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Marching Time / Tremonti
Creed〜Arter Bridge のギタリスト
マーク・トレモンティによるソロプロジェクトの5thアルバム。
私的「トレモンティに外れなし」を体現する圧巻のアルバム。
しかしながら本家Arter Bridge(以下AB)に比べ、アメリカのチャートアクションや日本のHR/HM愛好家の間でも火がついたように盛り上がらないのは、恐らくアメリカ人からするとメタル過ぎ、日本人からするとオルタナティブ過ぎ...なのだろう。
だがABで成功を収め、こちらのプロジェクトでは自身の名をバンド名に冠し、メタルへの志向を余すことなく表現するマークは妥協なく、これまでも本作でも彼なりの"メタル"を展開してくれている。
まずはサウンドだが、ABでもかなりヘヴィでラウドなギターは聴かせてくれてはいるが、やはりマイルス・ケネディの歌と、アリーナ・ロックバンドの面が強いABではラウドさよりも多彩さやバランスの方が重視される。それに応えるマークは凄腕に間違いないのだが、このプロジェクトでは全編を通してヘヴィさやラウドというより純粋なメタリックさが際立ち、サウンドプロデュース自体も楽曲ごとに変わるというよりはアルバムを通して一つのメタル・バンドサウンドで演奏されている感じだ。
次に楽曲。ABでも作曲を担うマークなので、曲の雰囲気やメロディはABに近しい曲がたくさんある。実際ABもTremontiもカテゴライズするなら、オルタナティブ・ロック、モダン・アメリカン・ハードロック(メタル)に入れるだろう。
なのだが、TremontiではABで覗かせるメジャー感やアッパーなメロディや展開には行かず、ポップすぎない所に抑えてメタリックに収めてくる。この文章では説明しにくい棲み分けを2つのバンドでキッチリしてくるあたりが心憎い限りだ。
マークのボーカルも実は秀逸で、マイルスのような強烈な個性はないものの、メロディックなアメリカン・ラウドミュージックにはど真ん中の、中道的でストレートで楽器隊が生きるボーカルなので、ABと似た歌メロも全く違うように聞こえるというメリットもある。
アルバム全体として本作は、パワー系チューンとメロウなミドル・チューンがバランス良く配されており、トレモンティが今メタルで表現したいものがダイレクトに届けられている感じがした。
豪快なファストチューンで幕開け、体の何処かでリズムを刻みたくなるようなノリノリチューンあり、ヘドバン誘発曲あり、ラストで7分半越えの荘厳なプログレッシブ・メタル然とした楽曲で締めるあたり、恐れ入りましたとしか言いようがない。