くろたさんのわりとよくある日常(1/2)
客入れ状態からなんか悩みつつくろたさん(黒田法子)登場。
法子「ふーむ。忘れようとしても何を忘れようとしたのか。忘れようとしたってことはなんだか嫌なことだったんだろうか。嫌なことだったから忘れようとしたんだろうか。だけど、だけどだ。嬉しいことだってそのうち忘れちゃうだろうし、哀しいことだってそのうち忘れちゃうはずだし、それでも覚えておかなきゃいけないこともあるし、むしろあたしが覚えておかなきゃいけないことを忘れるなんてことあるはずがないし、そんなあたしが忘れちゃったってことはきっととるに足らない出来事なんだ。なんてことないことなんだろう。」
なんか微妙に暗くなる。
法子「・・・うん、きっとそうだ。あってもなくても変わらないくらいのことなんだ。そんなことを考えていたら」
真っ赤に染まる。
法子「牛にはねられた。」
かっちょいい曲が流れてかっちょいいオープニングムーブが始まる。ムーブしながらいい感じに転換してくろた家へ。
暗転。
明転。鮎太郎とサブちゃん登場。
サブ「ちょっと待ってくださいよおやっさん!」
鮎太郎「そんなひまはねぇんだよ。」
サブ「わかりますわかってますけど!」
鮎太郎「わかってんならそこをどけ、サブ。」
サブ「どけません、そう簡単にはどけませんよ!」
鮎太郎「なんなんだよ、俺はこれから下ごしらえしなくちゃいけねぇ、お前に付き合って遊んでるヒマはねぇんだよ。」
サブ「いやいやいやいやおやっさん!僕も遊んで欲しいわけじゃないんすよ。」
鮎太郎「じゃあなんなんだよ。お前も食べたいのか?」
サブ「食べたい。いや食べてみたいは食べてみたいすけど。」
鮎太郎「しょーがねーな。」
料理の鉄人がほんのり流れる(口で)。ポッケからカマボコが出てくる。
鮎太郎「食べてみろ。」
サブ「こッこれはッ!まさかカマボコッ!」
鮎太郎「そうだ。だがそのへんのカマボコとはちょいっと違う。この俺が重い想いを籠めまくって練った重ーいカマボコだ。」
サブ「(なんか突っ込む)」
鮎太郎「んなわけあるか。おいサブ。カマボコの作り方を知っているか?」
サブ「いえ、くわしくは。」
鮎太郎「勉強不足だな。」
サブ「すいません。」
鮎太郎「ホレ、遠慮すんな。」
サブ「はい。(食べる)」
なんかかっこいい明かりとリバーブ
サブ「・・・甘い。とろけるように甘い。ふうわりとしたやわらかさに包まれている。そうまるで絹のビロードにも似た包容力。カマボコだと思って食べてみたらおやっさんこれはッ!!」
鮎太郎「マシュマロだ。」
なんか戻る。
サブ「なんでだよ!」
鮎太郎「ん?」
サブ「魚のすり身とか重い想いはどこいったんですか!」
鮎太郎「オイオイ、重い想いはいつもこのエプロンにこめられてるだろーが。」
サブ「魚屋の・・・シンボル・・・」
鮎太郎「お前にはまだこのユニフォームを着る資格はねぇな。」
サブ「くッ・・・!おやっさん持ってったのサバですよね?」
鮎太郎「ええサバですよ。」
サブ「僕がようやく手に入れた松輪サバっすよね?」
鮎太郎「(口笛を吹こうとする)」
サブ「吹けてない!」
女の声がする。
りんか「ただいまー、ん?」
鮎太郎「おうおう!黙って聞いてりゃなんだこのサブ野郎。まるでこのサバは自分のものですみたいなこと言いやがって。はーん、そんな心の狭い弟子にいつからなっちまったんですかね?それともなにか?魚屋はじめて40年のこの俺っちよりもサブちゃんのほうが美味しいサバ料理がつくれるんですかね?だいたいなぁ、受け取ったのはこの俺だ!」
長い話のあいだにりんか登場。
りんか「いらっしゃい、どしたの?」
サブ「いや、おやっさんがさ・・・」
鮎太郎「おいサブ!俺の話を聞くよりもりんかの話をきくほうが大事なのかどうもお邪魔してます。この半チクリン助平が!」
サブ「や、そういうわけじゃないすすいません。」
鮎太郎「他人様の家にきてるときは!」
サブ「お邪魔してます。」
りんか「ほーい。」
りんかニヤニヤして二階へ退場
サブ「ちょ待っ・・・ああ・・・」
鮎太郎「今日こそお前にはヒエラルキーってもんを、叩きこまなきゃいけないみてぇだな。」
サブ「十分身に染みて・・・」
鮎太郎「染みてなーい!」
女の声がする。くろたさんは魚屋、サブには見えないし聞こえない。
法子「ただいまー!おろ?」
鮎太郎「おうサブ、お前俺んとこ来て何年になる?」
サブ「三年す。」
鮎太郎「そうだな三年だな。最上級生だ。その間お前が出来るようになったことはなんだ?」
サブ「ええと(考える)」
法子登場
法子「あらいらっしゃい。お店あんまりあけてちゃ危ないよー。」
