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ゆりかごをすてて~アトリエと、わたしと、絵の具~

ごとうなみ個展「ゆりかごをすてて」
元麻布ギャラリー佐久平
2021年5月23日(日)〜6月5日(土)
11:00〜19:00
定休日:木曜日 ※ごとうさんは5月25日、6月 2日に在廊予定。

2019年から2020年にかけて、横浜市のアーティストインレジデンスで生活しながら制作を行ったごとうなみさん。
アーティストインレジデンスとは、世界中からアーティストが集まり、滞在し、ときに交流しながら制作する場。

今回の個展に先駆けて、ごとうさんにお話をうかがいました。

レジデンスでの生活。時はコロナ禍。アトリエという閉じた箱の中で、哲学、天体、心理学、物理、宇宙、様々なジャンルの本を読んだ。知識がひろがる一方で、過去の記憶も姿をあらわした。そのかけらを拾い集めて、くるくるとこねたり、ぎゅうぎゅうと握ったり、くしゃくしゃにして、また広げたり――。今回の個展は、そんな作業を繰り返して生まれた作品たちだという。

「新しい私を見て、というメッセージではないんです」。
「人生の半分をかけて、やっとニュートラルになれた。その過渡期の作品。あたらしいわたしの作品は、これからですね」(ごとうさん)

今回の個展は、油絵やドローイングなど、ほとんどが横浜のレジデンスで制作した作品だが、その生活を経て、長野で描かれたものもある。それがどれかは、ぜひ、ギャラリストの大谷さんに聞いてみてほしい。

彼女の言うニュートラルとは、「自己受容」や「自己承認」。
内にある記憶と外から入ってきた知識が出会い、こねたりひろげたりして形を変え、ついに飲み込めた、ということなことなのかしら、とわたしは解釈した。

彼女の絵を見ていると、うすいヴェールをはさんだ向こう側で、現在過去未来を軽々と行ったり来たりしているごとうさんが見える。そこは、なんだかふかふかとしている。

わたしが見ている作品の姿は、絵の向こう(というかヴェールの向こうというか)からごとうさんが見ている現実なのかもしれない。

どの時点のわたしを切り取っても、わたしはわたしであって。あの時は良くて今は悪い、その逆というのも本質的にはないのかもしれない。
今も過去も、未来もちゃんと一本の道の上に存在している、というような。

新型コロナウイルスは、文化や生活様式だけはなく、もっと大きな変化をもたらすはずだ。心地よいと思っていたゆりかごもすてて、あたらしい時代がはじまり、ひろがる。

「制作は、過去との対話から始まる」というごとうさん。ニュートラルを手に入れた先に、どんな対話が生まれるのか、もっともっと見ていたい。

#ごとうなみ #ごとうなみ作品展

長年、子育てをしながら制作をしてきたごとうさん。子育てと制作に関するインタビューは、6/20頃発行の佐久平地域の子育て情報誌「ママモ」にて掲載します。

目に触れられず流れていく宙ぶらりんなローカル情報を囃し立てて、自分の住む地域ってなんかいいな、誇らしいな、暮らしやすいな、と感じられる循環を作り出したいと思っています。(team OHAYASHI細川敦子)