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「さよならの書き方」の書き方
こんにちは、睫です。
このたび睫は「さよならキャンプ」という劇団の旗揚げ公演『さよならの書き方』に、客演で携わらせて頂きました。
ご来場頂いた方に置かれましては、本当にありがとうございます。
せっかくなので、今回の公演を簡単に振り返っていこうかとこのエントリを書いております。顔合わせから約半年間、おかげさまで本当に楽しい時間を過ごさせて頂きました。
・ざっくりした振り返り
そもそも、なんで私におハチが回ってきたのか、未だに不思議に思っています。もうかなり長いこと舞台に立っていなかったし、舞台以外でお芝居をしたのもそれなりに前のことになります。
去年の8月からTwitterに短編戯曲をアップする活動はしていましたが、まさか役者として、深く係わったことのない方から白羽の矢を立てられるとは思いませんでした。
さよならキャンプ主催の沼畑さんと偶然お会いしたのが今年の1月頃で、その時、少し話をさせて頂いて、「この人なんでこんなに今年の予定聞いてくるんだろ……」と思っていたら、その日の夜に客演のお誘いを頂きました。
今では仲良しの沼ちゃんも、この頃は数えるほどしかお話をしたことがありません。MAFFさんの舞台などでお姿は拝見していたので、ぼんやりとした印象はあったものの、人となりをあまり知らなくて。
副主催をされている志穂さんとは沼畑さん以上に面識もないし、本当に、沼畑さんの気が狂ったのかと心配になりました。
その後、その時点で出来上がっていた第1稿めの戯曲を頂いたり、他に声を掛けている方々のお名前をお伺いしたりして、悩みすぎて、とある方にご相談の電話を掛けました。その節は背中を押して頂き、本当にありがとうございました。
お引き受けすることを決めた理由はいくつかあるのですが、相談した方に背中を押して頂けたこと、他の出演者さんのお名前に見知った名前がひとつもなくて、これまで見たことある福井のお芝居とはきっと違うものになるんだろうなと思ったことの2点が大きかったです。
それから顔合わせがあって、台本を頂いて稽古が始まって。毎週稽古のある日々は本当に久しぶりで、新鮮で、今となっては、とてもよい思い出になりました。
出来上がったお芝居が傍から見てどうだったのかについて、私が客観視することは難しいですが、とても雰囲気のいいカンパニーであったことは間違いないと思っています。
・「四織」という役について
『四織』という役を頂きました。
四織は家庭の事情で高校生の時に青森から都会に出てきて、引きこもりになってしまった女の子です。その間に小説を書き始めて、現在は今回の舞台の中心となる文学サークルに参加しています。
地元の青森に亜優六くんという同い年の彼氏がいて、このたび上京してきて同棲予定。でもやや精神病の気もあったりと、ハッピーな部分とダウナーな部分のある役でした。
作・演出を務める沼畑さんの思い描いた四織だったかは分からないけれど、どうだったでしょうか。
私自身は、文章を書くことを頑張っているだとか、人前でちょっと空回りしつつもコミュニケーションを図ってみるだとか、自分と近しい部分も感じつつ、素直に亜優六くんに甘えられる四織が羨ましくもありつつ、漠然と、彼女と仲良くなれたような気がしています。
青森弁を話すと知ったときは、アーハーン?と思ったりもしましたが(実際口から出た)、知らない方言を話すのも最終的には楽しくて、いろいろなことにチャレンジできる四織という役柄を演れてよかったな~と、心より思っています。
「役者をやる」という事の重大さに気づいてしまって以来、長らく怯えて生きてきたのですが、そこから連れ出してくださった今回の公演に、個人的には本当に感謝しております。
・メイクのおはなし
今回、勝手に役者のメイクのディレクションをさせて頂いておりました。自分と、二奈役の寺澤莉子ちゃんの顔はすべて睫が作っております。
アンケートを拝読していて、『二奈が可愛い』、『透明感に驚いた』、『二奈が本当に可愛い』というご意見があるたび、裏で莉子ちゃんと二人でガッツポーズをしていました。
