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サニーの家族と日本
はじめに
こんにちは、松田と申します。今後noteにて、OMORIに関する自分の解釈・考察をまとめていこうと思います。
後日、類似した内容の動画がYoutubeの「松田文哉」のチャンネルにて公開される可能性もございますが、この記事を書いているのも松田文哉であるため、ご安心ください。
また、今回を含めまして、OMORIの解釈などはあくまでも「ゲームとしてのOMORI」や公式サイト、かつて没になったと思われる要素から組み立てていきます。ゲーム以外のメディア媒体のOMORIや、他のOMORIファンの方々の考察を否定するものではありません。
資料として貼らせていただく画像は原語版・日本語版の両方を含んでいます。
以上を踏まえ、苦手な方やネタバレを見たくない方はご注意ください。
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サニーと日本
サニーの家族の痕跡
今回は、サニーの家族について解釈を深めていこうと思います。
まず初めに、作中において現実のサニーの家族がどのような人物であったかというのは、毎日留守電を残す母親以外確かめられません。
家に父親の痕跡は一切残っておらず、サニーもまた「母親の○○」と認識する家具はあっても、父親、更にはマリの一言も登場しません。
しかしながら、時代背景とサニーのヘッドスペースから見えてくるある家族の事情があります。
ヘッドスペースの中にある「日本」
サニーが作ったとされるヘッドスペースには、日本を思わせる要素が多く登場します。
1つ目は豆腐です。これは原語版であっても「Tofu」と表記され、意訳するとサニーが「大体柔らかい段ボール」のような感想を持っていることが分かります。
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豆腐はヘルシーな食べ物の代表格とも言えるため、回復するのが5ハート分しかないことや、図を見て確かに豆腐であることから、サニーは豆腐という食べ物を知っている可能性が高いです。
またこの「豆腐」は苗モグラの大好物であり、スイートハート城では謎解きに必要であったり、1アサリで購入可能であったりと、おやつ(スナック)の中でも特別な扱いを受けています。
現実において、サラダを食べた時に「草の味がする」とテキストが表示され、サニーが野菜を好んでいないことが暗示されましたが、ヘッドスペースにおいて評価が低い豆腐は、野菜同様サニーにとってはあまり好きな食べ物ではなかったのかもしれません。
2つ目はサイゴノ楽園やオクブカ井戸のピクニックシートに登場する「raw seafood(生の魚介)」です。
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画像を見るに、所謂「寿司」のことですが、恐らくOMORIの舞台のモデルとなっている国「アメリカ」では、寿司と言えば巻き寿司の方が多いです。
衛生面の徹底が行われている日本だからこそ口にできる生魚ですが、アメリカでは野菜を使ったものが一般的で、一部サーモンが使用されるもののやはり形は巻き寿司です。
カルフォルニアロール、と日本で呼ばれているものがまさしくアメリカのとっての寿司であるはずですが、OMORIに登場するこの寿司は日本で見るものに近いと感じられることでしょう。
つまり、サニーが海を舞台にしている場所において「生の魚介」として具現化するものは「日本の寿司」であるという可能性が考えられるのです。
3つ目は農場や道路を横断する「ウミウシ」です。
日本語版で「ウミウシ」と翻訳されたこの生き物ですが、実は原語版においても「Sea cow(海の牛)」と呼ばれています。
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英語において「Sea cow」という言葉はジュゴンやマナティなどの海牛の総称であるとされています。直訳すると「海牛目」という言葉になり、他の動物で例えるとクマ科やイヌ科、ネコ科を包括した「食肉目」と類似した言葉になります。
一部「セイウチ」にも該当するため検索しましたが、真っ先にでてくる記事の多くはマナティやジュゴンについてのものであり、「Sea cow」という言葉の多くが「海牛目」を指すことが分かります。
一方、ご存じの通り日本語の「ウミウシ」とは海にいる軟体動物の一種です。
どちらも恐らくはサニーが「海の牛」と聞いてそのまま想像した姿の生き物であると思われますが、個人的に「海牛目」と「ウミウシ」では「ウミウシ」という言葉を聞く機会の方が多いように思えます。
もしこのウミウシが軟体動物の一種を指すのであれば、サニーは「ウミウシ」という日本語を聞いて、「海の牛」を想像した…と考えることができます。
またこのサニーの勘違いは、まさしく「ウミウシ」から「海の牛」を想像したわけですから、英語に表記するとすれば「Sea cow」が適切であることも可能性としては考えられるのです。
現実の中にある「日本」
さて、ヘッドスペースに多くの「日本」を思わせる物が登場したところで、今度は現実にある「日本」にも着目していきたいと思います。
まずはサニーの肌の色についてです。
戦闘グラフィックや歩行のドットを見ると、サニーは他の人物に比べて特別「黄色い」ように見えることが分かると思います。
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現実では既にマリが他界してしまっているため、現実のマリと比べることは出来ませんが、現実世界においてサニーが見る「幼少期の幻覚」では姉であるマリよりも肌が黄色いことが分かります。
近年よく耳にする「ポリコレ」という言葉のように、海外において「肌の色」は敏感なものです。それを敢えて「サニーだけ黄色っぽくする」というのは何かしらの意図があるように思えます。
(実際、OMORIの公式つままれアクリルキーホルダーが発売された際、ケルの肌色が白っぽいと苦言を呈する人を多く目撃したことを覚えています)
サニーの肌が意図的に黄色っぽく表現されていた場合、サニーは黄色っぽい肌を持つ「黄色人種」として描かれている可能性が高いです。また、この黄色人種には私たち日本人も含まれています。
次に、この記事の冒頭にも使用した、サニーが「幸せな家族」と認識する家族写真を見ていきます。
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この写真に、私たちプレイヤーが「よそよそしさ」や「縁遠さ」を感じられる箇所はありますか?
