フェムケアとフェムテックについて考える
ここ数年で耳にする機会が増えた「フェムケア」「フェムテック」という言葉。
女性の価値観やライフスタイルが多様化する今、女性が十分に活躍できる社会にするためにも、少しでも過ごしやすくなるように、 フェムケアについてもっとみなさんに知ってもらいたくて今回は「フェムケア」と「フェムテック」をテーマにしました。
ホルモンバランスが乱れやすい梅雨時期から、生理中の不快指数が高まる夏に向けて、少しでも日々を快適に過ごせるtipsをご紹介します。
■目次
フェムケアとフェムテックの違いは?
フェムケアは「feminine(女性の)」と「care(ケア)」を組み合わせた造語です。
女性特有の身体の悩みを解決するためのケアのことです。
フェムテックはフェムケアのための科学技術(technology)のことで女性のQOL向上などの幅広い意味でも用いられます。
生理周期の管理アプリなどが代表的な科学技術を使用したサービスです。
大きく分けて科学技術を使用しているか、していないかが違いです。
一生でスプーン一杯分!? 女性ホルモンのおはなし
女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞)ホルモン」と「プロゲステロン(黄体)ホルモン」の2種類があります。
排卵、月経などに深く関係しており、女性らしい身体をつくるホルモンです。
子宮に作用し、子宮内膜を増殖させたり、子宮頸管の粘液を増やし、精子を子宮内に入りやすくさせる役割も。
増殖した子宮内膜をさらに妊娠しやすい状況に整えます。
更年期(一般的に45〜55歳頃)にも女性ホルモンは影響します。
エストロゲンの分泌が急激に減少することで、ホルモンのバランスが崩れ、心身に不調が起きる更年期障害が起こる人も多くいます。
分泌量は一生で“スプーン一杯分”とも言われていますが、そのたった一杯が良くも悪くも身体や心に大きく影響します。
そのため、いかに女性ホルモンとうまく付き合って過ごせるかが重要になります。
デリケートゾーンのケアが必要な理由
デリケートゾーンは皮膚と粘膜の中間にあり、とても繊細な部分です。
角質層が薄く、ほかの皮膚とは構造が違うため、変化や影響を受けやすいのです。
そのため顔や髪のように専用のケアをする必要があります。
健康的な肌のpHは4.5〜6.0の弱酸性ですが、デリケートゾーンのpHは3.8〜4.5と酸性寄りの弱酸性が理想と言われています。
一般的なボディーソープや石けんはアルカリ性で洗浄力が高いものが多く、弱酸性と言われるものも肌に合わせたpHの物の場合はそれらでデリケートゾーンを洗ってしまうとpH値が崩れてしまい、自浄作用のはたらきを弱めてしまう原因にもなります。
自浄作用の働きが低下すると、かゆみやニオイを引き起こすこともあります。
デリケートゾーンとは?
外陰部と呼ばれる一帯がデリケートゾーンとされています。脱毛でいうV、I、Oエリアです。
「膣口」が中央にあり、そのまわりのひだが「小陰唇」、そのまた外にある大きなひだが「大陰唇」と呼ばれるところで、小陰唇の内側からが粘膜と呼ばれる部分になります。
ひだの内側は恥垢という垢が溜まりやすい部分があるため、清潔に保つためにもデリケートゾーンは専用ソープで洗うのがおすすめです。
フェムケアの効果は?
女性はライフステージに沿ったホルモンバランスの変化や、ライフイベントによってたくさんの健康課題や悩みが発生します。
しかし、女性特有の悩みに対する日本社会の受容性はまだまだ低く、女性同士ですら生理やデリケートゾーンの話はオープンな会話がしづらい、というのが現状だと感じています。
この問題は女性だけでなく、男性にも理解してもらうことが大切。
そのためには、フェムケアは女性に必要なものとして社会全体でも、もっとオープンに情報をシェアしたり、製品もどこでも気軽に購入できるものであるべきではないでしょうか。
こういう主張をすると重い感じになりがちですが、決して小難しい話をしたいわけではなく「フェムケアで楽になることもたくさんありますよ〜」ということをお伝えしたいのです。
ここでは女性のみなさんがフェムケアを始めたくなる、フェムケアによって期待できる効果の一例をご紹介します。
★デリケートゾーンを健やかに保つことで快適に
洗浄力の高い石けんやボディーソープで皮脂膜など必要なものまで洗い流してしまうと乾燥からかゆみが起きたり、蒸れることで菌が繁殖しやすく、においの原因になることもあります。
これらは正しいケアをすることで解消され、快適に過ごせるようになることも多いです。
★生理のお悩み解決にも
生理中はナプキンを使用していることで蒸れてしまい、デリケートゾーンがかぶれてしまったことがある人もいるかもしれません。
経血の量が多く、漏れが心配という人もいるでしょう。
そういう場合は肌にやさしい素材のナプキンを使用したり、吸水ショーツを使用するといったフェムケアを活用することで生理中のストレスを軽減できることも。
外出時も拭き取りタイプのミストや洗浄シートを携帯すれば、経血をきれいに拭き取れたり、不快感を解消できるのでおすすめです。
★更年期の身体の変化
ホルモンバランスが急激に変化する更年期の女性の身体はデリケートゾーンの乾燥トラブルなども発生しやすくなります。
