現行パイロットウォッチの王者mk.ⅩⅧに対抗すべく現れた、黒い刺客mk.Ⅲ
数ある◯WCの中から
とあるソムリエが、「“ロマネ・コンティ”が美味いのは当たり前。テーブルワインの中から、掘り出し物を見つけてくるのが仕事」と言っていたのをふと思い出した。
ミリタリーウォッチをリリースしているメーカーには、インターナショナル・ウォッチ・カンパニーを始め、以前FRXA002を買ったナバル・ウォッチ・カンパニーに、ルーツを遡ると“ハミルトン”にたどり着くカボット・ウォッチ・カンパニー、名前がまんまのミリタリー・ウォッチ・カンパニーと、『なんちゃら ウォッチ カンパニー』の名がついた腕時計会社がいくつか存在します。
一口に軍用時計といっても、“IWC”のようなヒエラルキーの上位にいる高級時計から、“ナバル ウォッチ”のようにミリタリー風なファッションウォッチまでさまざま。
その中で、どれが腕時計好きのオッサンが着けるミリタリーウォッチの最適解か?となると、“IWC”にしてはリーズナブルな6桁円で買えるマーク18に、軍配が上がりそうな気もしますが。
ちょっと、待った!
57万円のパイロットウォッチが割安に感じるのは、スポーツロレックスが軒並み100万円の大台に乗るのがフツーの、現在から見ている話だからでして…
高級腕時計の価格高騰で、金銭感覚が完全にバグっております。
同じ相対的でも、3世代前マーク15の定価が30万円台のころを知っている身からすると、60万円近くするマーク18は高く感じる。
それでも、メタルブレス装着のミリタリーウォッチをドレスで使うなら、ほかのミリタリーウォッチにはない『育ちの良さ』がある、“IWC”パイロットウォッチの独壇場になるので、可処分所得がある人はまた値上がりする前に、とっととマークシリーズのIW327015を買ってもらうとして…酔っぱらってどこかの飲み屋に忘れてきても、「ドンマイ♡」で済むような普段使いのミリタリーウォッチがほしいのなら、ほかのブランドを探さなければなりません。
イギリス軍へ腕時計を供給するため、1972年創業“CWC”をさり気なく着けるのもこれまた一興ですが、「入手したければ、英国軍に入隊すること」と揶揄されるほど、市場にほとんど出回りません。
出てきたとしても、気軽に買えない金額なのは目に見えています。
それで、メディアの露出が極端に少ないので『知る人ぞ知る』ブランドになってしまった、“MWC”に焦点をあてたのでした。
ここは、1974年に設立されたミッションウォッチの老舗です。
1万円もしない使い捨て時計から7万円台の潜水時計まで、オリジナルよりもアップグレードした復刻版腕時計をお求めやすい価格帯で提供しています。
そして、ダーティダースタイプだろうが、独アビエイターver.Aver.Bだろうが、ベトナム戦争モデルだろうが、朝鮮戦争モデルだろうが…ミリタリーウォッチならなんでも揃います。
生産数が100とか200などの小ロットモデルも多いので他人とも被らず、デパートにあるスイス製の高級腕時計からホームセンターのサービスカウンターにあるチープ時計まで、ひと通りの腕時計を堪能した『違いがわかる男』にオススメするブランドです。
ほかのミリタリー時計は必要ありません。
どれにしようかな?神様の言う通り
アフターケアの観点から、外国製腕時計の並行輸入品だけはどうしても避けたがる性格ですが、今でも日本の“MWC”輸入総代理店が稼働しているのか?が分からない状況で、正規販売店とされる店舗もずっと「売り切れ」中と商品の補充もおこなわれていない状態なので、たぶん総代理店の会社が倒産したか?メーカーとの契約が切れたのでしょう。
仕方なく、並行輸入業者とはいえ“MWC”の腕時計しか取り扱わない、ある意味“MWC”のプロフェッショナルな販売店アンリミテッドで買うことに。
ここなら、修理やOHのときでも問題はないでしょう。
“MWC”腕時計群の中から、どのモデルにするべきか…
ミリタリーウォッチには陸・海・空の3種類がありまして、陸は“ダイソー”のミルウォッチ、海は真贋2本のサブマリーナを持っており、残すは空だけです。
手持ちの腕時計たちを見てみると…シルバー(ステンレス)のケースに黒文字盤ばかりのワンパターン。
自分の中で、軍用時計の文字盤を黒以外にする選択はないので、ケースの色を変えるしかない。
一部では、ヴィンテージ感を演出したブロンズカラーもちらほら見かけますが、腕時計の新定番にもなりつつある黒のケースに決定。
ラグジュアリーブランドの黒いケースはセラミック素材を使用していますが、ここは実用ブランドの“MWC”ですので、ステンレスにPVDコーティングをしております。
精悍なブラックケースに、機械式のムーブメント。
文字盤には、パイロットウォッチ特有の12時位置に鎮座するトライアングルインデックス。
奇しくも、“IWC”マーク18の始祖マーク11をモチーフにした、“MWC”マーク3に行き着きました。
なにか…因縁めいたものを感じます。
このモデルには、上位互換のリミテッドエディションがあり、その差はレギュラーの風防が安価なミネラルガラスなのに対して、高級腕時計にも採用されるサファイアガラス。
レギュラーのラグ幅は18mmだったのに、リミテッドのラグ幅は20mmなので、ケースは別物だと思われます。
心臓部は、両モデルともに“セイコー”のNH35A。
レギュラーの箱は金属製で、リミテッドが紙箱なのは謎ですが、要はサファイアクリスタルに8千円を出せるか?ということになります。
それくらいの差なら、普段は上位モデルを買うのですが、実際に買ったのはレギュラーモデルでした。
その理由は、ポチったのが販売店のサイトではなくヤフーショッピングだったからで、そこではリミテッドモデルを取り扱っていなかったからです。
売る方は販売手数料のない自社サイトで売りたいでしょうけど、買う方はポイントでの割引やサイトポイントの汎用性から、大型のECモールで買いたい。
ポイントバックの分を差し引いても、なお安い価格を提示してくれるのなら、そちらの自社サイトで買いますけど(自社サイトでしか使えない、オリジナルポイントはいらない)…
割引クーポンやポイント増量で、3万円程度になった“MWC”マーク3のドーパミン放出は85%。
高級品ではないけれど、20倍以上の価格差がある“IWC”トップガンを連想させる“MWC”マーク3PVDのような腕時計は、ハウスワインと同類項のような気がする。