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これ見よがしなブランドロゴの姿を見せずとも、獅子はその爪痕で分かる
琉球帰りのバッグ
今から30年ほど前、雑誌Beginの鞄特集号で紹介されていたのが、映画ワーキング ガールの小道具でつかわれていた、
米国“シュレジンジャー”のベルティングレザー製ブリーフケースと、
現在イギリスのV&A博物館に収蔵されている、
英国“ビル アンバーグ”のブライドルレザー製ロケットバッグでした。
インターネットもない当時は、どこで売っているのか?を知ろうにも、雑誌に載っている代理店に電話をして聞くしかなく…
しばらくして→
福岡では“シュレジンジャー”は大丸、“ビル アンバーグ”はビームスで販売しているらしい…との情報を小耳にはさむと、そそくさと天神に出向いてはまず大丸へ問い合わせをするのです。
ところが、そのときの大丸ではすでに“シュレジンジャー”を取り扱っておらず、それならとビームスに連絡をしてみると「ダークブラウンなら、在庫がありますよ」との返答が。
本当はタンがほしかったのですが、このままスゴスゴと手ぶらで帰るわけにもいかず、大名にあるビームスへと向かうのでした。
名札のいらないバッグ
ロケットバッグの、無駄なものすべてを排除したその独創的なデザインは、ほかのどのブランドのどのバッグとも被らず、遠目から見てもすぐにそれだと分かります。
そんな唯一無二であるダークブラウンのロケットバッグを、わが家に無事お迎え(ガールズのみなさん風に言うと)したのもつかの間、気がつけばアルミハンドルの磁石がとれてなくなっており、ビームスに修理依頼をすると…うちのロケットバッグは、生まれ故郷のイギリスへと里帰りしていきました(おかげで、マグネットホック取り付けに5千円も取られた)。
それも、今は昔。
生みの親“ビル アンバーグ”は、日本での輸入総代理店がなくなって正規ルートが途絶えてしまい、『絶滅危惧種』となった並行輸入ロケットバッグが、かなり高騰しているとか。
(本国のサイトで計算したら、60〜70万円台になった)
そんな希少品なら、中古はいったいいくらするのか?気になってフリマサイトを探索すると…保管状態がよくても、せいぜい5〜6万円が関の山。
そもそもバッグに関しては、演歌のフレーズを口ずさみながら『清水買い』するほどの、情熱や興味を持ち合わせていない男性ばかりなので、『メンズ鞄』はこの価格が妥当なのでしょう。
なので、新品のロケットバッグが○万円で投げ売りされていたりするのです。
運命のバッグ?
メルカリで出会ったそのバッグは定価12.6万円、“アクアスキュータム”160周年記念の『ダブル役満』ロケットバッグ。
夢にまでみたタンカラーが、8万円で絶賛販売中!
8万円ならすぐにでもポチりたい衝動に駆られますが、ここは一旦はやる気持ちを抑えて最近のメルカリ購入ではおなじみ、『チキンサポートシステム』をつかって、5%OFFの7.6万円での打診。
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すると、こちらの希望額のさらに上をいく7.5万円のアンサーが…
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もう…ガマンできましぇん。
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送られてきたダンボールのサイズに違和感をおぼえながら開封すると、鎮座していた『おニュー』のロケットバッグは、古株のダークブラウンより一回り小さい。
「もしかして、ババつかんだ?」
少々混乱しながらも遠い記憶をさかのぼると、ロケットバッグにはサイズ展開があると、どこかで見聞きしたような…
ダークブラウン・W45.5✕H31.5✕D12.5(cm)
タン・W40.5✕H26.5✕D10.5(cm)
小さなサイズしか知らないのなら、ネガティブな感情にもならないのでしょうけれど、最初に大きなサイズから入ってしまうと、その『ぬりかべ』のような威圧感もふくめてのロケットバッグ。
頼りなさげに見える、小ぶりな新品ロケットバッグのドーパミン放出は91%。
ダークブラウンのボディには傷や染みが付き、アルミハンドル部分にもあちこち鬆がはいったりして、「がっつり」経年劣化をしていますが、結局は沖縄から生還してきた古参が『相棒』としては1番しっくりくるという…
『革鞄とワインは古い方がいい』
と、フランスのことわざにあったような?なかったような?
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