言いながら法子退場
サブ「店番。」
鮎太郎「おう。」
サブ「簡単な接客。」
鮎太郎「おう。」
サブ「電話の応答。」
鮎太郎「おう、バカタレ。」
サブ「いてえ。」
鮎太郎「お前いま言ったこと入ったその日に出来そうなことばっかじゃねえか。」
サブ「うぐッ」
りんか二階から登場
りんか「あれ?今お母さん帰ってこなかった?」
鮎太郎「法ちゃん?帰ってないぞ。」
サブ「来てないよ。」
りんか「はれ?」
鮎太郎「(叩く)」
サブ「いてえ。」
鮎太郎「この腐ったイワシ野郎が。りんかに話しかけるんなら鱗とりくらい出来るようになってからにしろってんだ。」
りんか「別にいいじゃないのさ話すくらい。」
鮎太郎「いけません。いいかりんか。俺ァ確かに他人だ。他人ではあるけれどもだ。お前がこの世にオギャアと産まれたときから知ってんだ。とーちゃんみたいなもんなんだ。こんな養殖ハマチ野郎と話すことなんてねぇ!」
りんか「ハマチ美味しいじゃん。おかーさーん?」
りんか退場
鮎太郎「美味しいか美味しくないかじゃねえ。養殖ってのはな、ダラダラ生きてても毎日餌がもらえるってことだ。泳いでようが泳いでなかろうがだ。それでいいのか?よくないだろ?オギャアと産まれたからにはだ。明石の天然の真鯛にならなきゃいけねぇ・・・いけねぇ?」
サブ「え?」
鮎太郎「すっかり忘れてたじゃねえか。俺も注文してたもんがあんだ。」
サブ「真鯛?」
鮎太郎「何で俺が真鯛注文すんだよ、塩だよ塩!」
サブ「しお?」
鮎太郎「なかなか手にはいらねぇんだよ。お前のせいでコロッと忘れてたぜ。戻るぞ。」
サブ「うえ?俺のせいなんすか?」
鮎太郎「いいからこい!」
サブ「へーい。」
鮎太郎、サブ退場。
法子登場。
法子「あら?帰っちゃった?」
りんか登場。
りんか「あ、おかーさん、やっぱいるじゃん!」
法子「ん?おかえり。」
りんか「ただいま。ってあれ?あたしのほうが先に帰ってた気がするんだけど。」
法子「ただいま。」
りんか「おかえりおかーさん。」
ホッコリする。
りんか「でもさー、いいの?こんな毎日毎日勝手にあがりこまれて。」
法子「家族みたいなもんなんだからいいじゃないのさ。何を今さら。」
りんか「いやそりゃそうだけどさ、あたしもさ、もうお年頃っていうか、乙女ちっくっていうか。」
法子「はーん。」
りんか「何よはーんって。」
法子「そうかそうか、りんかもすっかりそんな年か。」
りんか「そんな年よ。」
法子「まぁいいじゃない。あんたがこんなちっちゃいときから助けてくれてるんだからさ。」
りんか「いや魚屋のおじさんはそうだけどさ。」
法子「ん、サブちゃん?」
りんか「あ、うん。」
法子「ホの字なの?」
りんか「ちょ!」
法子「そうかそうきましたか。」
りんか「や、あたしはこう、一般論をですね!」
法子「ほほーほほー。」
りんか「おかーさん!」
法子「考えとくー。それよりりんか、お母さん買い物してくるからちょっと片付けといて。」
りんか「あれ?今買い物してきたんじゃなかったの?」
法子「そのはずなんだけどねぇ。何も持ってなかった。」
りんか「何それ、財布忘れてたとかじゃないの?」
法子「てへ。」
りんか「てへ?」
法子「んじゃよろしくね、いってきまーす!」
りんか「いってらっしゃーい。気を付けてねー。」
法子退場。
りんか「変なの。」
りんか路上に転換。しれっと退場。
②路上
占い師がいる。なんか売れてなさそう。
占い「はぁ・・・買ってしまった。」
メガネを取り出す。
占い「おこづかい三ヶ月ぶんだったのになぁ・・・いやいや、これはアレだ。投資なのだ。残念なことに霊感ゼロのあたしをサクセスさせるためのとっておきなのさ!しかしこんなメガネをかけるだけで霊的パワーがあがるなんてことが・・・」
メガネをかけるとわっさわっさ出てくる。
占い「うおおおおおお。」
外すとダッシュで帰る。
占い「いまみえた!なんかみえた!(かける)」
わっさわっさ出てくる。
占い「はぁぁぁぁぁぁ!(外す)」
ダッシュで帰る。
占い「こここれ本物だー!(かける)メガネをかけると見えて・・・(外す)外すと見えない!・・・いるんだ(かける)・・・いるんだ霊って!」
言いながらかけたり外したりに合わせてわさわさする。
占い「よよよし!ちょっと踏み込んでみよう。あああの~こんにちは。ちょっといいですかね~。」
わっさわっさしつつ日替わりの匂いのする女に問いかける。自分に言われてるのかちょっとわかんない。
日替り「?」
占い「ええとええと、君の名は?」
日替り「見てない。」
時代が流れる。
