で検討しているそうです。その中で上記記載したのは(1)にあたります。
(1)有料課金
(2)ブランドのネイティブ広告
(3)リクルーティング広告(求人広告)
(3)日本の成功モデルを海外に転用させる
こちらはすでに計画され、公表されている情報をまとめると、以下のような流れです(Qaurtsについては後述)
2017年11月・米国版NewsPicksを正式リリース
2018年7月:米国発クオリティ経済メディア「Quartz」の買収
2018年11月:新プラットフォームサービス「Quartz」と有料会員サービス「Quartz Membership」の提供を開始
以下の資料によると、買収したQuartsについてですが、簡単に紹介するといかのような感じ(とても参考になるので、ぜひリンクをご覧ください)
◾️Quartzとは
・2012年に設立された、世界で初めてジャーナリズムとモバイル技術を組み合わせた経済メディア。
・主要読者は若手グローバルビジネスユーザーで、2,000万人の読者がいる
詳細は記事に記載があるので割愛しますが、Newspicksとターゲットが同じであったり、両社補完できる部分があるため、買収に至ったようです。
まとめ:観察して感じたこと
広告収益モデルに依存してしまうメディアが多いのですが、Newpicksは有料課金/ブランドのネイティブ広告/求人広告の3つの柱を作っており、非常に面白かったです。(先ほどのQuartzも広告収益に頼っていたことが課題の1つだったようです)
またざっくりではありますが、Newpicksのキャッチコピー「経済を、もっとおもしろく。」がどのような世界なのか?と思いまして、まとめてみたので、よろしければご覧ください。
考え方としては、Newpicksを使って、「経済リテラシー」×「継続性」の軸を大きくしていくと、実現できるのでは?という説です。
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またNewpicksでは、今まで構築してきた成功モデルを元に今後5年間で発展させ、以下のような目標を立てているそうですので、これからのサービスの発展が楽しみに思えました。
2023年、世界でもっとも影響力のある経済メディアになる
└ 指標:MAU1,000万、有料会員数100万
今回のマーケティング観察はいかがでしたでしょうか...?
自分なりに解説して見ましたが、もし何かの参考になりましたら、幸いです!
お読みいただき、ありがとうございました。
今後もマーケティングなどを観察していきますので、よかったらフォローください!
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