ドヴォジャークピアノ五重奏第2番
昨日11月18日に、ベルリン・フィル・メンバー4名と古田友哉によるドヴォジャーク「ピアノ五重奏第2番イ長調作品81」を聴きました。今年のベルリンフィル来日公演は、気づいたときにはチケットが売り切れていおり、聴くことが叶いませんが、昨日の公演は、わたしにとって、それを補って余りあるものでした。
5人が大きな音を鳴らすと、聴いているわたしの頭頂にまで血流が行きわたり、手に持ったプログラムの冊子が振動します。他方、5人がミサ曲のようなハーモニーを奏でると、体中の神経が荘厳な電気信号で満たされます。それは、あたかも力強い踊りを目の当たりにしているようでした。
中でも、第一ヴァイオリンのノア・ベンディックス・バルグリーは、クインテットの先陣を切って、曲の雰囲気を七変化させていくので、その技術力と音楽性に舌を巻きます。また、チェロのソレーヌ・ケルマレックは、チェロという楽器の音量と音域を活かして、デュナミークとアゴーギクを揺らし、音楽表現を多彩にしていました。ヴィーン・フィルのメンバーによるシュトイデ・カルテットやリング・アンサンブルは、演奏者の息がぴったりと合って曲の時代性や様式美を表現している点に魅力を感じますが、ベルリン・フィルのメンバーによる合奏は、昨日の演奏も樫本大進が率いる八重奏団も演奏者がそれぞれ個性を発揮して曲の持つ物理的・肉体的な力を露わにする点に圧倒されます。世間にはガンガン音を鳴らしてうるさいだけの五重奏も存在しますが、同じく大きな音を鳴らすのでも、昨日は演奏者の個性が曲の個性を際立たせていました。
先日のコンセルトヘボウによるドヴォジャークの交響曲第9番と、昨日のドヴォジャークのピアノ五重奏第2番で、今年の秋に日本で聴くべき音楽は聴いた気がします。さあ、自分の勉強と仕事に集中しよう。
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