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続・2024春北松浦半島バス旅感じたまま

4月にアップした、唐津市・玄海町の北松浦半島バス旅行記の続きである。
今回は『大人の社会科見学』っぽく書いてみた。
※めっちゃ遅筆で引っ張りすぎてすみません🥺


1:名護屋城跡

豊臣秀吉の晩年の『蛮行』ともいうべき朝鮮出兵(文禄・慶長の役、壬辰倭乱)の日本側の拠点・橋頭堡だった北松浦半島の北端の名護屋城(唐津市鎮西町)を2024年3月、ソメイヨシノの開花期の前に訪問した。
この時は福岡天神〜唐津大手口BT〜呼子BT間の昭和バスと、昭和タクシーのジャンボタクシー(トヨタハイエース)を乗り継いだ。
他にも中型車の路線バスも何便かあったが、こちらは2024年3月で廃止された模様。

名護屋城跡には名護屋城博物館があるが、訪問日は休館日だったので、城内散策に切り替えた。

博物館には文禄・慶長の役/壬辰倭乱に関する紹介があるので、次の機会の訪問時には開館日に見ておきたい。

城周辺や場内には大きめの案内図があり、この時は『信長の野望』と連動したイラスト入りの説明もあった。
平日で人が少なく、風が吹くと涼しかった。

城跡の二の丸にソメイヨシノがあったのでtenki.jpアプリで桜開花情報をチェックしてみたところ、佐賀県内の名所として紹介されていた。
可能であれば再訪したかったが、スケジュールや懐具合の問題で今季の名護屋城跡の花見は断念した。

2:『上場(うわば)エリア』

さて、中近世から日本の歴史に登場してきた北松浦半島は、農産物や海産物でも注目されるエリアであり、呼子地区で水揚げされるイカは福岡地区をはじめ全国各地からグルメ好きが訪れるほどである。
2015〜16年にはスプラトゥーンと連動した企画が行われたことも記憶に新しい、この北松浦半島を唐津観光協会やLoveFMなどが近年『うわはエリア』としてプッシュしている。

福岡方面からだと自家用車で1〜2時間ほどで行ける、風光明媚でグルメ好きにはおすすめのうわばエリア。
このうわばエリアは、日本の経済成長期のエネルギー政策の中で核施設(原子力発電所)が造られ、共存しているという現実も押さえておきたい。
このことを下に書いていく。

3:玄海原発・エネルギーパーク

名護屋城跡見物後、呼子BT発の玄海原発(エネルギーパーク)経由唐津大手口BT行きの午後の便が来たのでこれに乗って玄海原発・エネルギーパーク見学に向かった。
国道は対向車も少なく、定刻でエネルギーパークに到着。

玄海エネルギーパーク・玄海原発までは昭和バスが1日数本唐津市内から出ているが、2024年春からは午後着から夕方発まで5時間ほどの空白が生じているので、パーク内の温室などをゆっくり観ることができる(つまり、バスで行く場合は玄海原発で帰りの便まで5時間待つことになる)。


10年ほど前に熊本市内からレンタカーを使って九州道・長崎道・厳木多久道路を経由して見学に来たことがあるが、それ以来の見学だった。
前回はなんとなく見に行っただけだったが、今回は核エネルギーについて一家言お持ちで、扶桑社など電子媒体での記事を拝読し、Xのアカウントも拝見してきた牧田寛氏(Xユーザーのコアな人たちの間ではIDから『コロラド博士』と呼ぶ人もいる)のことを思い出しながら見てみることにした。

参考リンク(扶桑社『ハーバー・ビジネス・オンライン(現在更新終了)』より)

※牧田氏が過去に触れているが、年式の古い1・2号炉は、2015年に1号炉が、2019年に2号炉がそれぞれ運転終了している。


エネルギーパーク内は、原子炉のレプリカや燃料棒のモデル、酸素ボンベに似た形の原子炉格納容器のミニチュア、核エネルギーの歴史年表、発送電プロセスのイメージ図などが展示されている。


海溝があり巨大地震のリスクが世界の中でも高い太平洋側よりも、ユーラシア大陸と海底でつながっていて比較的地盤が安定している玄界灘側にある玄海原発。
その玄海原発も、数十ヶ所のボーリング調査を行い、より安定している地質の上に更に硬い地盤を築き、1970年代の核エネルギー技術の中では安全性の高い技術を採用している。

また、原子炉本体や格納容器に使われているコンクリートや金属類もかなり高度な技術が使われていることをうかがい知ることができる。


将来原発を使わずに電力供給できる枠組みが確立した後に、原発で使われている技術が転用できるのが望ましく、技術者冥利に尽きるのでは、と勝手に思った。
無論、チェルノブイリ(チョルノーブィリ)や福島第一の核災害を『なかったこと』にしたり被害を黙殺するようなことは断固NOである。



いわゆる『社会科見学』は子供の専売特許みたいな扱いをされがちだが、大人になっても新しいこと・未知のものに触れることで知的好奇心を刺激し、世界観を更新できるメリットがあると思っている。
これまで『滅私奉公』でムラ社会に無心で忠誠を誓い、それに忠実にであることが善とされてきた『この国のかたち(©︎司馬遼太郎)』の変革のきっかけになるのではないか。

特に核エネルギー(電力会社)や軍事技術(自衛隊や米軍の基地)の実情を目の当たりにして、各々で思考実験を試してみるのも悪くはないだろう。

核エネルギー政策の中で、使用済み核燃料の受け入れ計画が玄海町でも進められようとしている。
数十年〜長くて100年単位でみれば比較的地盤が安定していると言われている玄海原発付近だが、数千万年〜数億年単位でみれば決して安定しているとは言いがたいだろう。

そもそもの話だが日本列島自体が地殻変動の産物であり、2024年の今私たちが見ている日本列島のかたちも、遠い未来には激変していると考えてもおかしくはない。

ユーラシア大陸の地殻変動が少ないエリアならばともかく、日本列島だと億単位の超長期的期間でみれば不安定な地盤だらけだと思って解釈したり思考したりする必要があるだろう。

また、九州だと真ん中にある阿蘇カルデラや桜島を含む姶良カルデラ、薩摩半島の南の沖合にある鬼界カルデラの巨大噴火のことを無視して核施設を管理できるはずがないと思っておくべきである。



また、半分戦時体制にある北朝鮮の暴発(技術開発中の弾道ミサイルによる攻撃、核兵器が完成しているとすればこれによる攻撃)のリスクが日本列島につきまとっており、玄海原発が標的にならないとは断言できないことも忘れてはならない。

実のところ、なんとなくできているこの世界、そしてその中に生きている私たちの暮らしは、世界そして宇宙の絶妙な危ういバランスの上に成り立っている、ということをたまには思い起こしていただきたいものである。

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