皆が渡っても1人だけ赤信号を渡らなければ、それで量産化になることは免れる
常に少数派でありたい
先週に引き続き、ジーンズの話です。
影響力の大小を問わず、ファッション系ユーチューバーが、「ユニクロ、ユニクロ、ユニクロ、ユニクロ…」と、念仏のように唱えるのでSSやAWコレクション発表の時期は、信者のリスナーが店舗に殺到します。
これが関係あるのかは、知らんけど(イメージです)。
“ユニクロ”は、ファッションネタにとってマーケティング力抜群の『キラーコンテンツ』なので、ガチのワーク系、ミリタリー系などの古着勢とファクトリーブランドを取り揃えているセレクトショップやマスコミと繋がりのある組織的なチャンネル以外のほとんどは、ココをメインにいじってきます。
ユーチューバーとはいえ、一般的な個人事業主が似たような服を毎シーズン「全型レビュー!」とか言って大量に買いだめしても、いずれクローゼットと家計がパンクするだけなので、動画を撮ったらソッコーで返品するか?メルカリやセカンドストリートで現金化するんでしょうけど。
YouTubeのメンバーシップ会員に、抽選でバラ蒔けばいいのに…
コンテンツが被る同業他社も増えたため、その流れが“ユニクロ”は“ユニクロ”でも『ユニクロU』や『+J』の上位互換で差別化したけれど、ここもユーチューバーが増えてきたので…
3密状態の“ユニクロ”から一旦出て、“しまむら”(ウィメンズ)や“ワークマン”(メンズ)に活路を見出だしているのは、
群生相になり、新たな『餌場』を求めて大移動している、サバクトビバッタになんか似ている。
他のSPAブランドやメゾンブランドに向かう流れもあります。
蝗害と違うのは、費用対効果の高い集客ネタを使えるインフルエンサーもタダで宣伝してもらえる企業側も、お互いに美味しいWin-Winの関係だということです。
これは“ユニクロ”のジーンズですが、ファッション系ユーチューバーが口を揃えて、ここんちのセルビッチデニムを誉めちぎります。
価値観は人それぞれだから、世の有名なインフルエンサーがほとんど触れない、ドメスティックブランドの国産ジーンズの話をしようと思ったのです。
綿100%のセルビッチデニムです。
オススメブランド紹介します
とある大御所ユーチューバーが、タイアップしていくつかのアイテムをリリースしているので、知っている人はいるかもしれません。
そのブランド名は、“グラム”といいます。
グランジロックがブランド背景にあるので、ハデにダメージ加工がしてあったり、パーツごとに異素材MIXしたり、多色使いしたりするその服に落ちつきはなく、シックとは正反対に位置します。
“グラム”の伝統である、チェックのネルシャツに『耳なし芳一』みたく、ペンキで英字やスモークビーツの絵を描いたり、ジャケットに刺繍している花鳥風月のセンスが地獄なわけです。
顧客の中心は20代と思われますが、希望小売価格が高くて最近の若者が気軽に買える価格帯ではなく、数千円のプライスがついているアイテムはごくわずかです(一部のTシャツと小物くらい)。
それでいて、アラフォー以上の比較的財布に余裕がある層が、全身“グラム”でコーディネートするには非常に難易度が高く、大人しめな他社アイテムの中にハデな“グラム”商品を1点忍ばせるのが関の山です。
モデルとなっている『ニルヴァーナ』のフロントマン、カート・コバーン自身が若くして亡くなっているので、グランジファッションに中年以降の指針がないのかもしれません。
とにかく、“グラム”製品は配色も含めてどう使ったらいいのか?分からない地雷アイテムが多いので、不良在庫の『福袋』を買うことは自殺行為にあたります。
在庫が捌けなければ60%引きくらいしてくるECサイトはあるので、建値が10万円で中身が25万円相当とお得感を煽られても、乗ってはいけません。
その様子がYouTubeに上がっていたりもしますので、ネタとして使うなら最強ブランドかもしれませんが…
モノトーンのシンプルなデザインのアイテムが「アタリ」とか、どんなブランドやねん!
そんな“グラム”独特の解釈をされたAZAMIという名の浴衣を見たときに、浴衣の固定観念をひっくり返されました。
薄いデニム生地で作られた浴衣に、2ndのデニムジャケットまであったプリーツやデニムパンツを模した4ポケット(左前だけない)の意匠をデザインソースとして使うあたりは、正にコペルニクス的転回。
リベットまで打ち込んでいたら最強でした。
前身頃なり帯をボタンで留めるだけなので、脱着がラクで1人でも着付けができます。
他のアイテムの発想はポンコツでも、この浴衣に対してのツッコミは鋭くて、デザインをパクった安価な浴衣が出たくらいでした。
ただ総丈が長いので、身長が180cm以下ならMサイズでも補正をしないと、『松の廊下』みたいに裾を引きずります。
岡山・児島のセルビッチデニム
浴衣のようにデニムには強いブランドですので、パッチワークやリブを使った独特な加工ジーンズには定評があります。
そしてヤフオクでも、“グラム”のジーンズはそうそう値崩れしません。
“グラム”のジーンズは2種類あって、基本は1万円台のリジットは中国製で、3万円オーバーのダメージは日本製といったところです。
中華ジーンズのクオリティが低いなんてことはなく、物によってはダメージ加工があったり、独創的な立体裁断やサルエル、リブ使いなどを駆使しています。
国産ジーンズの中で、ストレッチではない綿100%のデニムだけが、セルビッチデニムです。
なので加工が前提の国産ジーンズの中で、多分リジットのセルビッチデニムはありません(見たことがない)。
育てるのが好きな人には物足りないと思いますが、そもそも冬は寒くて裏起毛しか穿かず、夏は暑くてシャカシャカしか穿かず…ジーンズなんか、気候がいい春と秋しか穿きません。
そして、毎日同じジーンズを穿き続けなければならない拷問にも、耐えられません。
ちょいサルの生デニムがほしくて“TMT”のセルビッチを買ったのに、結局1度も穿かず『タンスの肥やし』になっているくらいですから。
色落ちしていないリジットデニムを穿くのって、散髪したての髪型っぽくて小恥ずかしくなりませんか?
バックポケットにオリジナルのステッチが入っているので、ブランドが分かる人には分かるし、セルビッチデニムはいい塩梅で加工してくれているので、“グラム”のジーンズはお気に入りです。
ちなみに、浴衣のバックポケットにも同じステッチは入っています。