八重「ああいかん。ちょっと怪しいかな。よし、あたしの名前は八重かおりです。見ての通り占い師みたいなことをやってるんですよ。んで、君の名は?」
日替わり「見てない」
時代がまた流れる。たまたま涅槃はセンターにいる。
八重「ん?なんかおかしいな。見えはするけど聞こえはしない。・・・やっぱイヤホンせっとにするべきだったのかなぁ
日替わり「・・・見える?」
八重「ふふふ。ところがどっこい、あたしくらいの超絶占い師になるとですね、聞こえてないけど聞こえてるフリも出来ちゃうんですよねーこれが。」
日替わり「何言ってんのこの人。」
八重「大丈夫ですよー。何言ってるのかわかんないけど任せて下さい。あたしのとっておき、インプロー占いで「あなたが何故ここにいるのか」占ってあげますからね。」
言いながら紙をまく。
八重「コホン。お待たせしました。それではこの中から一枚選んで下さい。それがタイトルになりますから!」
日替わり「(選んで読む)」
暗転。
明かりがつくとインプロコーナー。
日替わりの匂いのする女が何故死んでしまったのか劇的に明らかになる。
終わったらかっこよく暗転。
③喫茶店
明かりがつくと、へいま、林木、沖野がいる。沖野はインプロカードの残りを回収している。
へいま「牛には乳牛と肉牛があり日本の乳牛はホルスタイン種とジャージー種が主です。このうち日本の肉牛、つまり和牛には4つの品種があり、黒毛和種、渇毛和種、日本短角種、無角和種。無角和種は山口県のみで肥育されている文字通り角のない牛ですが、現在ちょっと絶滅していまいそうなので、精肉としての流通はごくわずかです。」
この間に牛のぬいぐるみ(ハナコ)がキャトルミューティレーションされる。
林木「キャトルミューティレーションされたのは?」
へいま「日本短角種のハナコ(五歳)メスです。」
林木「やはりか・・・」
へいま「ですがキバヤシさん。」
林木「林木だ。逆に言うな。」
へいま「林木さん。」
林木「わかってる。俺たちの研究によると連れ去られる牛には日本短角種が多い。しかも圧倒的にだ。不思議に思わないかへいま?何故ホルスタインではないんだろう?」
へいま「目的が乳ではないからですか?」
林木「きわどい。だがあたらずとも遠からずだ。」
へいま「どっちなんですか。」
林木「・・・牛肉は鉄分が豊富で吸収しやすいかたちで含まれている。特に赤身のヒレは。」
へいま「目的は・・・鉄分!?」
林木「鉄分が足りなければさまざまな病気になるりサプリメントに頼るのもいいがヒレカツ丼を食べればいい。牛肉のトレーサビリティ、聞いたことあるか?」
へいま「十桁の・・・識別番号・・・」
林木「ああ。つまりマイナンバーみたいなもんだ。」
雷が落ちる。
へいま「そ、それじゃあマイナンバーは!」
林木「ああ、牛と同じだ。何者かが我々人類を管理しようとしているということなんだよ!」
へいま「な・・・なんだってェ!」
縄屋「(一緒に言う登場)」
雷がまた落ちてMMRのスライドが写る。(目線あり)
へいま「で・・・でもいったい誰がそんなことを!」
林木「おそらく・・・」
縄屋「政府だろうな。」
林木「縄屋、いたのか?」
縄屋「ちょっと前からな。」
林木「あ、そう。」
縄屋「お前の思ったとおりの結果、ビンゴだキバヤシ。」
林木「林木だ。」
へいま「ど、どういうことですか?」
林木「つまりこのマイナンバー化ですらノストラダムスの預言者には記されていたんだよ!」
へいま「こんな小さな島国のことまで・・・」
縄屋「俺たちが、牛と同じか・・・」
林木「近いうちに・・・そうなるかもしれないな。」
雷がちょっと落ちて雨のおとがする。
へいま「なにか・・・なにか打開策はないんですか!林木さ・・・キバヤシさん!」
林木「言い直すな。あってただろ。」
縄屋「どうなんだ?」
林木「現状では・・・ない。近い将来・・・人類は滅亡する。」
へいま「そんな・・・」
縄屋「そいつはいつだ。いつのことなんだ林木!」
重苦しい間。すげえ長い。
林木「わからん。近い将来としか。」
林木「きっと・・・きっとヒントはあるはずだ。滅亡を防ぐためのヒントが。」
縄屋「ノストラダムス、どこまでいってもこいつが頼りか。」
へいま「調べましょう。きっと、人類の滅亡は防げる!」
二人「ああ!!」
なんか流れて三人退場。
立花が出てくる。
立花「好きだねェSF。もう止めていいよー。」
音楽が止まり沖野が出てくる。
沖野「なんなのアレ?」
立花「ん?なんなのアレと言われると何なのか返答に困るな。」
沖野「そもそもなんであたしらが話に合わせて曲流したり牛引っ張ったりしなくちゃいけないのよ?
