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元ニュースステーションスタッフ S田さんの言葉
すでにnote記事(放送作家26年 なんてことない人生)で
書いている通り、僕は報道ステーションという番組のスポーツコーナーを
11年半、担当しました。
その中で、出会ったディレクターの一人がS田さんです。
S田さんは、報ステの前身の番組、久米宏さんがメインキャスターだった
「ニュースステーション」のスポーツスタッフの一人でした。
S田さんは引き継ぎスタッフ
なぜ、ニュースステーションのスタッフとかかわりがあるのかというと、
報ステに変わるにあたって、引き継ぎのために、
元ニュースステーションの方が何人か残ってくれたんですね。
S田さんもその一人。
相撲ニュースのスペシャリストでした。
相撲ニュースって、スポーツニュースの中では専門分野なんですよ。
取り組みの狙い、勝敗を分けたポイント、力士の特徴、
これらを正解に見極めて、ナレーションに落とし込んでいかなければ
なりません。
S田さんはそのスペシャリスト。
相撲ニュースの担当は、大抵、S田さんでした。
キャラが濃い!
めちゃくちゃキャラクターの濃い人でした。
小太りでハゲてて、自分のデスクで、しょっちゅう柿の種をボリボリ
食べながら、裂きイカを食べたり・・・
S田さん自身、人の好き嫌いが激しい方で、
報ステからスポーツチームに入った新スタッフの中には
「S田さんが苦手」という人も少なからずいました。
「ニュースステーションの残党」という心無いことを言う人が
いたのも事実です。
・・・で、僕はというと、
なぜだか分かりませんが、すごく可愛がっていただきました。
僕のことを「兄弟子(あにでし)」と呼び、
(※相撲界では先輩力士をこう呼びます)
編集ブースを覗くと、いつもはブスっとした不愛想な顔を
クシャっと笑顔にして、若造に接してくれました。
(断っておきますが、S田さんはそっち系の人じゃないですよ)
送別会 すばらしい挨拶
そんなS田さんが番組を去るになりました。
送別会が開かれました。参加・不参加は自由です。
会場に行ったら、報道ステーションから新スタッフになった
人は少なくて、ニュースステーションからS田さんと一緒に
働いてきた人ばかりでした。
ちょっと寂しい気分になりました。
みんな世話になったハズなのにな・・・
会の最後、S田さんの挨拶になりました。
そこでS田さんは、こんなことを話しました。
「みなさん、スポーツのスタッフは幸せ者なんです。
報道フロアにいるスタッフは、事件・事故を扱います。
時には、人の生き死にが関わることがあります。
これはつらいことです。
でも、スポーツの仕事に、人の生き死にが関わることは
ほとんどありません。
これはとても幸せなことなんです。
だから、みなさんは、この幸せな仕事に胸を張って
誇りをもって、取り組んで下さい」
なんてステキな挨拶なんだろう。
僕はジーンと来ました。
そして自分の仕事に少しだけ誇りを持つことができました。
それから、S田さんと一度だけ会いました。
オーストラリアにいる知人のお子さんのお土産を
買うのを手伝って欲しいと言われ、トイザらスに行ったんです。
相変わらず、優しい人だなあとしみじみ思ったことを覚えています。
この場を借りて、改めて御礼申し上げます。
S田さんお世話になりました!
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