文字盤のブロードアローを踏まえて、NATOストラップもイギリス野郎に変身
ラジウム→トリチウム→ルミノバ
ミリタリーウォッチと夜光塗料には、深い関係があります。
夜間の戦場にて、時刻を確認するため敵兵に見つかるおそれのある明かりをともすわけにもいかず、その打開策として夜光塗料をインデックスや針へ塗るようになりました。
1900年代初頭は、キュリー夫妻が発見したラジウムを用いた塗料を塗布していたのですが、当時は放射性物質の危険性が世間一般に認知されておらず、アメリカの時計工場で働いていた女工たちが、ラジウムの付いた筆先を舐めることで内部被ばくを起こし、次々と亡くなっていったのでした。
ラジウム ガールズの告発からそのリスクが知れ渡り、1960年代には夜光塗料の原料はラジウムからトリチウムへと代わっていきます。
トリチウムとは、福島第一原発事故により発生した汚染水を浄化するALPSでも除去できない、自然界にも存在する中性子を2個持った三重水素のことで、ラジウムと同じく放射性物質です。
なので、トリチウムを含んだ処理水を海洋放出すると日本政府が発表すると、「待ったました!」とばかりに反日の中・韓両国が、感情論で噛みついてきたのです(この2カ国も、自国の原発から同じ処理水をたれ流している矛盾)。
トリチウムも時計の夜光塗料に使うくらいの量なら、人体に悪影響をあたえることはないようですが、そのような腕時計はトリチウムを使ってますよ…という『T』や『T<25』のサインが、文字盤6時位置下に小さく入っています。
ラジウムにしてもトリチウムにしても、初代10系セルシオで採用されたオプティトロンメーターのように自発光するものの、
ラジウムの半減期が1,600年に比べ、トリチウムの半減期は約12年と短く(発光しなくなる)、21世紀を前に夜光塗料主役の座は、日本企業の根本特殊化学が開発したルミノバに移行して現在にいたります(“ロレックス”は、独自にクロマライトを開発)。
トリチウムを文字盤に直接塗布した腕時計というのは、生産終了してからすでに20年以上が経っており、そのころの腕時計が暗闇で光ることはほとんどありませんが、紫外線や温度、湿度の関係で白いインデックスや針が徐々に茶色へと変わっていく『トリチウム焼け』は、ムラなく均等に変色すればセミヴィンテージ市場で評価されます。
ちなみに、“オフィチーネ・パネライ”の主要モデルラジオミールの由来は、ラジウムをベースにした塗料の名前から、もう一方の看板モデルルミノールの由来は…この流れならルミノバと思わせておいて、実はトリチウムを使った自発光塗料名からきているという『引っ掛け問題』でした。
ミリタリーウォッチ、“MWC”マークⅢの文字盤をカタログでよく見てみると…
12時位置に、MWCロゴと◯にTのマークが記してあります。
この『T』が夜光塗料の種類(トリチウム)を表していますが、実際に送られてきたのは『L』(ルミノバ)仕様でした。
そして、6時方向にはブロードアローも…
ベルト交換 ナイロン編
“MWC”マークⅢの欠点は、NATOストラップがペラペラのヨレヨレだったこと。
これなら、550円で買える“ダイソー”ミルウォッチのベルトの方がよっぽど頑丈で、ピンバックルやキーパーなどの金属部分も細く、ラグ幅が18mmなのも相まって貧相に見えます。
“MWC”は純正の替えベルトも売っていますが、これが腕時計に付属しているNATOストラップと同じなのか?それとも別物なのか?が分かりません(ショップに聞けば確定するけど、多分同じものだと思う)。
一か八かで純正に3,000円を出すのなら、ブロードアローにかけてMODへG10ストラップを納品しているホンモノのイギリス産“フェニックス”社製の未使用品が、ヤフオクで出品(1次流通品は、4,000円ちょっとで売っている)されていたので、そちらを買った方がいいかと。
“フェニックス”のNATOストラップは、“ロレックス”のグリーンサブ16610LV用にとJBカラーを買ったことがあり、生地の厚さからくる『しっかり感』もナイロンを縫わずに熱で溶かして圧着させている製法も知っております。
ヤフオクだったのでカラバリはあまりなく、とりあえずは純正と同じ黒にした“フェニックス”NATOストラップのドーパミン放出は90%。
これで「チャンチャン」だと、記事にするには文字数が少ないということで…
ベルト交換 レザー編
よくあるNATOストラップ(フェニックス社のそれも例にもれず)の全長は長く、その理由は剣先をふたたびバックルに近い方のキーパーに折り返すからなのですが…
とどのつまり、ベルトが長すぎて着けるときに剣先をピンバックルに入れにくいのです。
その点、一枚革のNATOストラップは折り返すと革の床面が表側にきて美的によろしくないので、ムダに長くはありません。
まぁ、“MWC”マークⅢはラグのバーが『ハメ殺し』でもないバネ棒なので、フツーのベルトにも交換できますが、ミリタリーウォッチ特有の飾りっ気のない素朴な顔つきゆえ、ゴージャスなクロコ革(型押しも同じく)にDバックルとかは不釣り合いなわけです。
UNLIMITEDの自社サイトには、コードバンのNATOストラップ(サードパーティ製)が売っているけど、16,800円と『革の宝石』だけあってちと高い。
そんなとき、ダーティダース似のクォーツ時計をリリースしていたブリティッシュ メイドが、“グレンロイヤル”の替えベルトを単品で売っていたのを思い出したのでした。
ブライドルレザーのNATOストラップ。
そして、『出来レース』のように横幅は18mmのワンサイズ。
ブロードアローが印刷された腕時計と、ブライドルレザーでできたNATOストラップのイギリス連邦マリアージュです。
時計本体は、敵国ドイツ製だけれど…
予想通り、ブリティッシュ メイド楽天市場店では売っておらず、ブリティッシュ メイドの自社サイトにて買った、“グレンロイヤル”ウォッチバンドのドーパミン放出は74%。
11,000円が割高には感じましたが、オンラインショップの在庫数が3カラー✕2本しかない極小ロット生産なので、コスト高になるのはいたし方ないのかもしれません。
アンティークな、ダーティダースベースの時計に合わせてのNATOストラップですので、鏡面仕上げされていない金属部分はレトロチックで、“MWC”マークⅢのシャープなイメージとミスマッチだったのは、ちょっと残念でした。
Episode1 “ダイソー”ミルウォッチ。
Episode2 “ナバル ウォッチ”FRXA002。
Episode3 “MWC”マークⅢ。
ビニール→厚紙→金属の順に腕時計のパッケージが強化されていく様は、『3匹のこぶた』を彷彿させた【ミリタリーウォッチ3部作】でした。
チャンチャン♪
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