これまで何のトラブルもなく、デリケートゾーンのケアに関心がなかった人でも、急にデリケートゾーンのかゆみに悩むこともあります。
そんなときも正しく洗う、保湿するというフェムケアを行うことで更年期の不快なトラブルを和らげることが期待できます。
これから更年期に突入する世代や、それ以前の世代の女性はデリケートゾーン関連の話をするのはNGという環境で育ってきた人が多いため、身近に相談できる人がいないことも多いと思います。
今では手軽に購入できる場所も増えたので、基本のフェムケアから取り入れていただけるとうれしいです。
★尿もれ予防にも
女性は男性に比べて尿道が短いため、尿もれに悩まされる人も多くいます。
特に出産経験のある女性や中高年の女性は骨盤底筋の筋力低下によって尿のコントロールがしにくくなる傾向にあります。
骨盤底筋を鍛えることもフェムケアのうち。膣トレと言われるトレーニングも骨盤底筋を鍛えることができるのでおすすめです。
骨盤底筋を鍛えることは尿もれ予防だけでなく、冷え性や生理痛の改善、下腹部の痩身などにもつながるので「尿もれなんて…」と、まだ想像もつかない若い女性にも興味を持っていただきたいです。
わかりやすく膣トレができるフェムテックグッズもあるので、気になるかたはチェックしてみてくださいね。
今からはじめるフェムケア
フェムケアをはじめようと思っても「何からはじめればよいかわからない」なんて人のために、おすすめのフェムケアを紹介していきます。
★専用ソープで洗う&保湿
髪、顔、体はそれぞれの専用アイテムで洗っている人が多いと思います。
先の“デリケートゾーンのケアが必要な理由”でもお伝えしましたが、体とデリケートゾーンは理想のpH値の違いなど性質が異なります。
尿やおりものなどの排泄物が触れる繊細な箇所でもあるので、専用のアイテムを使用したケアが大切です。
全体的に擦らず、やさしく滑らせるように洗いましょう。摩擦は黒ずみの原因にもなるのでやさしく。
膣内には不要なものを洗い流してくれるような自浄作用が備わっているため、膣の中までは洗わないようにしましょう。
洗い流すときもシャワーを直接当てないこと、お湯も熱すぎないように気をつけましょう。
専用ソープには液体やジェルタイプ、泡で出てくるタイプなど形状がさまざまあります。
泡立てるのが苦手な人には泡で出てくるタイプがおすすめです。
また、デリケートゾーンはとても乾燥しやすい部分です。
そのため、お肌と同じように洗浄後は専用のローションやクリーム、オイル、エッセンスなどを使って保湿することが大切です。
清潔な手に専用保湿剤を少量取り、会陰、大陰唇、小陰唇といったデリケートゾーンの表面にささっとなじませましょう。
マッサージをしたり、隅々までたっぷりつけなくてもOK! このときも膣内までは保湿しないようにしましょう。
★バランスの良い食事と睡眠
これは健康に生きる上の基本ではありますが、食生活はやはりバランス良く栄養をとることが大事。
とくに女性の身体には鉄分やイソフラボンと言った栄養素が大切です。
不足すると貧血やホルモンバランスが乱れる原因ともなるので、意識して摂るのがおすすめです。
良質な睡眠も必要不可欠!睡眠不足は自律神経が乱れる原因となり、ホルモンバランスも乱れやすくなるのでしっかり眠りましょう。
ただただいっぱい寝れば良いということではなく、良質な睡眠というのもポイントになるので寝る前のブルーライトやカフェインの摂取を控えるなど睡眠環境にも気を配るようにしてください。
★生理用品や下着にこだわる
デリケートゾーンに負担をかけにくいオーガニックコットンのナプキンを使ったり、ナプキンのごわつきを感じずに済む吸水ショーツを着用することでも生理中のストレスを軽減できます。
そして締めつけの少ない下着の着用もおすすめです。
ピッタリとした下着はゴムの締めつけや蒸れによってかゆみが起こる可能性があったり、鼠蹊部が締めつけられると血行が悪くなり、冷えやむくみの原因になるなんてこともあります。
締めつけの少ない下着を選ぶことはデリケートゾーンの摩擦を抑え、黒ずみの予防にもなりますよ。
女性の心身はホルモンバランスの影響を受けやすいということを実感しながらも、ゆらぎがちな日々を「こんなもんだ」と諦めている人も多いのではないでしょうか。
しかし、フェムケアをはじめるだけでそんな日々が穏やかに過ごせるようになるかもしれません。
フェムケアについてオープンに話すのは恥ずかしいとか、申し訳ないと感じる人もいるかもしれませんが、 男女ともに正しいフェムケアの知識と思いやりの気持ちを持つことで、 “自分を大切にしよう“という当事者だけの意識ではなく、“自分を大切にしてもらいたい“という自分以外への意識も、 当たり前に持つ社会になっていけると良いなと思います。
だからこそ、幅広い世代のお客さまが利用し、身近な存在であるドラッグストアでも多くの女性が笑顔になれるフェムケア商品でお手伝いができるように。
そして、フェムケアの相談が気軽にできる未来が訪れるようにmatsukiyoも進化していきます!
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