立花「やー、そりゃあサービス業だからねぇ。お客さんのムードに合わせていろいろやってれば話も弾む。うちも儲かる。最近は本業だけだときついんだよ。」
沖野「そりゃわかってるけどさ」
立花「それにね、僕くらいの喫茶テイナーになるとね、こう、んーって感じでチラ見しただけで、お客さんがどんなムードを求めてるのかわかっちゃうんだなコレが」
沖野「嘘っぽい。喫茶テイナー。(笑)」
立花「フッ」
沖野「鼻で笑うと感じ悪いわよ。」
立花「ごめんごめん。でも本当なんだよ。」
沖野「ほほー。」
立花「むっ、信じてないだろ。」
沖野「信じるもなにも。」
立花「そこまで言うならいいでしょう。やってみせましょう。」
沖野「店長暇なのね。掃除する?」
立花「暇じゃないよ。めちゃ忙しい。いいか、次のお客さんが入ってきたら、その人にピッタリの選曲を僕がしようじゃないか。」
沖野「あ、うん。」
立花「曲を聴いて、そのひとが満足げな顔をしていたら僕の勝ちだ。お客さんはとってもくつろいでくれてる、ということになる。」
沖野「へーへーへーへー」
立花「へーへーしない!仮に、仮にだ。万にひとつもないけれど、曲が流れたときに怪訝な顔をしたんなら、僕の敗けでいいよ。」
沖野「いつから勝負だったのよ」
立花「僕はいつでも勝負してるんだよ、しッ、来るぞ!」
沖野「はぁ。」
凄まじい緊迫感の間(立花だけ)
時計の針の音がする。
日替わりの匂いのする女が出てきてすぐ帰る。
沖野「来ないわよ。」
立花「おかしいな、いや確かにこの立花レーダーに(疲れている)」
沖野「どうしたんですか?」
立花「いややっぱね、集中してるからね。多少は疲れるよ。」
沖野「どうすんの?・・・別にあたしの敗けでもいいけど。」
立花「何いってんだ君は。そんなの不戦勝みたいなもんだ。それじゃダメなんだよ。」
沖野「そういうもんですか。」
立花「そういうもんですよ。」
沖野「おとこってみんなそう。勝ったとか負けたとか。」
立花「ロマンだよ。まきえさんにはわかんないでしょうけど。」
沖野「むっ。まぁいいでしょう。でもこのお店そんなにポンポンお客さん来たことなんてないじゃない。どうすんの?しょ・う・ぶ。」
立花「おーい!来てる来まくってるってば!うちは皆に愛される喫茶店を目指しているんだよ!」
沖野「みんなに愛されるねぇ。」
立花「街の癒しスポットと呼ばれている気がする。」
沖野「聞いたこと無いわそんなん・・・」
立花「しッー!!来るッ!!今度こそッ!!」
凄まじい緊迫感のなか(立花だけ)沖野は奥にひっこみ曲が流れてくる。
沖野「休憩してきまーす」
苦しそうな立花を置いて沖野退場。
立花「俺も休憩するか。」
立花鼻歌まじりに転換。
その四 黒田家の2(夢)
りんかが片付け疲れて寝ている。
りんかの名前を呼びながらくろたさん登場。
法子「はぁ、またこんなとこで寝てる。」
タオルケットみたいなの持ってきてりんかにかける。
法子「どこでも寝ちゃうのって、どっちに似たのかしらね。」
りんか「もう食べられないよ・・・ん?(起きる)」
法子「おはよう、りんか。」
りんか「おはよう、おかーさん。」
法子「こんなとこで寝てると風邪ひくぞ。」
りんか「ごめんなさい。」
法子「素直なとこはあたしにそっくりね。」
りんか「りんか大っきくなったらね、おかーさんみたいになるの。魔性の女になってみんな手玉にとったりするの。それでね・・・」
法子「お母さんはそんなんじゃないわよ。」
りんか「そうなの?魚屋のおじさんは?きばやしさんは?」
法子「いいおともだちよ。」
りんか「ふーん。」
法子「それにね、お母さんみたいになりたいんだったら、ちゃんとお布団で眠らないとね。」
りんか「今のはたまたまだよ!」
法子「まぁいいでしょう。それで?」
りんか「それでね!おとーさんみたいな人と結婚すんの、ふふー。」
法子「あらー、お父さんいつもオナラしてるけどそれでもいいの?」
りんか「いつもはしてないよ!ときどきだよ!」
法子「オナラしながら怒るからとっても怖いよ?」
りんか「怖くないもん!やさしいもん!愛のムチだからりんか平気だもん!」
法子「ちょっと将来が心配になるわね・・・」
へいまの声がする。
へいま「ただいまー!」
りんか「お兄ちゃんだ!おかえりー!」
へいま登場
へいま「ただいまーの前に、本日のイントロクイズです!」
りんか「おおー!(座る)」
へいま「ピロリロリン!第一問!(激しく無邪気に動く)
二人「?」
へいま「(激しく無邪気に動く)」
りんか「わかった!なんか白いのだ!あー、なんだっけあれ!」
へいま「正解はカナヘイのスタンプです!」
りんか「それだー!」
へいま「ピロリロリン!それでは最終問題です。最終問題は得点が百倍になります!」
りんか「おおー百倍!」
へいま「(激しく無邪気に動く)」