私個人としては、全くもってありませんでした。とても馴染み深い、家族写真としてこの1枚を受け入れています。
それこそがこの写真の最も「不自然」な点なのです。この写真はOMORIの世界でいうところのアメリカの写真であり、恐らくこれを読まれている日本人の私たちにとっては、異国感やハリウッドのような文化の違いを感じてもいいのです。
OMORIにおける表現がそうなっているだけとも考えられますが、この写真を隣家であるケルとヒロ一家の家族写真と比べるとその違いは顕著になります。
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ケルとヒロ一家の写真は皆がそれぞれ正装を着て、仲の良い家族として写真に写っています。
ケルの母親の首元の大きなネックレスや、顔に角度を付けて写真に写るヒロは、まさにハリウッド映画でよく見る「日本人にとってはアメリカらしい」要素なのではないでしょうか。
では何故サニー一家の写真からはそれを感じられないのか。個人的に最も大きい理由として父親の素朴な表情と仕草や、父親・マリ・サニーが黒髪であることが挙げられると思います。
現に、サニーの母親はアメリカらしさを感じる風貌であり、ドレスのようなワンピースのような服装や、真っ赤で大胆な口紅は日本っぽさとは異なります。
このように、現実から見るとサニーは「日本人っぽさ」を感じる風貌をしていて、それは父親やマリと共通する部分もあることが分かります。
ゲームの外における「日本」
これはオマケ程度の話になるのですが、OMORIの公式ページにはゲームに使用されなかったスケッチブックの画像が数枚存在します。
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赤と黒を基調とし、オモリのような少年が描かれたこのページには「ひきこもり」という日本語を見ることができます。
また中央右側のセーラーと水着を着たようなツインテールの少女の隣には「TAKO-CHAN」と書かれ、「タコちゃん」とローマ字読みすることもできます。
また下部の塗り潰された顔の近くには「RABU」という文字が見られますが、調べたところ英語に「RABU」という単語は存在しません。
この「RABU」をローマ字読みすると「ラブ」と読むことができ、ここに書かれているのは「LOVE」のことだと分かります。
ゲームOMORIの公式ページに残っているということは「残しても問題ない」ものである可能性も考えられます。
仮にこのスケッチブックが「サニー」の描いたものである場合、彼は「LOVE」を英語ではなくローマ字で、それも日本語の発音に近い「RABU」と書いたことになります。これは、サニーが日本語を知っていたから、と考えることはできないでしょうか。
更にオマケの話になりますが、製作者チームの中心である「OMOCAT」氏は大の日本アニメ好きであるとされています。その造形の深さは「好きなアニメ」としてシュールコメディの「絶●先生」を挙げるほどであり、日本語や日本文化について理解をしていることになります。
また、トレーラー及びバッドエンドの楽曲である「my time」を作詞作曲された「bo-en」氏も、my timeのみならず自身の楽曲に日本語を使用しているものがあります。
制作サイドにおいても「日本」は深く関係しており、OMORIは日本と切っても切れない関係にあることが考えられるのです。
サニーと日本
ここまで、サニーにとって如何に「日本の文化」が身近なものであったか、また制作チームの方々がそれを意図的に表現できるスキルを持っていたかを述べさせていただきました。
まとめますと、サニーは日本の文化を知っていて、大多数の日本人と同じ人種であったことになります。
言うなれば「サニーは日本人に近い」のです。
どうしてここで「近い」という表現にしたかと言いますと、厳密にはサニーは日本人ではないからです。先の家族写真のように、母親からは「日本っぽさ」を感じられませんでした。
ここで私の解釈として確立したのが、「サニーがアメリカ人と日本人のハーフである可能性」です。
くどいようですが、もう1度サニー一家の家族写真を見ていきます。
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サニーが日本人とアメリカ人のハーフであるならば、OMORIの舞台がアメリカをモチーフにした国であるにも関わらず、サニーが日本の文化に詳しいことに納得がいきます。
この写真も、日本人の父親とアメリカ人の母親、そして子どもたちを写しているものならば、日本人にとって馴染み深い一方で、母親からは異国感を覚えることも当然でしょう。
また、物語終盤の回想シーンにおいて、サニー一家はどこかからハルバル町に引っ越してきていたことが分かります。
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サニーの家はオーブリーやバジルの家よりも大きい間取りをしています。その分購入費等も高額でしょう。
サニーたちがハルバル町にやってくるよりも前にいた場所、それこそが日本だったのではないでしょうか。
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最後のファイナルデュエットで挟まれるムービーでは、チェックの服を着たマリとサニーのところへ、ヒロとケルがやってくる様子が描かれています。
とすれば、サニー一家がハルバル町へ引っ越してきたのは、この時期であるのでしょう。
次回は、この引っ越してきた時期の大まかな仮定と、当時のサニー一家が日本からアメリカへ引っ越してくることとなった解釈をまとめていきたいと思います。
閲覧ありがとうございました。この記事が皆さまのOMORIの解釈を手助けするきっかけとなりましたら幸いです。
自解釈ではないものの、有り得ると考える家族の可能性
サニーとマリは異母or異父姉弟であり、それぞれ父親と母親の連れ子である
→マリを溺愛していた父親だが、サニーに対してはそのような描写がない
→母親と、マリ&サニーはあまり似ていない
→サニーと一緒にいる表現が多いのはマリである