トートバッグにすべて詰めこんで、気が変わらないうちにココを離れるよ
ひさかたぶりの沖縄
約2時間半のフライト。
モノレール車窓からの風景が、沖縄にいたころの記憶を呼び覚ますのです。
そして、屋外に出ると襲ってくる「むわっ」とする熱気の層に、持ってきた薄手の手ぬぐいごときじゃなんの役にもたたない南国だったことも…
おそろいの『オリオンビールTシャツ』を着て、
楽しげに話しながら練り歩いている観光客でごった返す国際通り。
そんな、ハイテンションな旅行気分とは裏腹に、素の現実社会にもどったら…なんで買ったのか?すら思い出せずに部屋着と化す、販促品のようなTシャツなんか売らずに、ボート アンド トートのカラーを紅型にした『琉球スペシャルモデル』を、
おきなわ屋あたりの大手土産物屋が“L .L. ビーン”に別注すれば、地元に帰ったあともつかえるのに…
とか考えながら、店のある桜坂周辺を5分や10分そこら歩いただけなのに、脱水症状になってすぐにでも座り込みたくなります。
初日、2日目と『暑さ耐性0』のままなんとかタスクをこなすと、最後に不動産屋へ店の鍵を渡せばすべての工程は終了。
不動産屋が来るまでのあいだ、がらんどうとなった店内を見渡しながら、これまでの16年を振り返るのです。
人生すべては運任せ
余命いくばくもない人たちが、『人生で悔やんでいること』ランキングでかならず上位に入ってくる、
挑戦しなかった後悔。
稼ぐ系の情報商材屋やMLMをやっている連中が、クロージングするときの『口説き文句』で、よく引用しています。
本人たちがそう思っているのなら、あながち間違いとは言いませんが、この話には落とし穴があります。
それは、挑戦した場合の『パラレルワールド』が見れない以上、した方がよかったのか?しなかった方がよかったのか?の判断が、できるはずはないということです。
これまでの人生に満足していなくて、その原因を探しては「あの日あの時あの選択をしていれば、きっと人生はバラ色だった」と強引に仮説を立てているだけであって、やっていたら今よりももっと悲惨な人生になっていた可能性は大いにあります。
失敗したとしても、挑戦することに意義がある?
『敗者復活戦』にエントリーすることがあれば、失敗もまた糧となりうるかもしれませんが、もう飲食業をするつもりはありません。
今どきどこの飲食店も、程度の差こそあれクソ不味い料理も出さなければ、クソみたいな接客もしないわけです。
それでも、繁盛店と閑古鳥が鳴く店がある。
この差はいったいなんなのか?自分なりに考えてみると、運が1番大きなファクターを占めているという結論に、またしても数百万円以上の金をBETすることはできません。
バッグ イン バッグ
沖縄からは着の身着のまま出ていったので、こちらに残していった私物がいくつかあります。
モールスキンのカバーオール、セルビッチのジーンズ、オックスフォードのボタンダウンシャツ…などは、カビが生えたとかで番頭に捨てられていました。
が!
“ビル アンバーグ”レザーブリーフケース、“フェリージ”ナイロンブリーフケース、“モンブラン”万年筆だけは難をのがれて生き残っていたので、『お持ち帰り』します。
出発の朝。
汗だくになった服を夜な夜なホテルで洗濯しては、乾燥機には入れず浴室乾燥をしていた2日間。
まだ乾いてないけれど、ビニール袋に入れてバッグにしまうしかない。
“ビル アンバーグ”のロケットバッグはそれなりの大きさがありますが、ボート アンド トートのサイズがエクストララージだったので無問題。
キャンバストートにレザーブリーフを入れた『マトリョーシカ状態』のバッグを抱え、朝の静けさがもどった松山のホテルを後にします。
空港の搭乗手続きでバッグの重さを量ると、本革のロケットバッグと湿った衣服が原因となって、8キロオーバー即終了!かと思いきや…
https://www.jetstar.com/jp/ja/flights/baggage
カウンターのお姉さんから、「バッグの中の服を着るように」とのアドバイスにしたがって、湿気ったTシャツを取り出して着ると…手荷物は、制限値内の6キロ台に早変わり。
そして、定刻。
沖縄との縁が切れたことが寂しくもあり、うしろ髪を引かれながら帰路に就くのです。