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目利きが効いて相場が読めれば、競売システムはオトクに買えるマーケット

イタリア靴との出会い

ファーストコンタクトは、はるか昔にオファーされた黒いクロコ革のプレーントゥでした。

知り合いのショップ店員から「5万円でいいから買ってほしい」と頼まれたいわくつきは、ネットワークビジネスをやっている顧客からのオーダーで仕入れたものの、連絡がつかなくなって行き場のなくなった革靴です。

要するに、客に飛ばれたというわけです。

当時で定価が30万円ほどのエキゾチックレザー靴とか、カタギは履かない時代でした。

今は知らんけど。

それが、イタ靴“エンツォ ボナフェ”との出会いです。

意地でも履こうしましたが、足が入らなかったので流れた案件でした。

2サイズ下とか、入るかΣ(゚Д゚)


イタ靴はロングノーズのスタイリッシュな靴よりも、ノミで削ぎ落としているようなチゼルトゥの靴が好みです。

逆にラウンドトゥのような革靴を買うなら英国靴にすればいいわけで、わざわざイタ靴にすることもないと思います。

マッケイ靴が多いし…

かつては手ごろな価格で、よさげな“ステファノ ブランキーニ”の靴がありましたが、買いそびれていたらいつの間にか廃番になっていました。

今は靴のフェラーリ、ブランキーニらしいのは清水から飛び降りたら全身打撲で死亡する金額の最上級ライン、『ブランキーニ・カルツォレリア』しかありません。

しかも靴の色やデザインがトガりすぎて、ガシガシ履く実用的な靴というよりも床の間に鎮座させとく鑑賞用の靴で、履いてトータルコーディネートしようとするとハイレベルのファッションセンスと生活水準が必須になります。

このレベルの靴には、一点豪華主義が通用しません。

敷居を下げて中級ラインの『ステファノ・ブランキーニ』もあるのですが、これはこれで見た目的にブランキーニらしくもない一般的なイタ靴です。

中級ラインといっても、定価8万円くらいはしますが…

そういうわけで、触手が伸びる本格イタ靴とは無縁の生活を送っておりました。



ボナフェ出品祭

ある日のヤフオクで、懐かしの“エンツォ ボナフェ”未使用靴が同一IDから数点出品されていました。

ラスト(木型)の型番が同じ946なので雰囲気は似ていますが、ウイングチップ、ダブルモンク、ホールカット、チャッカブーツの4種。

しかも、出品物すべてが81/2のマイサイズ。

選びたい放題です。

定価15万円オーバーの革靴が売価はどれも6万円前後とあまり変わらず、ウォッチリストの数からすると1番人気はホールカットの46人。

しかし、ここで狙ったのはウォッチリストが9人のチャッカブーツ。

なぜなら、ほかの靴はハンドソーンウェルト製法なのに対して、チャッカブーツはノルベジェーゼ製法だから。

コバまで角ばった、イタ靴のノルベジェーゼは大好物です。

数万円は高いはずのノルベ・チャッカブーツとハンドソーン・ ホールカットの入札価格が同じなので、落とすならチャッカブーツしか考えられません。

滅多に出ないシロモノだったので今回は短期で落札しましたが、このように似た商品が同一もしくは類似性のあるIDから複数出されていたら、ほとんどの場合は一定期間入札がないと数%ずつ設定価格が下がっていきます。

ウォッチリストに入れるだけ入れといて放置しておいたら、いつの間にかスタート価格を下げられて誰かに落とされていた…なんてことはよくある話です。

こういった売り方をするほとんどはプロのセラーで、ミニマリズム断捨離で私物を処分しているアマチュアIDとは即決価格変更のスピードが違います。

彼らは時間勝負で現金化してくるので、目が離せません。


つま先から甲への立ち上がりとグラマラスなボールジョイントの張り出しが、N700系新幹線を彷彿させるシルエットです。

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3722チャッカブーツは本国イタリア専用のモデルなので、最初は別注を販売している国内セレクトショップの靴が流れてきたのかと思いましたが、インソールのロゴがそれと違ってボナフェオリジナル刻印で、靴の出どころは分かりませんでした。

流通ルートが不明なところとコバの処理が雑だったので、一瞬フェイクを掴まされたか?と頭をよぎりましたが、出品者の信用度合いと付属品も含めてほかには粗がなく、そこを完璧に真似るレベルならコバの仕上げも少しはマシなはずなので、元からこんなものなのでしょう。

少しガッカリした部分でした。

入手価格が定価の1/3のため、ドーパミン放出78%



ヤフオク心得

オークションは、心理戦です。

1円スタートならすぐに入札がありますが、スタート額や即決額がある程度の金額になると…たとえウォッチリストが多くても、誰もオークションに参加してこないなんてことはザラにあります。

1円でも安く買いたいのが人情なので、下がるのを待ちたいというのも分かりますが、狙っていた出品物が即決だと入札があった時点でジ・エンドですし、成り行きでも先に入札されたらそれを上回る金額で入札しなければなりません。

他フリマサイトでも出品している可能性があり(サイト間の経費の差から設定価格が違う場合もある)、出品者がショップならECサイトや実店舗でも販売していることもありえるので、露出が多ければ早い者勝ちな側面もあります。

入札は、タイミングがすべてです。


ヤフオクでは落札日によって使える割引クーポンやポイントバックの特典があるので、入札参加者がいなければ有利なイベントがあるときに落とすのが常套です。

前みたいに、ポイントサイト経由の『ポイ活』やくじ引きでわりと容易に出た20%のTポイントバックはなくなりましたが…

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落札したからといって、喜んでばかりもいられません。

ヤフオクはメルカリと違って買った方が送料を負担することが多いので、送料未定の場合は落札後に知らされる送料の金額に、びっくりすることが多々あります。

基本、送料がかかるECサイトで買い物をするよりも高額です。

特に着払いは、同県から60サイズでも平気で2千円とか言ってくるので、ご注意ください。


今回は、サイズ感のシビアな革靴なので万人にはオススメしませんが、出品物と出品者のことをリサーチできれば、20万円近くする靴でも未使用の2次流通品なら、6万円程度で手に入れることは、そう難しくありません。

店頭で試着した方がいいに決まってますが、『閉店セール』でもやっていないかぎり、リアルでこの割引率はありえません。

なんにしてもほとんどは1点物で、よっぽどのことがないかぎり店頭で見つけた『お気に入り』と同じものは出品されていないので、どこを妥協するかです。

ブランドか?

サイズか?

素材か?

色か?

形か?

状態か?

縛りが多いほど、落札対象は少なくなっていきます。



noteを書いている中の人はファッショニスタではありません。レビュアーでもありません。 あえてたとえるなら「かろうじて美意識のあるオッサン」といったところです。 自分が買いたいものを買っています。 サポートしなくていいです。 やっていることを遠くから見守っていてください🐰