濡れた路面を歩くのは、ゴム底か?革底か?革底を加工するか?それが問題だ
レザーソールの弱点
革靴は、実用品ではなく工芸品です。
“ベルルッティ”のパティーヌは、ため息しかでません。
30万円クラスの靴にもなると人目につくアッパーに手をかけるのは当たり前だとしても、ちょっとした動作でしか見えない靴底を装飾したり色を塗って仕上げたり…
そして、見えないばかりか美しい靴底は地面と擦れて…いずれ消えてなくなります。
そのカゲロウのようなはかない命は、『諸行無常』の世界です。
フォーマルな革靴は、レザーソールの一択だと思っています。
店頭で気になった靴は、真っ先にひっくり返して底材を確認していました。
ゴツくもない革靴のラバーソールとか、セメントのストレートチップやプレーントゥを履いている『サラリーマン 山田』のイメージしかなくて…
あくまでも、偏見です。
先日、行ったついで買いした“パドローネ”のショートブーツも例にもれずレザーソールですが、皮革は耐水性がウイークポイントです。
水に弱いうえにマッケイはその製法上、雨の日に長時間履いたら靴底の糸の縫い目から水が染み込んで靴下が濡れてしまいます。
水が染み込みにくい糸を使っているとはいえ“パドローネ”もマッケイ靴を売るのなら、いっそのことヒドゥンチャネル(伏せ縫い)で縫い糸を隠してその分のコストを上乗せして売れば、売り手買い手がWin-Winの関係になれると思ったのですが…
3万円ほどの靴を売っているのに、工数が増えた分を価格転嫁できるかどうかビミョーなので、安易にやるわけがないですね…
シロウトの浅はかな考えでした。
パッと見は、ラバーソールと分からないビジネスで使える革靴が、各ブランドからリリースされています。
硬い床を歩かないとバレません。
梅雨時期にマッケイの靴を買ったことで、ラバーソールの意義を再考察することにしました。
ゴム底嫌いが、わざわざゴムを貼る矛盾
ゴムはスポーツライクな素材なので、フォーマルなアイテムに使うとミスマッチを起こします。
イヤでしょ?
ラバーストラップの“A.ランゲ&ゾーネ”ランゲ1とか。
それを知ってか知らずか、革底好きの諸氏で靴底にゴムを貼ったりする人がいます。
意見が真っ二つに割れる、レザーソールの革靴をハーフラバーにする?しない?問題です。
まず始めに、靴の底材としては『革』よりも『ゴム』の方が、機能性に優れています。
ラバーソールの革靴をハーフレザーで補修する人なんて、誰一人いないでしょ?
それも踏まえて、個人的にはつま先部分だけ貼る派です。
つま先は引っかけやすいし擦れやすいので、ゴムでもスチールでも貼った方がいいと思います。
貼る派の人が主張する、スリップ防止と革底の保護。
どっちがいいとかそういう話ではなくて、そもそも本革のメリットもデメリットも理解した上で買っているはずなのに、新品の革底を自ら削ってゴムでカバーをするという…どうしてレザーソールの革靴を買ったのか?が解せないだけです。
これを車に例えると、革張りシートを汚さないように納車のときシートに被っていたビニールをそのままにして乗るような、凡人にはよく分からない価値観でして…
そんなにシートを汚したくないなら、“コール ハーン”グラマシーを履くという選択肢があります。
レザーソールのウェルトを守るゴムが標準装備されている、貼る派の手間を省いた一品です。
ホールカットだけでなく、ダブルモンクやウイングチップもあります。
革底がゴム底に比べて滑りやすいのは事実だし、お気に入りのレザーソールが濡れて劣化が早まるのを少しでも防ぎたいというのも、同じ革靴好きとして痛いほど分かります。
雨靴と割り切ってラバーソールの革靴を履くか?それすらイヤなら(そこも分かる)政府も奨励していることだし、サブ機で水陸両用のレザースニーカーを調達しましょう♪
いまだに靴のドレスコードがある、時代遅れの会社ではない前提ですが…
貴方の靴は見られています
ビジネスに耐えうるレザースニーカーで最初に思い浮かぶのは、今や入手困難な“ステファノ・ブランキーニ”のスプリングです。
このソールの薄さを見てください。
靴のソールは厚くなれば厚くなるほど、カジュアルに寄っていきます。
ここまでくると…フツーにラバーソールの革靴でよくね?と思える出来映えですが、それでもあえて履き口をスニーカー仕様にしている奇才ブランキーニ作フルブローグの放つ色気はヤバい。
オトナが履くスニーカーです。
有名どころはムリでも2番手ブランドの本格革靴が買える値段なので、この靴は沼の住民専用です(サイズ8があれば今でもほしい)。
似たような『おかめスニーカー』は他ブランドからもリリースされていますが、これほど完成されたスニーカーを見たことがありません。
市場に出回っているレザースニーカーって、『スポーツスニーカー』しているものが多くないですか?
要するに、“ナイキ”や“ニューバランス”などのスポーツブランドのスニーカーです。
猫も杓子もビジネススニーカーに白の“アディダス”スタンスミス『推し』してますけど、スーツやジャケパンに合わせるとか…イタリア伊達男の休日スタイルとでも勘違いしているのでしょうか?
スーツに合わせるスタンダードな革靴のほとんどは黑か?茶なのに、どうしてそこでハードルを上げる?
アパレル業界人でもない一般人が、飛べない高さの跳び箱を飛ぼうとする必要はありません。
アッパーがクラシックな革靴のデザインを踏襲せずに、それでいて難易度を上げないですむレザースニーカーをご紹介します。
しかも、パフォーマンス最強で。
オススメは、“スリージェネレーションズ”オリジナルのレギュラーモデル0410と派生のクロコモデル0410 croco、コラボモデルNI-0410、限定モデル0410-171と上位互換04175種類の黒と茶。
お分かりのように、パターンは『0410』の1つです。
似たシルエットに『0412』がありますが、こちらはアイレットがつま先の方まで延びています。
アイレットの数が増えてヴァンプ幅が短くなるとカジュアル感まっしぐらなので、ビジネススニーカーの今回は『推し』から外しています。
すべて2万円を切る価格なのに、靴底の張り替えもできるので使い捨てではありません。
相手が皇室御用達だとしても、似たシルエットの“大塚製靴”クラシックレザースニーカーより5千円ほど財布に優しい価格です。
ドーパミン放出が90%クラスのデザイン、価格、アフターフォローの3拍子が揃っていて、1番のオススメポイントはメディア露出が少なくそこまで有名ではないというところです。
つまり、他人とカブる可能性が低い。
大事なことなので、もう一度言います。
「他人とカブる可能性が低い」
結局なにが言いたかったのか?というと、雨の日はスニーカーを履きましょう!というお話でした。