パンフレットを見て頂けば分かる通り、莉子ちゃんはすっぴんの状態でもすごく可愛いのです。すごく可愛いのだけど、直感的に、二奈とはちょっとだけ可愛いのベクトルが違うように思えて。
お化粧はそこの調節と、あと「成人してるように見えなくもない」という点を大切に考えました。
ポイントはいくつかあって、ちょっと矛盾した話ですが莉子ちゃんは真正面からお化粧をすると大人っぽくなりすぎるので、
・眉毛を整えすぎないこと
・顔の下半身(頬と口)にポイントを置くこと
というふたつを大切にしています。
目は主張しすぎないコーラルカラーを入れて、頬には白味ピンク(今回はCANMAKEのクリアピーチ)。
リップは、excelのピーチタルトを全体に塗って、中心だけBIDOLのほっとかないでレッドを重ねました。
メイクしたのは初日が初めてだったのですが、予想以上の出来栄えと、当日アンケートでの評判に心から安心しました。
左が私。
私も二奈とわりと似てるんですが、頬と唇に重心を置いて、二奈よりも幼い色使いと、チークの配置をしています。
「幼さ」はある種の防衛だと思っていて、分かりやすく下手になれるような顔をしておくことで、相手に強く出られないようにする、みたいな、四織ってそういうとこあるかなって顔でした。
目はBIDOLの強がりのピンクグレージュ、リップはほか3人がマットめだったので、私はリキッドのコーラルピンクを塗っています。
志穂さんもおおよそは自分でやって頂いて、仕上げだけやらせて頂きました。
ご自身のお顔について、「横顔は立体的なのに正面が平面」と謎かけみたいなことを言っていたので、光を集めるようハイライトを入れて、頬骨のあたりにベージュに近いオレンジチークを入れて柔らかい印象を持たせています。
ぼんやりした色味を入れるより、パキッと入れるか入れないかが似合うかな〜と思って、まぶたにADDICTIONのマリアージュを入れたら大正解でした。
マリアージュは色味はなくて、大粒の金色ラメがザクザクしているアイシャドウです。志穂さんってすごくまつ毛が長くて、二重も立体的で、まばたきするたびに星が零れ落ちるみたいな。素敵なアイメイクになりました。
壱子の強いけど弱い、弱いけど強いところを感じて頂けたら嬉しいです。
ユウリさん!
ユウリさんはお化粧がめちゃくちゃ上手で、あまりお手伝いすることもなく、色味の相談を頂いた時だけ、あれこれご提案させて頂きました。
お化粧だけじゃなくて、ユウリさんはトータルプロデュースがすごく上手で。私服を見ても、自分の衣装に対しての意見を聞いていても、外からの見え方を理解してるのが本当すごくて。
さばえ公演初日に私が着ていった中華服を、着たい!!って仰って下さったのがめちゃくちゃ可愛かったです。
メイクは外に向けたものと思われがちですが、私は自分にかける魔法だと思っています。
上の4人の集合写真を見て頂ければ分かるのですが、まぶたやら頬、唇に何色入れたって、普段仕様のメイクだと実は大差がなくて。
でも鏡で見たときに、自分の顔のどこかにその色が、その置き方をされている。それは自分の中でだけ強い意味を持つ、愛おしい魔法になります。
自分や人にお化粧をしているときだけ、私は自分を魔法使いだと信じられる。本番前に、とても素敵な時間を頂きました。
・最後に
という感じで、好き勝手にやらせて頂いた半年間でした。
自分がどこかの劇団の旗揚げ公演に客演として参加するなんて夢にも思わなかったのですが、本当によい経験をさせて頂きました。
私の母は、お芝居の公演期間を「星の時間」と表現します。
そんなあまりにあっという間で、あまりにキラキラとした、本当に素敵な時間を、たくさんの人のおかげで過ごさせて頂くことができました。
次に舞台に立つのがいつなのか、そもそも立つ機会があるのか、その辺のことは未定ですが、もしまたその機会を頂けたら、また同じような星の時間を過ごせるよう、元気に活動していきたいと思います。
今回の公演に関わってくださった方々、そして、ご来場頂いた皆様。
このたびは本当に、本当にありがとうございました。