りんか「わかった!なんかピンクのやつだ!ね、お母さん!」
法子「イントロ?」
へいま「正解はカナヘイのスタンプです!」
りんか「そっちかー!(悔しがる)」
へいま「惜しかったお母さんにはプレゼントがあります。四ツ葉のクローバーです。」
りんか「ああ~!いいないいな!」
法子「ありがと。おかえり、へいま。」
へいま「ただいま、おかーさん。」
りんか「お兄ちゃん今ね、おならについて深く語り合ってたの!」
へいま「りんか知ってるか?おならとへの違いについて。」
りんか「へ?おなら?」
へいま「ぶーぶー言うのがおならで、ぷすーぷすーがへだ!」
りんか「ほおおお!すごいすごいぞお兄ちゃん!博士だ!おなら博士だ!」
へいま「キバヤシさんに教えてもらったんだ。」
りんか「キバヤシさんはおなら研究会のひとなの?」
へいま「おならの黙示録とか言ってた気がする。」
法子「黙示録ってなんだか神秘的ね。」
二人で音を出しておならかへかで楽しく遊ぶ。
りんか「んじゃあお父さんのはぶーぶーいってるからおならなんだね!!・・・ん?・・・お父・・・さん?」
法子「りんか。」
りんか「お母さん・・・お兄ちゃん・・・お父さん・・・?」
へいま「りんか!」
りんか「お兄ちゃん・・・お父さんは?」
法子「りんかもうやめなさい!」
りんか「ねぇお母さん・・・お父さんは?お父さん・・・死んじゃっ・・・」
へいま「りんか好きだー!!」
法子退場。
りんか「は?」
へいま「第一印象から決めてました!僕と・・・」
おっさんたち「ちょっと待ったあああ!!!」
八重、台上に登場。
八重「さぁここでちょっと待ったコールですねー。ここからはこの超ド級占い師が進行させていただきますよー。おっさんズ66のみなさーん。」
おっさんズ66(5人)がかかりの声みたいなのをあげながら出る。彼らはそのへんのおっさんよりもほんの少し冷静と情熱のあいだで揺れているため、譲り合いながら路上に転換したあと、システム前でフォーメーションする。
八重「もういませんかー?いませんねー。それではまずは・・・」
ちょっと暗くなりおっさんズすべてしゃがむとシステムに説明文が浮かぶ。
N「おっさんズ66とは。山口県のなかで選ばれた66人のおっさんであり、そのへんのおっさんに比べて強く、気高く、ほんのちょっぴり他者の痛みがわかる習性をもつのだが、基本的にはひとに厳しく自分に優しい。(印鑑)」
フォーメーションにズバッと戻る。
八重「りんかさんに話をうかがってみますかー。りんかさん、どうですかねー今のお気持ちは?」
りんか「ちょっとよくわからないです。」
八重「ですよねー。いきなりですもんねー。はーいそれでは、挑戦者の方々にも話をうかがってみますかー。ではまずーちっこいひとー。」
へいま、八重のもとにきて発言する。おっさんズは発言したあとでへいまの後ろにフォーメーションしていく。
へいま「僕は、りんかが産まれたときから見てました。そしてこれからも、一番近くでりんかを見たい。」
八重「はーキモいですねー。次のかたー。」
おU「年はちょっと離れてますが、ハートはいつも中二です。」
八重「進級したほうがいいんじゃないですかねー、次ー。」
おG「いつもそのへんから見てました。」
八重「見てるだけは危ないですよー、次。」
おC「今日小田急の各駅で来たでしょ?」
八重「各駅しか止まりませんからねー。」
おB「君に課金したい。」
八重「プリペイドですよー、カードはダメですよー」
おY「まぐろ・・・!二人前!」
八重「・・・以上六名になりまーす。どのかたも非常に魅力的ですねー。」
おっさまズ「お願いしまーす!」
八重「それでは早速決めていただきますかー。りんかさん、この中なら誰と結婚しますかねー?」
りんか「結婚?この中?」
おっさまズ「はい!」
法子登場し、システム前へ。
法子「りんかッ!!」
りんか「お母さん!」
法子「意味があるのはただひとつ、自分で選ぶというシンプルなこと!」
叶恭子の格言をいうと羽がはえる。
感嘆の声をあげおっさまズは法子のもとに集まる。
りんか「どっかで聞いたことあるよお母さん!」
法子の高笑いとともにわらわら退場。三人くらい残る。
おY「いい夢見させてもらったぜ、あばよ!!」
残りのおっさまズ退場。
りんか「なんの夢だ・・・!」
一方そのころくんが出てくる。
この間にりんか退場。八重、まきえは板付き。
一方そのころくんが帰っていく。
その五 路上
まきえ「なるほど、つまりそんな感じでイヤホンせっとを買いに行った、と。」
八重「そうなんですねー。でも買ってきたのはこの刀なんですよー、不思議なことってあるもんですねー。」
まきえ「んーとね、八重さんだっけ?」
八重「はい、八重かおりです。」
まきえ「初対面でこんなこと言うのもどうかと思うけど、あなたそれ呪われてるわね。」
