「古民家シェアハウス」で2拠点生活を始めて1年たった〜いすみ週末2拠点日記〜
我が家は共働きかつ小さな子供が二人いる。平日は都内で働き慌ただしく過ごしているが、週末になると、子供たちと少しの荷物を車に乗せて、片道約2時間かけて田舎へ向かう。田んぼに囲まれた築80年の古民家。ここが私たちの「週末のおうち」だ。2拠点生活を始めてもうすぐ1年になる。この機会にnoteでこの暮らしについて振り返ってみようと思い立った。
1.どんなところに暮らしているのか
私たちが週末を過ごしているのは築80年、元農家の古民家シェアハウスだ。周囲は田んぼに囲まれている。古民家の他には納屋と庭があり、敷地は約1,700坪もある。竹林が生い茂る裏山、小さな畑、梅の木などの果樹園…庭と呼ぶにはあまりにも広い。広すぎる。多分まだ知らない場所もある。
我が家の週末はほぼこの敷地内で過ごしている。春になると、裏山の竹林でタケノコが採れるし、初夏には梅が採れる。夏は草刈りで忙しく、秋になると栗や柿が採れて、冬になると、焚き火が愉しい。毎週末がアクティビティ付きのキャンプのようなものだ。定番の晩御飯は、バーベキューと羽釜で炊いたご飯。レンガのかまどと羽釜で炊いたご飯は、しっとりと炊き上がり、一口食べるとふわっと広がるお米の甘みには毎回感動する。滞在している時間は短いけれど、帰るときには、慌ただしい平日の疲れがすっかり消えているのをいつも感じる。
さて、私たちが住んでいる古民家シェアハウスは、最大4世帯まで入居できるようになっている。居間、台所にお風呂、トイレは共有スペースで、そのほかに個室が合計4部屋あり、この個室が各入居者専用スペース。入居者の方は、定住している方、うちのように都内と2拠点している方と様々だ。もともとこの家は10年ほど空き家になっていたところを、いすみ市の地域おこし協力隊のメンバーが「古民家リノベーションプロジェクト」として改装。このプロジェクトには市内外約100名の人が参加したというから驚きだ。
2.なぜ2拠点生活を始めたのか
2拠点生活を始めたきっかけは、子供ができたことだった。わたしは東京生まれ、東京育ち。子供が生まれる前は、田舎暮らしに心惹かれることも特になく、大都会・東京を満喫していた。遅くまで飲み歩けて、大人の好奇心を満たしてくれる場所がある。それがTOKYO。ビバTOKYO。しかし、子どもができてみると、毎週末が公園とショッピングモールぐらいしか行ける場所がない。東京は大人のための街だったことを痛感した頃、田舎や自然を求め、家族で千葉の房総半島へ短い旅行をするようになった。
民宿やコテージ、Airbnbを使って個人宅のほか、畑仕事が体験できる農家民泊なんてのも体験した。田舎に来ると、子供は全身と五感を使ってのびのびと遊び続けていて、とにかく楽しそう。私たちも心の底からリラックスできるし、田舎は空気もご飯も美味しい。小さな畑もやってみたい。週末、または隔週ぐらいで、田舎で暮らしてみようか、と夫と話し始めた。でもいきなり家を購入するのは、自宅マンションの住居ローン絶賛返済中の我が家にはハードルが高い。「里山×畑つき一軒家」さらに「賃貸」で千葉県内で探し続けた結果、今の古民家シェアハウスに辿り着いたのだった。
3.2拠点生活を始めて大変なことは、移動とコストとメンテナンス
大変なこと、それはとにかく「移動」である。片道約2時間、往復約4時間。運転する夫はもちろん、子供たちも約2時間の車中を過ごすのは辛いものがある。子供が飽き始めたら、伝家の宝刀「YouTube」。おさるのジョージ様にはお世話になりっぱなしである。そして「コスト」ももちろん無視できない。シェアハウスの家賃や往復のガソリン代などをあわせると、月3-4万円の出費だ。子育て中の我が家には決して少額ではない。そして、実は一番大変なのが家のメンテナンス。春から夏にかけて広大な敷地の草刈りは重労働だ。暑さと蚊との闘いである。我が家は幸いシェアハウスなので、他の住民と共同でメンテナンスができるので、本当に助かっている。
4.2拠点生活を始めてよかった意外なこと
家族全員が自然の中でリラックスできる、四季折々を愉しめる、というのはもちろんなのだが、意外なよかったことがあった。この家をリノベーションした「古民家リノベーションプロジェクト」のメンバーと一緒に、私たち夫婦もリノベーションイベントや里山体験を提供するオープンなイベントをたまにではあるが、開催するようになった。先日はコンポストトイレを作るワークショップを開催して、東京から参加者が来てくれた。出会うはずがなかった人たちとの出会いは間違いなく、私の人生を豊かにしてくれていると感じる。そして、夫と共通の趣味(?)が見つかって、ちょっと嬉しい。
古民家シェアハウスで2拠点生活を始めて1年がたつが、物理的に住む場所を変えることで、ポジティブな変化が我が家にあったと思う。ハードル低く始められる古民家シェアハウスでの2拠点生活は私のイチオシだ。
この暮らしにたどり着けたことに感謝しつつ、次はどんな予想もしない展開が待っているのかとワクワクしている。