🔲プチから始めるライフ・デザイン🔲ーライフシフトの原罪ー

　こんにちは、人生探求の旅ナビゲーターのまっつんです。

　人生をどう生きるか、この必ずしも答えが見つかるとは言えないこの「問」に
2016年、ロンドン・ビジネススクールの教授であるリンダ・グラットン教授とアンドリュー・スコット教授らが、100年人生における新しい生き方を提唱しました。その影響で多くの日本人が書籍を買い求め、考えさせられています。
　多くの日本人は思います。長生きはしたいけど、人生100年のお金って年金しか考えていなかった、どうしようと。

　今回は、🔲プチから始めるライフ・デザイン🔲ーライフシフトの原罪ーと題して書いてみたいと思います。

　※時期的に「少年ジャンプ+」の衝撃的作品「タコピーの原罪」のコミックスが、転売ヤーに買い占められて話題になっているので、便乗してみました。

🔲 知らなくてよかったことなのか

　「なんとなく長生きしたしなぁ」とみんな思っていたと思います。
そこに、生活資金が足りますか？と我々の目の前に生なましい現実を突きつけたのが「ライフシフト」という概念です。
　2019年6月に金融庁が、老後資金の必要額は公的年金プラス2000万円という趣旨の報告書を提出した、いわゆる2000万円問題は、たいていの日本人が薄々気がついていはいたけど、知りたくはなかった現実を金額で示したことに対して大きな動揺が生まれました。
　しかも、95歳まで生きる計算での予測金額です。
　そして、リンダ・グラットンが提唱した「ライフシフト」は、なんと100歳まで半数が生きるというのです。
　つまり、半数以上の人びとが100歳以上は生きるため、2000万円問題どころの騒ぎではありません。
　人生100年時代のメリットよりも、リスクの方が強調されている気がするのは、我々の読み方が悪いのでしょうか。

　そもそもリンダ・グラットン教授は経営学の先生なのです。そのためライフシフトでは、立ち行かなくなる未来をジャック・ジミー・ジェーンという3人の異なる世代の人物を設定し、引退後の余生の比較を、これでもかと言うほど具体的な数字を出してライフシフトという仮説を補強しています。
　ちなみに62歳で引退したジャックは42年間働き8年の余生、ジミーは65歳で引退し44年間働き20年の余生、そしてジェーンも65歳で引退し44年働き35年の余生となっています。

ライフシフトをまっつんまとめ

　リンダ・グラットンは、ライフシフトを発表する前の2012年にプレジデント社から「WORK SHIFT」を出版しています。原書のタイトルは「The shift」です。日本では、「WORK SHIF」となっており、副題は「孤独と貧困から自由になる働き方の未来図２０２５」となっています。ベースは、彼女が働き方について長年研究してきた成果をまとめたものです。
　この「WORK SHIFT」では、裏表紙に実に恐ろしい予言が書かれています。

2025年、私たちはどんなふうに働いているだろうか？
「漫然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ちうけ、
「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある。

ライフシフト裏表紙より

まっつん作成

🔲 未来に待ち受ける「地獄と天国」は自分でチョイスできるのか

　さて、長生きすることは、分かったとして、グラットンは、人生100年時代の到来によって、これまでの３ステージ型人生（学業、就職、余生）から、マルチステージ型人生（学業、就職・学び直し・転職・副業・サバティカル、余生）にチェンジしなければいけないと書いています。

まっつん作成

　つまり、その３ステージ型人生では、先行きが怪しく、彼女の指摘する「漫然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ちうけていることになるらしいのです。
　そして、マルチステージ型人生では、「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生があるというのです。
　そう言われると、みんなマルチステージ型人生を選択するしかありません。しかし、理屈の上では納得できる理論でも、実際に実践する際にどうなのか。一部のスーパー・キャリアの人間にだけしかできないのではあまり意味がないのです。
　3年後の2025年には、グラットンの予言したような時代になっているのか、それを回避する方法が我々にはあるのか、気になるところです。

