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とにかく左腕を動かそう!準備編「座り方と楽器の位置」

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はじめに

noteでアコーディオンレッスン第6回目です。
今回から複数回に分けて、「左腕をいかに大きく自然に動かすか」をテーマにして進めていきたいと思います。

アコーディオン演奏では、左腕で蛇腹を操作して空気を送り込み金属リードを振動させて音を奏でています。この辺りのことは、前回の第5回目のレッスン「音の表現《指で出来ること》」でも取り上げました。
左腕の動きが止まれば、蛇腹も止まり空気を送り込むことができなくなる、音も止まります。音の表情・ダイナミクスなど演奏の出来を左右する要素は、蛇腹の動かし方にかかっていると言っても過言ではありません。

ところが、この左腕。よく止まります。
初心者の方に顕著ですが、左右のボタンや鍵盤の操作に必死になってしまって、蛇腹操作を忘れてしまうんですね。
演奏において大事な左腕が、十分に動かせていない経験者の方も多いです。極端に動きが小さくなってしまっていたり、動かし方が身体の負担になっていたりします。

左腕が自由に動かせないと、身体全体のバランスが崩れますし、演奏にも当然支障が出て上手くいかないことが多くなります。
大事な大事な左腕をもっと使えるようになるために、今回はまずそのための準備編をお送りします。

左腕が動かせない理由は色々あるのですが、まずは座り方。
そもそも上半身をうまく支えられない座り方をしている場合があります。
身体はバランスを取ることに必死で、左腕を動かすどころではありません。
そして楽器の位置。
こちらは身体に無理をさせる位置に楽器がある場合が多いので、今回詳しく取り上げます。肩ベルトの長さに悩んでいる方も多いと思いますが、今回の動画は結構長さ調節の参考になるんじゃないかなと思いますので、そういう方は是非ご覧くださいね。

前置きが長くなりました。早速、始めていきましょう!
YouTube動画は、コチラです。↓(長めの動画で約17分です。)

いつものようにテキストでの解説も書いていきますね。

猫背と反り腰

まずは座り方から始めます。
私たちが椅子に座っている時、お尻と両脚の3点で上半身を支えています。
特にアコーディオン演奏は、蛇腹の開閉があるので横に揺れますよね。その横揺れに負けていては椅子から転げ落ちてしまうので、身体はその揺れに対してしっかりバランスを取っているはずです。
さまざまな弾きにくさを生む座り方に、猫背や反り腰があります。この二つの座り方は、要するにバランスを取ることが上手くできないので、身体は楽器演奏どころではなくなってしまうのですが、今回はバランスのことではなく「楽器との距離」に注目していきたいと思います。

まずは猫背の場合

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猫背というのは骨盤が後ろに倒れている状態ですが、写真のように楽器との距離がずいぶん空いてしまうんですね。当然このままでは楽器がグラグラします。

そして反り腰

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私は反り腰だったのですが、女性に多い気がします。グッと腰の上部を反ってしまうので、まず腰が痛くなります。身体には良くないですね。
下腹部を楽器に押しつける形になり、猫背に比べて楽器との接触面は広いのですが、決して楽器が安定するわけではありません。

バランスよく座るというのは、本当に難しく私もずいぶん苦労しました。(まずバランスよく立つことが出来ないと始まらないのです。)
「座る」ことに関しては、日常から気をつけて取り組むしか方法がありません。私はうまく教えられる自信がありませんので、バランストレーナーの小関勲さんの動画をシェアしておきます。小関さんの書籍や動画・SNSなど、私はよく参考にしています。

続いて楽器の位置の話に移ります。

やりがちな構え方

初心者・独学者がやりがちな構え方ナンバー1です。

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楽器が寝ている状態ですね。原因は、右鍵盤が見たいからという理由が圧倒的に多いと思います。残念ながら、楽器を倒して構えるこのやり方のメリットは「鍵盤が見える」ただひとつだけです。反対にデメリットは沢山あります。

