「人権侵害に関する取り組みを求める請願」について その2 ~請願文からみる問題点~
前回の記事では、請願という制度についてと、今回の請願の背景にあった「千葉県警の交通啓発動画への全国フェミニスト議員連盟による抗議」について、ごくごく簡単に説明いたしました。今回の記事では、私が考えるこの請願の問題点について、具体的に述べていきたいと思います。
そもそも請願者は「フェミニスト議連が抗議を行った理由」を誤って捉えている
今回の請願では、フェミニスト議連側の抗議理由を「Vtuber キャラクターが性犯罪を誘発している」からとしているという前提で書かれています。
しかし、そもそもフェミニスト議連の抗議文において、削除を求める理由は次のように書かれています。
「性犯罪誘発」という言葉は、質問項目の文章の中で1回だけ書かれています。
これは「性犯罪誘発の懸念すら感じさせるものだけど、採用決定過程はどういう検討したの?」という質問であって、「性犯罪誘発するから削除しろ」と言っているわけではありません。
具体的に何をしてほしいのかが分からない
「行政に対して何を要望している」点が不明であることも、この請願の致命的な部分のように思います。
この請願の「請願内容」は次の4点です。
このうちまず、「公開質問状の不当性を調査」については、何を基準にして「正当/不当」を判断すべきとしているのかがよく分からないですし、そもそも役所がそのような権限があるのかがまず疑問があります。
また、「根拠の無い不当なレッテル貼りや表現活動や経済活動に対する妨害行為が人権侵害であるという理解を啓発」というのも意味が分かりません。
この請願の目的は「批判する自由への制限」なのか
「根拠のないレッテル貼り」が「人権侵害」となるかどうかはケースによるでしょうし、「表現活動や経済活動に対する妨害行為」も、法令違反となるようなものは「人権侵害」と言っていいかもしれませんが、本請願はフェミニスト議員連盟の抗議を例に挙げて、「表現活動や経済活動に対する妨害行為は人権侵害だと啓発しろ」と述べているわけで、これは単に「行政機関の広報活動を批判するのは人権侵害だと言え」と要求しているに過ぎないようにもみえます。
言い換えれば、「批判する自由を制限しろ」と言っているに等しいことになるわけで、ここの部分は注意して扱わないといけない部分でしょう。
この点については、明日の委員会審査以降に更に詳しく言及したいと考えております。また、この請願の紹介議員となった岡本ゆうこ議員に対する疑問点もいくつかあるので、その点についても記事にしたいと考えております。