八重「呪われ?」
まきえ「うん。八重さんがその刀に。妖刀ってやつね。」
八重「よーとー?なんで私が?」
まきえ「まぁなんでと言われても・・・こういうのって交通事故みたいなもんだから。」
八重「はー、そうなんですかー。」
まきえ「まだ特にどうもなってないみたいだし・・・迷ったんだけど声掛けて良かったわ。手遅れになっちゃうときもあるからね。」
八重「そうですかー。ちなみに手遅れになったら・・・」
まきえ「聞かない方がいいわよ。」
八重「・・・あ、そういえばさっき女のひととか時代?とか見えました・・・これは手遅れという・・・」
まきえ「ん?でもそれ見えたのって刀買う前でしょ?大丈夫よ。」
八重「おー、そういやそうなりますね。ちょっと動揺してました。」
まきえ「ふふ、あなた才能あるのかもね。」
八重「才能ですか?あんまり言われたことないですけど、トロいとかならよく言われます。」
まきえ「こういうのって巡り合わせみたいなもんだからさ、見えない人が突然見えるようになったり、逆に見えてた人が見えなくなったりもするのよ。」
八重「なんか難しい話ですねー。」
まきえ「そう?あんまり深く考えなくて大丈夫よ。」
八重「はぁ。」
まきえ「まぁそれはさておき行きましょうか。」
八重「え?どこへですか?」
まきえ「私の店。呪いとかってそんな詳しくもないから、詳しい人紹介するわ。」
八重「ええとー、ちょっと待ってください。(トランプを出す)」
まきえ「ん?トランプ?」
八重「はいー。田舎のばっちゃが教えてくれたんです。迷ったときにやってみろって。ダイヤの8ならそのまま進んでいいぞって。」
まきえ「へー、ちなみに他のだと?」
八重「もっかいよく考えろって言ってましたー。では・・・(引く)」
まきえ「どう?」
八重「ダイヤの8です。」
まきえ「一緒に行く?」
八重「はい!あ、でも念のためもう一回(引く)・・・ダイヤの8。ついていきます。」
まきえ「ふふ、信頼してるのね、お婆さんのこと。」
八重「はい!・・・ばっちゃだけだったんですよ、私のことちゃんと見てくれてるの。他の人にはトロいとかけっこう言われて・・・でもばっちゃだけは、かおりはそのまんまでええ、無理してチャカチャカ喋らんでもええって。」
まきえ「いいお婆さんね。」
八重「・・・はい!」
まきえ「よし、行くわよ!」
八重「あ、あのー・・・」
まきえ「あ!ごめんごめん。私の自己紹介がまだだったのね。私は沖野まきえ。まぁウェイトレスみたいなもんよ。」
八重「沖野さん、あと私もうお金が全く・・・」
まきえ「全く?なにそれ?」
八重「ええと、刀買うときに、本当はもっと高いんだけど、とりあえず財布の中身全部でいいよって言われまして、これはすごいお買い得だな、と。」
まきえ「・・・あのひげやろう」
八重「え?」
まきえ「んーん、なんでもない。んじゃ今度こそ行くわよ。」
八重「はいー、よろしくお願いしますー。」
まきえ、八重退場。
入れ替わりで縄屋くる。
縄屋「・・・あれ妖刀だったのか。なんかおかしいと思ったんだよ。」
林木登場。
林木「縄屋、そっちはどうだ?」
縄屋「わからん。ということがわかったくらいだ。」
林木「俺もだ。くっ。」
重苦しい間。
縄屋「なぁ、林木。」
林木「何だ?」
縄屋「もし俺が・・・未来から来たって言ったら信じるか?」
林木「いいや。」
重苦しい間。
縄屋「明日のことは何が起こるかなんてわからない。でもな、昨日のことならわかる。そうは思わないか?」
林木「あんまり。」
重苦しい間。
縄屋「俺は思うんだよ。これは予言なんて難しいことじゃなくて、過去の体験、つまり日記を書いたものなんじゃないかって。」
林木「何が言いたいんだ縄屋。」
縄屋「時間旅行者が存在しないという証明は出来ない。」
林木「ああ。なんだってそうだ。そうであるという事実よりも、そうでないという事実を証明するほうがずっと難しい。」
縄屋「今日までだ。」
林木「?」
縄屋「この予言書にはおそらく・・・今日までのことしか書かれていない。」
林木「どういうことだ?」
縄屋「第二次世界大戦、旧ソ連の解体、スクウェアエニックスの合併を指していると思われる文章は見つかるんだが・・・」
林木「明日以降と思われるものはない・・・か。」
縄屋「ああ。」
重苦しい間。
林木「嫌な予感がするな。(ブラインド)」
縄屋「そんなとこにブラインドはない。」
林木「行こう。」
縄屋「ああ。」
二人退場。
サブちゃんが店番しに登場。
サブ「あ、それはですね。マイワシのちっちゃいやつですねシラス。大根おろしと食べると結構おいし・・・ああすいませんり今ちょっと魚さばけるおやっさんってひとがいないっていうか手が離せないらしいというか・・・それ500円です。ええと消費税とるんだっけか、500円の・・・はちぱーせんとくん?ごは四十だから、ハイ400円で千円から、おつり600円ですねまいどあり!一人でも余裕だな。」