🔲リンダ・グラットンの示す処方箋

　3年後の2025年「漫然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ちうけるという予定された未来を回避するために、彼女は2012年日本発売の「WORK SHIFT」では次の提案をしています。

✨未来を形づくる５つの要因
①テクノロジーの進化
②グローバル化の進展
③人口構成の変化と長寿化
④社会の変化
⑤エネルギー・環境問題の深刻化

リンダ・グラットン著：WORK SHIFTより

それに対して３つのシフトを提案しています。

①ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へのシフト
②孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へのシフト
③大量消費から「情熱を傾けられる経験」へのシフト

リンダ・グラットン著：WORK SHIFTより

次に、4年後の2016年に日本で発売した「ライフシフト」では、３ステージの人生に別れを告げて、見えない「資産」を強化することが、新しいシナリオへ移行するために重要だと提案しています。

ライフシフトを成功させる３つの見えない「資産」
①生産性資産（スキル・知識、仲間、評判）
②活力資産（健康、友人、愛）
③変身資産（自己理解・人脈・オープンマインド）

リンダ・グラットン著：LIFE SHIFTより

　それらを使ってライフシフトをし続ける・・・らしいです。
　ここまで読まれて、もはやお分かりだと思いますが、著者のリンダ・グラットンは経営学者、共著者のアンドリュー・スコットも経済学者です。
　国や政府、教育機関、企業などへの提言として書かれたライフシフトは、大きな話としてあるのです。
　つまり、コンサルタントやアドバイザーのような我々個人に落とし込んだお話ではありません。（事例は架空の人物を設定されているが、あくまで年代別の比較をするためのケースとして登場）
　他国の読者なら、人生100年時代という提唱は「突飛な話」、もしくは「将来有り得るかもしれない話程度」の未来予測の提唱という認識で良いのかもしれませんんね。

🔲まとめ：作麼生・説破と一休さん化する日本人

　しかし、超高齢社会の日本では、100歳以上となる高齢者が、8万6510人おり、51年連続で過去最多を更新しているのです。男性は1万60人で、初めて1万人を超え、女性が約９割を占め、7万6450人となっています。（厚生労働省2021年調査）

つまり、世界で唯一100年人生がリアルな国なのです。

　多くの日本人が、リンダ・グラットンの著作を読めば、何かしらのヒントがあるはずと、買い求めた結果のベストセラーともいえます。この書籍は、漠然とした長寿化に100年人生という枠を設定することで、リアルに生活コストが足りないという警告を、具体的な数字を上げて示した点は評価されると思います。

　残念なことにその対処を具体的にどう行うかまでは言及されていません。
「問」を投げかけて、我々に悩みだけ残したような格好ですね。
　だから「超訳LIFE SHIFT」という本が2020年10月に発売されるのも頷けます。
　しかし、この本も具体的なLIFE SHIFTの方法につながる記述はありません。著作の最後にこう書かれています。

過去のロールモデルは、もはや役に立たない。
著者たちの願いはただ１つ
どうか、あなた自身が、100年ライフ生きる未来の「ロールモデル」になって欲しい、ということだ。

超訳LIFE SHIFTp224より

　読者に「問」に対する「解」も投げられてしまってます。真面目な日本人はこの「解」を求めて悩むことになってしまいました。さて、知らない方がよかったのか、知って悩む方が良かったのか、どうなのでしょうか。
　確かなことは、この「LIFE SHIFT」が売れたことで、リンダ・グラットンは、一躍、時の人となり、現在は、また新しい「問」を執筆中とのことです。
　日本人は、グラットンの提唱した「問」の答えを、果たして見つけ出すことができるのでしょうか？
　「作麼生！（そもさん）」
　「説破！（せっぱ）」
　往年の一休さんと新右ヱ門さんのやり取りのように、LIFE SHIFTの「問」に対して日本人が鮮やかなとんちで「解」を示すことができるのか楽しみではあります。

　今回は、🔲プチから始めるライフ・デザイン🔲ーライフシフトの原罪ーと題して書いてみました。

最後までお読みいただきありがとうございます。

少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

また次回もよろしくお願いします。

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