マイノリティがマジョリティになってしまった時点で、その特異性は失われる
勝ち馬にあえて乗らない
人間は、周りに流されやすい生き物です。
ですので、ここに書いていることすべてを鵜呑みにすることなく、あくまでも一意見として参考にしてください。
他の人と同じ服を着て、そのことに何の疑問も抱かない。現状を打ち破ろうという意識が弱まってきた風潮に危惧を感じます。
コム・デ・ギャルソン 川久保 玲
“コム・デ・ギャルソン”の服というよりも、ブランドを率いる彼女の思想ひいては生きざまに共鳴します。
“アップル”が、新機種のiPhone12を発表しました。
スマートフォンというそれまでにないガジェットを世に生みだし、その地位を確固たるものにしたアイフォンは、日本人の全スマホ所有者の半数前後が持っています。
5G対応12への買い換え特需で、新移動通信システム普及の起爆剤になるか?と期待されていますが…
今でこそ飛ぶ鳥を落とす勢いの“アップル”ですが、会社設立当初から順風満帆な企業ではありませんでした。
紆余曲折ありながら、往年の『人造人間キカイダー』を彷彿とさせる半透明のiMacを発売した'98年から、世間一般にも認知度が上がり始めます。
ちなみに、キカイダーよりも悪役ハカイダーの方が好きでした。
そのありふれていない斬新な工業製品の造形美が、ただ単純に「カッコいい」と思ったものです。
世の中の主に電子機器が、なんでもかんでも『スケルトン』に置き換わりました。
家庭用冷蔵庫の扉も透明にすれば、開けなくても中の食材を確認できるのに…と思いましたが、残念ながら採用する白物家電メーカーは現れません。
時が流れて、次々に発売される“アップル”製品に世界中が熱狂していく様を目の当たりにしていると、『アップル熱』は徐々にさめていくのです。
支持する人が多いということは、きっと他社製品よりも優れた製品なのでしょう。
それでもそれに手放しで乗っかるのは、なんだか違和感があります。
写真や動画を撮るでもなく、ゲームをするわけでもない…
そこまでして、iPhoneを持ちたいとは思わないのです。
大衆化していると認識したら、急に興ざめしてしまいます。
それまでの実業団からプロ化したJリーグ、アメ車アストロをコンパクトにしたワゴンRに端を発するミニバン、既存の価値観をぶち壊して批判されたのちに崇め奉られたホリエモンetc.
最初は好きだったのに…
賛同者が多くなれば多くなるほど、その流れから身を引きたくなるのです。
今回はそう思うに至った理由や経緯、その辺を紐解いてみたいと思っているわけで…
その源流はアンチだった
本をただせば、生まれが九州の片田舎だったのが原因かもしれません。
40年ほど前の日本には今みたいに娯楽はなく、テレビ中継がある国民的スポーツの『プロ野球』が唯一の娯楽でした。
ナイターという和製英語すら誕生しました。
『サザエさん』で見かけるような、お茶の間で食卓を囲んでのプロ野球観戦が日常だったころの話です。
中継のほとんどは、全国区の『読売ジャイアンツ』絡みでした。
国内一強市場の構図が似てますね。
プロ野球の「巨人か?それ以外か?」
スマホの「iPhoneか?それ以外か?」
そのころにも、福岡にプロ野球の球団はありました。
西鉄→太平洋クラブ→クラウンライターと続く、西武に身売りされる前のライオンズです。
西鉄時代には、日本シリーズで対戦した巨人相手に3連敗からの4連勝で日本一になるなど、野武士球団と比喩された黄金時代もあったらしいのですが…
物心がついたときにはすでに見る影もなく、夏草や 兵どもが 夢の跡状態のライオンズは人気がないパ・リーグだったこともあって、いつ行ってもホームの『平和台球場』は閑古鳥が鳴いていました。
そして、観客のガラの悪さは天下一品でした。
余談ですが、ライオンズが去ったあとに福岡へ本拠地を移したホークスも今でこそ常勝軍団と言われていますが、弱小軍団だったころのファンの質はすこぶる悪く、『藤井寺球場』や『西武球場』で暴れ回っています。
今のようなSNS上の匿名希望で陰に隠れて誹謗中傷をする卑怯なやり口ではなく、ふがいない選手や監督を目の前にガチで罵詈雑言を浴びせ倒すタチの悪さ。
生卵や発煙筒を投げつけたりもしました。
そんな折、福岡県民が巨人を敵対視することになる事件が起こります。
『昭和の怪物』と呼ばれた法政大・江川 卓投手が、ドラフト会議で交渉権を獲得したクラウンを「九州は遠い」という理由で入団拒否したのちに、半ば強引な手法で巨人に入団してしまったのです。
今では考えられないくらい、巨人の影響力が強い時代でした。
そんな少年時代から、多数派に対して少し距離をとるようになっていった気がします。
すべては主観的発言
そういう生い立ちから斜に見るクセがついた時計オタクが考察する、特定の属性が好んで着ける腕時計のあれこれです。
情報発信のハードルが下がった現在、ネットを漁っていると…成功者やコレクターの“ロレックス”ドヤ感圧が強いこと強いこと。
特に、『スポーツロレックス』と呼ばれるカテゴリーに属するデイトナ一推し率70%。
ひときわ高いデイトナのリセールバリューを理由に、悦に入ってらっしゃいますが…
どうせ売らないんでしょ?
それなら、ソコはどうでもよくないですか?
数ある横3つ目クロノの中で、デイトナでなければならない…いわゆる『デイトナ愛』が伝わってこないのです。
同じ“ロレックス”にするでも、デイトジャスト辺りをなにも言わずに「サラッ」と着けておいた方が、今の時代はカッコいいと思うのですが。
彼らと同類項になるのを嫌った可処分所得が高い層は、雲上ブランドの“パテック・フィリップ”ノーチラスや“オーデマ・ピゲ”ロイヤル オーク(これは、とあるハイブランド紹介チャンネルの影響があると思う)に逃げています。
雲の上とまでは言わなくても、雲の中の“ブレゲ”じゃダメなんでしょうね。
桁違いの富裕層は、“リシャール・ミル。
一般庶民のこっちからすると「リシャール」とか言われても、競走馬のフサイチリシャールくらいしか知らないわけです。
カラフルな色使いが、今はなき“アラン・シルベスタイン”を思い出させます。
IT系成り上がり起業家は、例にもれず“アップル ウォッチ”。
ヒエラルキーがある高級腕時計社会で、歴史と価格を完全無視して『つり革バトル』の土俵に上がれるのは、このスマートウォッチしかありません。
『健康管理機能』とかは『クロノグラフ』と同様無用の長物なので、ポイントにはなりませんが…
もちろんこの中には金額的に買えないものも多数ありますが、もし新たに腕時計を買うなら装着率が高いこれらは外します。
“アップル”の話に始まり“アップル”の話で終わってしまいましたが…
埋もれないように、世の大多数ではない対抗軸に目を向けるということにフォーカスした、ポジショントークです。
これが正解だとか、不正解だとかいう話ではありません。
そんな考えもある…
ジャンルを問わず、似たようなポジションの発信者が言うことばかりを盲信せず、たまには違うポジションの意見も聞いてみることです。
そうすることで、視野が広い人間になると思ってます。