電話が鳴る。
サブ「あああ電話だどうしよう。でもちょっと今忙しいからあとにしてもらって・・・」
どら猫の鳴き声がする。
サブ「あ!お前また来やがったのかこのやろー!今日という今日は逃げられると思うなよふふふ!」
はだしになって退場。
その六 喫茶店
まきえ、八重登場。
まきえ「立花さーん。」
立花登場。
立花「ハイハイ。」
まきえ「止めろ。まずこの愉快な音楽を止めろ。」
立花「ハイハイ。」
立花止めにいく。
八重「あの方が詳しいひとなんですか?」
まきえ「一応、専門家みたいなもんね。」
八重「はぁ、緊張してきました。」
まきえ「大丈夫よ、とって食やしないんだから。」
八重「とって・・・食う!」
立花戻ってくる。
立花「ハイハイお帰りなさい。ええと、そちらのかたは?まきえさんのお友達?」
まきえ「や、さっき知り合って、ほら。(促す)」
八重「・・・ええとあの~、かおりって名前はばっちゃがつけてくれまして、本日は八重かおりです。とって食べてもあんまり美味しくないと思いますよ~(冷や汗)」
なんか混乱している。ふしぎなおどりも踊る。
立花「ん?」
まきえ「なんか緊張してるみたいよ。」
立花「そうか。まぁこのナイスミドルガイを前にしては仕方の無いことかもしれんな。やぁやぁ僕こそは葛飾が産んだ・・・」
立花、合わせてなんかする。
まきえ「うるさーい!」
二人「すみません。」
まきえ「んでそれさ、なんか匂うのよね。ちょっと見てくんない?」
刀を渡す。緊張が走る。
八重「んー?なんですかー?」
怪談してるっぽい明かりに変わる。
立花「ははぁ、妖刀か・・・これは、そうだな・・・平安時代、西暦940年くらいか。平家だとか源氏だとかの時代だな。まぁなんか、ものすごく強いやつがいてさ、たくさんいる相手を一振りでバッサバッサ斬っていくんだ。んでそこでまず二人・・・坂東の里を好き放題ヒャッハーしたザコが一人・・・優しく流れる川の流れを変えて激流にしようとしたやつが一人・・・あっさり弓にぷすっとされて一人・・・んで褒美をたんまりもらおうとして最期までついていったが・・・恐ろしく強い紅い桜?そんな女にぶったぎりされて一人・・・こいつは幼馴染みと結婚しようとしてお金が欲しかったみたいだな・・・ざっくり言うとこんくらいの怨念が染み付いてるね、うん。」
明かりが戻る。
八重「・・・すごいですねー、そんなことまでわかるんですかー。言ってることはよくわかりませんでしたけど・・・」
まきえ「昔の話よ。わかんなくて全然平気。」
立花「わかりやすく言うと、八重さんはすぐにこれ手放した方がいいね。」
八重「・・・え?・・・それちょっとヤバいような・・・あのー、私は本当に大丈夫なんですか?」
立花「うーん大丈夫、だとは思うけどどうだろう」
八重「やっぱり都会って怖いとこなんですねー、ばっちゃの言うとおり田舎に居たままのほうが良かったんですかねー。あぁ・・・ふるさと・・・うーさーぎーおーいしいー・・・」
沖野「ん?」
八重「かーのーやーまー。でももうお金無いんですねー。帰るお金もなんもかんも無いんですねー。はぁ・・・」
沖野「はぁ。(立花をみる)」」
立花「(なんかする)」
まきえ「おいこら、ちっちぇー女の子が困ってんのになんだその態度は?」
立花「すみません。」
まきえ「ほら。」
立花「あー、あのー、八重さん?こういうのはどうだろう?うちで働いてお金を稼いじゃったりするのは?」
八重「バイト!!」
立花「そうそうアルバイト。んでその刀は八重さんもってるとろくなことにならなそうだからうちで引き取る。なんかあっても近くに居れば安心だからね。」
まきえ「どう?お金貯まったら田舎に帰ればいいし。」
八重「す・・・」
まきえ「ん?」
八重「住み込みでもいいですか!家も決まってなくて!!」
まきえ「食事は朝晩しか出ないわよ。」
八重「ありがとうございます!!」
立花「へ?」
まきえ「あ?」
立花「うむ。よろしく。」
まきえ「よろしくね。」
八重「はい!よろしくお願いします!」
まきえ「とりあえずそれ着替えようか?」
八重「はいお姉様!!」
まきえ、八重退場。
立花なんかやって退場。
その七 四万十川
鮎太郎が必死に調理しているマイム。
心の声が響く。ここで全部説明すりゃいいかなみたいな深く哀しい声が。
鮎N 「俺と林木、黒田と法ちゃんは俗にいう幼馴染みだ。それなりに栄えてはいるが小せえ街だし、家も近所だしで昔はよく四人で遊んでた。中学生になったあたりから、四人で遊ぶことはだんだん無くなってきて、いつのまにか挨拶を交わす程度になっちまった。俺は少しだけ寂しかったが、まぁこんなもんなんだろうなと思ってた。それが高校を卒業したあたり、俺が四万十川家を継ぐために本格的に修行を始めたとき、珍しく黒田と法ちゃんが二人で店に来て言ったんだ。結婚することにした・・・と。」