・肩への負担(楽器の重さが肩にかかる)
・楽器の角が腿に当たるので、人によってはそこが痛くなる
・楽器がぐらつく

などなど沢山ありますが、何よりも左ボタン下部が身体から離れるので弾きづらくなります。こういう風に持ってしまう方は、ほとんど猫背の状態で座っています。先ほど、猫背だと楽器との距離が空いてしまうと書きましたが、それ故に楽器が倒れてしまうんですね。

まず楽器は起こしましょう!
鍵盤が見えない?…諦めが肝心です。

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楽器は左寄り

左腿の上に、楽器の重さが全て載るようにしてみてください。
正面から見るとこんな感じ。

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少し身体の左側に寄っていますね?
これでいいんです。
下の写真のように鍵盤が右腿の上にも載っていて、楽器を真っ正面に持ってきてしまう方、多いのですが…

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この楽器の場合は、両腿の上に乗せると楽器が斜めに傾いてしまっています。
また左右の腕ともに使い辛くなるんです。
まず右ですが、肘をかなり後ろに引かなくてはならなくなります。
右指は動かしにくいでしょうね。

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左は、楽器の左端が左肩よりも内側にある場合、蛇腹を最後まで閉じるためには肩より内側にまで力を加えることになり、大変やり辛いはずです。
手だけで蛇腹を閉じてしまう理由になりますね。
蛇腹は左腕を使って開閉しますので、腕が使える範囲内で蛇腹が完全に閉じるようにしましょう。

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楽器を思い切って左に寄せてください。
左ボタンが遠くなる心配をされる方がいらっしゃいますが、大丈夫です!

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身体に対する楽器の向き

今度は楽器と身体が平行か、それとも斜めか、というお話です。
楽器の形状に注目してみましょう。

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ご覧の通り、アコーディオンは右鍵盤部分は斜め、蛇腹のあるボディ部分は真っ直ぐになっています。

斜めの場合

この鍵盤の「斜め」部分がキーになります。
どういうわけか、この斜めを「斜め」として使わずに身体に対して真っ直ぐにしてしまう傾向があるんです。

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こうすると左側はどうなるでしょうか?
楽器が、左肩とくっつきそうですね。

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後ろから見たら?

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左脇が窮屈そうですよね?
右腕とのアンバランスさも目立ちます。
この窮屈さに自分ではなかなか気づけないのが難しいところなのですが、後ろから撮ってみたらすぐわかりますので、是非スマホ等で自分の背中側から撮影してみてください。

平行の場合

では、真っ直ぐなボディ部分を身体(両肩のライン)と平行に、斜めの右鍵盤はちゃんと斜めになるように持ってみましょう。

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右鍵盤の裏側が右胸にちゃんと当たっていれば、グラグラせず安定しますよ。
(下の写真の手を当てている辺りです。)

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左側は先ほどよりも、かなり左肩との間にスペースができました。

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後ろからも見てみましょう。
左右のバランスが整っているのが分かりますか?

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この場合も、左ボタンが遠くなる心配をする必要はありません。
弾きにくさは「楽器が身体と近すぎる」ために起こることも多いのです。

さいごに

左腕を自然に大きく動かすための準備編、いかがだったでしょうか?
座り方や楽器の位置によって、かなり演奏のし易さは変わりますので、ぜひ色々と試してみてください。
楽器の位置が決まってから、肩ベルトの長さを調整すれば最適な長さが決まりやすくなります。先にベルトを決めてしまうと、身体は楽器に合わせようとしてしまいますので、楽器の位置を決めてから身体の心地よさを最優先に長さ調整してくださいね!

左腿に楽器の重さが載せられない立奏や小型楽器の場合も、基本的な考え方は変わりません。
身体の前後・左右のバランスが崩れないような位置に楽器を持ってきて演奏することが大切だと思います。

ご質問ご感想は、YouTubeコメント欄、各SNSでも受け付けていますのでお気軽にお寄せください。アコーディオン演奏法について扱って欲しいテーマも募集しています。

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松原智美/じゃばらの道
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