途中で初代の声が入る。
初代N「鮎太郎・・・鮎太郎・・・」
鮎N「(気にせずNを続ける)」
初代N「鮎太郎・・・鮎太郎・・・」
鮎N「誰だ?」
初代N「私だ。」
鮎N「いや、誰ですか?」
初代N「はぁ・・・」
鮎N「はぁってなんだよ。いまだいじなとこなんで邪魔しないでもらえますか?ええと、二人で店にきてぇ・・・」
初代N「鮎太郎・・・」
鮎N「んがー!今俺のナレーションなんだからかぶせてくんなよ!」
初代N「私だ。」
鮎太郎ナレーションをやめ肉声に。
鮎太郎「だから誰だよ!」
初代「四万十川ぶり太郎だ。」
鮎太郎「四万十川ぶり太郎?」
初代「わかりやすく言うと四万十川家の初代頭目だ。」
鮎太郎「ご先祖ちゃんでしたか!そいつぁどうも!」
初代「ちゃんはやめろ。敬称で頼む。」
鮎太郎「ご先祖様。」
初代「んふー。(満足げ)」
鮎太郎「あのー、なんでしょ?これからへいまが産まれて、翌年りんかが産まれたあとに黒田は、とかなんすけど。」
初代「うむ、それがだな・・・」
四代目「鮎太郎・・・鮎太郎・・・!」
鮎太郎「今度は誰だよ!」
四代目「四万十川家の四代目、四万十川いわし野郎だ。」
鮎太郎「なんだよいわし野郎って!なになに太郎とかじゃないのかよ!」
四代目「一応名誉のためにいっておくが、いじめられてはいない。」
初代「太郎で続けていこうと思ったんだが、のっぴきならない事情が・・・」
鮎太郎「のっぴきならなくない!なんなんですかご先祖様たち!」
二人「せーの」
四代目「本当は少しだけいじめみたいなこともあった。」
初代「ぶり太郎、めじろ太郎、はまち太郎ときたのでいわし・・・」
鮎太郎「一緒に喋んな!一人ずつ!」
四代目「うわばきにがびょう」
初代「まぁいわし野郎にしたのは直系じゃなくて養子だからだけどね。」
四代目「えっちょっ!そうだったんですか?」
初代「うん。」
鮎太郎「会話すんなよ!俺んちの歴史はどうでもいいよ!」
女N「四万十川家の歴史は意外と古い!」
鮎太郎「またなんかでた!もう・・・んで?あんたは誰?」
女N「四万十川家の歴史は意外と古い!」
鮎太郎「答えになってねぇ!」
四万十川家の家系図が映り、女が山抱き枕をもって出る。
家系図をみんなで仲良く見る。
女N「四万十川家の歴史は意外と古い。初代であるぶり太郎が、この美味しい魚をどうにかして他の地域でも食べることは出来ないだろうか?と考えたことがきっかけだと云われている。塩漬けにしたり、くんせいにしたり、ちょっとあぶったりしたらなんとかなるんじゃないかなと思ったりもしたが、結局は腐ってしまい食べられたものではなかった。そのため四万十川家の商いがどうにか軌道に乗り始めたのは交通の便がもっとよくなってからのことである。」
鮎太郎、途中で止める。
女ちょっと出て帰る。
女「あ、ちょ、最期までいわせてよー・・・」
鮎太郎「もういいよ!初代!初代!」
初代「なんすか?」
鮎太郎「なんすかじゃねーよ!俺がなんなんすかだよ!」
初代「お前の気持ちはとってもカモフラージュされていて他人にはわからないだろうが、四万十川家初代である私にはわかる。」
四代目「オイラにもわかる。」
初代「え?わかるの?」
四代目「そりゃわかりますよ。」
鮎太郎「はい?」
初代「・・・諦めたほうがいいぞ。」
鮎太郎「諦める?」
四代目「うん。」
初代「このままだと長い間続いた四万十川家の歴史が鮎太郎、お前で終わる。」
鮎太郎「なんのはなしかさっぱりですねー」
初代「まぁこいつみたいに養子をとるって選択もありっちゃありだが、時代がなぁ。」
四代目「や、自分それ初めて聞いたんで軽くショックです。」
鮎太郎「俺ぁ決めたんだよ!黒田が死んじまった時!法ちゃんだけじゃねぇ、こいつら三人とも俺が守るって!」
いい感じの間
鮎太郎「だから・・・いいんだよ、へいまもりんかももっと大きくなってそれでも駄目だった時は・・・そん時考えるさ。」
いい感じの間
初代「行け。(エコー)」
鮎太郎「おう!俺は自分の道を進むぜ初代!」
初代「いやそうじゃない。あーでもまぁ、そこまでいうんなら・・・助けてやれ。」
鮎太郎「ん?」
初代かっこよく退場。
鮎太郎、青ざめた感じに急いで退場。
明かり変わる。
三十五代目、山抱き枕をもってシステム上手からちょっと出る。
三十五代目「鮎太郎・・・私だ。四万十川家三十五代目、四万十川かつおだ・・・」
四代目「あ、もう行きましたよ(退場)」
三十五代目「え?あ・・・うん(エコー)」
三十五代目ひっこむ。
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